性能諸元
型式 CBA-ZC32S
エンジン M16A
駆動方式 FF
最大出力 136ps(100kW)/6,900rpm
最大トルク 16.3kgf·m/4,400rpm
ミッション 6速
レブリミット 7000rpm
ホイールベース 2,430mm
全長 3,890mm
全幅 1,695mm
全高 1,510mm
車両重量 1,050kg(後期1,040kg)
サスペンション F:ストラット/R:トーションビーム
乗車定員 5名
PCD/H 114.3/5H
概要
2011年に誕生したZC32S型はスイフトスポーツとしては3代目となり、デカいkeiだった初代HT81S型から大きく変化した2代目ZC31S型の正常進化と言える仕上がりとなっている。1.6L自然吸気エンジンとしてはB16Bや4G92、SR16VEと比べると大幅に出力の低いM16Aも、最近のコンパクトスポーツとしてフィットやデミオ、ヴィッツ等と比べると100cc大きい排気量も相まって有利である。そのため全日本ジムカーナPN1クラスでは一時期多く使われ、全日本ダートトライアルPN1クラスでは2024年現在でも多数を占めている。2024年七大戦G1クラスは殆どがこの車であった。
エンジン
構成 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量 1,586cc
内径×行程 78mm×83mm
圧縮比 11
出力・トルク 136ps/6,900rpm・16.3kgf·m/4,400rpm
ZC32S型に搭載されているM16Aエンジンは、ZC31S型のものに比べ馬力で11ps、トルクで1.2kgf·m増加している。これは可変吸気システムの採用とそれに伴うトルクの増加、そしてバルブリフト量を増加させたためである(らしい)。またZC31S型まで採用されていた鍛造ピストンは採用されていない。
ちなみに七大戦G1クラス、D1クラスの排気量制限は1,586ccまでである。
先代、次代との関係
見た目はそっくりな先代ZC31S型とZC32S型だが、中身はちょっとずつ違う。ZC32S型になりドライブシャフトの強度が強くなり、またミッションも変更され6速になっている(ちなみにキザシの欧州用6速がベースらしい)。純正ホイールは16インチから17インチに大型化された。しかし同じ部分が多く、流用が容易な部品が多い。
ZC33S型はターボも付き、見た目も大きく変わっている…がミッションの中身は同じらしく2速までトリプルコーンシンクロなZC32Sに3速までトリプルコーンシンクロなZC33S用のシンクロが流用できるらしい。またサスペンションはフロントのみ流用できるらしい。全部伝聞なので試すなら自己責任で
ZC31Sからの流用
ZC31Sから114.3/5Hは変更されていないので、ZC31Sの純正16インチホイールを装着する事ができる。オフセットやリム幅の関係から、ジムカーナではリアにZC31S型の純正ホイールを付ける人が多い。また、サスペンションもお安いZC31S型用サスペンションを買えば使える。筆者のZC32SはZC31S用オーリンズDFVを購入し装着した。装着に基本的に問題はないものの、ブレーキホースは角度の問題でタイラップ留めになり、またキャンバーボルト等入れずに自然にネガティブキャンバーが付いた。ちなみにストラットリバウンドストッパーは微妙に違う。
ZC31SからZC32Sへの流用は問題がそんなに発生しないものの、逆は何かと厄介である。ZC31SにZC32Sの純正17インチを付けるとハブ径がキツくて外れなくなり、サスペンションはポジティブキャンバーがついた。
持病
自動車部にいる他の車に比べて圧倒的に不具合の少ない車であるが、一応小さいながら持病的なものはある。備忘録的に書いておく
・スロットルの汚れによるアイドリングの不安定→スロットルボディーの清掃で解決
・アッパーマウントがヘタりやすく、ボディ穴とリバウンドストップワッシャーに隙間が空きやすい→MSEの強化アッパーマウントはヘタり対策がされている。また、ボディ穴とリバウンドストップワッシャーの間にドーナツ状のゴムを挟むのも有効。これはスイフトに限らずフィット等ボディとストラットが棒1本で固定されている車で発生しやすい。
他車との比較
さて、ここでライバルとなる他車の性能と比較してみよう(1位,2位,3位)
車名 排気量 馬力・トルク 車重 ミッション ホイールベース(mm)
デミオ(DE5FS) 1.5L 113ps・14.3kgf·m 970kg 5MT 2490
フィット(GE8) 1.5L 120ps・14.8kgf·m 1050kg 5MT/6MT 2500
フィット(GK5) 1.5L 132ps・15.8kgf·m 1070kg 6MT 2530
ヴィッツ(NCP13) 1.5L 109ps・14.4kgf·m 960㎏ 5MT 2370
ヴィッツ(NCP91) 1.5L 110ps・14.4kgf·m 1030㎏ 5MT 2460
スイフト(HT81S) 1.5L 113ps・14.3kgf·m 930㎏ 5MT 2360
スイフト(ZC31S) 1.6L 125ps・15.1kgf·m 1060㎏ 5MT 2390
マーチ(AK12) 1.2L 110ps・13.7kgf·m 960kg 5MT 2430
マーチ(K13改) 1.5L 116ps・15.9kgf·m 1010kg 5MT 2450
ノート(E12改) 1.6L 140ps・16.6kgf·m 1080kg 5MT 2600
スイフト(ZC32S) 1.6L 136ps・16.3kgf·m 1050kg 6MT 2430
おまけ
シビック(EK9) 1.6L 185ps・16.3kgf·m 1070kg 5MT 2620
ミラージュ(CJ4A) 1.6L 175ps・17.0kgf·m 1060kg 5MT 2415
これを見ると、ZC32Sは他車に対して重めではあるが、出力・トルクで有利であると分かる。そして出力では同等性能のノート・フィットに比べホイールベースが短く、車両価格が安い、また部品も出るため維持が容易というのが、この車が七大戦でよく見受けられる理由であろう。