小部経典(クッダカ・ニカーヤ)

 

6. ヴィマーナヴァットゥ聖典(天宮事経)

 

【目次】

 

1. 女の天宮(1.~)

 

1. 1. 椅子の章(1.~)

 

1. 1. 1. パタマピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の椅子の天宮の事例)(1.~)

1. 1. 2. ドゥティヤピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の椅子の天宮の事例)(8.~)

1. 1. 3. タティヤピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第三の椅子の天宮の事例)(15.~)

1. 1. 4. チャトゥッタピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第四の椅子の天宮の事例)(23.~)

1. 1. 5. クンジャラ・ヴィマーナヴァットゥ(象の天宮の事例)(31.~)

1. 1. 6. パタマナーヴァー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の舟の天宮の事例)(43.~)

1. 1. 7. ドゥティヤナーヴァー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の舟の天宮の事例)(53.~)

1. 1. 8. タティヤナーヴァー・ヴィマーナヴァットゥ(第三の舟の天宮の事例)(63.~)

1. 1. 9. ディーパ・ヴィマーナヴァットゥ(灯明の天宮の事例)(75.~)

1. 1. 10. ティラダッキナ・ヴィマーナヴァットゥ(油の施物の天宮の事例)(85.~)

1. 1. 11. パタマパティッバター・ヴィマーナヴァットゥ(第一の亭主に掟ある者の天宮の事例)(93.~)

1. 1. 12. ドゥティヤパティッバター・ヴィマーナヴァットゥ(第二の亭主に掟ある者の天宮の事例)(101.~)

1. 1. 13. パタマスニサー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の嫁の天宮の事例)(108.~)

1. 1. 14. ドゥティヤスニサー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の嫁の天宮の事例)(116.~)

1. 1. 15. ウッタラー・ヴィマーナヴァットゥ(ウッタラーの天宮の事例)(124.~)

1. 1. 16. シリマー・ヴィマーナヴァットゥ(シリマーの天宮の事例)(137.~)

1. 1. 17. ケーサカーリー・ヴィマーナヴァットゥ(髪結い女の天宮の事例)(150.~)

 

1. 2. チッタラターの章(157.~)

 

1. 2. 1. ダーシ・ヴィマーナヴァットゥ(奴婢の天宮の事例)(157.~)

1. 2. 2. ラクマー・ヴィマーナヴァットゥ(ラクマーの天宮の事例)(173.~)

1. 2. 3. アーチャーマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(粥汁の施者の天宮の事例)(185.~)

1. 2. 4. チャンダーリ・ヴィマーナヴァットゥ(チャンダーラの女の天宮の事例)(195.~)

1. 2. 5. バッディッティ・ヴィマーナヴァットゥ(バッディッティーの天宮の事例)(206.~)

1. 2. 6. ソーナディンナー・ヴィマーナヴァットゥ(ソーナディンナーの天宮の事例)(217.~)

1. 2. 7. ウポーサター・ヴィマーナヴァットゥ(ウポーサターの天宮の事例)(229.~)

1. 2. 8. ニッダー・ヴィマーナヴァットゥ(ニッダーの天宮の事例)(246.~)

1. 2. 9. スニッダー・ヴィマーナヴァットゥ(スニッダーの天宮の事例)(258.~)

1. 2. 10. パタマビッカーダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の行乞の施者の天宮の事例)(270.~)

1. 2. 11. ドゥティヤビッカーダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の行乞の施者の天宮の事例)(278.~)

 

1. 3. パーリチャッタカの章(286.~)

 

1. 3. 1. ウラーラ・ヴィマーナヴァットゥ(秀逸なるものの天宮の事例)(286.~)

1. 3. 2. ウッチュダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(甘蔗の施者の天宮の事例)(296.~)

1. 3. 3. パッランカ・ヴィマーナヴァットゥ(寝台の天宮の事例)(307.~)

1. 3. 4. ラター・ヴィマーナヴァットゥ(ラターの天宮の事例)(316.~)

1. 3. 5. グッティラ・ヴィマーナヴァットゥ(グッティラの天宮の事例)(327.~)

 

1. 3. 5. 1. ヴァットゥッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の衣の施者の天宮の事例)(327.~)

1. 3. 5. 2. プップッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の花の施者の天宮の事例)(337.~)

1. 3. 5. 3. ガンドゥッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の香料の施者の天宮の事例)(345.~)

1. 3. 5. 4. パルッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の果実の施者の天宮の事例)(353.~)

1. 3. 5. 5. ラスッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の味の施者の天宮の事例)(361.~)

1. 3. 5. 6. ガンダパンチャングリカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(五指印の香料の施者の天宮の事例)(369.~)

1. 3. 5. 7. エークーポーサタ・ヴィマーナヴァットゥ(一なる斎戒の天宮の事例)(377.~)

1. 3. 5. 8. ウダカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(水の施者の天宮の事例)(385.~)

1. 3. 5. 9. ウパッターナ・ヴィマーナヴァットゥ(奉仕の天宮の事例)(393.~)

1. 3. 5. 10. アパラカンマカーリニー・ヴィマーナヴァットゥ(他者の行為を為す者の事例)(401.~)

1. 3. 5. 11. キーローダナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(乳飯の施者の天宮の事例)(409.~)

1. 3. 5. 12. パーニタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(糖の施者の天宮の事例)(417.~)

1. 3. 5. 13. ウッチュカンディカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(甘蔗の切れ端の施者の天宮の事例)(429.~)

1. 3. 5. 14. ティンバルサカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ティンバルの果の施者の天宮の事例)(437.~)

1. 3. 5. 15. カッカーリカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(瓜の施者の天宮の事例)(445.~)

1. 3. 5. 16. エーラールカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(胡瓜の施者の天宮の事例)(453.~)

1. 3. 5. 17. ヴァッリパラダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(蔓の果の施者の天宮の事例)(461.~)

1. 3. 5. 18. パールサカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(パールサカの施者の天宮の事例)(469.~)

1. 3. 5. 19. ハッタッパターパカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(手を暖めるものの施者の天宮の事例)(477.~)

1. 3. 5. 20. サーカムッティダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ひと握りの野菜の施者の天宮の事例)(485.~)

1. 3. 5. 21. プッパカムッティダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ひと握りの花の施者の天宮の事例)(493.~)

1. 3. 5. 22. ムーラカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(根菜の施者の天宮の事例)(501.~)

1. 3. 5. 23. ニンバムッティダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ひと握りのニンバの施者の天宮の事例)(506.~)

1. 3. 5. 24. アンバカンジカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(アンバの粥の施者の天宮の事例)(517.~)

1. 3. 5. 25. ドーニニンマッジャニダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(油菓子の施者の天宮の事例)(525.~)

1. 3. 5. 26. カーヤバンダナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(身体を縛るものの施者の天宮の事例)(533.~)

1. 3. 5. 27. アンサバッダカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(肩を縛るものの施者の天宮の事例)(541.~)

1. 3. 5. 28. アーヨーガパッタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(鉄の板の施者の天宮の事例)(546.~)

1. 3. 5. 29. ヴィドゥーパナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(扇の施者の天宮の事例)(557.~)

1. 3. 5. 30. ターラヴァンタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ターラの扇の施者の天宮の事例)(565.~)

1. 3. 5. 31. モーラハッタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(孔雀の団扇の施者の天宮の事例)(573.~)

1. 3. 5. 32. チャッタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(傘の施者の天宮の事例(581.~)

1. 3. 5. 33. ウパーダナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(履物の施者の天宮の事例)(589.~)

1. 3. 5. 34. プーヴァダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(菓子の施者の天宮の事例)(597.~)

1. 3. 5. 35. モーダカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(糖菓の施者の天宮の事例)(605.~)

1. 3. 5. 36. サッカリカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(砂糖菓子の施者の天宮の事例)(613.~)

 

1. 3. 6. ダッダッラ・ヴィマーナヴァットゥ(発光の天宮の事例)(619.~)

1. 3. 7. ペーサヴァティー・ヴィマーナヴァットゥ(ペーサヴァティーの天宮の事例)(646.~)

1. 3. 8. マッリカー・ヴィマーナヴァットゥ(マッリカーの天宮の事例)(658.~)

1. 3. 9. ヴィサーラッキ・ヴィマーナヴァットゥ(広き眼の天宮の事例)(666.~)

1. 3. 10. パーリチャッタカ・ヴィマーナヴァットゥ(パーリチャッタカの天宮の事例)(680.~)

 

1. 4. 緋色の章(689.~)

 

1. 4. 1. マンジッタカ・ヴィマーナヴァットゥ(緋色の天宮の事例)(689.~)

1. 4. 2. パバッサラ・ヴィマーナヴァットゥ(光輝の天宮の事例)(697.~)

1. 4. 3. ナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(象の天宮の事例)(705.~)

1. 4. 4. アローマ・ヴィマーナヴァットゥ(アローマーの天宮の事例)(711.~)

1. 4. 5. カンジカダーイカ・ヴィマーナヴァットゥ(酸粥の施者の天宮の事例)(719.~)

1. 4. 6. ヴィハーラ・ヴィマーナヴァットゥ(精舎の天宮の事例)(729.~)

1. 4. 7. チャトゥリッティ・ヴィマーナヴァットゥ(四者の婦人の天宮の事例)(755.~)

1. 4. 8. アンバ・ヴィマーナヴァットゥ(アンバの天宮の事例)(783.~)

1. 4. 9. ピータ・ヴィマーナヴァットゥ(黄金色の天宮の事例)(795.~)

1. 4. 10. ウッチュ・ヴィマーナヴァットゥ(甘蔗の天宮の事例)(808.~)

1. 4. 11. ヴァンダナ・ヴィマーナヴァットゥ(敬拝の天宮の事例)(819.~)

1. 4. 12. ラッジュマーラー・ヴィマーナヴァットゥ(ラッジュマーラーの天宮の事例)(826.~)

 

2. 男の天宮(857.~)

 

2. 1. 大なる車の章(857.~)

 

2. 1. 1. マンドゥーカデーヴァプッタ・ヴィマーナヴァットゥ(蛙の天子の天宮の事例)(857.~)

2. 1. 2. レーヴァティー・ヴィマーナヴァットゥ(レーヴァティーの天宮の事例)(861.~)

2. 1. 3. チャッタマーナヴァカ・ヴィマーナヴァットゥ(チャッタ学生の天宮の事例)(886.~)

2. 1. 4. カッカタカラサダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(蟹の味の施者の天宮の事例)(910.~)

2. 1. 5. ドヴァーラパーラ・ヴィマーナヴァットゥ(門番の天宮の事例)(918.~)

2. 1. 6. パタマカラニーヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の作り為されるべきものの天宮の事例)(926.~)

2. 1. 7. ドゥティヤカラニーヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の作り為されるべきものの天宮の事例)(935.~)

2. 1. 8. パタマスーチ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の針の天宮の事例)(944.~)

2. 1. 9. ドゥティヤスーチ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の針の天宮の事例)(952.~)

2. 1. 10. パタマナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の象の天宮の事例)(961.~)

2. 1. 11. ドゥティヤナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の象の天宮の事例)(968.~)

2. 1. 12. タティヤナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(第三の象の天宮の事例)(976.~)

2. 1. 13. チューララタ・ヴィマーナヴァットゥ(小なる車の天宮の事例)(981.~)

2. 1. 14. マハー・ラタ・ヴィマーナヴァットゥ(大いなる車の天宮の事例)(1015.~)

 

2. 2. パーヤーシの章(1048.~)

 

2. 2. 1. パタマアガーリヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の在家者の天宮の事例)(1048.~)

2. 2. 2. ドゥティヤアガーリヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の在家者の天宮の事例)(1054.~)

2. 2. 3. パラダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(果実の施者の天宮の事例)(1060.~)

2. 2. 4. パタマウパッサヤダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の在所の施者の天宮の事例)(1069.~)

2. 2. 5. ドゥティヤウパッサヤダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の在所の施者の天宮の事例)(1075.~)

2. 2. 6. ビッカーダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(行乞の施者の天宮の事例)(1081.~)

2. 2. 7. ヤヴァパーラカ・ヴィマーナヴァットゥ(麦の番人の天宮の事例)(1087.~)

2. 2. 8. パタマクンダリー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の耳飾をした者の天宮の事例)(1094.~)

2. 2. 9. ドゥティヤクンダリー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の耳飾をした者の天宮の事例)(1101.~)

2. 2. 10. (ウッタラ)パーヤーシ・ヴィマーナヴァットゥ(パーヤーシの天宮の事例)(1108.~)

 

2. 3. 美しく置かれたものの章(1114.~)

 

2. 3. 1. チッタラター・ヴィマーナヴァットゥ(チッタラターの天宮の事例)(1114.~)

2. 3. 2. ナンダナ・ヴィマーナヴァットゥ(ナンダナの天宮の事例)(1120.~)

2. 3. 3. マニトゥーナ・ヴィマーナヴァットゥ(宝珠の柱の天宮の事例)(1126.~)

2. 3. 4. スヴァンナ・ヴィマーナヴァットゥ(黄金の天宮の事例)(1134.~)

2. 3. 5. アンバ・ヴィマーナヴァットゥ(アンバの天宮の事例)(1146.~)

2. 3. 6. ゴーパーラ・ヴィマーナヴァットゥ(牛飼いの天宮の事例)(1159.~)

2. 3. 7. カンダカ・ヴィマーナヴァットゥ(カンダカの天宮の事例)(1171.~)

2. 3. 8. アネーカヴァンナ・ヴィマーナヴァットゥ(無数の色艶の天宮の事例)(1199.~)

2. 3. 9. マッタクンダリー・ヴィマーナヴァットゥ(艶やかな耳飾の天宮の事例)(1207.~)

2. 3. 10. セーリーサカ・ヴィマーナヴァットゥ(セーリーサカの天宮の事例)(1228.~)

2. 3. 11. スニッキィッタ・ヴィマーナヴァットゥ(美しく置かれたものの天宮の事例)(1282.~)

 


 

 

6. ヴィマーナヴァットゥ聖典(天宮事経)

 

阿羅漢にして 正等覚者たる かの世尊に 礼拝し奉る

 

1. 女の天宮

 

1. 1. 椅子の章

 

1. 1. 1. パタマピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の椅子の天宮の事例)

 

1. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「あなたの椅子は、黄金で作られ、秀逸にして、欲するところに、意の速さで赴きます。〔装いを〕十分に作り為した者よ、花環を〔身に〕付ける者よ、美しい衣の者よ、〔あなたは〕光り輝きます──雷光が、雲の峰を〔照らす〕ように。

 

2. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

3. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

4. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為()の果であるのかを。

 

5. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。やってきた者たちに、坐具を施し、敬拝し、合掌を為しました。かつまた、〔自らの〕威力のままに、布施を施しました。

 

6. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

7. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマピータ・ヴィマーナが、第一となる。

 

1. 1. 2. ドゥティヤピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の椅子の天宮の事例)

 

8. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「あなたの椅子は、瑠璃で作られ、秀逸にして、欲するところに、意の速さで赴きます。〔装いを〕十分に作り為した者よ、花環を〔身に〕付ける者よ、美しい衣の者よ、〔あなたは〕光り輝きます──雷光が、雲の峰を〔照らす〕ように。

 

9. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

10. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

11. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

12. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。やってきた者たちに、坐具を施し、敬拝し、合掌を為しました。かつまた、〔自らの〕威力のままに、布施を施しました。

 

13. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

14. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤピータ・ヴィマーナが、第二となる。

 

1. 1. 3. タティヤピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第三の椅子の天宮の事例)

 

15. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「あなたの椅子は、黄金で作られ、秀逸にして、欲するところに、意の速さで赴きます。〔装いを〕十分に作り為した者よ、花環を〔身に〕付ける者よ、美しい衣の者よ、〔あなたは〕光り輝きます──雷光が、雲の峰を〔照らす〕ように。

 

16. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

17. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

18. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

19. 〔天女が答えた〕「これは、わたしの僅かな行為の果です。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。

 

20. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる比丘を、清らかな信ある〔比丘〕を、〔心に〕混濁なき〔比丘〕を。わたしは、椅子を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

21. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

22. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 タティヤピータ・ヴィマーナが、第三となる。

 

1. 1. 4. チャトゥッタピータ・ヴィマーナヴァットゥ(第四の椅子の天宮の事例)

 

23. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「あなたの椅子は、瑠璃で作られ、秀逸にして、欲するところに、意の速さで赴きます。〔装いを〕十分に作り為した者よ、花環を〔身に〕付ける者よ、美しい衣の者よ、〔あなたは〕光り輝きます──雷光が、雲の峰を〔照らす〕ように。

 

24. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

25. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

26. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

27. 〔天女が答えた〕「これは、わたしの僅かな行為の果です。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。

 

28. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる比丘を、清らかな信ある〔比丘〕を、〔心に〕混濁なき〔比丘〕を。わたしは、椅子を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

29. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

30. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 チャトゥッタピータ・ヴィマーナが、第四となる。

 

1. 1. 5. クンジャラ・ヴィマーナヴァットゥ(象の天宮の事例)

 

31. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「あなたの象は、優れて高く、種々なる宝玉を設け、好ましく、強さがあり、速さを伴い、虚空において動き回ります。

 

32. 蓮華〔の紋〕があり、蓮華の花びらの眼をして、赤蓮や青蓮の光輝を保ち、肢体は蓮華の細片に満ち溢れ、黄金の蓮の花飾を〔身に〕付けています。

 

33. 蓮華が振りまかれ蓮華の花びらで飾り立てられた道を、安立し均整なる〔道〕を、麗しく、振動なく、象は赴きます。

 

34. その〔象〕が進み出ると、諸々の黄金の銅鑼が喜びの声をあげ、それらのものの音は、あたかも、五つの支分ある楽器が〔奏でている〕かのように聞こえます。

 

35. その象の背において、清らかな衣をまとい、〔装いを〕十分に作り為した〔あなた〕は、大いなる仙女たちの群れに、色艶によって輝きまさります。

 

36. あなたの、この果は、布施の〔報い〕なのですか、そこで、また、あるいは、戒の〔報い〕なのですか、さらに、合掌の行為の〔報い〕なのですか。〔問いを〕尋ねられた者として、それを、わたしに告げ知らせてください」と。

 

37. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

38. 〔天女が答えた〕「徳を成就した瞑想者を見て、瞑想を喜ぶ気づきある者を〔見て〕、花々に満ち溢れ、布が広げられた坐具を施しました。

 

39. わたしは、坐具の遍きにわたり、諸々の半蓮華の花飾を、諸々の花びらとともに振りまきました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

40. これは、このような〔安楽〕は、わたしの、その善き行為の果です。天〔の神々〕たちの、尊敬があり、かつまた、尊重があり、わたしは、〔彼らに〕敬恭される者として〔世に有ります〕。

 

41. その者が、まさに、正しく解脱した者たちに、正しくある梵行者たちに、清らかな信ある者となり、坐具を施すなら、このように喜び楽しみます──すなわち、わたしのように。

 

42. まさに、それゆえに、自己〔の幸せ〕を欲する者によって、大いなるものを希求している者によって、施されるべきものとして、坐具は有ります──最後の肉体を保つ者(阿羅漢)たちに〔施されるべきものとして〕」〔と〕。ということで──

 

 クンジャラ・ヴィマーナが、第五となる。

 

1. 1. 6. パタマナーヴァー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の舟の天宮の事例)

 

43. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「女よ、〔あなたは〕黄金の覆いある舟に乗って、〔そこに〕立ちます。蓮池に入り行き、蓮華を手で断ち切ります。

 

44. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

45. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

46. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

47. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。渇き疲れた比丘たちを見て、立ち上がって、飲むための水を施しました。

 

48. その者が、まさに、疲れ渇いた者たちに、立ち上がって、飲むための水を施すなら、その者には、沢山の花環があり、多くの白蓮があり、冷たい水がある、諸々の川が有ります。

 

49. 彼のもとに、諸々の水の流れが、一切時に巡り行きます──冷たい水があり、諸々の砂礫が広げられた、諸々の川が。そして、諸々のアンバ〔樹〕が、諸々のサーラ〔樹〕が、さらに、諸々のティラカ〔樹〕が、諸々のジャンブ〔樹〕が、諸々のウッダーラカ〔樹〕が、かつまた、諸々のパータリー〔樹〕が、〔常に〕咲き誇っています。

 

50. その最勝の天宮は、諸々の〔快意なる〕土地の区画を具した形態にして、大いに美しく輝いています。これは、この〔世における〕、その行為の報い(異熟)です。功徳を作り為した者たちは、このような〔安楽〕を得ます。

 

51. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

52. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマナーヴァー・ヴィマーナが、第六となる。

 

1. 1. 7. ドゥティヤナーヴァー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の舟の天宮の事例)

 

53. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「女よ、〔あなたは〕黄金の覆いある舟に乗って、〔そこに〕立ちます。蓮池に入り行き、蓮華を手で断ち切ります。

 

54. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

55. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

56. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

57. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。渇き疲れた比丘を見て、立ち上がって、飲むための水を施しました。

 

58. その者が、まさに、疲れ渇いた者に、立ち上がって、飲むための水を施すなら、その者には、沢山の花環があり、多くの白蓮があり、冷たい水がある、諸々の川が有ります。

 

59. 彼のもとに、諸々の水の流れが、一切時に巡り行きます──冷たい水があり、諸々の砂礫が広げられた、諸々の川が。そして、諸々のアンバ〔樹〕が、諸々のサーラ〔樹〕が、さらに、諸々のティラカ〔樹〕が、諸々のジャンブ〔樹〕が、諸々のウッダーラカ〔樹〕が、かつまた、諸々のパータリー〔樹〕が、〔常に〕咲き誇っています。

 

60. その最勝の天宮は、諸々の〔快意なる〕土地の区画を具した形態にして、大いに美しく輝いています。これは、この〔世における〕、その行為の報いです。功徳を作り為した者たちは、このような〔安楽〕を得ます。

 

61. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

62. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤナーヴァー・ヴィマーナが、第七となる。

 

1. 1. 8. タティヤナーヴァー・ヴィマーナヴァットゥ(第三の舟の天宮の事例)

 

63. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「女よ、〔あなたは〕黄金の覆いある舟に乗って、〔そこに〕立ちます。蓮池に入り行き、蓮華を手で断ち切ります。

 

64. あなたには、諸々の楼閣ある住居があり、等分に計量され区分され、四方に遍きにわたり、発光しながら輝きわたります。

 

65. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

66. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

67. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

68. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。渇き疲れた比丘たちを見て、立ち上がって、飲むための水を施しました。

 

69. その者が、まさに、疲れ渇いた者たちに、立ち上がって、飲むための水を施すなら、その者には、沢山の花環があり、多くの白蓮があり、冷たい水がある、諸々の川が有ります。

 

70. 彼のもとに、諸々の水の流れが、一切時に巡り行きます──冷たい水があり、諸々の砂礫が広げられた、諸々の川が。そして、諸々のアンバ〔樹〕が、諸々のサーラ〔樹〕が、さらに、諸々のティラカ〔樹〕が、諸々のジャンブ〔樹〕が、諸々のウッダーラカ〔樹〕が、かつまた、諸々のパータリー〔樹〕が、〔常に〕咲き誇っています。

 

71. その最勝の天宮は、諸々の〔快意なる〕土地の区画を具した形態にして、大いに美しく輝いています。これは、この〔世における〕、その行為の報いです。功徳を作り為した者たちは、このような〔安楽〕を得ます。

 

72. わたしには、諸々の楼閣ある住居があり、等分に計量され区分され、四方に遍きにわたり、発光しながら輝きわたります。

 

73. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

74. 覚者よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます。これは、わたしの、この行為の果です。覚者は、〔わたしの〕義(利益)のために、水を飲まれたのです」〔と〕。ということで──

 

 タティヤナーヴァー・ヴィマーナが、第八となる。

 

1. 1. 9. ディーパ・ヴィマーナヴァットゥ(灯明の天宮の事例)

 

75. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

76. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

77. 何によって、あなたは、〔世俗の〕垢を離れる光輝ある者となり、天神として、〔他に〕輝きまさるのですか。何によって、あなたの〔色艶は〕、全ての五体をもって、一切の方角に光り輝くのですか。

 

78. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

79. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

80. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。漆黒の闇の暗黒のなか、灯明の〔必要な〕時に、灯明を施しました。

 

81. その者が、漆黒の闇の暗黒のなか、灯明の〔必要な〕時に、灯明を施すなら、沢山の花環があり、多くの白蓮がある、輝石の天宮に再生します。

 

82. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

83. それによって、わたしは、〔世俗の〕垢を離れる光輝ある者となり、天神として、〔他に〕輝きまさります。それによって、わたしの〔色艶は〕、全ての五体をもって、一切の方角に光り輝きます。

 

84. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ディーパ・ヴィマーナが、第九となる。

 

1. 1. 10. ティラダッキナ・ヴィマーナヴァットゥ(油の施物の天宮の事例)

 

85. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

86. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

87. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

88. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

89. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。

 

90. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる覚者を、清らかな信ある〔覚者〕を、〔心に〕混濁なき〔覚者〕を。〔わたしは、覚者に〕近づいて、布施を施しました──欲なき者となり、油の施物を、施与されるべき方たる覚者に──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

91. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

92. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ティラダッキナ・ヴィマーナが、第十となる。

 

1. 1. 11. パタマパティッバター・ヴィマーナヴァットゥ(第一の亭主に掟ある者の天宮の事例)

 

93. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「白鷺たちが、孔雀たちが、さらに、天の鵞鳥たちが、麗しき声の郭公たちが、飛び交います。花々に満ち溢れ、喜ぶべき、この天宮は、無数の彩りがあり、男と女たちが慣れ親しむところです。

 

94. 天女よ、大いなる威力ある者よ、そこにおいて、〔あなたは〕坐します。〔あなたの〕神通は、無数の形態に変異します。そして、あなたのために、これらの仙女たちは、遍きにわたり、舞い、歌い、そして、〔あなたを〕歓喜させます。

 

95. 大いなる威力ある者よ、〔あなたは〕天の神通に至り得た者として〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

96. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

97. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。亭主に掟ある者として、他意なき者として、〔世に〕有りました。子を守る母のように、たとえ、怒っているとして、わたしは、粗暴なる〔言葉〕を言いませんでした。

 

98. 真理に立つ者となり、虚偽の言葉を捨棄して、布施を喜び、自己の状態が制御された、清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

99. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

100. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマパティッバター・ヴィマーナが、第十一となる。

 

1. 1. 12. ドゥティヤパティッバター・ヴィマーナヴァットゥ(第二の亭主に掟ある者の天宮の事例)

 

101. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「瑠璃の柱があり、好ましく光輝にして、無数の彩りある天宮に登って、天女よ、大いなる威力ある者よ、そこにおいて、〔あなたは〕坐します。〔あなたの〕神通は、高下諸々に変異しています。そして、あなたのために、これらの仙女たちは、遍きにわたり、舞い、歌い、そして、〔あなたを〕歓喜させます。

 

102. 大いなる威力ある者よ、〔あなたは〕天の神通に至り得た者として〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

103. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

104. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。眼ある方(ブッダ)の女性在俗信者として〔世に〕有りました。命あるものを殺すことから離れた者として〔世に〕有りました。世において与えられていないものを遍く避けました。

 

105. 酒を飲まない者として〔世に有りました〕。そして、虚偽を話しませんでした。自らの主人で満足している者として〔世に〕有りました。清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

106. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

107. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤパティッバター・ヴィマーナが、第十二となる。

 

1. 1. 13. パタマスニサー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の嫁の天宮の事例)

 

108. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

109. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

110. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

111. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

112. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。舅の家において、嫁として〔世に〕有りました。

 

113. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる比丘を、清らかな信ある〔比丘〕を、〔心に〕混濁なき〔比丘〕を。わたしは、菓子を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。半分に分け合った〔菓子〕を施して、〔わたしは、天の〕ナンダナ林において歓喜します。

 

114. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

115. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマスニサー・ヴィマーナが、第十三となる。

 

1. 1. 14. ドゥティヤスニサー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の嫁の天宮の事例)

 

116. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

117. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

118. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

119. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

120. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。舅の家において、嫁として〔世に〕有りました。

 

121. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる比丘を、清らかな信ある〔比丘〕を、〔心に〕混濁なき〔比丘〕を。わたしは、分け合った〔団子飯〕を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。〔分け合った〕団子飯を施して、〔わたしは、天の〕ナンダナ林において歓喜します。

 

122. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

123. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤスニサー・ヴィマーナが、第十四となる。

 

1. 1. 15. ウッタラー・ヴィマーナヴァットゥ(ウッタラーの天宮の事例)

 

124. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

125. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

126. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

127. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

128. 〔天女が答えた〕「家に住しているわたしに、そして、嫉妬〔の思い〕は、物惜〔の思い〕は、さらに、加虐〔の思い〕は、有りませんでした。忿激せず、夫の支配に従い転じ行く者であり、わたしは、斎戒において、常に怠りなき者として〔世に有りました〕。

 

129. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

130. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

131. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

132. 五つの学びの境処(五戒:不殺生戒・不偸盗戒・不邪淫戒・不妄語戒・不飲酒戒)を喜び、〔四つの〕聖なる真理(四諦)の熟知者として──眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。

 

133. 〔まさに〕その、わたしは、自らの、戒によって、かつまた、福徳によって、福徳ある者となり、自らの功徳を受領します。そして、〔わたしは〕安楽の者として、悩みなき者として、〔世に〕存しています。

 

134. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

135. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有ったわたしは、それを、〔功徳として〕作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

136. 〔モッガッラーナ長老に、さらに、天女が言った〕「尊き方よ、そして、わたしの言葉でもって、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝されますように。『尊き方よ、ウッタラーという名の女性在俗信者は、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝します』と。尊き方よ、また、まさに、これは、稀有ならざることです。すなわち、世尊が、わたしを、いずれかの沙門の果において授記するであろうことは」〔と〕。世尊は、彼女を、一来果において授記した。ということで──

 

 ウッタラー・ヴィマーナが、第十五となる。

 

1. 1. 16. シリマー・ヴィマーナヴァットゥ(シリマーの天宮の事例)

 

137. 〔比丘が尋ねた〕「そして、〔車に〕結び付けられた、あなたの馬たちは、最高にして〔装いを〕十分に作り為し、顔を下に空を行き、力があり速さがあります。そして、あなたには、五百の車が化作され、馬たちは、馭者に叱咤され、あなたに従い行きます。

 

138. 〔まさに〕その〔あなた〕は、〔装いを〕十分に作り為し、優れた車のなかに立ちます──〔一切の方角を〕照らしながら燃え盛っている浄化の火のように。優れた体躯ある者よ、至上の見た目ある者よ、〔わたしは〕あなたに尋ねます。いったい、どのような衆のもとから、優れ勝る者なき方(ブッダ)のもとへと、〔ここに、あなたは〕近しく赴いたのですか」〔と〕。

 

139. 〔天女が答えた〕「至高の欲望〔の対象〕に至り得た〔天神〕たちにとって、それが、無上なるものとして有ったなら、化作しては化作して、天神たちは喜び楽しみます。その衆のもとから、優れ勝る者なき方を礼拝するために、ここに到来した者です──欲する色艶ある仙女となり」〔と〕。

 

140. 〔比丘が尋ねた〕「かつて、あなたは、この〔世において〕、どのような善き行ないを行なったのですか。何によって、あなたは、無量の福徳ある者となり、安楽に満ち栄える者となり、〔そこにおいて〕坐すのですか。そして、あなたには、優れ勝るものなき、諸々の宙を赴く神通があります。そして、あなたの色艶は、十方に遍照します。

 

141. あなたは、天〔の神々〕たちによって取り囲まれ、かつまた、尊敬される者として存しています。天神よ、〔あなたは〕どこから死滅し、善き境遇(善趣)に赴いた者として存しているのですか。あるいは、あなたは、誰の教示を、言葉を為す者なのですか。わたしに告げ知らせてください。すなわち、あなたが、覚者の弟子であるなら」と。

 

142. 〔天女が答えた〕「見事に造作された山間の優れた城市において、吉祥なる優れた王を世話する者として、舞踏と歌詠において最高の善き手練の者として、〔わたしは、世に〕有りました。わたしのことを、ラージャガハにおいて、〔人々は〕『シリマー』と知りました。

 

143. そして、覚者は、聖賢の雄牛たる方は、〔世の〕導き手たる方は、わたしに説示しました──集起あるものが苦にして無常なることを、形成されたものではないもの(無為)が苦の止滅にして常久なることを、さらに、この、歪みなく曲がりなき至福の道を。

 

144. わたしは、形成されたものではない不死の境処を聞いて、優れ勝る者なき如来の教えを〔聞いて〕、わたしは、諸戒における最高の善く自制された者として、優れた人たる覚者によって説示された法(教え)における安立者として、〔世に〕有りました。

 

145. わたしは、形成されたものではない〔世俗の〕塵を離れる境処を知って、優れ勝る者なき如来によって説示された〔教え〕を〔知って〕、まさしく、その場において、わたしは、〔心の〕止寂()と禅定(定・三昧)を体得しました。まさしく、その、〔教えにおける〕最高の決定たることが、わたしに有りました(教えを確信して不退転の者となった)。

 

146. わたしは、殊勝にして優れた不死〔の境処〕を得て、一定なる者となり、〔法の〕知悉(現観)における殊勝〔の境地〕を〔得て〕、疑念なき者となり、わたしは、多くの人々に供養され、少なからざる遊興と歓楽を経験しました。

 

147. このように、天神のわたしは〔世に〕存しています──優れ勝る者なき如来の弟子として、不死を見る者として、法(真理)を見る者として、第一の果において確立した預流たる者として。また、そして、わたしに、悪しき境遇(悪趣)は存在しません。

 

148. 〔まさに〕その〔わたし〕は、優れ勝る者なき方を敬拝するために、〔ここに〕近しく赴きました。そして、清らかな信ある者たちにして善を喜ぶ比丘たちのもとへと。至福なる沙門の集いを礼拝するために、吉祥なる法(真理)の王たる方への尊重〔の思い〕を有する者として。

 

149. 牟尼を見て、喜悦した〔わたし〕は、歓喜した意の者として〔世に〕存しています。如来を、優れた人にして調御されるべき者の馭者たる方を、渇愛を断ち善を喜ぶ〔世の〕導き手たる方を、最高の利益と慈しみ〔の思い〕ある方を、わたしは敬拝します」〔と〕。ということで──

 

 シリマー・ヴィマーナが、第十六となる。

 

1. 1. 17. ケーサカーリー・ヴィマーナヴァットゥ(髪結い女の天宮の事例)

 

150. 〔天女に、帝釈天が尋ねた〕「この天宮は、好ましく光輝にして、瑠璃の柱があり、常久にして、美しく化作されている。黄金の木々によって、遍きにわたり覆い被されている。〔あなたの〕行為の報いの発生ある〔場所〕は、わたしの拠点とするところである。

 

151. そこにあって、これらの百千の過去の仙女たちが再生し、自らの行為〔の報い〕によって、あなたは、福徳ある到達者として存し、往古の天神として、光り輝きながら立つ。

 

152. すなわち、まさしく、星々の王たる月が、星々の群れを圧倒して遍照するように、まさしく、そのように、あなたは、福徳によって発光しながら、この仙女たちの群集を〔圧倒して〕遍照する。

 

153. 至上の見た目ある者よ、いったい、どこからやってきて、あなたは、わたしのこの居所に再生したのだ。まさしく、梵〔天〕は、インダ(帝釈天)を含む三十三天〔の神々〕たちは、〔わたしたちの〕全てが、あなたを見ることに満足せず」と。

 

154. 〔天女が答えた〕「帝釈〔天〕よ、すなわち、このことを、〔あなたは〕わたしに尋ねます。『あなたは、どこから死滅し、ここに到来したのだ』と。バーラーナシーという名の、カーシ〔国〕の都が存在します。そこにおいて、かつて、〔わたしは〕髪結い女として〔世に〕有りました。

 

155. そして、覚者にたいし、かつまた、法(教え)にたいし、さらに、僧団にたいし、清信した意図ある者として、一向に赴いた疑念なき者として、学びの境処の破断なき者(持戒者)として、果に至り着いた者として、正覚の法(教え)において決定された悩みなき者として」と。

 

156. 〔帝釈天が言った〕「〔まさに〕その〔わたしたち〕は、あなたのことを、大いに喜びます。そして、あなたにとって、善き訪問と〔成れ〕。そして、あなたは、法(真理)によって、福徳によって、遍照します。そして、覚者にたいし、かつまた、法(教え)にたいし、さらに、僧団にたいし、清信した意図ある者よ、一向に赴いた疑念なき者よ、学びの境処の破断なき者よ、果に至り着いた者よ、正覚の法(教え)において決定された悩みなき者よ」〔と〕。ということで──

 

 ケーサカーリー・ヴィマーナが、第十七となる。

 

 椅子の章が第一となり、〔以上で〕終了となる。

 

 その〔章〕のための摂頌となる。

 

 〔そこで、詩偈に言う〕「五つの椅子、三つの舟、灯明と油の施物、二つの亭主、二つの嫁、ウッタラー、シリマー、髪結い女があり、それによって、章と呼ばれる」と。

 

1. 2. チッタラターの章

 

1. 2. 1. ダーシ・ヴィマーナヴァットゥ(奴婢の天宮の事例)

 

157. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「さてまた、天のインダたる帝釈〔天〕のように、喜ばしき〔天の〕チッタラター林を、〔あなたは〕女たちの群れに囲まれ、遍きにわたり巡り行きます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

158. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

159. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

160. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

161. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。家において、他者に仕える奴婢として〔世に〕有りました。

 

162. 眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。〔まさに〕その、わたしには、勤勉〔努力〕が存在しました──彼の、如なる方の教えにおいて。

 

163. 『むしろ、この身体は、朽ち果てよ。ここにおいて、確立するものは、まさしく、存在しない』〔と〕。五つの学びの境処(五戒)には、安穏にして至福の道があります。

 

164. 棘なく、茂みなく、真っすぐで、正しくある者たちによって知らされた〔道〕です。見てください──勤勉〔努力〕の果を。すなわち、この〔果〕に、女として至り得たのです。

 

165. 自在の転起ある帝釈〔天〕王が語りかける者として、〔わたしは〕存しています(帝釈天の同輩である)。六万の楽器が、わたしの目覚めを作り為します(楽器の音で目を覚ます)。

 

166. アーランバが、ガッガラが、ビーマが、そして、サードゥヴァーディンが、サンサヤが、そして、ポッカラが、そして、スパッサが、さらに、女たちとしては、ヴィナーモッカーが──

 

167. まさしく、そして、ナンダーが、さらに、スナンダーが、ソーナディンナーが、スチンヒターが、アランブサーが、そして、ミッサケーシーが、プンダリーカーが、かくのごとく、ダールニーが──

 

168. エーニーパッサーが、そして、スパッサーが、スバッダーが、ムドゥヴァーディニーが、そして、これらの者たちが、さらに、他のより勝る者たちが、仙女たちのなかの傑出した者たちが──

 

169. それらの天神たちが、〔しかるべき〕時に近しく赴いて、わたしに語りかけます。『さあ、舞いましょう。歌いましょう。さあ、あなたを喜ばせましょう』〔と〕。

 

170. これは、〔過去に〕作り為した功徳なき者たちのものではありません。これは、まさしく、〔過去に〕作り為した功徳ある者たちのものです。憂いなく、喜ばしき、〔天の〕ナンダナ〔林〕は、三十三〔天〕の大いなる林は。

 

171. 安楽は、〔過去に〕作り為した功徳なき者たちには存在しません──この〔世において〕、さらに、他所においても。そして、安楽は、〔過去に〕作り為した功徳ある者たちのものです──まさしく、そして、この〔世において〕、さらに、他所においても。

 

172. 〔天の神々たちとの〕共住を欲する者たちにとって、彼らにとって、作り為されるべきは、多くの善なる〔功徳〕です。なぜなら、〔過去に〕作り為した功徳ある者たちは歓喜するからです──天上において、財物の保有者たちとなり」〔と〕。ということで──

 

 ダーシ・ヴィマーナが、第一となる。

 

1. 2. 2. ラクマー・ヴィマーナヴァットゥ(ラクマーの天宮の事例)

 

173. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

174. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

175. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

176. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

177. 〔天女が答えた〕「ケーヴァッタ門から出て〔すぐのところに〕、わたしの住居地は有りました。そこにおいて、〔覚者の〕弟子たちが、大いなる聖賢たちが、行き来していると──

 

178. わたしは、飯を、粥を、野菜を、さらに、塩粥を、〔心が〕真っすぐと成った者たちにたいし施しました──清信した心で。

 

179. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

180. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

181. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

182. 五つの学びの境処(五戒)を喜び、〔四つの〕聖なる真理(四諦)の熟知者として──眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。

 

183—184. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

 〔モッガッラーナ長老に、さらに、天女が言った〕「尊き方よ、そして、わたしの言葉でもって、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝されますように。『尊き方よ、ラクマーという名の女性在俗信者は、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝します』と。尊き方よ、また、まさに、これは、稀有ならざることです。すなわち、世尊が、わたしを、いずれかの沙門の果において授記するであろうことは」〔と〕。世尊は、彼女を、一来果において授記した。ということで──

 

 ラクマー・ヴィマーナが、第二となる。

 

1. 2. 3. アーチャーマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(粥汁の施者の天宮の事例)

 

185. 〔マハー・カッサパ長老に、帝釈天が尋ねた〕「あなたが、〔行乞の〕食のために歩みながら、沈黙の状態で〔門口に〕立っていると、〔生活を〕他者の家に寄り掛かっている、貧しく哀れな女が──

 

186. 彼女が、飯汁を、あなたに施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。彼女が、人間の肉身を捨棄して〔そののち〕、彼女は、いったい、どの方角に赴いたのですか」と。

 

187. 〔マハー・カッサパ長老が答えた〕「わたしが、〔行乞の〕食のために歩みながら、沈黙の状態で〔門口に〕立っていると、〔生活を〕他者の家に寄り掛かっている、貧しく哀れな女が──

 

188. 彼女が、飯汁を、わたしに施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。彼女は、人間の肉身を捨棄して〔そののち〕、ここから死滅し、解脱したのです。

 

189. 化楽という名の大いなる神通ある天〔の神々〕たちが存在します。そこにおいて、飯汁の施者であるその女は、安楽の者となり、歓喜します」と。

 

190. 〔帝釈天が言った〕「ああ、布施が、惨めな〔境遇の施者〕によって、カッサパにおいて善く確立されたのだ。布施が、他者によって運び込まれたことで、まさに、施物は、〔報いが〕実現した。

 

191. すなわち、全ての肢体が美しく、かつまた、夫にとって至上の見た目ある女が、転輪王の〔妃として〕、王妃の権を為すとして、この粥汁の布施の、十六分の一にも値しない。

 

192. 百の金貨、百の馬、百の雌騾馬の車、宝珠の耳飾を付けた百千の少女たちも、この粥汁の布施の、十六分の一にも値しない。

 

193. 轅の牙ある巨大なる百のヒマヴァント(ヒマラヤ)の象たちも、金の飾紐をつけ金の鞍かけを装着する象たちも、この粥汁の布施の、十六分の一にも値しない。

 

194. その者が、この〔世において〕、たとえ、四つの洲の権力を為すとして、この粥汁の布施の、十六分の一にも値しない」〔と〕。ということで──

 

 アーチャーマダーイカー・ヴィマーナが、第三となる。

 

1. 2. 4. チャンダーリ・ヴィマーナヴァットゥ(チャンダーラの女の天宮の事例)

 

195. 〔チャンダーラの女に、モッガッラーナ長老が言った〕「チャンダーラの女よ、福徳あるゴータマの〔両の〕足を敬拝しなさい。まさしく、あなたへの、慈しみ〔の思い〕によって、第七の聖賢(ブッダ)は、〔ここに〕立ったのです。

 

196. 阿羅漢にたいし、如なる方にたいし、意を清信させなさい。すみやかに、合掌の者となり、敬拝しなさい。あなたの生命は、僅かなのです」と。

 

197. 自己を修め最後の肉体を保つ者に促された、チャンダーラの女は、福徳あるゴータマの〔両の〕足を敬拝した。

 

198. 〔まさに〕その、この者を、雌牛が打ち殺した。合掌の者となり、〔そこに〕立っている、チャンダーラの女を──暗黒のなかの光の作り手たる正覚者を礼拝している〔チャンダーラの女〕を。ということで──

 

199. 〔モッガッラーナ長老に、天女が言った〕「煩悩が滅尽し、〔世俗の〕塵を離れ去り、〔心に〕動揺なき方を──独り、林のなかにあり、静所に坐っている方を──天の神通に至り得た〔わたし〕は、近づいて行って、勇者よ、あなたを、大いなる威力ある方を、敬拝します」と。

 

200. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「黄金の色艶があり、燃え盛り、大いなる福徳があり、天宮に登って、無数の彩りある者となり、仙女たちの群れに取り囲まれている、浄美なる者よ、天神よ、あなたは、誰なのですか。〔あなたは〕わたしを敬拝します」と。

 

201. 〔天女が答えた〕「わたしは、チャンダーラの女です。あなたに、幸せ〔有れ〕。勇者たるあなたに命じられた〔わたし〕は、阿羅漢の〔両の〕足を敬拝しました──福徳あるゴータマの〔両の足を〕。

 

202. 〔まさに〕その、わたしは、〔覚者の両の〕足を敬拝して、チャンダーラの胎から死滅し、〔今や〕全てにわたり幸いなる天宮に再生した者として、〔天の〕ナンダナ〔林〕において存しています。

 

203. 百千の仙女たちを前にして立つと、彼女たちのなかで、わたしは、色艶によって、福徳によって、寿命によって、最も優れた最勝の者となります。

 

204. 多大なる〔功徳〕を作り為した善き者として、正知と気づきの者として──尊き方よ、あなたを、牟尼たる方を、世における慈悲の者たる方を、〔あなたを〕敬拝するために、〔わたしは〕やってきたのです」と。

 

205. チャンダーラの女は、この〔言葉〕を説いて、知恩の者は、報恩の者は、阿羅漢の〔両の〕足を敬拝して、まさしく、その場において、消没した。ということで──

 

 チャンダーリ・ヴィマーナが、第四となる。

 

1. 2. 5. バッディッティ・ヴィマーナヴァットゥ(バッディッティーの天宮の事例)

 

206. 〔比丘が尋ねた〕「青、そして、黄、かつまた、黒、緋、さらに、赤──高下諸々の色艶の〔蓮の〕花糸に取り囲まれ──

 

207. 〔あなたは〕諸々の曼陀羅花の花飾を頭に付けます。思慮深き者よ、他の〔神々たちの〕身体に、これらの木々は存在しません。

 

208. 福徳ある者よ、何によって、〔あなたは〕三十三〔天〕の身体に再生したのですか。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

209. 〔天女が答えた〕「〔人々は〕わたしのことを『バッディッティカー』と了知しました。キミラーにおいて、〔わたしは〕女性在俗信者として〔世に有りました〕。信ある者であり、戒を成就した者であり、常に分与を喜ぶ者として〔世に有りました〕。

 

210. そして、衣服を、さらに、食事を、臥坐具を、灯具を、〔心が〕真っすぐと成った者たちにたいし施しました──清信した心で。

 

211. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

212. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

213. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

214. 五つの学びの境処を喜び、〔四つの〕聖なる真理の熟知者として──眼ある方の女性在俗信者として、不放逸の住者として、〔善なる〕居住を作り為した者として、善なる〔功徳〕を作り為した者として、そこから死滅し、自光〔天〕の者となり、〔天の〕ナンダナ〔林〕を散策します。

 

215. そして、わたしは、最高の利益と慈しみ〔の思い〕ある比丘たちを、組なる苦行者(サーリプッタとモッガッラーナ)を、偉大なる牟尼を、受益させました。〔善なる〕居住を作り為した者として、善なる〔功徳〕を作り為した者として、そこから死滅し、自光〔天〕の者となり、〔天の〕ナンダナ〔林〕を散策します。

 

216. 無量の安楽をもたらす、八つの支分ある斎戒に、わたしは、常に入りました。〔善なる〕居住を作り為した者として、善なる〔功徳〕を作り為した者として、そこから死滅し、自光〔天〕の者となり、〔天の〕ナンダナ〔林〕を散策します」〔と〕。ということで──

 

 バッディッティ・ヴィマーナが、第五となる。

 

1. 2. 6. ソーナディンナー・ヴィマーナヴァットゥ(ソーナディンナーの天宮の事例)

 

217. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

218. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

219. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

220. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

221. 〔天女が答えた〕「〔人々は〕わたしのことを『ソーナディンナー』と了知しました。ナーランダーにおいて、〔わたしは〕女性在俗信者として〔世に有りました〕。信ある者であり、戒を成就した者であり、常に分与を喜ぶ者として〔世に有りました〕。

 

222. そして、衣服を、さらに、食事を、臥坐具を、灯具を、〔心が〕真っすぐと成った者たちにたいし施しました──清信した心で。

 

223. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

224. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

225. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

226. 五つの学びの境処を喜び、〔四つの〕聖なる真理の熟知者として──眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。

 

227—228. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ソーナディンナー・ヴィマーナが、第六となる。

 

1. 2. 7. ウポーサター・ヴィマーナヴァットゥ(ウポーサターの天宮の事例)

 

229. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

230—231. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

232. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

233. 〔天女が答えた〕「〔人々は〕わたしのことを『ウポーサター』と了知しました。サーケーターにおいて、〔わたしは〕女性在俗信者として〔世に有りました〕。信ある者であり、戒を成就した者であり、常に分与を喜ぶ者として〔世に有りました〕。

 

234. そして、衣服を、さらに、食事を、臥坐具を、灯具を、〔心が〕真っすぐと成った者たちにたいし施しました──清信した心で。

 

235. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

236. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

237. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

238. 五つの学びの境処を喜び、〔四つの〕聖なる真理の熟知者として──眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。

 

239—240. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

241. 〔さらに、天女が言った〕「〔しかしながら〕幾度となく、〔天の〕ナンダナ〔林〕のことを聞いて、わたしに、欲〔の思い〕が生起しました。そこにおいて、心を向けて、〔天の〕ナンダナ〔林〕に再生した者として存しています。

 

242. 〔わたしは〕為しませんでした──〔世の〕教師たる方の言葉を、覚者の〔言葉を〕、太陽の眷属の〔言葉を〕。劣っているものにおいて、心を向けて、〔まさに〕その〔わたし〕は、のちに悩み苦しむ者として存しています」と。

 

243. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「ウポーサターよ、〔あなたは〕どれほどの長きにわたり、ここに、天宮において住することになるのですか。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。すなわち、〔あなたが〕寿命のことを知っているなら」と。

 

244. 〔天女が答えた〕「大いなる牟尼よ、六万年のあいだ、さらに、三コーティ(倶胝:数の単位・一千万)年のあいだ、ここに止住して、ここから死滅し、人間たちとの共住に赴くでしょう」と。

 

245. 〔モッガッラーナ長老が言った〕「ウポーサターよ、あなたは、恐れてはいけません。〔あなたは〕正覚者によって授記された者として存しています。〔あなたは〕預流たる者として特化しました。あなたにとって、悪しき境遇は捨棄されたのです」〔と〕。ということで──

 

 ウポーサター・ヴィマーナが、第七となる。

 

1. 2. 8. ニッダー・ヴィマーナヴァットゥ(ニッダーの天宮の事例)

 

246. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

247—248. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

249. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

250. 〔天女が答えた〕「〔人々は〕わたしのことを『ニッダー』と了知しました。ラージャガハにおいて、〔わたしは〕女性在俗信者として〔世に有りました〕。信ある者であり、戒を成就した者であり、常に分与を喜ぶ者として〔世に有りました〕。

 

251. そして、衣服を、さらに、食事を、臥坐具を、灯具を、〔心が〕真っすぐと成った者たちにたいし施しました──清信した心で。

 

252. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

253. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

254. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

255. 五つの学びの境処を喜び、〔四つの〕聖なる真理の熟知者として──眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。

 

256—257. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ニッダー・ヴィマーナが、第八となる。

 

1. 2. 9. スニッダー・ヴィマーナヴァットゥ(スニッダーの天宮の事例)

 

258. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

259—260. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

261. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

262. 〔天女が答えた〕「〔人々は〕わたしのことを『スニッダー』と了知しました。ラージャガハにおいて、〔わたしは〕女性在俗信者として〔世に有りました〕。信ある者であり、戒を成就した者であり、常に分与を喜ぶ者として〔世に有りました〕。

 

263. そして、衣服を、さらに、食事を、臥坐具を、灯具を、〔心が〕真っすぐと成った者たちにたいし施しました──清信した心で。

 

264. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

265. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

266. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

267. 五つの学びの境処を喜び、〔四つの〕聖なる真理の熟知者として──眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。

 

268—269. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 スニッダー・ヴィマーナが、第九となる。

 

1. 2. 10. パタマビッカーダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の行乞の施者の天宮の事例)

 

270. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

271—272. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

273. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

274. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。

 

275. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる覚者を、清らかな信ある〔覚者〕を、〔心に〕混濁なき〔覚者〕を。わたしは、行乞〔の施食〕を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

276—277. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマビッカーダーイカー・ヴィマーナが、第十となる。

 

1. 2. 11. ドゥティヤビッカーダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の行乞の施者の天宮の事例)

 

278. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

279—280. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

281. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

282. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。

 

283. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる比丘を、清らかな信ある〔比丘〕を、〔心に〕混濁なき〔比丘〕を。わたしは、行乞〔の施食〕を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

284—285. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤビッカーダーイカー・ヴィマーナが、第十一となる。

 

 チッタラターの章が第二となり、〔以上で〕終了となる。

 

 その〔章〕のための摂頌となる。

 

 〔そこで、詩偈に言う〕「まさしく、そして、奴婢、そして、ラクマー、さらに、粥汁の施者、チャンダーラの女、まさしく、そして、バッディッティー、ソーナディンナー、ウポーサター、まさしく、そして、ニッダー、そして、スニッダー、さらに、二つの行乞の施者があり、それによって、章と呼ばれる」と。

 

 第一の朗読分は〔以上で〕終了となる。

 

1. 3. パーリチャッタカの章

 

1. 3. 1. ウラーラ・ヴィマーナヴァットゥ(秀逸なるものの天宮の事例)

 

286. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「秀逸にして福徳ある、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます。女たちは、舞い、歌います。〔装いを〕十分に作り為した天子たちは──

 

287. 〔あなたを〕歓喜させ、天神よ、あなたを供養するために取り囲みます。善き見た目ある者よ、あなたには、これらの黄金の天宮があります。

 

288. あなたは、彼らのイッサラ(イーシュヴァラ神・自在神)として、一切の欲望が等しく実現する者として、〔世に〕存しています。善き生まれの者として、大いなる者として、〔世に〕存しています。〔あなたは〕天の衆において歓喜します。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

289. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。劣戒の家において、嫁として〔世に〕有りました──信なき者たちのなか、吝嗇の者たちのなか、わたしは。

 

290. 信ある者であり、戒を成就した者であり、常に分与を喜ぶ者として、わたしは、菓子を、〔行乞の〕食のために歩んでいるあなたに施しました。

 

291. そのとき、わたしは、姑に告げ知らせました。『沙門が、ここに到来したので、わたしは、菓子を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で』〔と〕。

 

292. 嫉妬する姑は、かくのごとく、〔わたしを〕誹謗しました。『嫁よ、おまえは、教え導かれざる者として存している。わたしに問い尋ねることを求めなかった。沙門には、わたしが施すのだ』〔と〕。

 

293. そののち、姑は、わたしに怒り、わたしを棍棒で打ちました。〔わたしの〕肩を断ち折り、わたしを打ち倒しました。〔わたしは〕長く生きることができませんでした。

 

294. 〔まさに〕その、わたしは、身体の破壊ののち、そこから死滅し、解脱したのです。三十三天〔の神々〕たちとの共住に再生したのです。

 

295. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ウラーラ・ヴィマーナが、第一となる。

 

1. 3. 2. ウッチュダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(甘蔗の施者の天宮の事例)

 

296. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天を含む地を照らして、月と日のように、〔あなたは〕輝きまさります。そして、吉祥によって、色艶によって、福徳によって、威光によって、梵〔天〕が、インダを含む三十三天〔の神々〕たちに〔輝きまさる〕ように。

 

297. 青蓮の花飾を〔身に〕付ける者よ、頭飾ある者よ、黄金に似た皮膚ある者よ、〔わたしは〕あなたに尋ねます。〔装いを〕十分に作り為した者よ、最上の衣を〔身に〕付ける者よ、浄美なる者よ、天神よ、あなたは、誰なのですか。〔あなたは〕わたしを敬拝します。

 

298. かつて、あなたは、自己によって、どのような行為を為したのですか。人間として有った〔あなた〕は、以前の生において、〔どのような〕布施を、善き行ないを、さらに、戒と自制を〔為したのですか〕。福徳ある者よ、何によって、善き境遇に再生したのですか。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

299. 〔天女が答えた〕「尊き方よ、今や、まさしく、この村に、〔行乞の〕食のために、わたしたちの家へと、〔あなたは〕近しく赴きました。そののち、あなたに、甘蔗の切れ端を、〔わたしは〕施しました──清信した心の者となり、無比なる喜悦によって。

 

300. そして、姑は、のちに、わたしを問い詰めます。『嫁よ、いったい、どこに、甘蔗を処分したのだ』〔と〕。〔わたしは答えます〕『捨て放ったのではありません。かつまた、わたしの咀嚼するところでもありません。寂静なる比丘に、自ら、わたしが施したのです』〔と〕。

 

301. 嫉妬する姑は、かくのごとく、〔わたしを〕誹謗します。『いったい、これは、おまえに主権があるのか、それとも、わたしにあるのか』〔と〕。〔彼女は〕椅子を掴んで、わたしに、打撃を与えました。そこから死滅し、命を終えた〔わたし〕は、天神として〔世に〕存しています。

 

302. まさしく、その善なる行為が、わたしによって為されました。そして、安楽なる行為〔の報い〕を、自己みずから受領します。わたしは、天〔の神々〕たちと共に楽しみます。わたしは、五つの欲望の属性(五妙欲:色・声・香・味・触)によって歓喜します。

 

303. まさしく、その善なる行為が、わたしによって為されました。そして、安楽なる行為〔の報い〕を、自己みずから受領します。天のインダによって保護され、三十三〔天の神々〕たちによって守護され、五つの欲望の属性を供与された者となり。

 

304. このような功徳の果は、少なからざるものであり、わたしの甘蔗の施物は、大いなる報いがあります。わたしは、天〔の神々〕たちと共に楽しみます。わたしは、五つの欲望の属性によって歓喜します。

 

305. このような功徳の果は、少なからざるものであり、わたしの甘蔗の施物は、大いなる光輝があります。天のインダによって保護され、三十三〔天の神々〕たちによって守護され、〔天の〕ナンダナ林における、千の眼ある者(帝釈天)のように〔歓喜します〕。

 

306. 尊き方よ、そして、あなたに、慈しみ〔の思い〕ある者にして知者たる〔あなた〕に、〔かつて、わたしは〕近づいて敬拝し、さらに、善なる〔行為〕のことを尋ねました。そののち、あなたに、甘蔗の切れ端を、〔わたしは〕施しました──清信した心の者となり、無比なる喜悦によって」〔と〕。ということで──

 

 ウッチュダーイカー・ヴィマーナが、第二となる。

 

1. 3. 3. パッランカ・ヴィマーナヴァットゥ(寝台の天宮の事例)

 

307. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「宝珠と黄金の彩りあざやかな最勝の寝台のうえで、花々に満ち溢れた秀逸なる臥具のうえで、天女よ、大いなる威力ある者よ、そこにおいて、〔あなたは〕坐します。〔あなたの〕神通は、高下諸々に変異しています。

 

308. そして、あなたのために、これらの仙女たちは、遍きにわたり、舞い、歌い、〔あなたを〕歓喜させます。大いなる威力ある者よ、〔あなたは〕天の神通に至り得た者として〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

309. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。富者の家において、嫁として〔世に〕有りました。忿激せず、夫の支配に従い転じ行く者であり、斎戒において怠りなき者として〔世に〕有りました。

 

310. 人間として有った〔わたし〕は、年少にして、悪しき〔行為〕なく、清信した心の者として、亭主を満悦させました。そして、昼に、さらに、夜に、意に適う行ないある者であり、かつて、わたしは、戒ある者として〔世に〕有りました。

 

311. 命あるものを殺すことから離れた者であり、盗むことなき者であり、清浄なる身体の者であり、清らかな梵行者であり、酒を飲まない者であり、そして、虚偽を話しませんでした。〔五つの〕学びの境処における円満成就を為す者として〔世に有りました〕。

 

312. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、清信した意図ある者となり、わたしは──

 

313. 八つの支分を具した斎戒に入りました──法(教え)のままに為す者として、喜悦の意ある者として。そして、この、優れた八つの支分を具した聖なるもの(八斎戒)を、安楽を生成する善なるものを、受持して、亭主にたいしては、善き者となり、支配に従い転じ行く者となり、過去において、善き至達者(ブッダ)の弟子として〔世に〕有りました。

 

314. 生あるものの世において、このような善なる行為を為して、殊勝〔の境地〕の分有者となり、身体の破壊ののち、未来の運命として、天の神通に至り得たのであり、善き境遇に至り着いたのです。

 

315. 意が喜びとする優れた天宮の高楼において、仙女たちの群れに取り囲まれ、自光天の衆たちは、わたしを喜ばせます──長寿の者となり、天の天宮に至り着いた〔わたし〕を」〔と〕。ということで──

 

 パッランカ・ヴィマーナが、第三となる。

 

1. 3. 4. ラター・ヴィマーナヴァットゥ(ラターの天宮の事例)

 

316. そして、天神の、ラターとサッジャーは、さらに、パヴァラーとアッチマティーは、吉祥なる優れた王の〔娘たちにして〕、かつまた、スターも、ヴェッサヴァナ王(毘沙門天)の娘であり、輝きある者にして、諸々の法(教え)の徳によって美しく輝いた。

 

317. ここにおいて、五者の女たちは、沐浴するために、冷水と青蓮の至福の川にやってきた。そこにおいて、それらの天神たちは、沐浴して、喜び楽しんで、舞って、歌って、スターは、ラターに説いた。

 

318. 〔スターが尋ねた〕「青蓮の花飾を〔身に〕付ける者よ、頭飾ある者よ、黄金に似た皮膚ある者よ、〔わたしは〕あなたに尋ねます。濃い赤の眼をした者よ、天空にあるかのように美しく輝く者よ、長寿の者よ、何によって、あなたの福徳は作り為されたのですか。

 

319. 幸いなる者よ、何によって、〔あなたは〕亭主にとってより愛しき者として存しているのですか。形姿からして、まさに、より殊勝にして美しく、〔あなたは〕舞踏と歌詠と音楽に才ある者として〔存しています〕。男と女のことを尋ねられた者として、あなたは、わたしたちに告げ知らせてください」と。

 

320. 〔ラターが答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。巨万の財物ある家において、嫁として〔世に〕有りました。忿激せず、夫の支配に従い転じ行く者であり、斎戒において怠りなき者として〔世に〕有りました。

 

321. 人間として有った〔わたし〕は、年少にして、悪しき〔行為〕なく、清信した心の者として、亭主を満悦させました。義理の兄弟を含め、舅を含め、奴隷を含め、満悦させました。その〔家〕において、わたしの福徳は作り為されたのです。

 

322. 〔まさに〕その、わたしは、その善なる行為によって、四つの境位によって殊勝〔の境地〕に到達しました。そして、寿命を、かつまた、色艶を、安楽を、さらに、活力を──少なからざる遊興と歓楽を経験しました」〔と〕。

 

323. 〔姉妹たちが言った〕「すなわち、このラターが語る、その〔殊勝の境地〕は、今や、〔わたしたちの〕聞くところとなりました。すなわち、わたしたちが尋ねたことですが、〔あなたは〕わたしたちに述べ伝えてくれました。亭主たちは、まさに、わたしたちにとって、殊勝なる女たちにとって──それらの者たちにとっての、かつまた、赴く所の者たちであり、かつまた、最も優れた天神たちなのです。

 

324. 〔わたしたちの〕全ては、亭主たちにたいし、法(正義)〔の道〕を歩みます──そこにおいて、婦女たちが、亭主に掟ある者たちと成る、〔その法を〕。〔わたしたちの〕全ては、亭主たちにたいし、法(正義)〔の道〕を歩んで、すなわち、このラターが語る、〔殊勝の境地を〕得るのです。

 

325. たとえば、山の背を餌場とする獅子が、大いなる山嶺に住して、他の四つ足の小獣たちを、打ち負かして、打ち殺して、肉を食料として、喰い尽くすように──

 

326. まさしく、そのように、この〔世において〕、信ある者として、聖なる弟子として、夫に依拠して、亭主と互恵の者となり、忿激〔の思い〕を打破して、物惜〔の思い〕を征服して、〔まさに〕その、法(正義)〔の道〕を歩む者は、天上において歓喜します」〔と〕。ということで──

 

 ラター・ヴィマーナが、第四となる。

 

1. 3. 5. グッティラ・ヴィマーナヴァットゥ(グッティラの天宮の事例)

 

1. 3. 5. 1. ヴァットゥッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の衣の施者の天宮の事例)

 

327. 〔老師匠が言った〕「極めて甘美にして喜ばしき七弦〔の琵琶〕を、〔わたしは、彼に〕教えました。〔今や、驕り高ぶる〕彼は、わたしを舞台に呼びました(師に技くらべを申し入れた)。コーシヤ(帝釈天)よ、わたしの帰依所と成ってください」と。

 

328. 〔帝釈天が言った〕「わたしは、あなたの帰依所と成りましょう。わたしは、師匠を供養する者です。徒弟があなたに勝つことはないでしょう。師匠よ、〔あなたが〕徒弟に勝つでしょう」と。

 

329. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

330. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

331. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

332. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

333. 〔天女が答えた〕「最上の衣の施者たる女は、男たちにおいて、女たちにおいて、最も優れた者と成ります。このように、愛しき形態の施者は、彼女は、天の境位に近づいて、意に適うものを得ます。

 

334. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

335. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

336. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

 (直後の四つの天宮は、すなわち、衣の施者の天宮のように、そのように詳知されるべきである)

 

1. 3. 5. 2. プップッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の花の施者の天宮の事例)

 

337. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

338. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

339. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

340. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

341. 〔天女が答えた〕「最上の花の施者たる女は、男たちにおいて、女たちにおいて、最も優れた者と成ります。このように、愛しき形態の施者は、彼女は、天の境位に近づいて、意に適うものを得ます。

 

342. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

343—344. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 3. ガンドゥッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の香料の施者の天宮の事例)

 

345. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

346. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

347. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

348. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

349. 〔天女が答えた〕「最上の香料の施者たる女は、男たちにおいて、女たちにおいて、最も優れた者と成ります。このように、愛しき形態の施者は、彼女は、天の境位に近づいて、意に適うものを得ます。

 

350. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

351—352. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 4. パルッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の果実の施者の天宮の事例)

 

353. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

354. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

355. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

356. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

357. 〔天女が答えた〕「最上の果実の施者たる女は、男たちにおいて、女たちにおいて、最も優れた者と成ります。このように、愛しき形態の施者は、彼女は、天の境位に近づいて、意に適うものを得ます。

 

358. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

359—360. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 5. ラスッタマダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(最上の味の施者の天宮の事例)

 

361. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

362. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

363. 天女よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

364. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

365. 〔天女が答えた〕「最上の味の施者たる女は、男たちにおいて、女たちにおいて、最も優れた者と成ります。このように、愛しき形態の施者は、彼女は、天の境位に近づいて、意に適うものを得ます。

 

366. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

367—368. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 6. ガンダパンチャングリカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(五指印の香料の施者の天宮の事例)

 

369. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

370—371. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

372. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

373. 〔天女が答えた〕「わたしは、五指印の香料を施しました──カッサパ世尊(過去仏)の塔にたいし。このように、愛しき形態の施者は、彼女は、天の境位に近づいて、意に適うものを得ます。

 

374. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

375—376. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

 (直後の四つの天宮は、すなわち、五指印の香料の施者の天宮のように、そのように詳知されるべきである)

 

1. 3. 5. 7. エークーポーサタ・ヴィマーナヴァットゥ(一なる斎戒の天宮の事例)

 

377—379. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

380. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

381. 〔天女が答えた〕「わたしは、かつまた、比丘たちが、かつまた、比丘尼たちが、〔彼らが〕道を行くところを見ました。わたしは、彼らの法(教え)を聞いて、一〔日〕の斎戒に入りました。

 

382. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

383—384. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 8. ウダカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(水の施者の天宮の事例)

 

385—387. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

388. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

389. 〔天女が答えた〕「〔わたしは〕水のなかに立ち、水を、比丘に施しました──清信した心で。このように、愛しき形態の施者は、彼女は、天の境位に近づいて、意に適うものを得ます。

 

390. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

391—392. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 9. ウパッターナ・ヴィマーナヴァットゥ(奉仕の天宮の事例)

 

393—395. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

396. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

397. 〔天女が答えた〕「わたしは、そして、姑に、さらに、舅に、狂暴なる者たちに、そして、忿激する者たちに、さらに、粗暴なる者たちに、〔彼らに〕奉仕しました──嫉妬〔の思い〕なく、怠ることなく、自らの戒によって。

 

398. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

399—400. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 10. アパラカンマカーリニー・ヴィマーナヴァットゥ(他者の行為を為す者の事例)

 

401—403. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

404. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

405. 〔天女が答えた〕「わたしは、他者の行為を為す者として、義(目的)によって休みなく〔働く〕奴婢として、〔世に〕存しました。忿激しない者として、高慢〔の思い〕なき者として、自らの取り分を分け与える者として、〔世に存しました〕。

 

406. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

407—408. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1. 3. 5. 11. キーローダナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(乳飯の施者の天宮の事例)

 

409. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

410—411. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

412. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

413. 〔天女が答えた〕「わたしは、乳飯を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。このように、行為を為して、善き境遇に再生して、歓喜します。

 

414. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

415—416. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

 (直後の二十五の天宮は、すなわち、乳飯の施者の天宮のように、そのように詳知されるべきである)

 

1. 3. 5. 12. パーニタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(糖の施者の天宮の事例)

 

417—419. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

420. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

421—428. 〔天女が答えた〕「わたしは、糖を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 13. ウッチュカンディカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(甘蔗の切れ端の施者の天宮の事例)

 

429—436. 〔天女が答えた〕「わたしは、甘蔗の切れ端を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 14. ティンバルサカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ティンバルの果の施者の天宮の事例)

 

437—444. 〔天女が答えた〕「わたしは、ティンバルの果を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 15. カッカーリカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(瓜の施者の天宮の事例)

 

445—452. 〔天女が答えた〕「わたしは、瓜を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 16. エーラールカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(胡瓜の施者の天宮の事例)

 

453—460. 〔天女が答えた〕「わたしは、胡瓜を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 17. ヴァッリパラダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(蔓の果の施者の天宮の事例)

 

461—468. 〔天女が答えた〕「わたしは、蔓の果を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 18. パールサカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(パールサカの施者の天宮の事例)

 

469—476. 〔天女が答えた〕「わたしは、パールサカ〔の果〕を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 19. ハッタッパターパカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(手を暖めるものの施者の天宮の事例)

 

477—484. 〔天女が答えた〕「わたしは、手を暖めるものを、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 20. サーカムッティダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ひと握りの野菜の施者の天宮の事例)

 

485—492. 〔天女が答えた〕「わたしは、ひと握りの野菜を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 21. プッパカムッティダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ひと握りの花の施者の天宮の事例)

 

493—500. 〔天女が答えた〕「わたしは、ひと握りの花を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 22. ムーラカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(根菜の施者の天宮の事例)

 

501—505. 〔天女が答えた〕「わたしは、根菜を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 23. ニンバムッティダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ひと握りのニンバの施者の天宮の事例)

 

506—516. 〔天女が答えた〕「わたしは、ひと握りのニンバ〔樹の葉〕を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 24. アンバカンジカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(アンバの粥の施者の天宮の事例)

 

517—524. 〔天女が答えた〕「わたしは、アンバ〔樹の果〕の粥を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 25. ドーニニンマッジャニダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(油菓子の施者の天宮の事例)

 

525—532. 〔天女が答えた〕「わたしは、油菓子を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 26. カーヤバンダナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(身体を縛るものの施者の天宮の事例)

 

533—540. 〔天女が答えた〕「わたしは、身体を縛るものを、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 27. アンサバッダカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(肩を縛るものの施者の天宮の事例)

 

541—545. 〔天女が答えた〕「わたしは、肩を縛るものを、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 28. アーヨーガパッタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(鉄の板の施者の天宮の事例)

 

546—556. 〔天女が答えた〕「わたしは、鉄の板を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 29. ヴィドゥーパナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(扇の施者の天宮の事例)

 

557—564. 〔天女が答えた〕「わたしは、扇を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 30. ターラヴァンタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(ターラの扇の施者の天宮の事例)

 

565—572. 〔天女が答えた〕「わたしは、ターラ〔樹の葉〕の扇を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 31. モーラハッタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(孔雀の団扇の施者の天宮の事例)

 

573—580. 〔天女が答えた〕「わたしは、孔雀の団扇を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 32. チャッタダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(傘の施者の天宮の事例)

 

581—588. 〔天女が答えた〕「わたしは、傘を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 33. ウパーダナダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(履物の施者の天宮の事例)

 

589—596. 〔天女が答えた〕「わたしは、履物を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 34. プーヴァダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(菓子の施者の天宮の事例)

 

597—604. 〔天女が答えた〕「わたしは、菓子を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 35. モーダカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(糖菓の施者の天宮の事例)

 

605—612. 〔天女が答えた〕「わたしは、糖菓を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

1. 3. 5. 36. サッカリカダーイカー・ヴィマーナヴァットゥ(砂糖菓子の施者の天宮の事例)

 

613. 〔天女が答えた〕「わたしは、砂糖菓子を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。……略……。

 

614. 見てください──〔まさに〕その、わたしの、〔この〕天宮を。わたしは、欲する色艶ある仙女として〔世に〕存しています。わたしは、千の仙女たちのなかの最も優れた者として〔世に存しています〕。見てください──諸々の功徳の報いを。

 

615—616. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

617. 〔老師匠が言った〕「すばらしい夜明けとすばらしい目覚めの今日、まさに、わたしにとって、善き訪問なるかな。すなわち、天神たちを、欲する色艶ある仙女たちを、見たのです。

 

618. わたしは、これらの者たちの法(教え)を聞いて、多くの善なる〔功徳〕を作り為すでしょう──布施によって、正しい性行によって、自制によって、さらに、調御によって。〔まさに〕その、わたしは、そこにおいて、赴くでしょう──すなわち、赴いて〔そののち〕、憂い悲しまないところへと」〔と〕。ということで──

 

 グッティラ・ヴィマーナが、第五となる。

 

1. 3. 6. ダッダッラ・ヴィマーナヴァットゥ(発光の天宮の事例)

 

619. 〔バッダーが尋ねた〕「福徳ある者よ、〔あなたは〕色艶によって、さらに、福徳によって、発光しながら、全ての三十三天〔の神々〕たちに、色艶によって輝きまさります。

 

620. 〔このような〕見た目あるものを、〔わたしは〕証知しません。これは、〔わたしにとって〕最初に見るものです。いったい、どのような衆のもとからやってきて、〔わたしの〕名をもって、〔あなたは〕わたしに語りかけるのですか」と。

 

621. 〔スバッダーが答えた〕「バッダーよ、過去の人間の生存において、わたしは、スバッダーとして〔世に〕存していました。そして、あなたとは、〔夫を〕共にする妻として、かつまた、末の妹として、〔世に〕存していました。

 

622. 〔まさに〕その、わたしは、身体の破壊ののち、そこから死滅し、解脱したのです。化楽天〔の神々〕たちとの共住に再生したのです」と。

 

623. 〔バッダーが尋ねた〕「多大なる〔功徳〕を作り為した善き者たちとして、命あるものたちは、それらの天〔の神々〕たちのもとに行きます。スバッダーよ、あなたは、彼らのなかの〔一者として〕、自己の生のことを、〔わたしに〕述べ伝えるのです。

 

624. そこで、あなたは、何を理由に、あるいは、誰に教示され、福徳ある者よ、まさしく、どのような、布施によって、善き掟によって──

 

625. このような福徳に至り得た者となり、殊勝にして広大なるものに到達したのですか。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

626. 〔スバッダーが答えた〕「まさしく、八つの〔行乞の〕施食を、すなわち、布施として、かつて、〔わたしは〕施しました──施与されるべき僧団に、清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

627—628. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

629. 〔バッダーが尋ねた〕「わたしは、あなたよりも、より多くの比丘たちを、自制ある梵行者たちを、食べ物と飲み物によって満足させました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

630. あなたよりも、より多くのものを施して〔そののち〕、わたしは、劣った〔天の〕衆へと近しく赴く者として〔再生したのです〕。どのように、あなたは、より少なきものを施して、殊勝にして広大なるものに到達したのですか。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

631. 〔スバッダーが答えた〕「意を修めることができる比丘が、かつて、わたしに、現見の者として〔世に〕有りました(知己の比丘がいた)。わたしは、彼を、自己を第八の者とするレーヴァタ〔長老〕を、食事に招きました(レーヴァタ長老を含めた八者の比丘に施した)。

 

632. 彼は、レーヴァタ〔長老〕は、慈しみ〔の思い〕によって、わたしの義(利益)を尊び、『僧団にたいし施しなさい』と、わたしに言いました。わたしは、彼の言葉を為しました。

 

633. その施物は、僧団に至り、無量なるものにおいて確立されました。個々の者たちにたいし、あなたによって施されたものは、それは、あなたにとって、大いなる果とならないのです」と。

 

634. 〔バッダーが言った〕「まさしく、今や、わたしは知ります。僧団において、施されたものは、大いなる果となります。〔まさに〕その、わたしは、人間たる〔境遇〕に赴いて、寛容で、物惜〔の思い〕を離れた者となり、僧団にたいし、諸々の布施を施すでしょう──怠ることなく、繰り返し」と。

 

635. 〔帝釈天が尋ねた〕「バッダーよ、あなたを相手に話し合う、この天神は、誰なのだ。全ての三十三天〔の神々〕たちに、色艶によって輝きまさる」と。

 

636. 〔バッダーが答えた〕「天のインダよ、過去の人間の生存において、人間として有った者です。そして、わたしとは、〔夫を〕共にする妻として、かつまた、末の妹として、〔世に〕存していました。僧団にたいし、諸々の布施を施して、〔過去に〕作り為した功徳あることから、〔このように〕遍照します」と。

 

637. 〔帝釈天が言った〕「バッダーよ、〔あなたの〕妹は、過去における法(性質)によって、あなたよりも遍照する。すなわち、僧団という無量なるものにたいし、施物を確立させたのだ。

 

638. ギッジャクータ山(霊鷲山)において、まさに、わたしは、覚者に尋ねた──そこにおいて、施されたものが、大いなる果となる、分与の報いを。

 

639. 祭祀をしている人間たちにとって、功徳を期す命あるものたちにとって、依り所ある功徳を作り為している者たちにとって、そこにおいて、施されたものが、大いなる果となる、〔分与の報いを〕。

 

640. 覚者は、それを、わたしに説き明かした──自らの行為の果を知っている者として、そこにおいて、施されたものが、大いなる果となる、分与の報いを。

 

641. そして、〔道の〕実践者たる四者(四向:預流道・一来道・不還道・阿羅漢道)がいて、さらに、果における安立者たる四者(四果:預流果・一来果・不還果・阿羅漢果)がいる。この僧団は、〔心が〕真っすぐと成り、智慧と戒によって〔心が〕定められている。

 

642. 祭祀をしている人間たちにとって、功徳を期す命あるものたちにとって、依り所ある功徳を作り為している者たちにとって、僧団において、施されたものは、大いなる果となる。

 

643. まさに、この僧団は、広大にして莫大なるものである。これは、水をたたえる海洋のように、無量なるものである。まさに、これらの者たちは、最勝の者たちであり、人の勇者たる方(ブッダ)の弟子たちとして、光の作り手たちとして、法(教え)を話し伝える。

 

644. 彼らが、僧団を指定して、布施を施すなら、彼らにとって、善き施しものとなり、善き捧げものとなり、善き供えものとなる。その施物は、僧団に至り、〔無量なるものにおいて〕確立され、世〔の一切〕を知る方によって褒め称えられ、大いなる果となる。

 

645. このような祭祀を随念しながら、彼らが、感嘆〔の思い〕を生じ、世を渡り歩くなら、物惜の垢を根ごと取り除いて、〔誰からも〕非難されることなく、天上の境位に近づく」〔と〕。ということで──

 

 ダッダッラ・ヴィマーナが、第六となる。

 

1. 3. 7. ペーサヴァティー・ヴィマーナヴァットゥ(ペーサヴァティーの天宮の事例)

 

646. 〔比丘が尋ねた〕「〔わたしは〕見ました──水晶や銀や金の網に覆われ、様々な種類の彩りあざやかな面をした、極めて喜ばしき宮殿を──美しく化作され、楼門を具有し、諸々の金砂が振りまかれた、この浄美なる天宮を。

 

647. そして、天空における太陽のように、〔この天宮は〕十方に輝きます──闇を除き去る千光〔の太陽〕が、秋に〔輝くように〕。そのように、あなたのこの天宮は輝き渡ります──夜の天空の頂きに燃え盛っている、火炎のように。

 

648. まさしく、雷光が、眼をくらますように、虚空に据え置かれた、この〔天宮〕は、快意なるものです。琵琶や小鼓や鐃(シンバル)や鉦が鳴らされ、あなたのこの〔天宮〕は、あたかも、インダの都のように富み栄えています。

 

649. 赤蓮や白蓮や青蓮や睡蓮があり、さらに、ヨーディカやバンドゥカやアノージャカ〔の花々〕が存在します。花々が開花した諸々のサーラ〔樹〕もあり、諸々のアソーカ〔樹〕もあります。この〔天宮〕は、様々な種類の木々の先端からの芳香が慣れ親しんでいます。

 

650. サララ〔樹〕やラブジャ〔樹〕やブジャカ〔樹〕が、美しく咲き誇るクサ〔草〕や垂れ下がる蔓と結び付き、福徳ある者よ、宝珠の網に等しき喜ばしき蓮池が、あなたに現起しています。

 

651. そして、水生の花の類として存在する、それらのものは、さらに、陸生の木の類として存在する、それらのものは、そして、人間のものも、人間ならざるものも、天のものも、〔それらの〕全てが、あなたの住居地に生じています。

 

652. これは、どのような自制と調御の報いなのですか。どのような行為の果によって、ここに再生した者として、〔あなたは〕存しているのですか。濃い睫毛の者よ、そして、すなわち、あなたが到達した、この天宮があるとおりに、それを、逐次に説いたからには」と。

 

653. 〔天女が答えた〕「そして、すなわち、わたしが到達した、この天宮は、白鷺や孔雀や鷓鴣たちの群れが歩み、天の水鳥や鵞鳥の王が歩み、鴨や郭公の鳥たちが大いに喜ぶところです。

 

654. 様々な種類の花々や木々が種々に広がり、パータリーやジャンブやアソーカの木々があります。そして、すなわち、わたしが到達した、この天宮があるとおりに、それを、あなたに知らせましょう。尊き方よ、聞いてください。

 

655. 尊き方よ、優れたマガダ〔国〕の東に、ナーラカという名の村が存在します。そこにおいて、かつて、〔わたしは〕嫁として〔世に〕有りました。そこにおいて、〔人々は〕わたしのことを『ペーサヴァティー』と知りました。

 

656. 〔まさに〕その、わたしは、義(道理)と法(真理)に巧みな智ある者と敬恭される方に、天〔の神々〕と人間たちに供養される大いなる方に、涅槃に到達した無量なるウパティッサ(サーリプッタ)〔長老〕に、歓喜した意の者となり、諸々の花を振りまきました。

 

657. そして、最高の境遇に赴いた方を供養して、最後の肉身を保つ秀逸なる聖賢を〔供養して〕、〔わたしは〕人間の積身を捨棄して、三十三〔天〕に赴き、ここに、〔このような〕境位に住しています」〔と〕。ということで──

 

 ペーサヴァティー・ヴィマーナが、第七となる。

 

1. 3. 8. マッリカー・ヴィマーナヴァットゥ(マッリカーの天宮の事例)

 

658. 〔比丘が尋ねた〕「黄金色の衣ある者よ、黄金色の旗ある者よ、黄金色の〔装いを〕十分に作り為し〔美しく〕飾られた者よ、〔あなたは〕諸々の麗美なる黄金色の上着によって、まさしく、装飾され、美しく輝きます。

 

659. 〔あなたは〕誰なのですか。指輪や腕飾を〔身に〕付ける者よ、金の塊で飾られた者よ、金の網に等しく覆われた者よ、種々なる宝玉の花飾ある者よ。

 

660. 黄金で作られ、そして、紅玉で作られ、真珠で作られ、さらに、瑠璃で作られ、紅玉と共に瑪瑙があり、諸々の鳩の眼の宝珠によって彩りあざやかな〔あなた〕は〔誰なのですか〕。

 

661. 何であれ、何であれ、ここにおいて、孔雀の美しき声となり、鵞鳥の王の〔美しき声となり〕、カラヴィーカ〔鳥〕の美しき声となり、それらのものの声は、麗美なる形態のものとして聞こえます──五つの支分ある楽器が奏でられたかのように。

 

662. そして、あなたの車は、浄美かつ麗美にして、種々なる宝玉によって彩られています。種々なる色艶ある界域(:要素・成分)によって、まさしく、見事に区分され、美しく輝きます。

 

663. 金の像の色艶ある者よ、その車のなかに、〔まさに〕その、あなたは立ち、この地域に光り輝きます。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

664. 〔天女が答えた〕「黄金の網があり、宝珠と黄金に彩られ、真珠がちりばめられ、金の網に覆われた〔施物〕を、完全なる涅槃に到達した無量なるゴータマにたいし、清信した心の者となり、わたしは献上しました。

 

665. 〔まさに〕その、わたしは、覚者によって褒め称えられた善なる行為を為して、憂いを離れた者となり、安楽の者となり、悩みなき者となり、等しく歓喜します」〔と〕。ということで──

 

 マッリカー・ヴィマーナが、第八となる。

 

1. 3. 9. ヴィサーラッキ・ヴィマーナヴァットゥ(広き眼の天宮の事例)

 

666. 〔帝釈天が尋ねた〕「広き眼ある者よ、あなたは、まさに、誰なのだ。喜ばしき〔天の〕チッタラター林を、〔あなたは〕女たちの群れに囲まれ、遍きにわたり巡り行く。

 

667. すなわち、三十三天〔の神々〕たちが、この林に入り、車馬を含め、車を含め、ここに到来した〔それらの〕全てが、彩りあざやかに有るとき──

 

668. そして、ここに至り得たあなたが、庭園を渡り歩いていると、〔天の〕衆のうちに、彩りあざやかな〔形態〕は見られない(色あせて見える)。何によって、あなたに、このような形態があるのだ。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせよ。これは、どのような行為の果なのだ」と。

 

669. 〔天女が答えた〕「天のインダ(帝釈天)よ、どのような行為によって、わたしに、〔このような〕形態があり、わたしに、そして、〔このような〕境遇があり、かつまた、〔このような〕神通があり、さらに、〔このような〕威力があるのか──プリンダダ(帝釈天)よ、それを聞きたまえ。

 

670. わたしは、喜ばしきラージャガハにおいて、スナンダーという名の女性在俗信者として〔世に有りました〕。信ある者であり、戒を成就した者であり、常に分与を喜ぶ者として〔世に有りました〕。

 

671. そして、衣服を、さらに、食事を、臥坐具を、灯具を、〔心が〕真っすぐと成った者たちにたいし施しました──清信した心で。

 

672. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

673. 斎戒に入りました──諸戒において、常に統御された者となり。自制あることから、かつまた、分与あることから、わたしは、天宮に住します。

 

674. 〔わたしは、世に有りました〕──命あるものを殺すことから、かつまた、虚偽を説くことから、離れた自制者として──そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れている者として。

 

675. 五つの学びの境処(五戒)を喜び、〔四つの〕聖なる真理(四諦)の熟知者として──眼ある方の、福徳あるゴータマの、女性在俗信者として。

 

676. 〔まさに〕その、わたしのために、親族の家の奴婢は、常に花飾を運びます。〔まさに〕その、わたしは、まさしく、〔その〕全てを、世尊の塔にたいし献上しました。

 

677. そして、斎戒においては、わたしは赴いて、花飾と香料と塗料を、塔にたいし献上しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

678. 天のインダよ、その行為によって、わたしに、〔このような〕形態があり、わたしに、そして、〔このような〕境遇があり、かつまた、〔このような〕神通があり、さらに、〔このような〕威力があります──すなわち、〔わたしが〕花飾を献上した、〔その行為によって〕。

 

679. そして、すなわち、〔わたしが〕戒ある者として〔世に〕存した、その〔行為の報い〕は、まだ、熟していません。天のインダよ、また、そして、わたしには、願望があります。『〔わたしが〕一来たる者として存するように』」〔と〕。ということで──

 

 ヴィサーラッキ・ヴィマーナが、第九となる。

 

1. 3. 10. パーリチャッタカ・ヴィマーナヴァットゥ(パーリチャッタカの天宮の事例)

 

680. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「喜ばしく、意が喜びとする、パーリチャッタカ〔樹の花々〕を、コーヴィラーラ〔樹の花々〕を──天の花飾を結び束ねながら、〔あなたは〕歌い、等しく歓喜します。

 

681. 〔まさに〕その、あなたが、舞っていると、手足と肢体から、全てにわたり、諸々の天の声が放たれます──必聴にして意が喜びとする〔諸々の天の声〕が。

 

682. 〔まさに〕その、あなたが、舞っていると、手足と肢体から、全てにわたり、諸々の天の香りが香り行きます──清らかな香りにして意が喜びとする〔諸々の天の香り〕が。

 

683. 諸々の編髪に〔装着した〕それらの飾りものが、身体とともに転じ行くなら、それらのものの音は、あたかも、五つの支分ある楽器が〔奏でている〕かのように聞こえます。

 

684. 〔両の〕耳飾が、風に払われ、風に等しく揺れたなら、それらのものの音は、あたかも、五つの支分ある楽器が〔奏でている〕かのように聞こえます。

 

685. あなたの頭にある、その花飾もまた、清らかな香りにして意が喜びとするものであり、〔その〕香りは、あたかも、マンジューサカの木のように、一切の方角に香りただよいます。

 

686. 〔あなたは〕嗅ぎます──その清らかな香りを。〔あなたは〕見ます──人間ならざる形態を。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

687. 〔天女が答えた〕「光輝ある炎の色艶と香りと結び付いた、アソーカ〔樹〕の花の花飾を、わたしは、覚者に差し出しました。

 

688. 〔まさに〕その、わたしは、覚者によって褒め称えられた善なる行為を為して、憂いを離れた者となり、安楽の者となり、悩みなき者となり、等しく歓喜します」〔と〕。ということで──

 

 パーリチャッタカ・ヴィマーナが、第十となる。

 

 パーリチャッタカの章が第三となり、〔以上で〕終了となる。

 

 その〔章〕のための摂頌となる。

 

 〔そこで、詩偈に言う〕「秀逸なるもの、甘蔗、寝台、そして、ラター、そして、グッティラとともに、発光とペーサとマッリカー、広き眼、パーリチャッタカがあり、それによって、章と呼ばれる」と。

 

1. 4. 緋色の章

 

1. 4. 1. マンジッタカ・ヴィマーナヴァットゥ(緋色の天宮の事例)

 

689. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「諸々の金の砂礫が広げられた緋色の天宮において、五つの支分ある楽器によって見事に奏でられた〔音曲〕を、〔あなたは〕喜び楽しみます。

 

690. 〔美しく〕化作され、〔全てが〕宝玉で作られている、その天宮から降りて、一切時に花ひらいているサーラ〔樹〕の林に、〔あなたは〕入り行きます。

 

691. 天神よ、まさしく、その〔サーラ樹〕そのサーラ〔樹〕の根元に、〔あなたが〕立つなら、最上の木である、その〔サーラ樹〕その〔サーラ樹〕は、屈んで、花々を解き放ちます。

 

692. サーラ〔樹〕の林は、風に揺らぎ、〔風に〕払われ、鳥たちが慣れ親しみ、〔その〕香りは、あたかも、マンジューサカの木のように、一切の方角に香りただよいます。

 

693. 〔あなたは〕嗅ぎます──その清らかな香りを。〔あなたは〕見ます──人間ならざる形態を。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

694. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。聖なる家において、奴婢として〔世に〕有りました。覚者が坐ったのを見て、サーラ〔樹〕の花々を振りまきました。

 

695. そして、見事に作られた耳飾を、サーラ〔樹〕の花々で作られている〔耳飾〕を、わたしは、覚者に差し出しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

696. 〔まさに〕その、わたしは、覚者によって褒め称えられた善なる行為を為して、憂いを離れた者となり、安楽の者となり、悩みなき者となり、等しく歓喜します」〔と〕。ということで──

 

 マンジッタカ・ヴィマーナが、第一となる。

 

1. 4. 2. パバッサラ・ヴィマーナヴァットゥ(光輝の天宮の事例)

 

697. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「優れた光輝の色艶と輝きある者よ、美しく染められた衣をまとう者よ、大いなる神通ある者よ、栴檀〔の香り〕好ましき五体ある者よ、浄美なる者よ、天神よ、あなたは、誰なのですか。〔あなたは〕わたしを敬拝します。

 

698. そして、あなたの長椅子は、高価にして、種々なる宝玉に彩られ、好ましきものです。そこにおいて、あなたは坐り、遍照します──〔天の〕ナンダナ林における、天の王のように。

 

699. 幸いなる者よ、かつて、あなたは、どのような善き行ないを行なったのですか。どのような行為の報いを、天の世において、〔あなたは〕受領するのですか。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

700. 〔天女が答えた〕「尊き方よ、あなたが、〔行乞の〕食のために歩んでいると、花飾を、さらに、糖を、〔わたしは〕施しました。その行為のこの報いを、天の世において、〔わたしは〕受領します。

 

701. 尊き方よ、しかしながら、わたしには、悩み苦しみが有ります──わたしには、〔意に〕反することが〔有り〕、さらに、苦しんでいることが〔有ります〕。〔まさに〕その、わたしは、法(教え)を聞きませんでした──法(教え)の王(ブッダ)によって見事に説示された〔法〕を。

 

702. それを、あなたに、〔わたしは〕説きます。あなたに、幸せ〔有れ〕。〔まさに〕その、わたしへの、慈しみ〔の思い〕ある者は、誰であれ、諸々の法(教え)において、それを受持させたまえ──法(教え)の王によって見事に説示された〔法〕を。

 

703. それらの者たちに、覚者にたいし、かつまた、法(教え)にたいし、僧団の宝にたいし、信が存在するなら、彼らは、わたしに輝きまさります。寿命によって、福徳によって、吉祥によって──

 

704. 熱光によって、色艶によって、より上なる者たちとして、より大いなる神通ある者たちとして、他の天〔の神々〕たちは、わたしよりも」〔と〕。ということで──

 

 パバッサラ・ヴィマーナが、第二となる。

 

1. 4. 3. ナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(象の天宮の事例)

 

705. 〔比丘が尋ねた〕「〔装いを〕十分に作り為した〔あなた〕は、宝珠と黄金がちりばめられ、黄金の網がちりばめられた、大いなる〔象〕に〔乗って〕──〔装いを〕美しく整えられた優れた象に乗って、〔あなたは〕宙空にあり、空中にあり、ここに到来しました。

 

706. 象の二つの牙のうえには、諸々の澄んだ水をたたえ美しく咲き誇る赤蓮の池が化作され、そして、諸々の蓮華のうえには、楽団たちが展開し、さらに、これらの意を奪い去る〔天女〕たちが舞います。

 

707. 大いなる威力ある者よ、〔あなたは〕天の神通に至り得た者として〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

708. 〔天女が答えた〕「わたしは、バーラーナシーにおいて、〔覚者のもとへと〕近づいて行って、覚者に、ひと組の衣を施しました。〔覚者の両の〕足を敬拝して、地に坐りました。そして、わたしは、歓悦の者となり、合掌を為しました。

 

709. そして、覚者は、黄金に似た皮膚ある方は、わたしに説示しました──集起あるものが苦にして無常なることを、形成されたものではないもの(無為)が苦の止滅にして常久なることを。〔覚者が〕道を説示した、そののち、〔わたしは〕識知しました。

 

710. 〔わたしは〕短寿の者として命を終え、そこから死滅し、福徳ある者として、三十三〔天〕の衆に再生したのです。わたしは、帝釈〔天〕の随一の夫人であり、『ヤスッタラー』という名で方々に聞こえた者です」〔と〕。ということで──

 

 ナーガ・ヴィマーナが、第三となる。

 

1. 4. 4. アローマ・ヴィマーナヴァットゥ(アローマーの天宮の事例)

 

711. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

712—713. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

714. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

715. 〔天女が答えた〕「そして、わたしは、バーラーナシーにおいて、覚者に、太陽の眷属に、乾いた粥を施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

716. 見てください──乾き、かつまた、塩気のない、粥団子の果を。安楽の者となったアローマーを見て〔そののち〕、誰が、功徳を作り為さないというのでしょう。

 

717—718. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 アローマ・ヴィマーナが、第四となる。

 

1. 4. 5. カンジカダーイカ・ヴィマーナヴァットゥ(酸粥の施者の天宮の事例)

 

719. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

720—721. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

722. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

723. 〔天女が答えた〕「わたしは、アンダカヴィンダにおいて、覚者に、太陽の眷属に、棗を調理し油を燻じた酸粥を施しました。

 

724. 胡椒と、そして、蒜と、さらに、萱の根が混ざった〔酸粥〕を、〔心が〕真っすぐと成った方にたいし施しました──清信した心で。

 

725. すなわち、全ての肢体が美しく、かつまた、夫にとって至上の見た目ある女が、転輪王の〔妃として〕、王妃の権を為すとして、この酸粥の布施の、十六分の一にも値しません。

 

726. 百の金貨、百の馬、百の雌騾馬の車、宝珠の耳飾を付けた百千の少女たちも、この酸粥の布施の、十六分の一にも値しません。

 

727. 轅の牙ある巨大なる百のヒマヴァント(ヒマラヤ)の象たちも、金の飾紐をつけ金の鞍かけを装着する象たちも、この酸粥の布施の、十六分の一にも値しません。

 

728. その者が、この〔世において〕、たとえ、四つの洲の権力を為すとして、この酸粥の布施の、十六分の一にも値しません」〔と〕。ということで──

 

 カンジカダーイカ・ヴィマーナが、第五となる。

 

1. 4. 6. ヴィハーラ・ヴィマーナヴァットゥ(精舎の天宮の事例)

 

729. 〔比丘が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……明けの明星のように。

 

730. 〔まさに〕その、あなたが、舞っていると、手足と肢体から、全てにわたり、諸々の天の声が放たれます──必聴にして意が喜びとする〔諸々の天の声〕が。

 

731. 〔まさに〕その、あなたが、舞っていると、手足と肢体から、全てにわたり、諸々の天の香りが香り行きます──清らかな香りにして意が喜びとする〔諸々の天の香り〕が。

 

732. 諸々の編髪に〔装着した〕それらの飾りものが、身体とともに転じ行くなら、それらのものの音は、あたかも、五つの支分ある楽器が〔奏でている〕かのように聞こえます。

 

733. 〔両の〕耳飾が、風に払われ、風に等しく揺れたなら、それらのものの音は、あたかも、五つの支分ある楽器が〔奏でている〕かのように聞こえます。

 

734. あなたの頭にある、その花飾もまた、清らかな香りにして意が喜びとするものであり、〔その〕香りは、あたかも、マンジューサカの木のように、一切の方角に香りただよいます。

 

735. 〔あなたは〕嗅ぎます──その清らかな香りを。〔あなたは〕見ます──人間ならざる形態を。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

736. 〔天女が答えた〕「幸甚なる方よ、サーヴァッティーにおいて、わたしの友人は、僧団のために、大いなる精舎を作らせました。そこにおいて、わたしは、清らかな信ある者となり、随喜しました──そして、家を見て、さらに、愛しきこの〔僧団〕を〔見て〕。

 

737. 〔まさに〕その、わたしの、まさしく、清浄なる随喜によって、未曾有の美しい天宮が得られたのです。十六ヨージャナ(由旬:長さの単位・軛牛の一日の旅程距離)の遍きにわたり、宙空において、わたしの神通によって赴きます。

 

738. わたしには、諸々の楼閣ある住居があり、等分に計量され区分され、百ヨージャナの遍きにわたり、発光しながら輝きわたります。

 

739. そして、ここにおいて、わたしには、諸々の蓮池があり、多毛〔魚〕たちが慣れ親しみ、澄んだ水をたたえ、清らかで、諸々の金の砂礫が広げられています。

 

740. 種々なる赤蓮に等しく覆われ、諸々の白蓮が生い茂っています。諸々の快意なる〔香り〕が、風に揺らぎただよい、諸々の芳香を等しく香り行かせます。

 

741. 諸々のジャンブ〔樹の林〕が、諸々のパナサ〔樹の林〕が、諸々のターラ〔樹の林〕が、さらに、諸々のナーリケーラ〔樹〕の林があります。住居地の内においては、種々なる木々が、育てることなく生じています。

 

742. 種々なる楽器が鳴らされ、仙女たちの群れが喚呼しています。たとえ、或る者が、夢のなかで、わたしを見るとして、その人もまた、歓悦の者として存するでしょう。

 

743. このような未曾有の美しいものとして、全てにわたり光ある天宮が、わたしの諸々の行為によって発現したのです。十分に、諸々の功徳を作り為すべきです」と。

 

744. 〔比丘が尋ねた〕「〔まさに〕その、あなたの、まさしく、清浄なる随喜によって、未曾有の美しい天宮が得られたとして、まさしく、そして、すなわち、布施を施した、その女ですが、彼女の境遇を説いてください。彼女は、どこに再生したのですか」と。

 

745. 〔天女が答えた〕「幸甚なる方よ、すなわち、わたしの友人として〔世に〕有り、僧団のために、大いなる精舎を作らせた、その〔友人〕ですが、法(教え)の識知者として、彼女は、布施を施した〔そののち〕、化楽天〔の神々〕たちのうちに再生したのです。

 

746. 彼の、スニンミタ(化楽天の長)の、夫人として。不可思議なるは、彼女の諸々の行為の報いです。すなわち、『彼女は、どこに再生したのですか』と、〔あなたが〕尋ねた、このことですが、それを、わたしは、他なることなく〔そのとおりに〕、あなたに説き明かしました。

 

747. まさに、それによって、他者たちをもまた受持させるのです。『歓悦の者たちとなり、諸々の布施を、僧団に施しなさい。そして、清信した意図ある者たちとなり、法(教え)を聞きなさい。人間の生を得ることは、得られたとして、極めて得難きことである。

 

748. すなわち、道の君主たる方(ブッダ)が、道を説示したのだ──梵音ある方が、黄金に似た皮膚ある方が。歓悦の者たちとなり、諸々の布施を、僧団に施しなさい──そこにおいて、諸々の施物が、大いなる果と成るところに。

 

749. すなわち、正しくある者たちに賞賛された、八者の人(八輩:預流・一来・不還・阿羅漢の各々における道にある者と果にある者の計八人)が──これらの四つ組(四双:預流・一来・不還・阿羅漢の各々における道にある者と果にある者の計四組)が──〔世に〕有る。彼ら、善き至達者(ブッダ)の弟子たちは、施与されるべき者たちであり、これらの者たちにおいて、諸々の施されたものは、大いなる果となる。

 

750. そして、〔道の〕実践者たる四者(四向:預流道・一来道・不還道・阿羅漢道)がいて、さらに、果における安立者たる四者(四果:預流果・一来果・不還果・阿羅漢果)がいる。この僧団は、〔心が〕真っすぐと成り、智慧と戒によって〔心が〕定められている。

 

751. 祭祀をしている人間たちにとって、功徳を期す命あるものたちにとって、依り所ある功徳を作り為している者たちにとって、僧団において、施されたものは、大いなる果となる。

 

752. まさに、この僧団は、広大にして莫大なるものである。これは、水をたたえる海洋のように、無量なるものである。まさに、これらの者たちは、最勝の者たちであり、人の勇者たる方(ブッダ)の弟子たちとして、光の作り手たちとして、法(教え)を話し伝える。

 

753. 彼らが、僧団を指定して、布施を施すなら、彼らにとって、善き施しものとなり、善き捧げものとなり、善き供えものとなる。その施物は、僧団に至り、〔無量なるものにおいて〕確立され、世〔の一切〕を知る方によって褒め称えられ、大いなる果となる。

 

754. このような祭祀を随念しながら、彼らが、感嘆〔の思い〕を生じ、世を渡り歩くなら、物惜の垢を根ごと取り除いて、〔誰からも〕非難されることなく、天上の境位に近づく』」〔と〕。ということで──

 

 ヴィハーラ・ヴィマーナが、第六となる。

 

 第二の朗読分は〔以上で〕終了となる。

 

1. 4. 7. チャトゥリッティ・ヴィマーナヴァットゥ(四者の婦人の天宮の事例)

 

755—757. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

758. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

759. 〔第一の天女が答えた〕「わたしは、手にいっぱいのインディーヴァラ〔の蓮〕を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。エーシカ〔国〕の、隆盛にして優れた城市たる、喜ばしきパンナカタにおいて。

 

760—761. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

762—764. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

765. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

766. 〔第二の天女が答えた〕「わたしは、手にいっぱいの青蓮を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。エーシカ〔国〕の、隆盛にして優れた城市たる、喜ばしきパンナカタにおいて。

 

767—768. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

769—771. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

772. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

773. 〔第三の天女が答えた〕「わたしは、白い根があり、緑の葉がある、池の水に生じた〔蓮〕を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。エーシカ〔国〕の、隆盛にして優れた城市たる、喜ばしきパンナカタにおいて。

 

774—775. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

776—778. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

779. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

780. 〔第四の天女が答えた〕「わたしは、悦意の者として、諸々の悦意なる〔蓮華の〕蕾を、悦意の者に〔施しました〕。わたしは、諸々の象牙の色艶ある〔蕾〕を、〔行乞の〕食のために歩んでいる比丘に施しました。エーシカ〔国〕の、隆盛にして優れた城市たる、喜ばしきパンナカタにおいて。

 

781—782. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 チャトゥリッティ・ヴィマーナが、第七となる。

 

1. 4. 8. アンバ・ヴィマーナヴァットゥ(アンバの天宮の事例)

 

783. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「あなたの、天のアンバ〔樹〕の林は喜ばしく、ここにおいて、高楼は壮大にして、種々なる楽器が鳴らされ、仙女たちの群れが喚呼しています。

 

784. そして、ここにおいて、黄金の大いなる灯明は、常に燃え盛ります。遍きにわたり、布地を果とする木々に取り囲まれています。

 

785—786. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

787. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

788. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です──以前の生において、人間の世において。僧団のために、精舎を作らせました。諸々のアンバ〔樹〕に取り囲まれた〔精舎〕を。

 

789. 大いなる精舎が完成し、作業が終了したとき、まさに、諸々のアンバ〔樹〕を覆って、諸々の布地で作られている〔覆い〕を果に為して──

 

790. そこにおいて、灯明を燃やして、最上の衆を受益させて、それを、僧団に引き渡しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

791. それによって、わたしの、天のアンバ〔樹〕の林は喜ばしく、ここにおいて、高楼は壮大にして、種々なる楽器が鳴らされ、仙女たちの群れが喚呼しています。

 

792. そして、ここにおいて、黄金の大いなる灯明は、常に燃え盛ります。遍きにわたり、布地を果とする木々に取り囲まれています。

 

793—794. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 アンバ・ヴィマーナが、第八となる。

 

1. 4. 9. ピータ・ヴィマーナヴァットゥ(黄金色の天宮の事例)

 

795. 〔帝釈天が尋ねた〕「黄金色の衣ある者よ、黄金色の旗ある者よ、黄金色の〔装いを〕十分に作り為し〔美しく〕飾られた者よ、黄金色の栴檀を手足に塗った者よ、黄金色の蓮の花飾ある者よ。

 

796. 黄金色の高楼と臥具ある者よ、黄金色の坐具ある者よ、黄金色の器ある者よ、黄金色の傘ある者よ、黄金色の車ある者よ、黄金色の馬ある者よ、黄金色の扇ある者よ。

 

797. 幸いなる者よ、過去の人間の生存において、どのような行為を為したのだ。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせよ。これは、どのような行為の果なのだ」と。

 

798. 〔天女が答えた〕「尊き方よ、コーサータキーという名の蔓が存在します。満ち足りている者として、求められることなく、わたしは、その〔蔓〕の四つの花を、塔に持って行きました。

 

799. 〔世の〕教師たる方(ブッダ)の舎利を目指して──清信した心で。〔わたしは〕道がその〔牛〕のものであることを注視しませんでした──その〔牛〕が赴くことに気づくことなく。

 

800. そののち、わたしを、雌牛が打ち殺しました──〔わたしが〕塔に至り得ないうちに。もし、わたしが、その〔功徳〕を積むなら、まちがいなく、これよりも、より一層のものとして存するはずです。

 

801. 天のインダよ、マガヴァントよ、天のクンジャラよ、その行為によって、人間の肉身を捨棄して〔そののち〕、あなたとの共住に赴いたのです(天界に再生した)」と。

 

802. 三十三〔天〕の君主(帝釈天)は、マガヴァントは、天のクンジャラは、この〔言葉〕を聞いて、三十三〔天の神々〕たちを清信させつつ、マータリ(帝釈天の馭者)に、この〔言葉〕を説いた。

 

803. 〔帝釈天が言った〕「マータリよ、見よ──稀有にして、彩りあざやかな、この行為の果を。たとえ、少なく為されたとして、施すべきものであるなら、功徳は、大いなる果と成る。

 

804. 清信した心においては、まさに、施物は、少なきものとして存在せず。あるいは、正覚者たる如来において、そして、あるいは、彼の弟子においては。

 

805. マータリよ、さあ、わたしたちもまた、より一層、より一層に、敬するのだ──如来の諸々の遺物を。安楽なるは、諸々の功徳を積むことである。

 

806. 〔世に〕止住しているとき、さらに、また、涅槃に到達したときも、正しい心においては、正しい果となる。まさに、心の誓願を因として、有情たちは、善き境遇に赴く。

 

807. まさに、多くの者たちの義(利益)のために、如来たちは〔世に〕生起する。そこにおいて、為すことを為して、施者たちは、天上に赴く」〔と〕。ということで──

 

 ピータ・ヴィマーナが、第九となる。

 

1. 4. 10. ウッチュ・ヴィマーナヴァットゥ(甘蔗の天宮の事例)

 

808. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天を含む地を照らして、月と日のように、〔あなたは〕輝きまさります。そして、吉祥によって、色艶によって、福徳によって、威光によって、梵〔天〕が、インダを含む三十三天〔の神々〕たちに〔輝きまさる〕ように。

 

809. 青蓮の花飾を〔身に〕付ける者よ、頭飾ある者よ、黄金に似た皮膚ある者よ、〔わたしは〕あなたに尋ねます。〔装いを〕十分に作り為した者よ、最上の衣を〔身に〕付ける者よ、浄美なる者よ、天神よ、あなたは、誰なのですか。〔あなたは〕わたしを敬拝します。

 

810. かつて、あなたは、自己によって、どのような行為を為したのですか。人間として有った〔あなた〕は、以前の生において、〔どのような〕布施を、善き行ないを、さらに、戒と自制を〔為したのですか〕。福徳ある者よ、何によって、善き境遇に再生したのですか。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

811. 〔天女が答えた〕「尊き方よ、今や、まさしく、この村に、〔行乞の〕食のために、わたしたちの家へと、〔あなたは〕近しく赴きました。そののち、あなたに、甘蔗の切れ端を、〔わたしは〕施しました──清信した心の者となり、無比なる喜悦によって。

 

812. そして、姑は、のちに、わたしを問い詰めます。『嫁よ、いったい、どこに、甘蔗を処分したのだ』〔と〕。〔わたしは答えます〕『捨て放ったのではありません。かつまた、わたしの咀嚼するところでもありません。寂静なる比丘に、自ら、わたしが施したのです』〔と〕。

 

813. 嫉妬する姑は、かくのごとく、〔わたしを〕誹謗します。『いったい、これは、おまえに主権があるのか、それとも、わたしにあるのか』〔と〕。〔彼女は〕岩塊を掴んで、わたしに、打撃を与えました。そこから死滅し、命を終えた〔わたし〕は、天神として〔世に〕存しています。

 

814. まさしく、その善なる行為が、わたしによって為されました。そして、安楽なる行為〔の報い〕を、自己みずから受領します。わたしは、天〔の神々〕たちと共に楽しみます。わたしは、五つの欲望の属性(五妙欲:色・声・香・味・触)によって歓喜します。

 

815. まさしく、その善なる行為が、わたしによって為されました。そして、安楽なる行為〔の報い〕を、自己みずから受領します。天のインダによって保護され、三十三〔天の神々〕たちによって守護され、五つの欲望の属性を供与された者となり。

 

816. このような功徳の果は、少なからざるものであり、わたしの甘蔗の施物は、大いなる報いがあります。わたしは、天〔の神々〕たちと共に楽しみます。わたしは、五つの欲望の属性によって歓喜します。

 

817. このような功徳の果は、少なからざるものであり、わたしの甘蔗の施物は、大いなる光輝があります。天のインダによって保護され、三十三〔天の神々〕たちによって守護され、〔天の〕ナンダナ林における、千の眼ある者(帝釈天)のように〔歓喜します〕。

 

818. 尊き方よ、そして、あなたに、慈しみ〔の思い〕ある者にして知者たる〔あなた〕に、〔かつて、わたしは〕近づいて敬拝し、さらに、善なる〔行為〕のことを尋ねました。そののち、あなたに、甘蔗の切れ端を、〔わたしは〕施しました──清信した心の者となり、無比なる喜悦によって」〔と〕。ということで──

 

 ウッチュ・ヴィマーナが、第十となる。

 

1. 4. 11. ヴァンダナ・ヴィマーナヴァットゥ(敬拝の天宮の事例)

 

819. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

820—821. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

822. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天神は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

823. 〔天女が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。戒ある沙門たちを見て、〔両の〕足を敬拝して、意を清信させました。そして、わたしは、歓悦の者となり、合掌を為しました。

 

824—825. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ヴァンダナ・ヴィマーナが、第十一となる。

 

1. 4. 12. ラッジュマーラー・ヴィマーナヴァットゥ(ラッジュマーラーの天宮の事例)

 

826. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天神よ、崇高なる色艶によって、すなわち、あなたは、〔ここに〕立ちます。そして、〔両の〕手と足を収め取って、見事に奏でられた〔音曲〕のなか、〔あなたは〕舞います。

 

827. 〔まさに〕その、あなたが、舞っていると、手足と肢体から、全てにわたり、諸々の天の声が放たれます──必聴にして意が喜びとする〔諸々の天の声〕が。

 

828. 〔まさに〕その、あなたが、舞っていると、手足と肢体から、全てにわたり、諸々の天の香りが香り行きます──清らかな香りにして意が喜びとする〔諸々の天の香り〕が。

 

829. 諸々の編髪に〔装着した〕それらの飾りものが、身体とともに転じ行くなら、それらのものの音は、あたかも、五つの支分ある楽器が〔奏でている〕かのように聞こえます。

 

830. 〔両の〕耳飾が、風に払われ、風に等しく揺れたなら、それらのものの音は、あたかも、五つの支分ある楽器が〔奏でている〕かのように聞こえます。

 

831. あなたの頭にある、その花飾もまた、清らかな香りにして意が喜びとするものであり、〔その〕香りは、あたかも、マンジューサカの木のように、一切の方角に香りただよいます。

 

832. 〔あなたは〕嗅ぎます──その清らかな香りを。〔あなたは〕見ます──人間ならざる形態を。天神よ、〔問いを〕尋ねられた者として、告げ知らせてください。これは、どのような行為の果なのですか」と。

 

833. 〔天女が答えた〕「かつて、わたしは、奴婢として〔世に〕存しました。ガヤーにおいて、婆羅門の〔奴婢として〕、わたしは、功徳少なき者であり、不運の者であり、〔人々は〕わたしのことを『ラッジュマーラー』と知りました。

 

834. 罵倒者たちの、さらに、殴打者たちの、そして、〔彼らの〕脅迫によって急き立てられ、〔わたしは〕水瓶を抱えて、〔家から〕出て、水汲みに赴きました。

 

835. 〔わたしは〕水瓶を脇道に捨て置いて、密林へと近しく赴きました。『まさしく、ここに、わたしは死ぬのだ。わたしの生命に、何の義(意味)があるというのだ』〔と〕。

 

836. 〔わたしは〕縄を堅固に為して、木に掛けて、そののち、方々を眺めました。『いったい、まさに、誰が、〔この〕林に依拠しているというのだ』〔と〕。

 

837. そこにおいて、〔わたしは〕見ました──正覚者を、一切の世〔の人々〕にとって益ある牟尼を、木の根元に坐り、瞑想している、何も恐れない方を。

 

838. 〔まさに〕その、わたしには、未曾有にして身の毛のよだつ、畏怖〔の思い〕が有りました。『いったい、まさに、誰なのだ、〔この〕林に依拠している者は。人間なのか、それとも、天神なのか』〔と〕。

 

839. 清信ある方を、清信されるべき方を、〔欲の〕林から〔欲の〕林なきに至り着いた方を、見て〔そののち〕、わたしの意は清まりました。『誰であれ、どのような者であれ、この方にあらず(同等の者は存在しない)。

 

840. 〔感官の〕機能が守られ、瞑想を喜び、意は外に赴かず、一切の世〔の人々〕にとって益ある方である。この方は、覚者として〔世に〕有るのだ』〔と〕。

 

841. 恐怖と恐ろしさで近づき難く、洞窟に依拠する獅子のようです。この方は、見るに得難く、あたかも、無花果の花のようです。

 

842. 彼は、如来は、わたしに、諸々の柔和なる言葉で語りかけて、『ラッジュマーラーよ』と、わたしに言いました。『如来を帰依所に赴きなさい』〔と〕。

 

843. わたしは、その言葉を聞いて──無欠にして、義(道理)ある、清らかなる〔言葉〕を〔聞いて〕──優雅で、そして、柔和で、さらに、麗美で、一切の憂いを除き去る〔言葉〕を〔聞いて、如来を帰依所に赴きました〕。

 

844. そして、わたしのことを、善き心ある者と知って、清らかな信ある者と〔知って〕、清浄なる意図ある者と〔知って〕、一切の世〔の人々〕にとって益ある方は、如来は、〔わたしに〕教示しました。

 

845. 〔如来は〕『これは、苦しみである』と、わたしに言いました。『これは、苦しみの発生である。苦しみの止滅である。そして、不死への沈潜であり、曲がりなき道である』〔と〕。

 

846. 慈しみ〔の思い〕ある方の、智者たる方の、教諭において、わたしは安立し、不死に、寂静に、到達しました──涅槃に、死滅なき境処に。

 

847. 〔まさに〕その、わたしは、〔信が〕確立した愛情ある者であり、見において〔心が〕動かない者であり、信において根が生じた者であり、覚者の正嫡たる娘です。

 

848. 〔まさに〕その、わたしは、喜び楽しみ、遊び戯れ、歓喜します──何も恐れない者となり。天の花飾を〔身に〕付け、柔和なる蜜を飲みます。

 

849. 六万の楽器が、わたしの目覚めを作り為します(楽器の音で目を覚ます)。アーランバが、ガッガラが、ビーマが、そして、サードゥヴァーディンが、サンサヤが──

 

850. そして、ポッカラが、そして、スパッサが、さらに、女たちとしては、ヴィナーモッカーが、まさしく、そして、ナンダーが、さらに、スナンダーが、ソーナディンナーが、スチンヒターが──

 

851. アランブサーが、そして、ミッサケーシーが、プンダリーカーが、かくのごとく、ダールニーが、エーニーパッサーが、そして、スパッサーが、スバッダーが、ムドゥヴァーディニーが──

 

852. そして、これらの者たちが、さらに、他のより勝る者たちが、仙女たちのなかの傑出した者たちが、それらの天神たちが、〔しかるべき〕時に近しく赴いて、わたしに語りかけます。

 

853. 『さあ、舞いましょう。歌いましょう。さあ、あなたを喜ばせましょう』〔と〕。これは、〔過去に〕作り為した功徳なき者たちのものではありません。これは、まさしく、〔過去に〕作り為した功徳ある者たちのものです。

 

854. 憂いなく、喜ばしき、〔天の〕ナンダナ〔林〕は、三十三〔天〕の大いなる林は。安楽は、〔過去に〕作り為した功徳なき者たちには存在しません──この〔世において〕、さらに、他所においても。

 

855. そして、安楽は、〔過去に〕作り為した功徳ある者たちのものです──まさしく、そして、この〔世において〕、さらに、他所においても。〔天の神々たちとの〕共住を欲する者たちにとって、彼らにとって、作り為されるべきは、多くの善なる〔功徳〕です。なぜなら、〔過去に〕作り為した功徳ある者たちは歓喜するからです──天上において、財物の保有者たちとなり。

 

856. まさに、多くの者たちの義(利益)のために、如来たちは〔世に〕生起します。人間たちにとっては施与されるべき方たちであり、諸々の功徳の田畑にとっての鉱脈たる方たちです。そこにおいて、為すことを為して、施者たちは、天上に赴きます」〔と〕。ということで──

 

 ラッジュマーラー・ヴィマーナが、第十二となる。

 

 緋色の章が第四となり、〔以上で〕終了となる。

 

 その〔章〕のための摂頌となる。

 

 〔そこで、詩偈に言う〕「緋色、光輝、象、アローマーと酸粥の施者、精舎と四者の婦人とアンバ、黄金色、そして、甘蔗と敬拝とラッジュマーラーがあり、それによって、章と呼ばれる」と。

 

 女の天宮は〔以上で〕終了となる。

 

2. 男の天宮

 

2. 1. 大なる車の章

 

2. 1. 1. マンドゥーカデーヴァプッタ・ヴィマーナヴァットゥ(蛙の天子の天宮の事例)

 

857. 〔世尊は尋ねた〕「誰が、わたしの〔両の〕足を敬拝するのですか。神通と福徳によって燃え盛り、崇高なる色艶によって、一切の方角を照らしながら」と。

 

858. 〔天子が答えた〕「かつて、わたしは、蛙として〔世に〕存していました──水を餌場とする者として、水のなかに。あなたの法(教え)を聞いていると、牛飼いが、〔わたしを〕打ち殺しました。

 

859. 見てください──寸時のあいだ、心の清信ある者として〔世に存した〕、わたしの、神通を、そして、福徳を。見てください──わたしの、そして、威力を。見てください──わたしの、色艶を、そして、光輝を。

 

860. ゴータマよ、そして、すなわち、それらの者たちが、長時にわたり、あなたの法(教え)を聞いたなら、彼らは、不動の境位に至り得た者たちとなります──すなわち、赴いて〔そののち〕、憂い悲しまないところへと」〔と〕。ということで──

 

 マンドゥーカデーヴァプッタ・ヴィマーナが、第一となる。

 

2. 1. 2. レーヴァティー・ヴィマーナヴァットゥ(レーヴァティーの天宮の事例)

 

861. 〔世尊は言った〕「長き不在の人が、遠方から〔無事〕安穏に帰ってきたなら、親族や朋友たちは、そして、知人たちも、〔彼の〕帰還を喜ぶ。

 

862. まさしく、そのように、善き〔行為〕を為した者(功徳を作った者)もまた、この世から他〔の世〕へと赴いたなら、諸々の善きこと(功徳)が迎え取る──親族たちが、愛しき者の帰還を〔喜ぶ〕ように」〔と〕。

 

863. 〔夜魔の使者たちが言った〕「レーヴァターよ、極めて悪しき法(性質)の者よ、開かれた門なき者よ、布施の戒なき者よ、立ち上がれ。〔わたしたちは〕おまえを連れて行く。すなわち、苦しみに組み敷かれ地獄にある者たちが、悪しき境遇の者たちが、うめき叫ぶところへと」と。

 

864. まさしく、かくのごとく、夜魔の使者たちは言って、それらの二者の夜叉は、赤い眼の偉丈夫たちは、レーヴァターの各々の腕を掴んで、天の衆の現前に飛び立った。

 

865. 〔レーヴァターが尋ねた〕「太陽の色艶があり、好ましく光輝にして、金の網に覆われた浄美なる宮殿があります。人々で満ち溢れ、日の光のように輝いている、この天宮は、誰のものですか。

 

866. 栴檀の真髄を塗った女たちの群れは、天宮を、〔内と外の〕両所から美しく荘厳します。それは、日に等しき色艶に見えます。誰が、天上に至り得た者として、天宮において歓喜するのですか」と。

 

867. 〔夜魔の使者たちが答えた〕「バーラーナシーにおいて、ナンディヤという名の在俗信者が存した。物惜〔の思い〕なき施主にして、寛容なる者である。人々で満ち溢れ、日の光のように輝いている、この天宮は、彼のものである。

 

868. 栴檀の真髄を塗った女たちの群れは、天宮を、〔内と外の〕両所から美しく荘厳する。それは、日に等しき色艶に見える。彼が、天上に至り得た者として、天宮において歓喜する」と。

 

869. 〔レーヴァターが言った〕「わたしは、ナンディヤの妻です。家婦として、家の一切に権ある者です。夫の天宮において、今や、わたしは喜び楽しむのです。地獄を見ることを望み求めません」と。

 

870. 〔夜魔の使者たちが言った〕「極めて悪しき法(性質)の者よ、これは、おまえの地獄である。生あるものの世において、功徳は、おまえによって作り為されなかった。まさに、物惜〔の思い〕ある者は、〔他者を〕悩ます者は、悪しき法(性質)の者は、天上へと近しく赴く者たちとの共住を得ない」と。

 

871. 〔レーヴァターが尋ねた〕「いったい、どうして、そして、糞なのですか、さらに、尿なのですか、不浄物が見えるのですか。どうして、この糞便の悪臭なのですか。どうして、この〔糞便の悪臭〕がただようのですか」と。

 

872. 〔夜魔の使者たちが答えた〕「これは、サンサヴァカという名の、百人の深さある〔地獄〕にして、レーヴァターよ、そこにおいて、千年のあいだ、おまえは煮られるのだ」と。

 

873. 〔レーヴァターが尋ねた〕「いったい、どのような悪行が、身体によって、言葉によって、意によって、為されたのですか。どのような〔行為の報い〕によって、百人の深さあるサンサヴァカ〔地獄〕を得たのですか」と。

 

874. 〔夜魔の使者たちが答えた〕「沙門たちを、さらに、また、婆羅門たちを、あるいは、また、他の乞食者たちを、虚偽の言によって騙した。その悪しき〔行為〕が、おまえによって為されたのだ。

 

875. その〔行為の報い〕によって、百人の深さあるサンサヴァカ〔地獄〕を得たのだ。レーヴァターよ、そこにおいて、千年のあいだ、おまえは煮られるのだ。

 

876. 〔獄卒たちは、両の〕手をもまた断ち切り、そこで、〔両の〕足をもまた〔断ち切り〕、〔両の〕耳をもまた断ち切り、そこで、鼻をもまた〔断ち切り〕、そこで、烏たちの群れもまた、共に赴いて、もがいている〔おまえ〕を、一緒になって喰い尽くす」と。

 

877. 〔レーヴァターが言った〕「どうか、まさに、わたしを連れ戻してください。〔わたしは〕多くの善なる〔功徳〕を作り為すでしょう──布施によって、正しい性行によって、自制によって、さらに、調御によって。それを為して、〔世の人々が〕安楽の者たちと成り、そして、のちに悩み苦しまない、〔多くの善なる功徳を〕」と。

 

878. 〔夜魔の使者たちが言った〕「かつて、おまえは怠って、今や、嘆き悲しむ。諸々の為した行為の報いを、自ら、受領するのだ」と。

 

879. 〔レーヴァターが言った〕「誰が、天の世から人間の世に赴いて、〔問いを〕尋ねられた者として、わたしに、このように説くというのでしょう。『棒(武器)を捨て置いた者たちにたいし、布施を施すべきである。衣服を、臥所を、さらに、食べ物や飲み物を。まさに、物惜〔の思い〕ある者は、〔他者を〕悩ます者は、悪しき法(性質)の者は、天上へと近しく赴く者たちとの共住を得ない』〔と〕。

 

880. 〔まさに〕その、わたしは、まちがいなく、ここから赴いて、人間の胎を得て、寛容で、戒を成就した者となり、多くの善なる〔功徳〕を作り為すでしょう──布施によって、正しい性行によって、自制によって、さらに、調御によって。

 

881. そして、諸々の園地を育成します。そして、難所における諸々の橋を、そして、水飲場を、そして、井戸を、清信した心で。

 

882. 十四日と十五日に、そして、すなわち、半月〔ごと〕の第八日に、さらに、神変月には、八つの支分が見事に備わった──

 

883. 斎戒に入ります──諸戒において、常に統御された者となり。そして、布施において怠りません。この〔行為の報い〕は、わたしによって、自ら、〔あるがままに〕見られました」と。

 

884. かくのごとく、このように語り散らしながら、そこかしこに震えおののいている者を、〔夜叉たちは〕おぞましき地獄に投げ放った──足を上に、頭を下に。

 

885. 〔レーヴァターが言った〕「かつて、わたしは、物惜〔の思い〕ある者として、沙門や婆羅門たちを誹謗する者として、〔世に〕有りました。そして、真実を離れる〔言葉〕で主人を騙して、わたしは、おぞましき形態の地獄において煮られます」〔と〕。ということで──

 

 レーヴァティー・ヴィマーナが、第二となる。

 

2. 1. 3. チャッタマーナヴァカ・ヴィマーナヴァットゥ(チャッタ学生の天宮の事例)

 

886. 〔学生に、世尊は言った〕「すなわち(※)、人間たちにおいて〔教えを〕説いている者たちのなかの最も優れた者である、釈迦〔族〕の牟尼たる世尊──為すべきことを為した者であり、彼岸に赴いた者である、活力と精進の保有者──〔まさに〕その、善き至達者に近づきなさい──帰依所を義(目的)として。

 

※ テキストには ye とあるが、PTS版により yo と読む。

 

887. 貪欲と離貪〔の法〕に、動揺なく憂いなき〔法〕に、形成されたものではなく嫌悪ならざる法(教え)に、〔まさに〕この、見事に区分された至徳にして甘美なる〔法〕に──〔まさに〕この、法(教え)に近づきなさい──帰依所を義(目的)として。

 

888. そして、四者の清らかなる人士の組(四双:預流道と預流果・一来道と一来果・不還道と不還果・阿羅漢道と阿羅漢果)において、そこにおいて、施されたものは、大いなる果となる〔と、人々が〕言う──そして、それらの八者の法(真理)を見る人たち(八輩:預流道・預流果・一来道・一来果・不還道・不還果・阿羅漢道・阿羅漢果)──〔まさに〕この、僧団に近づきなさい──帰依所を義(目的)として」〔と〕。

 

889. 〔天子に、世尊は尋ねた〕「天空における太陽も、そのように輝かず、そして、月も、〔そのように〕光らず、プッサ〔の星〕も、さにあらず──すなわち、この無比にして大いなる光輝のようには。あなたは、いったい、誰なのですか、三十三天から大地へと至り着いたのですか。

 

890. 光の作り手(太陽)の諸光を断ち切り、二十ヨージャナ(由旬:長さの単位・軛牛の一日の旅程距離)を優に超える輝きがあり、夜をもまた、昼のように作り為します──完全なる清浄にして、〔世俗の〕垢を離れる、〔この〕浄美なる天宮は。

 

891. 多くの赤蓮や様々な彩りの白蓮があり、花々に満ち溢れ無数の彩りがあり、塵なく〔世俗の〕塵を離れ金の網に覆われ、虚空において輝きます──あたかも、また、太陽のように。

 

892. 諸々の赤の毛布や黄の衣類によって、諸々の沈香や香草や栴檀の芳しき〔香り〕によって、諸々の薄金に似た肌によって、遍く満ちています──星々に〔満ちている〕空のように。

 

893. 多くの男と女たちがいます──ここにおいて、無数の色艶ある者たちが。花々に飾られた装身具をした者たちがいます──ここにおいて、悦意の者たちが。諸々の風に解き放たれた〔香り〕が香り行きます──黄金に覆われ、輝き広がる者たちが、芳香を〔放ちながら〕。

 

894. これは、どのような自制の報いなのですか。どのような行為の果によって、ここに再生した者として、〔あなたは〕存しているのですか。そして、すなわち、あなたが到達した、この天宮があるとおりに、それを、逐次に説いたからには、さあ、〔問いを〕尋ねられた者として〔答えられよ〕」と。

 

895. 〔天子が答えた〕「ここに、道において、〔あなたは〕自ら、学徒〔として世に有ったわたし〕と行き合って、教師として、〔その学徒を〕慈しみつつ、教え示しました。あなたの、優れた宝たる方の、法(教え)を聞いて、そして、〔学徒の〕チャッタは説きました。『〔あなたの教えを〕為しましょう』と。

 

896. 〔世尊は言いました〕『帰依所として、優れた者たちのなかの最も優れた者である勝者(ブッダ)のもとへと、そして、また、法(教え)へと、まさしく、そのように、比丘の僧団へと、〔あなたは〕近しく至りなさい』〔と〕。尊き方よ、はじめ、わたしは、『いいえ』と言いました。のちに、まさしく、そのように、あなたの言葉を為しました。

 

897. 〔世尊は言いました〕『そして、命あるものの殺戮を、様々な種類の不浄なる〔殺戮〕を、行なってはいけません。なぜなら、命あるものたちにたいし自制なくあることを、智慧を有する者たちは褒め称えなかったからです』〔と〕。尊き方よ、はじめ、わたしは、『いいえ』と言いました。のちに、まさしく、そのように、あなたの言葉を為しました。

 

898. 〔世尊は言いました〕『そして、また、他の人が守っているものである、与えられていないものを、取るべきものと思ってはいけません』〔と〕。尊き方よ、はじめ、わたしは、『いいえ』と言いました。のちに、まさしく、そのように、あなたの言葉を為しました。

 

899. 〔世尊は言いました〕『そして、他の人が守っている〔婦女〕たちに、他者の妻たちのもとに、赴いてはいけません。これは、聖ならざることです』〔と〕。尊き方よ、はじめ、わたしは、『いいえ』と言いました。のちに、まさしく、そのように、あなたの言葉を為しました。

 

900. 〔世尊は言いました〕『そして、真実を離れることを、〔真実と〕他なることを、話してはいけません。なぜなら、虚偽を説くことを、智慧を有する者たちは褒め称えなかったからです』〔と〕。尊き方よ、はじめ、わたしは、『いいえ』と言いました。のちに、まさしく、そのように、あなたの言葉を為しました。

 

901. 〔世尊は言いました〕『そして、それ〔の摂取〕によって、人の表象が離れ去るなら、それを、〔人を〕酔わせるものの全てを、遍く避けなさい』〔と〕。尊き方よ、はじめ、わたしは、『いいえ』と言いました。のちに、まさしく、そのように、あなたの言葉を為しました。

 

902. 〔まさに〕その、わたしは、この〔世において〕、五つの学び(五戒)を為して、如来の法(教え)において実践して〔そののち〕、二つ〔の村〕のあいだにある道を、盗賊たちがいる中を赴いたところ、そこにおいて、彼らは、財物を因として、わたしを打ち殺しました。

 

903. この善なる〔行為〕を、これだけを、〔わたしは〕随念します。それより他に、わたしに、他のものは見出されません。その善き行ないの行為によって、わたしは、三十三〔天の神々〕たちのうちに再生したのです──欲するままに欲する者として。

 

904. 見てください──瞬時かつ寸時のあいだの自制の〔報いを〕、法(教え)のままなる実践の報いを。福徳によって燃え盛るかのようなわたしを正視しながら、多くの劣った行為の者たちは、〔わたしのような報いを〕熱望します。

 

905. 見てください──些少なる説示によって、そして、善き境遇に赴いた者として、かつまた、安楽に至り得た者として、〔わたしは〕存しています。そして、それらの者たちが、常に、あなたの法(教え)を聞くなら、思うに、彼らは、不死なる平安を体得するのです。

 

906. たとえ、少なく為されたとして、如来の法(教え)においては、報いは、広大にして大いなるものと成ります。見てください──〔過去に〕作り為した功徳あることから、チャッタは、あたかも、また、太陽であるかのように、地を照らします。

 

907. 『これは、どのような〔行為〕なのだ。どのような善なる〔行為〕を、〔わたしたちは〕習行するのだ』〔と〕、かくのごとく、まさに、一部の者たちは、行き合って話し合います。〔まさに〕その、わたしどもは、まさしく、ふたたび、人間たる〔境遇〕を得て、戒ある実践者たちとして〔世に〕住むでしょう。

 

908. かくのごとく、わたしが存しているとき、そして、多く〔の利益〕を作り為す方にして慈しみ〔の思い〕ある方は、〔世の〕教師たる方は、〔ここに〕赴かれたのです──昼のさなかに。〔まさに〕その、わたしは、〔ここに〕存しています──真理を名とする方のもとに近しく赴いた者として。慈しみたまえ、ふたたび、また、法(教え)を、〔わたしどもは〕お聞きしたいのです。

 

909. そして、彼らが、この〔世において〕、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕を捨棄するなら、そして、生存にたいする貪り〔の思い〕という悪習(随眠:潜在煩悩)を捨棄して、迷妄を〔捨棄するなら〕、そして、彼らは、胎に臥す〔境遇〕にふたたび近づくことはありません。まさに、完全なる涅槃に赴いた者たちとなり、〔心が〕清涼と成った者たちとなり」〔と〕。ということで──

 

 チャッタマーナヴァカ・ヴィマーナが、第三となる。

 

2. 1. 4. カッカタカラサダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(蟹の味の施者の天宮の事例)

 

910. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

911. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性(五妙欲:色・声・香・味・触)があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

912. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

913. 天〔の神〕よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

914. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

915. 〔天子が答えた〕「〔かつての施物の〕気づきの生起を為すものとして、扉のところに蟹〔の飾物〕が立っています。〔すなわち〕金で加工された、十の足ある〔蟹〕が、美しく輝きます。

 

916. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

917. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有った〔わたし〕は、それを、功徳として作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 カッカタカラサダーヤカ・ヴィマーナが、第四となる。

 

 (直後の五つの天宮は、すなわち、蟹の味の施者の天宮のように、そのように詳知されるべきである)

 

2. 1. 5. ドヴァーラパーラ・ヴィマーナヴァットゥ(門番の天宮の事例)

 

918. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

919. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

920—921. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

922. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

923. 〔天子が答えた〕「わたしには、天の千年の寿命があります。言葉によって唱えられ、意によって転起されたものとして。善き行為〔の報い〕ある者は、これだけのあいだ、天の諸々の欲望〔の対象〕を保有する者と成り、〔天に〕止住するのです。

 

924—925. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドヴァーラパーラ・ヴィマーナが、第五となる。

 

2. 1. 6. パタマカラニーヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の作り為されるべきものの天宮の事例)

 

926. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

927. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

928—929. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

930. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

931. 〔天子が答えた〕「〔常に〕識知している賢者によって、作り為されるべき諸々の功徳があります。正しき至達者たる覚者たちにおいて、そこにおいて、施されたものは、大いなる果となります。

 

932. まさに、わたしの義(利益)のために、覚者は、林から村へと到来したのです。そこにおいて、心を清信させて、わたしは、三十三〔天〕へと近しく赴く者と〔成りました〕。

 

933—934. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマカラニーヤ・ヴィマーナが、第六となる。

 

2. 1. 7. ドゥティヤカラニーヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の作り為されるべきものの天宮の事例)

 

935. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

936. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

937—938. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

939. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

940. 〔天子が答えた〕「〔常に〕識知している賢者によって、作り為されるべき諸々の功徳があります。正しき至達者たる覚者たちにおいて、そこにおいて、施されたものは、大いなる果となります。

 

941. まさに、わたしの義(利益)のために、比丘は、林から村へと到来したのです。そこにおいて、心を清信させて、わたしは、三十三〔天〕へと近しく赴く者と〔成りました〕。

 

942—943. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤカラニーヤ・ヴィマーナが、第七となる。

 

2. 1. 8. パタマスーチ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の針の天宮の事例)

 

944. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

945. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

946—947. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

948. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

949. 〔天子が答えた〕「それを施すにも、それは、〔ここに〕有りません。まさしく、しかし、何かを施すなら、まさしく、そして、それは、〔何も施さないよりは〕より勝っています。〔ただの〕針でも、施されたなら、まさしく、〔その〕針は、〔何も施さないよりは〕より勝っています。

 

950—951. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマスーチ・ヴィマーナが、第八となる。

 

2. 1. 9. ドゥティヤスーチ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の針の天宮の事例)

 

952. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

953. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

954—955. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

956. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

957. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。

 

958. 〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる比丘を、清らかな信ある〔比丘〕を、〔心に〕混濁なき〔比丘〕を。わたしは、針を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

959—960. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤスーチ・ヴィマーナが、第九となる。

 

2. 1. 10. パタマナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の象の天宮の事例)

 

961. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「汚濁なく、牙あり、力あり、大いなる速さある、純白の背をした象に乗って、〔装いを〕美しく整えられた優れた象に乗って、〔あなたは〕宙空にあり、空中にあり、ここに到来しました。

 

962. 象の二つの牙のうえには、諸々の澄んだ水をたたえ美しく咲き誇る赤蓮の池が化作され、そして、諸々の蓮華のうえには、楽団たちが展開し、さらに、これらの意を奪い去る〔天女〕たちが舞います。

 

963. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

964. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

965. 〔天子が答えた〕「まさしく、八〔枚〕の、散った花〔の花びら〕を、偉大なる聖賢であるカッサパ〔世尊〕の塔にたいし、〔わたしは〕献上しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

966—967. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマナーガ・ヴィマーナが、第十となる。

 

2. 1. 11. ドゥティヤナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の象の天宮の事例)

 

968. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「大いなる象に乗って、純白にして最上の象に〔乗って〕、女たちの群れに囲まれ、林から林へと、〔あなたは〕巡り行きます。一切の方角を照らしながら、明けの明星のように。

 

969—970. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

971. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

972. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。眼ある方(ブッダ)の在俗信者として〔世に〕有りました。命あるものを殺すことから離れた者として〔世に〕有りました。世において与えられていないものを遍く避けました。

 

973. 酒を飲まない者として〔世に有りました〕。そして、虚偽を話しませんでした。さらに、自らの妻で満足している者として〔世に〕有りました。清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

974—975. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤナーガ・ヴィマーナが、第十一となる。

 

2. 1. 12. タティヤナーガ・ヴィマーナヴァットゥ(第三の象の天宮の事例)

 

976. 〔男が尋ねた〕「いったい、誰なのですか──天の乗物である純白の象に〔乗って〕、楽器を打つ音とともに、空中において敬されるのは。

 

977. いったい、〔あなたは〕天神として存しているのですか、音楽神として〔存しているのですか〕、それとも、プリンダダ(都の破壊者)たる帝釈〔天〕として〔存しているのですか〕。知らずにいる者たちとして、あなたに尋ねます。どのように、わたしどもは、あなたのことを知るべきですか」と。

 

978. 〔天子が答えた〕「〔わたしは〕天〔の神〕として存するにあらず、音楽神にあらず、また、プリンダダたる帝釈〔天〕にあらず。すなわち、スダンマという名の天〔の神々〕たちが〔存し〕、彼らのなかの或るひとりとして、わたしはある」と。

 

979. 〔男が尋ねた〕「〔わたしどもは〕多々に合掌を為して、スダンマ天〔の神〕に尋ねます。人間〔の世〕において、どのような行為を為して、スダンマ〔天〕に再生するのですか」と。

 

980. 〔天子が答えた〕「甘蔗の〔葉で覆われた〕家を、草の〔葉で覆われた〕家を、そして、衣の〔布地で覆われた〕家を、その者が、〔比丘に〕施すなら、三つのなかのどれか一つを施して、スダンマ〔天〕に再生する」〔と〕。ということで──

 

 タティヤナーガ・ヴィマーナが、第十二となる。

 

2. 1. 13. チューララタ・ヴィマーナヴァットゥ(小なる車の天宮の事例)

 

981. 〔比丘が尋ねた〕「堅き芯ある強弓の弓を据えて、〔あなたは〕立ちます。いったい、〔あなたは〕王族たる士族として存しているのですか、それとも、林を歩む猟師として〔存しているのですか〕」と。

 

982. 〔スジャータが答えた〕「尊き方よ、わたしは、アッサカ〔国〕の君主の子であり、林を歩む者です。比丘よ、わたしの名を、あなたに説きます。〔人々は〕わたしのことを『スジャータ』と知ります。

 

983. 鹿たちを探し求めながら、わたしは、密林に入り行きつつ、まさしく、そして、その鹿を見ませんでした。しかしながら、〔ついに〕それを見て、わたしは、〔ここに〕立っているのです」と。

 

984. 〔比丘が言った〕「大いなる功徳ある者よ、あなたにとって、善き訪問と〔成れ〕。さらに、あなたにとって、悪しき訪問ならざるものと〔成れ〕。ここから水を汲んで、あなたの〔両の〕足を洗いたまえ。

 

985. 山窟から運び込んだ、この冷たい飲み物をもまた〔飲みたまえ〕。王子よ、飲んで、そののち、敷物のうえに近しく坐したまえ」と。

 

986. 〔スジャータが尋ねた〕「大いなる牟尼よ、まさに、あなたの言葉は、善きものであり、聞き惚れてしまいます。無欠にして、義(道理)ある、麗美なる〔言葉〕です。思い考えて〔そののち〕、そして、義(道理)を語ります。

 

987. 林に住んでいるあなたに、どのような喜びがあるのですか。聖賢たる雄牛よ、〔問いを〕尋ねられた者として、説いてください。あなたの言葉の用途を、義(道理)と法(真理)の句を、こころして聞いて、〔わたしどもは〕励行いたします」と。

 

988. 〔比丘が答えた〕「王子よ、全ての命あるものたちを害さないことは、わたしたちにとって好ましくあります。そして、窃盗から、かつまた、姦通から、さらに、飲酒から、遠く離れていることも。

 

989. 〔悪しき行ないから〕離れていることは、そして、正しい行ないは、多聞は、知恩は、まさしく、所見の法(現法:現世)において、賞賛されるべきものです。これらの法(性質)は、賞賛されるべきものです。かくのごとく〔知りたまえ〕。

 

990. あなたの死は、現前にあります。〔それも〕五月の内に。王子よ、識知しなさい。自己を完全に解き放ちなさい」と。

 

991. 〔スジャータが尋ねた〕「〔まさに〕その、〔死を前にする〕わたしは、どの地方に赴いて、どのような行為を〔為して〕、そして、どのような人に〔依拠して〕、また、あるいは、どのような明知によって、老と死なき者と成るのでしょうか」と。

 

992. 〔比丘が答えた〕「〔あなたが尋ねた〕その地方は、行為は、そして、明知は、人も、〔世のどこにも〕見出されません。王子よ、そこにおいて、赴いて〔そののち〕、死すべき者が、老と死なき者と成るところは。

 

993. 大いなる財産ある者たちも、大いなる財物ある者たちも、国土ある士族たちもまた、多大なる財産と穀物ある者たちも、彼らもまた、老と死なき者たちではありません。

 

994. もしくは、アンダカヴェンダ族の者たちが、彼らが、勇士にして勇者たる勇猛なる攻撃者たちとして〔世に〕聞こえているとして、彼らもまた、寿命の滅尽に至り得たなら、〔全ての者たちが〕常に等しく砕破された者たちとなります。

 

995. 士族たちも、婆羅門たちも、庶民たちも、隷民たちも、チャンダーラ(賎民)やプックサ(非人)たちも、そして、これらの者たちも、さらに、他の生まれの者たちも、彼らもまた、老と死なき者たちではありません。

 

996. それらの者たちが、六つの支分ある梵の所思たる〔ヴェーダの〕呪文を遍く転起させるとして、そして、これらの者たちも、さらに、他の呪術による者たちも、彼らもまた、老と死なき者たちではありません。

 

997. さらに、また、聖賢たちも、彼らが、寂静にして自己が自制された苦行者たちであるとして、それらの苦行者たちもまた、〔しかるべき〕時に、肉体を捨棄します。

 

998. 自己を修めた者たちであり、為すべきことを為した煩悩なき者たちである、阿羅漢たちもまた、この肉身を捨置します──善と悪〔の行為の果〕の遍き滅尽ある者たちとして」と。

 

999. 〔スジャータが言った〕「大いなる牟尼よ、諸々の詩偈は、あなたによって、義(道理)あるものとして、見事に語られました。〔わたしは〕存しています──〔あなたの〕見事に語られた〔言葉〕によって納得させられた者として。そして、あなたは、わたしの帰依所と成ってください」と。

 

1000. 〔比丘が言った〕「あなたは、わたしを帰依所に赴いてはいけません。まさしく、彼を帰依所に進み行きなさい。すなわち、釈迦族の方を、偉大なる勇者を、〔彼を〕帰依所に、わたしが赴いた、〔そのとおりに〕。

 

1001. 〔スジャータが尋ねた〕「敬愛なる方よ、あなたさまの教師は、彼は、どの地方にいるのですか。わたしもまた、勝者に、対する人なき方に、お会いするために赴きます」と。

 

1002. 〔比丘が答えた〕「東の地方において、オッカーカ(甘蔗王)の家系を発生とする方は、そこにおいて、〔世に〕存しました。善き生まれの人士たる方は、そして、彼は、まさに、完全なる涅槃に到達したのです」と。

 

1003. 〔スジャータが言った〕「敬愛なる方よ、まさに、それで、もし、覚者が、あなたさまの教師が、〔世に〕止住しているなら、〔彼に〕奉侍するために、〔わたしは〕千ヨージャナを赴くでしょう。

 

1004. 敬愛なる方よ、しかしながら、あなたさまの教師が、まさに、完全なる涅槃に到達した、そののちは、たとえ、涅槃に到達したとして、偉大なる勇者を帰依所に、わたしは赴きます。

 

1005. 帰依所として、覚者のもとへと、そして、また、無上なる法(教え)へと、〔わたしは〕近しく至ります。さらに、人と天〔の神〕の帰依所として、僧団へと、わたしは赴きます。

 

1006. すみやかに、命あるものを殺すことから離れます。世において与えられていないものを遍く避けます。酒を飲まない者として〔世に有ります〕。そして、虚偽を話しません。さらに、自らの妻で満足している者として〔世に〕有ります」と。

 

1007. 〔比丘が尋ねた〕「千の光ある〔太陽〕のようであり、あたかも、大いなる光輝ある〔太陽〕のようであり、あたかも、天空を従い行く〔太陽〕が、〔その〕方角に輝くように、そのような流儀のものとして、あなたの、この大いなる車はあり、長さとして七ヨージャナの遍きにわたります。

 

1008. 諸々の黄金の布によって遍きにわたり覆われ、底のところは諸々の真珠と諸々の宝珠によって彩られ、そして、金の、さらに、銀の、諸々の線があり、諸々の瑠璃で作られ美しく化作されたものが、美しく荘厳します。

 

1009. そして、頭は、これは瑠璃で化作され、そして、軛は、これは紅玉で彩られ、そして、金の、さらに、銀の、諸々の〔装具が〕結び付けられ、そして、意のままの速さある、これらの馬たちは、美しく輝きます。

 

1010. 〔まさに〕その〔あなた〕は、金の車のなかに安立し、〔そこに〕立ちます──千の運び手ある、天〔の神々〕たちのインダのように。福徳ある者よ、わたしは、熟知者たるあなたに尋ねます。どのように、この秀逸なるものは、あなたによって得られたのですか」と。

 

1011. 〔スジャータが答えた〕「尊き方よ、わたしは、スジャータという名の者です。かつて、王子として〔世に〕有りました。そして、あなたは、慈しみ〔の思い〕によって、わたしを、自制において確たるものとしました。

 

1012. そして、〔あなたは〕わたしのことを寿命が滅尽した者と知って、〔世の〕教師たる方の舎利を、〔わたしに〕与えました。『スジャータよ、これを供養しなさい。それは、あなたの義(利益)のために成るでしょう』〔と〕。

 

1013. わたしは、その〔舎利〕を、諸々の香料と諸々の花飾によって供養して、〔その供養に〕等しく専念する者となり、人間の肉身を捨棄して〔そののち〕、〔天の〕ナンダナ〔林〕に再生した者として存しています。

 

1014. そして、種々なる鳥たちの群れが満ち溢れる、喜ばしき〔天の〕ナンダナ林において、仙女たちに囲まれ、諸々の舞踏と歌詠によって喜び楽しみます」〔と〕。ということで──

 

 チューララタ・ヴィマーナが、第十三となる。

 

2. 1. 14. マハー・ラタ・ヴィマーナヴァットゥ(大いなる車の天宮の事例)

 

1015. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「千〔の馬〕を設えた浄美なる馬車に、無数の彩りある、この車に乗って、庭園の地を近しく巡り行く〔あなた〕は、プリンダダにして生類の長たるヴァーサヴァ(帝釈天)のようです。

 

1016. 黄金で作られている、それらの両の車軸は、〔両の〕軸先としっかりと接合されています。善き生まれの者たちが群れ集い、技ある人たちによって仕立てられ、十五〔夜〕の月のように遍照します。

 

1017. この車は、黄金の網が広げられ、多くの種々なる宝玉によって彩られています。そして、極めて喜びある音がします。かつまた、浄美なる声がします。腕に払子を手にする者たちによって遍照します。

 

1018. そして、これらの轂(こしき・車輪の中央部)は、意によって化作され、車の足の中央部に飾られています。そして、これらの轂は、百の線によって彩られ、きらめく雷光のように光り輝きます。

 

1019. この車は、無数の彩りが広げられ、そして、諸々の外輪は広く、さらに、千の光があります。それらのものの声は、麗美なる形態のものとして聞こえます──五つの支分ある楽器が奏でられたかのように。

 

1020. 頭には、彩りあざやかな宝珠の月が設けられ、常に清浄で好ましき光輝があります。諸々の金の線によってしっかりと接合され、瑠璃の線であるかのように、あまりに極めて美しく輝きます。

 

1021. そして、これらの尾毛ある〔馬〕たちは、宝珠の月が設けられ、高さと広さがあり、極めて速く、偉丈夫の如くで、高く、大きく、力があり、大いなる速さがあり、あなたの意を了知して、まさしく、そのとおりに走ります。

 

1022. そして、これらの全ての〔馬〕たちは、四〔足〕の歩調を相伴い、あなたの意を了知して、まさしく、そのとおりに走ります。駿馬たちのなかの最上の〔馬〕たちであり、柔和にして、高揚せず、歓喜しながら、均等に運び行きます。

 

1023. 宙において、〔身を〕震わせ、飛翔し、そして、降下します──見事に作られた諸々の飾りものを打ち震わせながら。それらのものの声は、麗美なる形態のものとして聞こえます──五つの支分ある楽器が奏でられたかのように。

 

1024. 車の音は、さらに、諸々の飾りものの〔音は〕──蹄の響きは、さらに、いななきの〔声は〕──〔それらが一つに〕合致した、〔その〕音は、極めて麗美に聞こえます──様々な彩りある林において音楽神たちの楽器が〔奏でられたかのように〕。

 

1025. 車のなかに立っている、鹿のつぶらな眼をした、それらの〔女〕たちは、濃い睫毛で笑い、愛語ある者たちであり、たおやかな表皮は瑠璃の網が広げられ、天〔の神〕を含む音楽神や至高の勇士たちに供養される者たちです。

 

1026. 彼女たちは、諸々の赤に染められた毛布や黄の衣をまとい、眼は大きく瞳は赤く、家系においては善き生まれの者たちにして、極めてたおやかで清らかさを伴い、車のなかに立ち、合掌の者たちとなり、近しく立っています。

 

1027. 彼女たちは、指輪や腕飾を〔身に〕付け、美しい衣をまとい、美しいくびれた胴ある者たちにして、〔美しい〕腿と乳房を具有し、指は丸く顔立ち美しく見た目美しく、車のなかに立ち、合掌の者たちとなり、近しく立っています。

 

1028. 他にも、美しい編髪をした混髪の若き〔女〕たちがいます。そして、〔それぞれに〕区分けされた諸々の光輝によって、均等に〔光り輝きます〕。彼女たちは、互恵の者たちであり、あなたの意を喜ぶ者たちであり、車のなかに立ち、合掌の者たちとなり、近しく立っています。

 

1029. 赤蓮や青蓮の覆いを頭飾とし、〔装いを〕十分に作り為し、栴檀の真髄を香らせています。彼女たちは、互恵の者たちであり、あなたの意を喜ぶ者たちであり、車のなかに立ち、合掌の者たちとなり、近しく立っています。

 

1030. 彼女たちは、赤蓮や青蓮の覆いを花飾とし、〔装いを〕十分に作り為し、栴檀の真髄を香らせています。彼女たちは、互恵の者たちであり、あなたの意を喜ぶ者たちであり、車のなかに立ち、合掌の者たちとなり、近しく立っています。

 

1031. あなたの首には、すなわち、諸々の飾りものがあり、〔両の〕手に、〔両の〕足に、まさしく、そのように、頭にもあり、昇りつつある秋の太陽のように、遍きにわたり、十方を照らします。

 

1032. そして、〔両の〕腕には、風の勢いで等しく揺れる、諸々の花飾があり、さらに、諸々の飾りものがあり、全ての識者たちに聞かれるべき形態の、好ましく清らかにして浄美なる音を解き放ちます。

 

1033. さらに、庭園の地においては、両側に立っている、そして、諸々の車が、象たちが、さらに、諸々の楽器も、〔それらの〕声も、天のインダよ、まさしく、あなたを歓喜させます──あたかも、諸々の琵琶が、胴を腕に抱えた者たちによって〔奏でられている〕かのように。

 

1034. これらの琵琶にたいし、多くの麗美にして快意なる形態にたいし、心臓が揺らぐ喜悦を〔引き起こします〕。〔それらが〕奏でられているなか、仙女たちが、手練の少女たちが、諸々の蓮華のうえを、頻繁に行き交います。

 

1035. そして、すなわち、かつまた、諸々の歌詠が、かつまた、諸々の音楽が、かつまた、諸々の舞踏が、これらのものが、一つに合致するとき、そこで、ここにおいて、仙女たちが舞い、そこで、ここにおいて、両側から、優れた婦女たちが〔一切の方角を〕照らします。

 

1036. 〔まさに〕その〔あなた〕は、歓喜します──諸々の楽器の群れ〔の音〕で目覚める者として、金剛を武器とする者(帝釈天)のように敬されながら。これらの琵琶にたいし、多くの麗美にして快意なる形態にたいし、心臓が揺らぐ喜悦を〔引き起こします〕。

 

1037. かつて、あなたは、自己によって、どのような行為を為したのですか──人間として有った〔あなた〕は、以前の生において。あるいは、あなたは、どのような斎戒に入ったのですか。掟として、どのような法(教え)の行ないを乞い願ったのですか。

 

1038. これは、少なく為された行為の〔報い〕にあらず。あるいは、過去における善き行ないの斎戒の〔報い〕なのですか。あなたには、この、広大なる神通の威力があります。すなわち、〔あなたは〕天〔の神々〕たちの群れに、大いに輝きまさります。

 

1039. あなたの、この果は、布施の〔報い〕なのですか、そこで、また、あるいは、戒の〔報い〕なのですか、さらに、合掌の行為の〔報い〕なのですか。〔問いを〕尋ねられた者として、それを、わたしに告げ知らせてください」と。

 

1040. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1041. 〔天子が答えた〕「〔感官の〕機能に勝利した方を、覚者を、至上の勤勉〔努力〕ある方を、最上の人たる方を、カッサパ〔世尊〕を、至高の人たる方を、不死の門を開く方を、天にして天を超える方を、百の功徳の特相ある方を──

 

1042. 彼を、クンジャラ〔象〕たる方を、激流を超えた方を、黄金の純金像に等しき方を、〔わたしは〕見ました。彼を見て、すみやかに、清らかな意ある者と成りました。まさしく、彼を、見事に語られた〔法の〕旗たる方を、見て。

 

1043. 〔まさに〕その、食べ物と飲み物を、そこで、あるいは、また、衣料を、味を具した清らかで精妙なるものを、花々が振りまかれた自らの住居地に据え置きました──〔まさに〕その〔わたし〕は、執着の意なき者となり。

 

1044. 〔まさに〕その、そして、食べ物と飲み物によって、さらに、衣料によって、固形の食料によって、かつまた、軟らかい食料によって、さらに、臥具によって、二足者たちの最上者たる方を満足させて、〔まさに〕その、わたしは、天上の者となり、天の都において喜び楽しみます。

 

1045. この手段によって、閂なく、三種類の清浄なる、この祭祀を執り行なって、わたしは、人間の積身を捨棄して〔そののち〕、わたしは、インダの如き者となり、天の都において喜び楽しみます。

 

1046. 牟尼よ、そして、寿命を、かつまた、色艶を、安楽を、さらに、活力を──精妙なる形態のものを望んでいる者によって、そして、食べ物が、さらに、飲み物が、多くの上手に調理されたものが、執着の意なき者において据え置かれるべきです。

 

1047. この世において、また、あるいは、他〔の世〕においても、まさしく、覚者に勝る者は、まさしく、〔覚者と〕等しき者も、見出されません。〔供物を〕捧げるべき者たちのなかの、最高の捧げものに至る方です──功徳を義(目的)とする者たちにとって、広大なる果を探し求める者たちにとって」〔と〕。ということで──

 

 マハー・ラタ・ヴィマーナが、第十四となる。

 

 大なる車の章が第五となり、〔以上で〕終了となる。

 

 その〔章〕のための摂頌となる。

 

 〔そこで、詩偈に言う〕「蛙、レーヴァティー、チャッタ、蟹、門番、二つの作り為されるべきもの、二つの針、そして、三つの象、二つの車があり、男たちの〔天宮の〕第一の章と呼ばれる」と。

 

 第三の朗読分は〔以上で〕終了となる。

 

2. 2. パーヤーシの章

 

2. 2. 1. パタマアガーリヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の在家者の天宮の事例)

 

1048. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「たとえば、三十三天のなかの最上にして最勝の庭園たる〔天の〕チッタラター林が光り輝くように、その喩えのように、あなたのこの天宮は、〔一切の方角を〕照らしながら、空中に止住します。

 

1049. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1050. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1051. 〔天子が答えた〕「そして、わたしは、かつまた、妻は、人間の世において、〔布施の〕泉と成った者たちとして、家に住しました。清信した心の者たちとなり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1052—1053. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマアガーリヤ・ヴィマーナが、第一となる。

 

2. 2. 2. ドゥティヤアガーリヤ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の在家者の天宮の事例)

 

1054. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「たとえば、三十三天のなかの最上にして最勝の庭園たる〔天の〕チッタラター林が光り輝くように、その喩えのように、あなたのこの天宮は、〔一切の方角を〕照らしながら、空中に止住します。

 

1055. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1056. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1057. 〔天子が答えた〕「そして、わたしは、かつまた、妻は、人間の世において、〔布施の〕泉と成った者たちとして、家に住しました。清信した心の者たちとなり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1058—1059. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤアガーリヤ・ヴィマーナが、第二となる。

 

2. 2. 3. パラダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(果実の施者の天宮の事例)

 

1060. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十六ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

1061. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、善き形姿ある六十四者の手練の者たちが、諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。さらに、三十三〔天〕を歩む秀逸なる天の少女たちが、舞い、歌い、〔あなたを〕歓喜させます。

 

1062. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1063. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1064. 〔天子が答えた〕「果実の施者は、広大なる果を得ます──真っすぐに赴く者たちにたいし、清信した意図ある者となり、〔施物を〕施している者は。まさに、彼は、天上に赴き、三十三〔天〕において歓喜します。そして、広大なる功徳の果を受領します。

 

1065. 大いなる牟尼よ、まさしく、あなたに、わたしは、四つの果実を施しました。

 

1066. まさに、それゆえに、果実は、施すに、まさしく、十分なるものがあります──常に、安楽を義(目的)とする人間によって、あるいは、諸々の天の安楽を望み求めている者によって、あるいは、人間としての荘厳を求めている者によって。

 

1067—1068. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パラダーヤカ・ヴィマーナが、第三となる。

 

2. 2. 4. パタマウパッサヤダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(第一の在所の施者の天宮の事例)

 

1069. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「たとえば、黒雲を離れ去った天空において、月が、〔一切の方角を〕照らしながら、空中を赴くように、その喩えのように、あなたのこの天宮は、〔一切の方角を〕照らしながら、空中に止住します。

 

1070. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1071. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1072. 〔天子が答えた〕「そして、わたしは、かつまた、妻は、人間の世において、阿羅漢に、在所を施しました。清信した心の者たちとなり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1073—1074. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマウパッサヤダーヤカ・ヴィマーナが、第四となる。

 

2. 2. 5. ドゥティヤウパッサヤダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(第二の在所の施者の天宮の事例)

 

1075—1078. たとえば、黒雲を離れ去った天空において、太陽が……略……(すなわち、前の天宮のように、そのように詳知されるべきである)。

 

1079—1080. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤウパッサヤダーヤカ・ヴィマーナが、第五となる。

 

2. 2. 6. ビッカーダーヤカ・ヴィマーナヴァットゥ(行乞の施者の天宮の事例)

 

1081. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

1082. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1083. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1084. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。渇き疲れた比丘を見て、わたしは、一なる行乞〔の施食〕を奉施しました。食事を保有する者として、そのとき、〔功徳を〕作り為したのです。

 

1085—1086. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ビッカーダーヤカ・ヴィマーナが、第六となる。

 

2. 2. 7. ヤヴァパーラカ・ヴィマーナヴァットゥ(麦の番人の天宮の事例)

 

1087—1088. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の塔があり……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1089. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1090. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。麦の番人として〔世に〕有りました。〔わたしは〕見ました──〔世俗の〕塵を離れる比丘を、清らかな信ある〔比丘〕を、〔心に〕混濁なき〔比丘〕を。

 

1091. わたしは、分け合った〔団子飯〕を、彼に施しました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。〔分け合った〕団子飯を施して、〔わたしは、天の〕ナンダナ林において歓喜します。

 

1092—1093. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ヤヴァパーラカ・ヴィマーナが、第七となる。

 

2. 2. 8. パタマクンダリー・ヴィマーナヴァットゥ(第一の耳飾をした者の天宮の事例)

 

1094. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「〔あなたは、装いを〕十分に作り為し、花環を〔身に〕付け、美しい衣で、美しい耳飾で、髪と髭を整え、手に装飾品を付けた、福徳ある者であり、天の天宮において、あたかも、また、月のようです。

 

1095. そして、善き形姿ある六十四者の手練の者たちが、諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。さらに、三十三〔天〕を歩む秀逸なる天の少女たちが、舞い、歌い、〔あなたを〕歓喜させます。

 

1096. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1097. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1098. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。戒ある沙門たちを見て、明知と行ないを成就した福徳ある者たちを〔見て〕、多聞にして渇愛の滅尽を具有した者たちを〔見て〕、清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1099—1100. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 パタマクンダリー・ヴィマーナが、第八となる。

 

2. 2. 9. ドゥティヤクンダリー・ヴィマーナヴァットゥ(第二の耳飾をした者の天宮の事例)

 

1101. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「〔あなたは、装いを〕十分に作り為し、花環を〔身に〕付け、美しい衣で、美しい耳飾で、髪と髭を整え、手に装飾品を付けた、福徳ある者であり、天の天宮において、あたかも、また、月のようです。

 

1102. そして、善き形姿ある六十四者の手練の者たちが、諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。さらに、三十三〔天〕を歩む秀逸なる天の少女たちが、舞い、歌い、〔あなたを〕歓喜させます。

 

1103. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1104. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1105. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。善き形姿ある沙門たちを見て、明知と行ないを成就した福徳ある者たちを〔見て〕、多聞にして戒ある清らかな信ある者たちを〔見て〕、清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1106—1107. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ドゥティヤクンダリー・ヴィマーナが、第九となる。

 

2. 2. 10. (ウッタラ)パーヤーシ・ヴィマーナヴァットゥ(パーヤーシの天宮の事例)

 

1108. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「天〔の神々〕たちの群れが一団となり、そこにおいて坐すところ、すなわち、天の王の集会場たるスダンマ(善法講堂)ですが、その喩えのように、あなたのこの天宮は、〔一切の方角を〕照らしながら、空中に止住します。

 

1109. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1110. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1111. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。パーヤーシ王の学徒として〔世に〕有りました。財を得て〔そののち〕、分与を為しました。そして、わたしにとって、戒ある者たちは、愛しき者たちとして〔世に〕有りました。清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1112—1113. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 (ウッタラ)パーヤーシ・ヴィマーナが、第十となる。

 

 パーヤーシの章が第六となり、〔以上で〕終了となる。

 

 その〔章〕のための摂頌となる。

 

 〔そこで、詩偈に言う〕「二つの在家者、果実の施者、二つの在所の施者、行乞〔の施食〕の施者、まさしく、そして、麦の番人、二つの耳飾をした者、パーヤーシがあり、男たちの〔天宮の〕第二の章と呼ばれる」と。

 

2. 3. 美しく置かれたものの章

 

2. 3. 1. チッタラター・ヴィマーナヴァットゥ(チッタラターの天宮の事例)

 

1114. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「たとえば、三十三天のなかの最上にして最勝の庭園たる〔天の〕チッタラター林が光り輝くように、その喩えのように、あなたのこの天宮は、〔一切の方角を〕照らしながら、空中に止住します。

 

1115. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1116. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1117. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。貧しく救いなく哀れな労夫として〔世に〕有りました。さらに、老いた母と父を養いました。そして、わたしにとって、戒ある者たちは、愛しき者たちとして〔世に〕有りました。清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1118—1119. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 チッタラター・ヴィマーナが、第一となる。

 

2. 3. 2. ナンダナ・ヴィマーナヴァットゥ(ナンダナの天宮の事例)

 

1120. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「たとえば、三十三天のなかの最上にして最勝の庭園たる〔天の〕ナンダナ林が光り輝くように、その喩えのように、あなたのこの天宮は、〔一切の方角を〕照らしながら、空中に止住します。

 

1121. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1122. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1123. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。貧しく救いなく哀れな労夫として〔世に〕有りました。さらに、老いた母と父を養いました。そして、わたしにとって、戒ある者たちは、愛しき者たちとして〔世に〕有りました。清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1124—1125. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 ナンダナ・ヴィマーナが、第二となる。

 

2. 3. 3. マニトゥーナ・ヴィマーナヴァットゥ(宝珠の柱の天宮の事例)

 

1126. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の柱があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

1127. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

1128—1129. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1130. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1131. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。荒野の道において、橋を作りました。さらに、諸々の園地の木々を育成しました。そして、わたしにとって、戒ある者たちは、愛しき者たちとして〔世に〕有りました。清信した心の者となり、そして、食べ物を、さらに、飲み物を、広大なる布施を、恭しく施しました。

 

1132—1133. それによって、わたしに、このような色艶があります。……略……。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 マニトゥーナ・ヴィマーナが、第三となる。

 

2. 3. 4. スヴァンナ・ヴィマーナヴァットゥ(黄金の天宮の事例)

 

1134. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「〔この〕天宮は、黄金で作られている山のうえにあり、全てにわたり光り輝き、金の網に覆われ、鈴の網が設けられています。

 

1135. 八角の見事に作られた諸々の柱があり、〔それらの〕全てが瑠璃で作られています。一つ一つの角において、七つの宝玉が化作されています。

 

1136. 瑠璃と黄金のものとして、そして、水晶と白銀のものとして、諸々の瑪瑙と真珠〔の宝珠〕によって、さらに、諸々の紅玉の宝珠によって。

 

1137. 彩りあざやかで意が喜びとする地上は、そこにおいて、塵は舞い上がらず、諸々の垂木の群れは、黄金色に化作され、頂きを保持します。

 

1138. そして、四つの梯子が、四方に化作され、種々なる宝玉の諸々の部屋から、太陽のように遍照します。

 

1139. そこにおいて、四つの欄干が、等分に計量され区分され、四方に遍きにわたり、発光しながら輝きわたります。

 

1140. その最も優れた天宮において、〔あなたは〕大いなる光ある天子として、昇り行く太陽のように、色艶によって輝きまさります。

 

1141. あなたの、この果は、布施の〔報い〕なのですか、そこで、また、あるいは、戒の〔報い〕なのですか、さらに、合掌の行為の〔報い〕なのですか。〔問いを〕尋ねられた者として、それを、わたしに告げ知らせてください」と。

 

1142. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1143. 〔天子が答えた〕「わたしは、アンダカヴィンダにおいて、覚者のために、太陽の眷属のために、〔世の〕教師たる方のために、精舎を作らせました──清信した者となり、自らの〔両の〕手で。

 

1144. そこにおいて、そして、香料を、かつまた、花飾を、さらに、日用品を、塗料を、精舎を、〔世の〕教師たる方に施しました──清信した心で。それによって、わたしの、この〔天宮〕は得られました。〔わたしは〕自在に転起させます──〔天の〕ナンダナ〔林〕において。

 

1145. そして、種々なる鳥たちの群れが満ち溢れる、喜ばしき〔天の〕ナンダナ林において、仙女たちに囲まれ、諸々の舞踏と歌詠によって喜び楽しみます」〔と〕。ということで──

 

 スヴァンナ・ヴィマーナが、第四となる。

 

2. 3. 5. アンバ・ヴィマーナヴァットゥ(アンバの天宮の事例)

 

1146. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の柱があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

1147. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

1148—1149. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。……略……。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1150. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1151. 〔天子が答えた〕「〔四つの〕夏〔の月〕の最後の月に、太陽が輝き渡るなか、他者たちの雇われ人が、アンバ〔樹〕の園地に〔水を〕注ぎます。

 

1152. そこで、そこに、『サーリプッタ』という〔名で世に〕聞こえた比丘が、やってきました。身体としては疲れた様子なるも、まさしく、心としては疲れなく。

 

1153. そして、彼が至り来るの見て、〔わたしは〕言いました──アンバ〔樹〕に〔水を〕注ぐ者として。『善きかな、尊き方よ、〔わたしは〕あなたに沐浴してもらいたいのです。それは、わたしに安楽をもたらすものとして存するでしょう』〔と〕。

 

1154. 〔まさに〕その、わたしへの、慈しみ〔の思い〕によって、〔彼は〕鉢と衣料を置きました。〔彼は〕一なる衣料の者となり、日影のある木の根元に坐りました。

 

1155. 〔わたしは〕人として、清信した意図ある者となり、そして、澄んだ水をもって、彼に、一なる衣料の者に、日影のある木の根元において沐浴してもらいました。

 

1156. そして、アンバ〔樹〕は〔水が〕注がれ、かつまた、沙門は沐浴してもらうところとなり、そして、わたしによって、少なからざる功徳が追い求められたのです。かくのごとく、その〔わたし〕は、喜悦によって、自己の全ての身体を充満します。

 

1157. まさしく、これだけの、その行為を、その生において、〔わたしは〕為しました。人間の肉身を捨棄して〔そののち〕、〔天の〕ナンダナ〔林〕に再生した者として存しています。

 

1158. そして、種々なる鳥たちの群れが満ち溢れる、喜ばしき〔天の〕ナンダナ林において、仙女たちに囲まれ、諸々の舞踏と歌詠によって喜び楽しみます」〔と〕。ということで──

 

 アンバ・ヴィマーナが、第五となる。

 

2. 3. 6. ゴーパーラ・ヴィマーナヴァットゥ(牛飼いの天宮の事例)

 

1159. 高く、長きに止住する、天宮において、天〔の神〕を見て、比丘は尋ねた──手に装飾品を付けた、福徳ある者に──天の天宮において、あたかも、また、月のように〔福徳ある天の神に〕。

 

1160. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「〔あなたは、装いを〕十分に作り為し、花環を〔身に〕付け、美しい衣で、美しい耳飾で、髪と髭を整え、手に装飾品を付けた、福徳ある者であり、天の天宮において、あたかも、また、月のようです。

 

1161. そして、善き形姿ある六十四者の手練の者たちが、諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。さらに、三十三〔天〕を歩む秀逸なる天の少女たちが、舞い、歌い、〔あなたを〕歓喜させます。

 

1162. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1163. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1164. 〔天子が答えた〕「わたしは、人間たち〔の世〕において、人間として有った者です。〔牛飼いのわたしは〕他者たちの乳牛を、〔一所に〕集めて、守っていました。そして、そののち、わたしの前に、沙門がやってきました。かつまた、牛たちは、諸々の豆を喰うために〔豆畑へと〕赴きました。

 

1165. 『そして、今日、〔わたしには〕二つの義務がある──〔沙門への布施と牛たちの世話という〕二つの為すべきことが』〔と〕、尊き方よ、まさしく、かくのごとく、そのとき、わたしは思い考えました。そして、そののち、〔正しい〕表象()を根源のまま獲得した〔わたし〕は、『尊き方よ、〔わたしは〕施します』と、〔粥を包んだ〕ぼろ布を、〔沙門に〕投げました。

 

1166. 〔まさに〕その〔わたし〕は、急ぎ、豆畑へと降り行きました。その〔豆畑〕の、この財(作物)を、この〔牛〕が打ち砕く前に。そして、そののち、大いなる毒ある黒蛇が、急ぎの者として存しているわたしの足を咬みました。

 

1167. 〔まさに〕その、わたしは、苦痛に責め苛まれ苦悩する者として存しています。そして、比丘は、自ら、その〔飯を包んだ〕ぼろ布を解いて、わたしへの慈しみ〔の思い〕によって、粥を食べました。そこから死滅し、命を終えた〔わたし〕は、天神として〔世に〕存しています。

 

1168. まさしく、その善なる行為が、わたしによって為されました。そして、安楽なる行為〔の報い〕を、自己みずから受領します。尊き方よ、まさに、あなたによって大いに慈しまれた者として、知恩〔の思い〕をもって、あなたを賞揚します。

 

1169. 牟尼よ、天を含み、さらに、魔を含む、世において、あなたより他に、慈しみ〔の思い〕ある者は存在しません。尊き方よ、まさに、あなたによって大いに慈しまれた者として、知恩〔の思い〕をもって、あなたを敬拝します。

 

1170. 牟尼よ、この世において、また、あるいは、他〔の世〕において、あなたより他に、慈しみ〔の思い〕ある者は存在しません。尊き方よ、まさに、あなたによって大いに慈しまれた者として、知恩〔の思い〕をもって、あなたを敬拝します」〔と〕。ということで──

 

 ゴーパーラ・ヴィマーナが、第六となる。

 

2. 3. 7. カンダカ・ヴィマーナヴァットゥ(カンダカの天宮の事例)

 

1171. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「あたかも、星宿に取り囲まれた満月における月が、星々の君主である月が、遍きにわたり巡り行くように──

 

1172. その喩えのように、この天の宮殿は、そして、天の都において、昇り行く太陽のように、色艶によって輝きまさります。

 

1173. 瑠璃と黄金のものとして、そして、水晶と白銀のものとして、諸々の瑪瑙と真珠〔の宝珠〕によって、さらに、諸々の紅玉の宝珠によって。

 

1174. 彩りあざやかで意が喜びとする地上は、〔一面に〕瑠璃が広げられ、諸々の喜ばしく浄美なる楼閣があり、あなたには、見事に造作された高楼があります。

 

1175. そして、あなたには、喜ばしき蓮池があります。多毛〔魚〕たちが慣れ親しみ、澄んだ水をたたえ、清らかで、諸々の金の砂礫が広げられています。

 

1176. 種々なる赤蓮に等しく覆われ、諸々の白蓮が生い茂っています。諸々の快意なる〔香り〕が、風に揺らぎただよい、芳香を等しく香り行かせます。

 

1177. あなたの、その〔蓮池〕の両側には、見事に造作された林や茂みがあります──花ある木々を具したものとして、さらに、同様に、果ある木々を〔具したものとして〕。

 

1178. 柔和にして、毛布が敷かれた、黄金の足ある寝台のうえで、天の王のように坐っている〔あなた〕に、仙女たちは奉仕します。

 

1179. 一切の装飾品に等しく覆われ、種々なる花飾に飾られた〔仙女〕たちは、大いなる神通あるあなたを喜ばせます。〔あなたは〕自在の転起ある者のように歓喜します。

 

1180. 諸々の太鼓や法螺貝や小鼓によって、諸々の琵琶によって、さらに、諸々の銅鼓によって、喜びに満ちた者となり、舞踏と歌詠を、善き音楽を、喜び楽しみます。

 

1181. あなたには、様々な種類の天の形態()があり、諸々の天の音声()があり、さらに、諸々の〔天の〕味感()があります。そして、あなたには、諸々の志向するところの臭気()があり、かつまた、諸々の意に適う感触(所触)があります。

 

1182. 天子よ、その最も優れた天宮において、〔あなたは〕大いなる光ある者として、昇り行く太陽のように、色艶によって輝きまさります。

 

1183. あなたの、この果は、布施の〔報い〕なのですか、そこで、また、あるいは、戒の〔報い〕なのですか、さらに、合掌の行為の〔報い〕なのですか。〔問いを〕尋ねられた者として、それを、わたしに告げ知らせてください」と。

 

1184. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1185. 〔天子が答えた〕「わたしは、釈迦〔族〕の者たちの最上の都である、カピラヴァットゥにおいて〔世に有りました〕。わたしは、スッドーダナ〔王〕の子(ブッダ)とは生を共にする者であり、カンダカ(ブッダの愛馬)として〔世に有りました〕。

 

1186. すなわち、彼(ブッダ)が、真夜中に、菩提のために〔城から〕出たとき、彼は、柔和なる〔両の〕手で、そして、輝き光る赤銅の〔十指の〕爪で、わたしを〔撫でさすり〕──

 

1187. 腿を打ち叩いて、そして、『友よ、運び行け』と説きました。『わたしは、世〔の人々〕を超え渡すであろう──最上の正覚に至り得た者となり』〔と〕。

 

1188. わたしが、その言葉を聞いていると、わたしには、広大なる笑喜が有りました。そのとき、わたしは、勇躍する心の者となり、悦意の者となり、願い求めました。

 

1189. そして、釈迦族の方が、偉大なる福徳ある方が、わたしに乗ったのを知って、勇躍する心の者となり、歓喜した者となり、最上の人士たる方を運び行きました。

 

1190. 他者たちの領土に赴いて、太陽が昇ったとき、わたしを〔捨棄して〕、さらに、〔馭者の〕チャンナを捨棄して、彼は、期待なき者となり、去り行きました。

 

1191. 彼の、赤銅の爪をした〔両の〕足を、〔わたしは〕舌で遍く舐めました。そして、赴きつつある偉大なる勇者を、〔わたしは〕泣きながら見守りました。

 

1192. 彼に、釈迦族の方に、吉祥なる方に、お会いできないので、わたしは、重き病苦を得ました。すみやかに、わたしには、死が有りました。

 

1193. まさしく、彼の威力によって、〔わたしは〕この天宮に住します。そして、天の都において、一切の欲望の属性を具した天の〔天宮〕に。

 

1194. そして、すなわち、菩提〔樹〕における〔覚者の〕声を聞いて、わたしに、笑喜が有りました。まさしく、その善根によって、〔わたしは〕煩悩の滅尽を体得しました。

 

1195. 尊き方よ、まさに、それで、もし、〔世の〕教師たる覚者の現前に、〔あなたが〕赴くなら、わたしのためにもまた、彼に、言葉をもって、頭をもって、敬拝〔の言葉〕を説かれますように。

 

1196. わたしもまた、勝者に、対する人なき方に、お会いするために赴きます。世の主たる方たちに、如なる方たちに、お会いすることは、得難きこととして〔世に〕有ります」と。

 

1197. 彼は、知恩の者は、報恩の者は、〔世の〕教師たる方のもとへと近づいて行った。眼ある方の言葉を聞いて、法(真理)の眼を清めた。

 

1198. 悪しき見解を、疑惑〔の思い〕を、そして、諸々の〔悪しき〕掟(戒禁取)を、清めて〔そののち〕、〔世の〕教師たる方の〔両の〕足を敬拝して、まさしく、その場において、消没した。ということで──

 

 カンダカ・ヴィマーナが、第七となる。

 

2. 3. 8. アネーカヴァンナ・ヴィマーナヴァットゥ(無数の色艶の天宮の事例)

 

1199. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「無数の色艶ある〔天宮〕に、懊悩と憂いの坐なき〔天宮〕に、無数の彩りある天宮に登って、仙女たちの群れに取り囲まれ、美しく化作された〔あなた〕は、地上の長であるかのように歓喜します。

 

1200. 福徳によって、そして、功徳によって、さらに、神通によって、〔あなたと〕等しく同等の者は存在せず、また、どうして、より上なる者がいるというのでしょう。そして、三十三〔天〕の衆たる天〔の神々〕たちは、〔彼らの〕全てが、共に赴いて、〔まさに〕その、あなたを礼拝します──天〔の神々〕たちが、月を〔礼拝する〕ように。そして、あなたのために、これらの仙女たちは、遍きにわたり、舞い、歌い、〔あなたを〕歓喜させます。

 

1201. 〔あなたは〕天の神通に至り得た者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1202. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は……略……これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1203. 〔天子が答えた〕「幸甚なる方よ、過去において、わたしは、スメーダという名の勝者(過去仏)の弟子として〔世に〕有りました。わたしは、凡夫として、随覚することなき者として、〔世に〕存しています。〔まさに〕その、わたしは、七年のあいだ、遍歴遊行しました。

 

1204. 〔まさに〕その、わたしは、スメーダ〔世尊〕の、勝者にして〔世の〕教師たる方の、完全なる涅槃に到達した方の、激流を超えた方の、如なる方の、宝玉を積み上げ金の網に覆われた〔塔〕を敬拝して、塔にたいし、意を清信させました。

 

1205. わたしに、布施は存在しませんでした。そして、わたしには、施すべきものも存在しません。しかしながら、まさに、そこにおいて、他者たちを受持させました。『供養されるべき方の、その遺物を、〔あなたたちは〕供養しなさい。このように、まさに、ここから、〔あなたたちは〕天上に赴くでしょう』〔と〕。

 

1206. まさしく、その善なる行為が、わたしによって為されました。そして、天の安楽を、自己みずから受領します。わたしは、三十三〔天の神々〕たちの群れの中において歓喜します。いまだ、その功徳の滅尽に到達していません」〔と〕。ということで──

 

 アネーカヴァンナ・ヴィマーナが、第八となる。

 

2. 3. 9. マッタクンダリー・ヴィマーナヴァットゥ(艶やかな耳飾の天宮の事例)

 

1207. 〔婆羅門が尋ねた〕「〔装いを〕十分に作り為し、艶やかな耳飾をし、花飾を〔身に〕付け、黄の栴檀〔の香り〕芳しくも、〔あなたは、両の〕腕を突き上げて泣き叫ぶ。あなたは、林の中で、何を苦しんでいるのですか」と。

 

1208. 〔若者が答えた〕「わたしに、黄金で作られている光輝ある車の乗物が現われたのですが、その〔車〕のための組となる車輪を、〔わたしは〕見出しません。その苦しみによって、〔わたしは〕生命を捨棄します」と。

 

1209. 〔婆羅門が尋ねた〕「黄金で作られているものも、宝珠で作られているものも、紅玉で作られているものも、さらに、白銀で作られているものも──幸いなる者よ、若者よ、〔どの車輪が欲しいのかを〕わたしに告げ知らせよ。組となる車輪を、あなたに奉施します」と。

 

1210. その若者は、彼に説いた。〔若者が答えた〕「月と日は、両者ともに、ここにおいて、〔この眼で〕見られます。黄金で作られている、わたしの車は、その〔両者〕を組とする車輪によって、美しく輝きます」と。

 

1211. 〔婆羅門が言った〕「若者よ、まさに、あなたは、愚者として存しています。すなわち、あなたは、望み求めるべきではないものを望み求めます。〔わたしは〕思います──あなたは死ぬでしょう。なぜなら、あなたは、月と日を、〔両者ともに〕得られないからです」と。

 

1212. 〔若者が言った〕「〔月と日の〕両者ともに、ここにおいて、〔その〕色艶と界域(実質的要素)は、〔その〕道程において、〔この眼で見られます〕。去り行くところと至り来るところもまた、〔この眼で〕見られます。命を終えた餓鬼(婆羅門の死んだ子)は、〔この眼で〕見られません。泣き叫んでいる者たちのなかで、いったい、この〔世において〕、誰が、より愚者なのですか」と。

 

1213. 〔婆羅門が言った〕「若者よ、まさに、〔あなたは〕真理を説く。泣き叫んでいる者たちのなかで、わたしこそは、より愚者なのだ。〔去り行く〕月に泣き叫ぶ幼児のように、命を終えた餓鬼を望み求めるとは(死んだ子を求めても無駄である)。

 

1214. 酪を注いだ火のように、まさに、燃え盛る者として存しているわたしを、〔その〕一切の懊悩を、水を降り注ぐかのように、〔あなたは〕寂滅させる。

 

1215. 心臓(心)に依拠する憂い悲しみを、わたしの矢を、まさに、引き抜いてくれた。すなわち、憂い悲しみに打ち負かされたわたしの、子〔の死〕の憂い悲しみを、除き去ったのだ。

 

1216. 〔まさに〕その、わたしは、矢が引き抜かれた者として存している。〔心が〕清涼と成り寂滅した者として存している。〔わたしは〕憂い悲しまない。〔わたしは〕泣き叫ばない。若者よ、あなたの〔言葉を〕聞いて〔そののちは〕」と。

 

1217. 〔婆羅門が尋ねた〕「いったい、〔あなたは〕天神として存しているのですか、音楽神として〔存しているのですか〕、それとも、プリンダダ(都の破壊者)たる帝釈〔天〕として〔存しているのですか〕。あなたは、あるいは、誰なのですか、あるいは、誰の子なのですか。どのように、わたしどもは、あなたのことを知るべきですか」と。

 

1218. 〔若者が答えた〕「そして、すなわち、〔あなたは〕泣き叫び、さらに、すなわち、泣き悲しみます──火葬場において、自らの子を焼いて。〔まさに〕その、〔あなたの子である〕わたしは、善なる行為を為して、三十三天〔の神々〕たちとの共住に赴いたのです(天界に再生した)」と。

 

1219. 〔婆羅門が尋ねた〕「あるいは、少なきものも、あるいは、多きものも、〔わたしどもは〕見ません──自らの家において施している〔あなた〕の布施を、あるいは、そのような斎戒の行為を。どのような行為によって、〔あなたは〕天の世に赴いた者として存しているのですか」と。

 

1220. 〔若者が答えた〕「わたしは、病苦の者であり、苦痛の者であり、病む者であり、自らの住居地において、病者の形態ある者として存するも、覚者(ブッダ)を、〔世俗の〕塵を離れ去った方を、〔一切の〕疑いを超え渡った方を、善き至達者たる方を、至上の智慧ある方を、見ました。

 

1221. 〔まさに〕その、わたしは、歓喜した意の者となり、清信した心の者となり、如来に、合掌を為しました。わたしは、その善なる行為を為して、三十三天〔の神々〕たちとの共住に赴いたのです」と。

 

1222. 〔婆羅門が言った〕「まさに、稀有なることです。まさに、未曾有のことです。合掌の行為に、このような報いがあるとは。わたしもまた、歓喜した意の者となり、清信した心の者となり、まさしく、今日、覚者を帰依所に進み行きます。

 

1223. 〔若者が言った〕「まさしく、今日、覚者を帰依所に進み行きなさい。そして、法(教え)を、さらに、僧団を、清信した心の者となり。まさしく、そのように、破断と亀裂なき五つの境処(五戒)を学んで、受持するのです。

 

1224. すみやかに、命あるものを殺すことから離れなさい。世において与えられていないものを遍く避けなさい。酒を飲まない者として〔世に有りなさい〕。そして、虚偽を話してはいけません。さらに、自らの妻で満足している者として〔世に〕有りなさい」と。

 

1225. 〔婆羅門が言った〕「夜叉よ、わたしにとって、〔あなたは〕義(利益)を欲する者として存しています。天神よ、〔あなたは〕益を欲する者として存しています。〔わたしは〕あなたの言葉を為します。わたしにとって、あなたは、師匠として存しています。

 

1226. 帰依所として、覚者のもとへと、そして、また、無上なる法(教え)へと、〔わたしは〕近しく至ります。さらに、人と天〔の神〕の帰依所として、僧団へと、わたしは赴きます。

 

1227. すみやかに、命あるものを殺すことから離れます。世において与えられていないものを遍く避けます。酒を飲まない者として〔世に有ります〕。そして、虚偽を話しません。さらに、自らの妻で満足している者として〔世に〕有ります」〔と〕。ということで──

 

 マッタクンダリー・ヴィマーナが、第九となる。

 

2. 3. 10. セーリーサカ・ヴィマーナヴァットゥ(セーリーサカの天宮の事例)

 

1228. 聞きたまえ──そして、夜叉と、さらに、商人たちと、〔両者の〕遭遇が、そのとき、そこにおいて有ったとおりに──さらに、また、すなわち、話が、相互のあいだで見事に語られたとおりに──全ての者たちよ、そして、それを聞きたまえ。

 

1229. すなわち、その〔夜叉〕は、パーヤーシという名の王として〔世に〕有った。地居〔の神々〕たちとの共住に赴いた者であり、福徳ある者である。彼は、まさしく、歓喜しながら、自らの天宮において、人間ならざる者は、人間たちに語りかけた。ということで──

 

1230. 〔夜叉が尋ねた〕「人間ならざる者が依って立つ猜疑の林において、水少なく食少なき砂漠において、極めて赴き難い砂の道の中央において、猜疑に恐怖し意気消沈している人間たちよ。

 

1231. ここに、諸々の果も、さらに、諸々の根から作られるものも、存在しません。燃料も存在しません。ここに、どうして、食物があるというのでしょう。そして、諸々の砂塵より、さらに、諸々の砂礫より、他に〔何があるというのでしょう〕。そして、諸々の熱せられた(※)暑気より、さらに、諸々の辛酸より、〔他に何があるというのでしょう〕。

 

※ テキストには tatāhi とあるが、PTS版により tattāhi と読む。

 

1232. 不毛〔の地〕にして、熱せられた釜のようであり、薄幸〔の地〕にして、他の世に比すべきところであり、この〔地〕は、残忍な者たちの古き居住所であり、土地の地域としては、呪われた形態あるところです。

 

1233. そこで、あなたたちは、何を理由に、何を願望しながら、まさに、この地域に入り込んだのですか──〔それも〕無理やり超え行って。貪欲からですか、恐怖からですか、さらに、あるいは、等しく遍く迷乱したからですか」と。

 

1234. 〔商人たちが答えた〕「マガダ〔国〕における、さらに、アンガ〔国〕における、隊商の長たちとして、多々なる商品を積載して、〔まさに〕その〔わたしたち〕は、シンドゥ〔地方〕のソーヴィーラの地に行くところです──財を義(目的)として、利潤を望み求めながら。

 

1235. 昼には、渇きに耐えられず、かつまた、車馬への慈しみを顧慮しながら、夜には、時ならざるに道を行き、〔この地に〕入り行きます──この勢いで、全ての者たちが。

 

1236. 〔まさに〕その〔わたしたち〕は、進み行き難く、道を反れ、林のなかで、盲目の迷者たちとなり、遭難したのです。極めて赴き難い砂の道の中央において、遍く迷乱した心の者たちとなり、方角を知りません。

 

1237. 夜叉よ、そして、あなたを、さらに、最勝の天宮を、さてまた、この、過去に見たことがないものを見て、〔今や〕それ以上の生命を願望している〔わたしたち〕です──〔救い手となるべきあなたを〕見て、満足した者たちとなり、悦意の者たちとなり、勇躍する者たちとなり」と。

 

1238. 〔夜叉が尋ねた〕「海の彼方へと、そして、この砂〔の道〕を、杖で歩む〔道〕を、さらに、杭の道を、〔そのような赴き難い〕道を、また、そして、諸々の山にある諸々の川の難所を、財物を因として、多々なる方角へと、〔あなたたちは〕赴きます。

 

1239. 他者たちの領土に飛び込んで、諸々の国の人間たちを眺め見ている〔あなたたち〕です。親愛なる者たちよ、すなわち、あなたたちによって、あるいは、聞かれたもので、さらに、あるいは、また、見られたもので、あなたたちにとって稀有なるものを、それを、〔わたしどもは〕お聞きしたいのです(他国で見聞したことを聞かせてほしい)」と。

 

1240. 〔商人たちが答えた〕「年若き方よ、わたしたちによって、あるいは、聞かれたもので、さらに、あるいは、また、見られたもので、これよりもなお、稀有なるものはありません。まさしく、過去の人間のもので、至上の色艶ある全てのものを見ても、〔わたしたちは〕満足しません(※)。

 

※ テキストには disvāna tappāma とあるが、注釈書により disvā na tappāma と読む。

 

1241. 諸々の蓮池は、宙空において流れ行き、沢山の花環があり、多くの白蓮があり、そして、これらの木々は、常に果を実らせ、諸々の香りは、頻繫に芳香を香り行かせます。

 

1242. 百の直立する瑠璃の柱があり、かつまた、宝石や珊瑚の長大なる柱頭があり、諸々の瑪瑙があり、諸々の紅玉が共にあり、これらの柱は、諸々の輝石で作られています。

 

1243. 千の柱があり、無比なる威厳があり、この美しい天宮は、それらの上にあります。宝玉の間には、黄金の手すりが差し渡され、そして、諸々の輝く板によって美しく覆われています。

 

1244. これは、精錬されたジャンブー川〔の金〕にして、善く磨かれた高楼と梯子段を具有し、そして、堅固で、かつまた、麗美で、なおかつ、見事に集いあつまり、あまりに極めて快意にして、〔誰もが〕納得し受認するものです。

 

1245. 宝玉の間には、多くの食べ物と飲み物があり、〔あなたは〕仙女たちの群れに取り囲まれ、小鼓や太鼓の楽器が鳴らされ、賛嘆と敬拝をもって敬拝される者として存しています。

 

1246. 〔まさに〕その〔あなた〕は、女たちの群れ〔の声〕で目覚める者であり、意が喜びとする優れた天宮の高楼において歓喜します。不可思議なる者であり、一切の徳を具有した者であり、あたかも、〔天の〕ナリニー〔の蓮池〕におけるヴェッサヴァナ王(毘沙門天)のようです。

 

1247. いったい、〔あなたは〕天〔の神〕として存しているのですか、あるいは、また、夜叉として〔存しているのですか〕。それとも、人間と成った天のインダ(帝釈天)として〔存しているのですか〕」〔と〕。隊商の長たる商人たちは、彼に尋ねる。「告げ知らせてください──まさに、誰なのですか、あなたは、夜叉として存しているのですか」と。

 

1248. 〔夜叉が答えた〕「まさに、わたしは、セーリーサカという名の夜叉です。砂の道において、難所を守る者です。ヴェッサヴァナ王の言葉を為す者として、この地域を警護します」と。

 

1249. 〔商人たちが尋ねた〕「あなたにとって、偶然に得られたものですか、〔必然による〕変化から生じるものですか、それとも、自ら作り為したものですか、天〔の神々〕たちによって与えられたものですか」〔と〕。隊商の長たる商人たちは、彼に尋ねる。「どのように、この快意なるものは、あなたによって得られたのですか」と。

 

1250. 〔夜叉が答えた〕「わたしにとって、偶然に得られたものではなく、〔必然による〕変化から生じるものではなく、自ら作り為したものではなく、まさに、天〔の神々〕たちによって与えられたものでもありません。自らの、諸々の悪ならざる行為によって、諸々の功徳によって、この快意なるものは、わたしによって得られたのです」と。

 

1251. 〔商人たちが尋ねた〕「あなたにとって、どのようなものが、掟なのですか、また、どのようなものが、梵行なのですか。これは、どのような善き行ないの報いなのですか」〔と〕。隊商の長たる商人たちは、彼に尋ねる。「どのように、この天宮は、あなたによって得られたのですか」と。

 

1252. 〔夜叉が答えた〕「〔わたしが〕コーサラ〔国〕の王権を為した、そのとき、わたしには、『パーヤーシ』という呼称が有りました。〔わたしは〕『〔何であれ〕存在しない』という見解の者として、吝嗇の者として、悪しき法(性質)の者として、かつまた、断絶の論ある者として、そのとき、〔世に〕有りました。

 

1253. そして、まさに、クマーラ・カッサパ沙門が、多聞の者として、様々な言説ある者として、秀逸なる者として、〔世に〕存しました。そのとき、彼は、わたしに、法(真理)の言説を語り、わたしの、諸々の見解の狂騒を除き去りました。

 

1254. わたしは、彼の、〔まさに〕その、法(真理)の言説を聞いて、在俗信者たることを、〔彼に〕知らせました。命あるものを殺すことから離れた者として〔世に〕有りました。世において与えられていないものを遍く避けました。酒を飲まない者として〔世に有りました〕。そして、虚偽を話しませんでした。さらに、自らの妻で満足している者として〔世に〕有りました。

 

1255. わたしにとって、それが、掟であり、また、それが、梵行です。これは、その善き行ないの報いです。まさしく、それらの、諸々の悪ならざる行為によって、諸々の功徳によって、この天宮は、わたしによって得られたのです」と。

 

1256. 真に、まさに、智慧を有する人たちは言った──他なることなく、賢者たちの言葉を。「そのところ、そのところに、善き行為〔の報い〕ある者が赴くなら、そのところ、そのところに、欲するままに欲する者となり、歓喜する。

 

1257. そのところ、そのところに、そして、憂いと嘆きある者としてあり、そして、殴打の者としてあり、そして、結縛の者としてあり、遍き〔心の〕汚れある者としてあるなら、そのところ、そのところに、悪しき行為〔の報い〕ある者として赴き、いついかなる時も、悪しき境遇から解き放たれない」と。

 

1258. 〔商人たちが尋ねた〕「等しく迷乱した形態の人のように、〔あなたは〕成りました──この寸時のうちに、泥に作り為されたかのように。年若き方よ、さてまた、〔天の〕人たる、〔まさに〕この、あなたに、いったい、まさに、何によって、不興が有ったのですか」と。

 

1259. 〔夜叉が答えた〕「親愛なる者たちよ、そして、これらのシリーサ〔樹〕の林は、天の香りがあり、諸々の芳香が等しく香り行きます。この天宮は、それら〔の香り〕を等しく香り行かせます──そして、昼に、さらに、夜に、闇を打破して。

 

1260. そして、これら〔の木々〕の果皮は、まさに、百年が過ぎると、一つ一つが張り裂けます。人間としての百年が過ぎ行き、それから以降は、〔天の〕衆のうちにあり、ここに再生したのです。

 

1261. 親愛なる者たちよ、わたしは、五百年のあいだ、〔安楽を〕見て、この天宮に止住して〔そののち〕、寿命の滅尽あることから、功徳の滅尽あることから、〔いずれ〕死滅するでしょう。まさしく、その憂いによって、〔わたしは〕混迷した者として存しています」と。

 

1262. 〔商人たちが言った〕「いったい、どのように、そのような種類の者が、彼が、憂い悲しむというのでしょう──長きにわたり、無比なる天宮を得て。しかしながら、また、それらの者たちが、まさに、暫しのあいだ再生した者たちであるなら、彼らは、微小なる功徳の者たちであり、たしかに、憂い悲しむべきなのでしょう」と。

 

1263. 〔夜叉が言った〕「すなわち、愛ある言葉を、あなたたちは、わたしに知らせます。それは、わたしにとって、至当なることであり、かつまた、教え諭されるべきことです。親愛なる者たちよ、そして、あなたたちは、まさに、わたしに守られた者たちです。そこが求めるところであるなら、〔無事〕安穏に、そこに去り行きたまえ」と。

 

1264. 〔商人たちが言った〕「わたしたちは、シンドゥ〔地方〕のソーヴィーラの地に赴いて、財を義(目的)として、利潤を望み求めながら、専念〔努力〕のままに、施捨を円満成就し、盛大なるセーリーサカ祭を為すでしょう」と。

 

1265. 〔夜叉が言った〕「まさしく、そして、〔今のままで〕セーリーサカ祭を為してはいけません(その前にやるべきことがある)。すなわち、〔改悛の言葉を、あなたたちが、わたしに〕知らせるなら、そして、〔その〕全てが、あなたたちのために成るでしょう。諸々の悪しき行為を避けなさい。そして、法(教え)への専念を確立しなさい。

 

1266. この集まりのなかに、在俗信者が存在します。多聞の者であり、戒と掟を具有した者です。そして、信ある者であり、かつまた、施捨ある者であり、さらに、極めて博愛なる者です。明眼の者であり、満足の者であり、思慧ある者です。

 

1267. 正知しつつ虚偽を話しません(故意に嘘をつかない)。他者を害することを思い考えません。陰口と中傷を為しません。そして、優雅で友誼ある言葉を話します。

 

1268. 尊重〔の思い〕を有する者であり、敬虔〔の思い〕を有する者であり、〔正しく〕教え導かれた者です。悪しき〔行為〕なき者であり、卓越の戒において清浄なる者です。その人は、母を、さらに、また、父を、法(正義)によって養います──聖なる生活者として。

 

1269. 思うに、彼は、母と父を動機とすることから、諸々の財物を遍く探し求めます──自己を因としてではなく。そして、彼は、母と父の死後には、離欲に傾く者(涅槃を志向する者)となり、梵行を歩むでしょう。

 

1270. 〔心が〕真っすぐで、湾曲なく、狡猾〔の性行〕なく、幻惑〔の策略〕なく、さらに、計略をもって取り仕切ることもありません。彼は、如なる者であり、善行の行為を為す者であり、法(正義)に依って立つ者であり、どのようなわけで、苦しみを得るというのでしょう。

 

1271. 〔わたしは〕彼を動機とすることから、〔自己の姿を〕自己みずから明らかと為した者として〔ここに〕存しています(彼のために姿を現わし、商人たちの命を助けた)。それゆえに、商人たちは、法(真理)を見よ。彼が他にあるなら、ここに、〔あなたたちは〕灰に成るところなのです。林のなかで、盲目の迷者たちとなり、遭難したのです。軽佻なるは、彼を嘲笑している他の者との〔交際であり〕、安楽なるは、まさに、正なる人士との交際なのです」と。

 

1272. 〔商人たちが尋ねた〕「彼は、まさに、どのような者で、そして、どのような行為を為すのですか。彼には、どのような命名があり、かつまた、どのような姓があるのですか。夜叉よ、わたしたちもまた、彼を見ることを欲します──彼への慈しみ〔の思い〕によって、ここに到来した者として、〔あなたが〕存しているなら。まさに、彼には、諸々の利得があります──彼のために、あなたが熱望するからには」と。

 

1273. 〔夜叉が答えた〕「彼は、理髪師で、サンバヴァという命名があり、櫛と果に依拠して生きる在俗信者です。彼のことを、〔あなたたちは〕知っています。彼は、あなたたちの下僕です。彼のことを、まさに、蔑んではいけません。彼は、極めて博愛なる者です」と。

 

1274. 〔商人たちが言った〕「夜叉よ、あなたが説く〔その理髪師のことを〕、彼のことを、〔わたしたちが〕知っているとして、まさに、彼のことを、『彼は、このような者として〔世に有る〕』とは知りません。夜叉よ、わたしたちもまた、彼を供養します。あなたの秀逸なる言葉を聞いて〔そののちは〕」と。

 

1275. 〔夜叉が言った〕「彼らが誰であれ、この隊商における人間たちは──青年たちも、老年たちも、さらに、あるいは、また、中年たちも──彼らは、まさしく、全ての者たちが、天宮に登れ。吝嗇の者たちよ、諸々の功徳の果を見よ」と。

 

1276. そこにおいて、彼らは、まさしく、全ての者たちが、「まずは、わたしが」と、そこにおいて、その理髪師を尊んで、彼らは、まさしく、全ての者たちが、天宮に登った──ヴァーサヴァ(帝釈天)のマサッカサーラ〔宮殿〕のような〔天宮〕に。

 

1277. そこにおいて、彼らは、まさしく、全ての者たちが、「まずは、わたしが」と、在俗信者たることを〔彼に〕知らせた。命あるものを殺すことから離間した者たちと成った。世において与えられていないものを遍く避けた。酒を飲まない者たちと〔成った〕。そして、虚偽を話さなかった。さらに、自らの妻で満足している者たちと成った。

 

1278. そこにおいて、彼らは、まさしく、全ての者たちが、「まずは、わたしが」と、在俗信者たることを〔彼に〕知らせて、隊商は、随喜しつつ立ち去った──繰り返し、夜叉の神通を思い知らされ。

 

1279. 彼らは、シンドゥ〔地方〕のソーヴィーラの地に赴いて、財を義(目的)として、利潤を望み求めながら、専念〔努力〕のままに、利得を円満成就し、つつがなく、パータリプッタに戻った。

 

1280. 彼らは、自らの家に赴いて、安穏なる者たちとなり、子たちと妻たちを保有する状態となり、歓嘆の者たちとなり、歓悦の者たちとなり、悦意の者たちとなり、満足した者たちとなり、盛大なるセーリーサカ祭を為した。彼らは、セーリーサカ僧房を造作した。

 

1281. このようなものとして、正なる人士たちと慣れ親しむことはある。大いなる義(利益)あるものとして、法(正義)の徳ある者たちと慣れ親しむことはある。一者の在俗信者の義(利益)のために、有情たちは、まさしく、全ての者たちが、安楽の者たちと成った。ということで──

 

 セーリーサカ・ヴィマーナが、第十となる。

 

2. 3. 11. スニッキィッタ・ヴィマーナヴァットゥ(美しく置かれたものの天宮の事例)

 

1282. 〔モッガッラーナ長老が尋ねた〕「この天宮は、高く、宝珠の柱があり、十二ヨージャナの遍きにわたります。七百の秀逸なる楼閣があり、諸々の瑠璃の柱があり、諸々の金砂が広げられ、浄美なるものです。

 

1283. そこにおいて、〔あなたは〕坐し、飲み、そして、咀嚼します。そして、〔楽人たちが〕諸々の天の琵琶を、麗美に奏でます。ここにおいて、諸々の天の味があり、五つの欲望の属性があります。そして、黄金に覆われた女たちが舞います。

 

1284. 何によって、あなたに、そのような色艶があるのですか。何によって、あなたに、ここに、〔そのような色艶が〕実現し、そして、あなたに、諸々の財物が生起するのですか。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

1285. 天〔の神〕よ、大いなる威力ある者よ、あなたに、〔わたしは〕尋ねます。人間として有った〔あなた〕は、何を、功徳として作り為したのですか。何によって、このように、燃え盛る威力ある者として存しているのですか。そして、あなたの色艶は、一切の方角に光り輝きます」と。

 

1286. モッガッラーナ〔長老〕に尋ねられ、わが意を得たその天子は、問いを尋ねられた者として説き明かした──これが、どのような行為の果であるのかを。

 

1287. 〔天子が答えた〕「善き至達者たる方の塔において、汚く置かれた花飾を美しく置いて、据え置いて〔そののち〕、そして、〔わたしは〕天の諸々の欲望〔の対象〕を保有する者と成り、大いなる神通ある者として、大いなる威力ある者として、〔世に〕存しています。

 

1288. それによって、わたしに、このような色艶があります。それによって、わたしに、ここに、〔このような色艶が〕実現し、そして、わたしに、諸々の財物が生起します。それらが何であれ、意に愛しきものとして。

 

1289. 比丘よ、大いなる威力ある方よ、あなたに、〔わたしは〕告げ知らせます。人間として有ったわたしは、それを、〔功徳として〕作り為したのです。それによって、このように、燃え盛る威力ある者として〔世に〕存しています。そして、わたしの色艶は、一切の方角に光り輝きます」〔と〕。ということで──

 

 スニッキィッタ・ヴィマーナが、第十一となる。

 

 美しく置かれたものの章が第七となり、〔以上で〕終了となる。

 

 その〔章〕のための摂頌となる。

 

 〔そこで、詩偈に言う〕「二つの貧しき者、林と精舎、雇われ、牛飼いとカンダカ、無数の色艶と艶やかな耳飾、セーリーサカ、美しく置かれたものがあり、男たちの〔天宮の〕第三の章と呼ばれる」と。

 

 第四の朗読分は〔以上で〕終了となる。

 

 ヴィマーナヴァットゥ聖典は〔以上で〕終了となる。