個別指導の実相

【第4回】録音・弁護士の帯同 被指導者守る証拠

2019.9.5

録音は被指導者を守る 証拠になる

個別指導で被指導者が指導のやり取りを録音することと弁護士を帯同することは、厚労省も認めてきた。

否定的な対応も

ところが、被指導者からの指導時の録音の申し出に対して、「何に使うのですか?」「(指導内容の)守秘義務が守れなくなる」などと返答し、録音を自重するよう仕向ける指導官も存在する。

こうした録音に対する否定的な対応をされた場合、指導官との間に〝緊張感〟を生みたくないため被指導者が録音をためらうことが少なくない。

個別指導での録音は、被指導者を守るために重要な証拠になる。人権侵害のような高圧的な言動を記録することに加え、指導内容と結果通知の指摘事項が合致しているか事実確認できるからだ。指摘事項の中には被指導者が納得していない項目を一方的に盛り込んでいたり、そもそも指導時に言及のなかった項目が加わっていたりすることがある。身に覚えのない「自主返還」を防ぐために録音は必須と言える。

心理的負担取り除く

弁護士帯同は、個別指導という極度の緊張状態にある被指導者の権利を守る正当な行為だ。被指導者が技官の質問を正確に理解しないまま回答したり、答えが噛み合っていなかったりする場合に、第三者として、「議論の交通整理」をするだけでなく、指導・監査の心理的負担を取り除き、当局による威圧的指導を排除することにもつながっている。

ところが、帯同する弁護士の職務保障を妨げるようなケースも現場では存在している。例えば、指導の現場では被指導者の隣席ではなく、離れたところに弁護士の席が用意されている会場だ。

近畿ブロックは、▽被指導者が録音しづらくなるような威圧的対応をしない、▽弁護士の隣席帯同を拒まない―ことを要望している。