そこが聞きたい

個別指導の弁護士帯同


西晃氏(個別指導帯同弁護士団長)に聞く

第1回 物々しい指導現場

医療費抑制政策のなかで厚労省が指導・監査を強化するなか、不当な指導から保険医を守るために弁護士帯同の重要性が増している。2015年10月に協会と大阪府保険医協会が合同で再結成した「個別指導帯同弁護士団」団長の西晃弁護士に、帯同の意義やあるべき指導体制などについて尋ねた。

――個別指導帯同弁護士団の再結成から2017年10月で2年を迎える。この間の帯同の経験は。

弁護士団結成後、14~15回帯同した。指導の場では、机の前に近畿厚生局の技官と事務官が座り、横には立会人の歯科医師が並ぶ。物々しい雰囲気になることもあり、指導を受ける歯科医師にとってはかなり緊張感のある場だと感じている。


治療内容に関することはプロである歯科医師の先生に任せるしかない。しかし、高圧的な指導や人権侵害などがあった時には法律の専門家が対処し、安心して指導を受けてもらえるよう心掛けている。


――厚生局が弁護士帯同を認めないケースはあるのか。

帯同を始めた03年当初は手続きに手間取り指導開始時刻が遅れるケースが1、2回あったが、帯同を拒否されたことは一度もない。


指導にあたっての注意事項として、帯同者に対して「指導内容に口を挟んだり、意見を言ったりすることはできない。指導を妨害する言動があった場合には退出を命じる」ということが徹底して伝えられる。


地域によっては帯同や録音を拒否するケースもあるようだが、厚労省の通知で認められていることをきちんと主張する必要がある。


――指導にあたっての打ち合わせは。

指導を受ける歯科医師の先生には、健康保険法上、指導を受ける義務があることを伝えたうえで、指導内容や自主返還に従うか否かについては任意であり、カルテのコピーや預かり保管要求は拒否できると説明している。持参物の負担が大きく、負担の軽減が求められるべきだと思うが、(中断理由につながらないためにも)持参要求された物の準備はしっかりとしてほしい。また持参したカルテの開示をしないという方法は良くないと思う。原則的に要求されたものは堂々と開示すれば良い。


――当日はどのような流れで指導が進むのか。

カルテや技工指示書などの持参資料を机に並べ、そこから指導がスタートする。1時間30~45分かけて質疑応答し、最後に口頭で講評を受け、2時間で終わる。後日、「おおむね妥当」「経過観察」「再指導」の結果が文書で通知される。


30人分のカルテを持参するが、指摘ポイントは2つか3つに絞られているようだ。例えば歯周治療に疑問を抱いているとすると、数人のカルテに対して同じ趣旨の質問を重ねる。問題点が明らかになると次のポイントに移る。


気になるのは指導が時間内に終わらずに「中断」し、日を改めて再開することだ。開業医にとって大きな負担だ。


私の経験では5回も中断・再開を繰り返した事例があった。中断の際には、▽なぜ中断するのか▽何を調査するためなのか▽中断期間はどのくらいか――を確認するようにしている。



※弁護士の帯同を希望される方は大阪府歯科保険医協会事務局 (TEL 06-6568-7467)までお問い合わ せください

にし・あきら:1960年 生まれ。1988年、弁護士登録(大阪弁護士会所属)。過労死裁判、原爆症認定訴訟、大阪空襲訴訟などを担当。協会顧問弁護士。

そこが聞きたい~個別指導の弁護士帯同 西晃氏(個別指導帯同弁護士団長)に聞く:大阪歯科保険医新聞2017.7.15~2017.8.15©大阪府歯科保険医協会