■税収停滞
消費税導入時(1989年)の国の税収は54.9兆円だった。2度にわたる消費税増税を経て、国の財布はどれだけ膨らんだのか。2017年度の税収「56.6兆円」。実はほとんど増えていない。
国の財布は消費税・所得税・法人税の3つで収入の8割を占める。消費税収こそ導入時と比べて3.3兆円→17.1兆円に伸びたものの、所得税収は21.4兆円→17.9兆円、法人税収は19.0兆円→12.4兆円に下落した。減収分を消費税で補ったという訳だ。
なぜ所得税収と法人税収が減少したのか。89年と比べて、所得税の最高税率は50%→33~45%に、法人税率は40%→23・2%に引き下げられた。庶民には増税、大資産家・大企業には減税という露骨な「改革」が繰り返された結果、戦後最大の好景気と言われるなかでも税収が全く伸びない税制構造になってしまった。
■増税余地
税収を確保し、財政を立て直すには消費税“一本足打法”から転換することが必要だ。財政の専門家らでつくる「不公平な税制をただす会」は、消費税以外に財源を求める具体的な税制改革を提案している(表)。これまで優遇されてきた大企業などに適切に課税し、大資産家にも諸外国並みの負担を求める内容だ。
税制改革の効果は38兆円。国税だけでも27兆円の増収になる。消費税収を大きく上回る額だ。財政難と言って安易に消費税率を引き上げるのでなく、聖域なき税制改革を実行することが強く求められる。