SW20

トヨタが誇る国産ミッドシップスポーツカー、MR2の2代目。

往年の花形ジムカーナ車両の一つであり、当時は、エアコン・オーディオなどの一切の快適装備が排除されたジムカーナ専用グレードなるものが密かに存在したらしい。

MRならではのトラクション、ターボエンジンから絞り出されるハイパワーは現在でも高い戦闘力を誇り、学生大会では後輪駆動最高峰の戦闘力だと思われる。コスパは神。


特徴とか

前後の重量配分は42:58、さすがにリアが重いため軽量化の際はそちらを優先したい。雨や雪はスーパーアンダーマシンと化す。

NAとターボではデフ、ドラシャの流用が効かないため注意が必要である。

セリカ ST185 RCのギア流用で純正クロスミッションになるらしい。(現在廃盤)

現在ジムカーナ用途でクロスを組むならクスコくらいしか選択肢がない。

ECUはそこそこ有能、ブーストアップするとやや濃いめに補正してくれるらしい。

燃料系もマージンは割と大きくある、さすがトヨタ。燃料ポンプの方が限界は低いようなので変えるならそこから。

サージタンクの形状からして2番3番シリンダーに一気に大量に空気が入るため、ピストントップの燃焼状態は2番3番が少し薄くなる。ピストンの棚落ちはそこが圧倒的に多い模様。 できることならECUの気筒間補正マップで補正率を上げた方が良い。1番4番へのサージタンク、インマニ研磨とかも多少は効果あるかも...?

サイドワイヤーが伸びやすく、個体差もあるが競技前の再調整は必須といってもよい

型式ごとの主な差異

1型

SW20型で唯一、みんな大好きくるくるハンドルの設定があるのがこの1型。しかし残念ながら何故かパワーウィンドウの方が軽いらしい・・・故障が少ないくらいしか利点が無い・・・無念。

ステアリングにテレスコピック機能がついている。

また、1型のみブレーキが小径であり、純正で14インチのホイールが設定されている。このため、2型以降のジムカーナ車両では1型ブレーキ流用での軽量化が行われたりする。

3型

ここで制御がエアフロからDジェトロになる、ブーストアップなどを考えるのであれば3型以降がオススメ。インジェクターは540cc、燃料ポンプは165Lに大容量化、タービンもCT26から大容量・ツインスクロール形状のCT20Bに変更された。(このため1-2型と3型以降のタービン流用は効かない) ちなみにどちらもランクルとかと同じ

結果としてGTグレードターボの出力が245馬力に向上された。ノーマル状態からのブーストアップ(1.0)で260馬力くらいは出せるらしい。

また、3型から採用されたスポーツABSはこの時代では珍しく割とまともに使えるモノとのこと(著者の車両はABSレス)

このABSの開発者がそもそもジムカーナで使えるものを作ろうとしたという逸話がある。


整備

エンジン上抜きもできるらしいが真相やいかに・・・

ノックセンサーが壊れやすいらしいので、ブースト不良や点火不良などがみられるようであれば要チェック

ミッションがめちゃくちゃに重いから乗せ降ろしが非常につらい...でもなんだかんだ人間ミッションジャッキが一番早くて楽

ラジエーターはターボの方がNAより大きい。なぜかNAでもATだとターボと同じラジエーターらしい

ABSセンサがナックルに固着していることが多いので、無理して外そうとせずにカプラー側で外したほうが無難

フロントのスタビリンクがショックに取り付ける構造になっており、ケースの形状によってはハンドリングの抵抗になっていることがある。ロアアームにブラケットを取り付けて移設すると具合がよくなる

足回りがストラットなのでキャンバーをつけるにはピロアッパーかキャンバーボルトを取り付ける必要がある。トヨタの補修用ボルトでもキャンバーをつけることができるが、負荷がかかるとズレやすいため競技ユースではお勧めしない。

アライメントは、最低限リアトーがアウトにならないように気を付けるべし。車高を変えるとアライメントも変化するぞ。

定番の故障

・ストップランプスイッチクッション

ブレーキペダルの根本のパーツ。経年劣化でポロリと壊れるとブレーキランプが付きっぱなしになりバッテリーが上がる。安いのでMR2を購入したらすぐ確認したい。


・パワステリレー

品番末尾10の場合、リレートラブルによるパワステ故障が多い。イグニッションオンにした瞬間リレーをコツコツ叩くと直るという応急処置が有名。

原因がリレーでない場合、パワステドライバかパワステコンピュータが原因の場合が多い。

1980~2000年辺りまで用いられた、液漏れで有名な「第四級アンモニウム塩」を電解液に用いたコンデンサが各種基板に搭載されているため、実質時限爆弾である。PSコンピュータのトラブルはほとんどがコンデンサの液漏れ由来。可能であればECUコンデンサのリフレッシュなどもしておくと安心かもしれない。


・トランク雨漏り

エンジンフードサイドパネルのトランク側のネジのゴムワッシャーがなくなると、そこからトランクに浸水する。


・ロービームのみ点灯しない

ウィンカー/ライトスイッチからダッシュボードに伸びる配線の、カプラー端子との接続部分が炭化して通電しなくなると発生する。そこの配線だけ部品が出るので部分交換で対応できることが多い


・集中ロック故障

内部のロータリースイッチ?の不具合である場合が多いらしい。頑張れば現物修理も可能かも