【 狗吠崎 - Manipedia 】
狗吠崎(いぬぼうざき、本名:犬吠埼 八雲)は、日本の小説家。男性。
異類婚姻譚をテーマにした作品が多い。
ペンネーム 狗吠崎(いぬぼうざき)
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本
ジャンル ファンタジー小説、恋愛小説
代表作 『惜春』
✦ 作品リスト
『惜春』
ジャンル:ファンタジー × 恋愛
「……おい、そこで首を括るな。枝が折れる」降ってきた声に驚いて見上げれば、和服をまとった美しい男が桜の枝に腰かけながらぼくを睨みつけていた。短い余命宣告に絶望した〝ぼく〟が出会ったのは、枯れかけたこの桜の精だという――。いずれ消えゆくふたりが過ごした、とある春の話。
『椿落つ』
ジャンル:和風ファンタジー × ホラー
人を喰うと言われている【オニ】の娘を介抱した男と、大けがを負っていたところを救われた娘はやがて恋に落ちる――それが、全ての悲劇の始まりだった。人とは異なる時間を生きる娘はいつまでも美しく老いない一方で、日に日に醜くなっていく自分。娘を置いて逝きたくない、娘にいつか忘れられたくないという願いは次第に男の心を蝕んでいく……。
『明星(あかぼし)』
ジャンル:児童文学 × ファンタジー × SF
日課の天体観測で夜更かしをしていた主人公は裏山に流星が落ちる瞬間を目撃する。次の日、学校をサボって裏山に向かえば、そこには卵の形をした隕石が地面に埋まっていた。友人に自慢しようと持ち帰ったその日の夜、隕石の中からトカゲに似た生き物が生まれて、泣きだした。「ぼく、おうちにかえりたい……!」
――これは、隕石から生まれた不思議な生き物「テオ」を家へ帰すための、僕とテオのひと夏の冒険の記録だ。
『クローゼットに羽衣』
ジャンル:ファンタジー × 恋愛
その日は朝まで友人と散々飲み明かしていたから、てっきり酔った影響で幻覚でも見たんだろうと思っていた――ベッドの横でニコニコ笑いかけてくる女を見るまでは。まるで透明な階段を下りるかのように、白む空から一歩一歩下ってきた女が昨日の幻覚と一言一句違わない言葉を紡いだ。「わたしのことを匿ってほしいんだ!」
空から逃げてきたというお転婆天女と巻き込まれた男の奇妙な同居生活の話。
『貸します』
ジャンル:ファンタジー
看板にでかでかと『貸します↓』と描かれた矢印が指すのは、何の変哲もない二階建てアパートのとある一室だった。今になって思えば、アレは看板を貸すという意味だと少し考えれば思いつきそうなものだが、職も家も失って冷静ではなかったあの時の俺は藁にも縋る思いで電話をかけ、開口一番「あの部屋に住ませてください!」と叫んでいた。それが、今まで知りもしなかった世界に足を踏み入れるきっかけになるとは思わずに――。
人ならざる者たちが生活するアパートの管理人をすることになった男と、少々癖のある住人たちの何の変哲もない日常の話。
『ゆきぎえ』
ジャンル:和風ホラー × 恋愛
現代において未だ【鬼】に対する畏怖と信仰の残る村――嘉神護(かがみご)村に住む主人公。母を病で亡くし、ようやく一人暮らしが軌道に乗ってきた頃、突然【嫁入り】を言い渡される。それは今も実在しているという鬼のもとへと嫁ぐ、いわゆる生贄役を押し付けられたも同然の宣告だった。
逃走を企てていた主人公だったが、信仰によって存在を歪められた鬼と語り合ううちに、ある思いを抱き始める――。
『自失』
ジャンル:青春 × 和風ファンタジー × ミステリー
「――キミ、帰りたくない理由があるんだろ。だから、帰り道がどこにもないのさ」立派な鹿角を生やしたその人は、艶やかな化粧を施した目尻を下げてそう嗤う。「はやく、思い出せると良いねェ」
記憶喪失となって幽世の祭りに紛れ込んでしまった主人公。無事に元の世界へ帰るためには、蓋をして、厳重に鍵をかけた『心』と向き合う必要があった――。
自分を取り巻く環境から逃げるために自分の心に鍵をかけ、背を向けた主人公が、自分自身と向き合うとある日の話。
『贄嫁』
ジャンル:ホラー × 恋愛 × コメディ
立浪小春(たつなみこはる)は神に愛されているらしい。比喩ではなく、本当に。
「――あなた、成人したら死にますよ」ふとした思いつきで友人と占い館へと足を運んだ小春が聞いたのは、そんな言葉だった。どうやら遠い昔の先祖が約束したせいで娶られることが決まっているのだという。「死ぬなら恋愛結婚じゃなきゃイヤ」そう言い放ったその日の晩から、彼女の夢にとある男が出てくるようになった。
知らぬ間に許嫁ができていた小春とアプローチ方法が怪奇現象寄りにズレている神様が、本当の恋に落ちるまでの話。
『ウィステリアの魔法』
ジャンル:ファンタジー × 恋愛
雑木林のログハウスには魔法使いが住んでいる。でも人嫌いの彼は黒いヴェールをいつも被っていて、弟子の僕でさえ顔を見たことがない。曰く、呪いを受けてからずっとそうらしい。「いつか僕が師匠の呪いを解きますよ」そう言うと師匠は「お前にゃ1000年早ェよ」と呆れた声で呟いた。
誰も愛せない【呪い】をかけられた魔法使いと、そんな魔法使いに恋をした弟子の話。
『心中』
ジャンル:青春 × ホラー
自分の意見をつい吞んでしまい、周囲に流されがちな主人公。夏休みの思い出作りとして肝試しに行くというクラスメイトの誘いを断れずに、彼らと共に山中の廃墟へと足を運ぶことに。植物が侵食して窓を覆う室内にはじっとりとした闇が広がっており、足がすくんだ主人公の耳元で「誘い、断ればよかったって思ってるでしょ」と見知らぬ声が嗤った――。
自分の本音を見抜き、突き付けてくる存在に付きまとわれる事となった主人公が、少しずつ胸の内をさらせるようになっていく成長物語。
シリーズ
『幽霊屋敷清掃戦線(ゆうれいやしきせいそうせんせん)』(既刊3巻)
ジャンル:コメディ × ホラー
「学歴不問・未経験歓迎・住み込み可・食事付きって聞いてたけど、幽霊屋敷のメイドだなんて聞いてない!」
ひょんなことから幽霊屋敷だという噂が絶えない西洋館のメイドとして働くことになった主人公・聖(ひじり)。彼女を出迎えたのは至って普通の執事で、とても幽霊屋敷とは思えないが、実はその正体は……?
屋敷の掃除を任されたメイド・聖と、夜な夜な現れてはあの手この手で悪戯を仕掛けて屋敷を汚すゴーストたちが繰り広げるドタバタな日々の話。
『狐狸夫婦事変(こりめおとじへん)』(本編・短編集)
ジャンル:恋愛 × コメディ
ツンとした目鼻立ちを強調するように描かれた黒いアイラインは女の顔を更に惹きたてている。性格がキツそうな女、という表現がぴったり当てはまる女・信田の視線の先にはいつも同じ男がいた。「あ、またタヌキくん見てる」「ッ……み、見てない! 誰があんな人畜無害顔詐欺……!」丸顔で温厚そうな眼鏡をかけた男・刑部(おさかべ)、あだ名をタヌキ。信田の想い人であり、出会えば口喧嘩の絶えない相手であった。
互いに素直になれないキツネっぽい女とタヌキっぽい男が周りを巻き込みながら結婚に至るまでを描いたドタバタ恋愛譚。
『客人回顧録(まれびとかいころく)』(既刊4巻)
ジャンル:ファンタジー × 恋愛 × ミステリー
――ふと目を覚ますと、旅館の和室のような光景が目の前に広がっていた。だが生き物の気配を微塵も感じないシンとした空気は、どこか恐ろしさも感じる。机の上にはたった今できたばかりの様に湯気の立つ温かな食事と『客人回顧録』と書かれた和綴じの本が一冊、読めと言わんばかりに置いてあった。
出られない不思議な屋敷に囚われた主人公が、本に記された様々な異類婚姻譚に触れる連作短編集。
短編集
『白百合の君』
ジャンル:青春 × ファンタジー × 恋愛
三年生の制服を着ている『先輩』はいつも図書館にいる。クラスも名前さえ知らないけれど、彼女と過ごす時間は私にとってかけがえのないものだった。「……ねえ、先輩。いい加減、名前教えてくださいよ」「キミの好きに呼んでくれたらいいよ」「もう……ユリさん、いつもそうやって誤魔化す」白百合のバレッタが印象的な『先輩』はむくれる私の頬を指先でつついて、天女のような微笑を浮かべた。(白百合の君)
全寮制の女子高校を舞台に、少女とそこに溶け込んでいる人ならざる者たちの恋模様を描いたオムニバス形式の短編集。
収録作品:白百合の君、紫陽花通り、ピオニーの香水、燕子花を喰らう、藤時雨、牡丹の庭
『おきつねさん』
ジャンル:和風ファンタジー × 恋愛
……夏が来ると、幼い頃のことを思い出す。毎年、夏祭りの時にだけ会える白い狐の面をした綺麗な青年――名前を教えてくれない彼のことを、わたしは勝手に「おきつねさん」と呼んでいた。(おきつねさん)
祭りの日、常世と幽世の境界線はひどく曖昧になる。誰もが心を躍らせる日の、人と人ならざる者たちの小さな恋物語。
収録作品:おきつねさん、鬼灯提灯、泳ぐ金魚帯、色違いの花緒、宵花火