社労士が解決!
身近な雇用トラブル
社会保険労務士・桂好志郎/イラスト・辻井タカヒロ
社会保険労務士・桂好志郎/イラスト・辻井タカヒロ
【質問】当院では採用にあたり適性などを見るための試用期間を設けていますが、試用期間中や試用期間満了時に解雇できますか?(40代・男性)
【回答】試用期間の法的性格については諸説があり、これについての、最高裁判例(三菱樹脂事件―最大判)は解約権留保付の労働契約の成立としています。試用期間中は解雇権が本採用より広範に留保されているものとされていますが、同時に客観的に合理的な理由が必要とされています。
試用期間中の解雇については、最初の14日以内(暦日をいい、実労働日数ではない)であれば、労基法第20条で定められている解雇予告手続きをとることなく即時に解雇できますが、14日以内であれば、何の理由もなく使用者の都合で自由に解雇できるということを意味するものでなく、正当な理由が必要です。
業務の適性に疑問、不安が残るため試用期間を延長したいケースがあります。そのためには、その旨の規定を定めておいてください。
また解雇の理由については、具体的に、正確に、想定できる事項を網羅し、よく説明しておくようにしてください。
試用期間は、採用した職員の適性、技能、勤務態度、協調性等をみて、本採用にするかどうかを決定する期間です。ここで大切なことは、業務適格性を判断するためにも、この期間中に、到達してほしい業務水準、勤務態度等について、目標を明確に提示し援助することです。この期間は集中した教育指導期間と言えます。
またここで大切なことは、新しい職員を採用することによって、先輩職員への刺激となり、また後輩に教えることによる成長等で、職員全体のレベルが向上するように持っていくことです。
(社労士・桂好志郎)