消費税考

診療報酬 虚飾の補填

第1回 診療報酬 虚飾の補填

消費税増税を通して、税と社会保障財源の在り方を考える。

厚労省が異例の謝罪

■集計ミス

「深くお詫びしたい」――。消費増税をめぐって厚生労働省の保険局長が頭を下げた。安倍首相が2019年秋の消費税率引き上げを表明するなか、異例の謝罪だった。18年9月26日の診療報酬改定を議論する中央社会保険医療協議会(中医協)での一幕。一体、何があったのか。

発端は14年の消費増税(5%→8%)への対応だ。保険診療は非課税で、医療機関は医薬品や機器を仕入れる際に支払った消費税を患者に転嫁できない。いわゆる「損税」問題だ。

14年の増税時、同省は医療機関の負担にならないよう増税分を初再診料などに上乗せて診療報酬を改定した。増税対応分は診療報酬本体で約2600億円。改定率にすると0.63%のプラスだ。歯科には約200億円が手当てされた()。

■有名無実

翌15年に同省が発表した調査結果では、医療機関の負担増は「概ね補てんされた」と説明していた。しかし、今年になってデータの集計ミスが判明。102.4%だった病院の補てん率は85.0%に修正。歯科は92.3%にとどまり、上乗せ分が4年間にわたって1~2割も不足していた(図1)。病院団体の発表では総計で888億円の損税になるなど、医療界に深刻な影響を与えたことへの “お詫び”だった。

同省は原因の一つとして初再診料の算定回数が想定よりも少なかったことを挙げたが、上乗せで対応するには限界がある。1989年の消費税導入時には診療報酬の改定率に0.11%、97年の増税時に0.32%プラスしてきた。しかし、マイナス改定や上乗せ項目の廃止・包括などを経て、補てんが有名無実化している(図2)。

消費税考:大阪歯科保険医新聞2018.11.25~2019.1.25©大阪府歯科保険医協会