TCE-1 コンプレッサー
コンプレッサーを適用するだけで、静かなサウンドを大音量に、逆に騒々しいサウンドのボリュームを小さくできます。好みに合わせて、音のダイナミクスをわずかに変更したり、大きな効果を得るために極端な設定をしたりすることが可能です。
コンプレッサーは入力信号のレベルを連続して測定し、それによって出力信号のボリュームをコントロールします。各コントロールの機能は以下のとおりです:
THRESHOLD コンプレッサーが動作し始める入力信号の大きさを設定します。低く設定すると、コンプレッサーはほとんどの入力に対し動作します。高く設定すると入力信号の非常に大きな部分でのみ反応します。
RATIO いったん入力信号がTHRESHOLDで決めた値を上回った場合、どの程度コンプレッサーで信号を抑えるのかを、RATIOコントロールで決定します。低く設定すると控えめにボリュームを下げ、最大にするとほとんどボリュームは変化しません。
ATTACK いったん入力信号がTHRESHOLDで決めた値を上回った場合、どの程度すばやく反応するかを、ATTACKコントロールで決定します。低く設定するとほとんど瞬時に反応(リミッターとして有効)します。高く設定すると、反応までにある程度の時間がかかるので、音の立ち上がり部分を通過させたい場合(例:スネアドラム)に便利です。
RELEASE いったん入力信号がTHRESHOLDで設定した値を下回ったとき、音量を通常の大きさまでどのくらいすばやく戻すのかを、RELEASE コントロールで決定します。低く設定すると、ほとんど瞬時に音量が元に戻ります。高く設定すると、音量が元に戻るまである程度の時間がかかるため、リバー ブのかかったドラムループにおいて、各ビートの後で跳ねた鋭いサウンドを作り出すのに使うことができます。
OUTPUT コンプレッサーは入力信号の音量を下げることによってのみ動作しますが、このページの最初では、小さなサウンドを大きくできると述べました。OUTPUTコントロールは、この音量が下がってしまう点を「埋め合わせる」ために使われます。これによって、最大出力をほぼオリジナルの信号レベルと同じにすることが可能です。
RMS/PEAK 入力信号レベルを見積もるために、コンプレッサーが用いる方法を決定します。PEAKは最大のレベルに反応し、リミッターとして使われます。RMSは人間の耳により自然に響く平均的な手法を用いるので、一般にリミッター以外の目的で使われます。。
し かし、コンプレッサーの概念は非常に単純なため、1つのコントローラの調整が、他のコントローラーにも同程度の影響を与えてしまう傾向にあり、望んだ結果 を出せるようになるためには、多くの経験を必要とします。コンプレッサーの動作を理解するために、コンプレッサーのメーターを活用しましょう。赤いバーの 動きはもっとも重要です。なぜなら、それはコンプレッサーによって減少しているボリュームの量を示しており、その結果、どれほど強くコンプレッサーが作用 しているかわかるからです。
リミッターとして使うには、PEAK入力設定を選択し、RATIOを最大、ATTACK、RELEASE、およびOUTPUTは最小にします。このようにすれば、THRESHOLDを使うことで上限レベルを操作できます。
それ以外の用途では、RATIOを大きめに設定し、ATTACK、RELEASE、およびOUTPUTは最小にします。そして望みの音量レベル付近で赤いバーが反応するまで、THRESHOLDを小さくします。それからRATIOの調整を試してみましょう。気に入った設定になるまで、RATIOとTHRESHOLDを繰り返し調整する必要があるかもしれません。最後に、ATTACKとRELEASEを調整し、ピークの入力レベルと出力レベルが同じになるよう、OUTPUTを設定します(メーターを使って確認できます)。