石田理紗さん(日下研OG)作成
2016年11月 - 現在 筑波大学 計算科学研究センター 教授
2011年2月 - 2016年10月 筑波大学 計算科学研究センター 准教授
2006年5月 - 2011年1月 筑波大学 計算科学研究センター 講師
2001年8月 - 2006年4月 (財)電力中央研究所 主任研究員
1997年4月 - 2001年7月 (財)電力中央研究所 研究員
日下 博幸(くさか ひろゆき)先生は、日本における都市気候研究の第一人者として知られる研究者です。また、局地風や盆地霧などの山岳気象の専門家でもあり、大気境界層内で発生する小スケールの気象現象について幅広く研究しておられます。
日下先生は2002年から2年間、アメリカ大気研究センター(NCAR)で気象モデル「WRF」(世界最大のユーザ数を誇る気象モデルです)に搭載された都市キャノピーモデル(Urban Canopy Model: UCM)の開発に携わりました。WRFV1・V2の開発メンバーの中で唯一の日本人でした。また、日本にWRFを広め、日本人が発音しやすいように「ワーフ」と呼ぶようにした人でもあります(※WRFのアメリカ英語での発音は「ウォーフ」に近い)。
日下先生が筆頭著者のUCM開発論文Kusaka et al. (2001)は、学術雑誌 Boundary-Layer Meteorologyの50周年記念号にて、過去50年間に同紙に掲載された論文のうち、最高レベルの高い引用回数を有し歴史的な貢献をした論文10編に選出されました。
UCMの開発だけでなく、都市と降水の関係や都市気候の将来予測といった先進的な研究成果を数多く発表し、2021年1月にはアメリカ気象学会(American Meteorological Society: AMS)からThe Helmut E. Landsberg Awardを授与されました。この賞は、都市気象学・気候学・水文学分野における世界最高峰の賞として知られています。アメリカ気象学会の賞に選ばれた日本人は非常に少なく、現役の教員・研究者では数名しかいません。
The Helmut E. Landsberg Awardの授賞式(オンライン)の様子
さらに、都市街区の暑熱環境やフェーンによる高温など、人々の生活にとって身近な気象・気候の研究がメディア(テレビ・新聞など)で取り上げられることも多いです。日下先生ご本人が出演されることもあるので、気になる方は日下研ツイッター(@lab_kusaka)をチェックしてみてください。
日下先生はとてもフレンドリーな方です。学生やスタッフとも仲が良く、いつも気さくに話しかけてくださいます。しかし、学生指導は手を抜きません。たとえ相手が学生でも、同じ一人の研究者として議論を交わす姿勢で指導してくださいます。その厳しくも温かい指導で、これまで多くの学生が素晴らしい研究成果を上げており、2021年には筑波大学のBest Faculty Memberにも選出されました。
受賞後にCCS朴センター長(右)と
日下博幸教授は日本気象学会賞を受賞しました。本賞は、日本気象学会の数ある賞の中でも最も歴史のある大きな賞で、筑波大学出身者としては初めての受賞、本学教員としては安成哲三名誉教授に続き二人目の受賞となります。
受賞選定理由は、『都市気象・気候と局地気象に関する現象メカニズムの解明と数値モデルの高度化』で、都市気象学分野で初の受賞者となりました。
受賞選定理由の全文は、日本気象学会のホームページでご覧いただけます。
(写真は2024年5月に開催された日本気象学会春季大会中の授賞式の様子。右端は佐藤薫理事長、左端は佐藤正樹大会委員長。右から2番目が日下教授、左から2番目がドアン准教授)
(文責:今井 優真・山口 あい)