■基幹税化
消費税導入から30年が経とうとしている。消費税の税収に占める割合は、2018年度で32.9%を占め、個人所得課税の31.5%、法人所得課税の21.5%よりも多い(図1)。消費税が基幹税化している。
約30年の間に消費税は2度引き上げられ、法人税は繰り返し引き下げられてきた。09年以来、消費税収が法人税収を上回っている。89年度に19兆円だった法人税収は、18年度には12.2兆円に減った。一方で消費税収は同3.3兆円から17.6兆円に増えている(図2)。まさに法人税引き下げに消費税が利用されてきた。
税の公平性を保つ原則は応能負担だ。それを実現するには所得への直接累進課税を徹底することが必要だ。低所得ほど負担が重い消費税は最も不公平な税制である。
■大企業優遇
大企業は優遇税制の恩恵を受けている。2兆円も純利益を上げているトヨタが09年から13年までの5年間、法人税等を払っていなかったと豊田章男社長が明らかにして世間を驚かせた。こうした優遇税制の後押しもあり、大企業の18年3月期決算は史上最高の営業利益を上げている。
しかし、利益は賃金に回らず、ため込まれている。17年度の大企業の内部留保は425.8兆円の最高額を更新した。一方、平均賃金は年間381万円で20年前に比べ65万円も減っている。
消費税を中心とした税制により最も恩恵を受けているのは誰か。明らかだ。