第19回気象学史研究会「メソ気象:研究と予報の歴史」開催 (2026/05/23)のお知らせ
第19回気象学史研究会を2026年度春季大会に合わせ、下記の要領で開催いたします。
開催日時:2026年5月23日(土)14:00~16:00
会場:北とぴあ806会議室(東京都北区王子1-11-1 ・ 日本気象学会春季大会会場ではありません)・Zoomによりオンライン中継
プログラム:
1. メソ気象学の歴史-竜巻研究を中心として- 新野 宏(東京大学大気海洋研究所)
2. 予報業務とメソ気象‘学’-大雨予測を中心に- 高瀬邦夫(名古屋大学減災連携研究センター)
主催:日本気象学会気象学史研究連絡会
趣旨
「メソ気象 (mesometeorology)」の概念が提唱されたのは20世紀半ばであった。それから半世紀以上が経った現在、メソ気象学の発展と気象業務における展開を振り返ることは意義深いであろう。今回の研究会では、新野 宏氏と高瀬邦夫氏のお2方に話題提供して頂き、メソ気象学の研究と気象業務の歴史について認識を深める機会にしたい。
本会合は気象学史研究に関心を持つ、より多くの方の間の情報・意見交換をうながすため、学会員以外の方にも広く参加を呼びかけて開催する。
参加方法:参加を希望されさる方は会場・オンラインに関わらず、事前申し込みをお願いいたします。
参加申込フォームへのリンク
https://forms.gle/cvV7PrtJgHtsofi86
日本気象学会員であるか、春季大会に参加するかどうかに関わらず、関心のある方はどなたでもご参加いただけます。
参加費は無料です。
オンライン中継についておことわり
オンライン中継は会場に大勢の方々に集まっていただくことが難しい 状況や、日頃会場への参加が容易でない方に参加の機会を広げるなど、多くの可能性がありますが、さまざまな理由により、接続が切断されたり画像・音声が途切れたりして、講演を十分にお楽しみいただけなかったり、質疑応答への参加に制約をお願いするなど、十分に満足いただけるような参加ができないこともあります。最悪の場合まったく中継ができなくなるおそれもあります。あらかじめご了承ください。
Zoom練習会
今回のオンライン中継はウェブ会議ツールZoomを使用いたします。Zoomの使用が初めての方、不慣れな方で、練習の機会があれば参加されたいという方は、参加申込フォームでその旨お知らせください。希望者が多い場合は練習の機会を準備いたします。
2. 講演要旨
1.メソ気象学の歴史-竜巻研究を中心として-
新野 宏(東京大学大気海洋研究所)
メソ現象に関心が向けられるようになったのは、レーダーで降水システムが観測されることが分かったことが大きいと思われる。レーダーで積乱雲が探知できることは、1941年2月に英国で発見されていたが、第二次大戦終了までは軍事機密とされていた。
「メソ気象」という言葉が文献で最初に使われたのは、Ligda(1951)によるアメリカ気象学会のCompendium of Meteorologyの中のradar storm observationの解説のようである。そこでは、1地点の観測から把握するには大きいが、総観天気図から把握するには小さいスケールの現象として定義されている。その後、メソスケールの定義には、様々なものが提案されたが、現在ではOrlanski(1975)の20~2000kmという定義が広く受け入れられている。
メソ現象は数々の多様で興味深い擾乱から成るが、そのすべての研究の歴史に触れる時間は無いので、本講演では竜巻研究の歴史に絞って紹介することにしたい。
2.予報業務とメソ気象‘学’-大雨予測を中心に-
高瀬邦夫(名古屋大学減災連携研究センター)
現在の気象庁の予報業務におけるキーワードの筆頭は「線状降水帯」であろう。また、‘気象学’としての線状降水帯も、「組織化された対流性降水雲群」の典型として、メソ気象学分野の古くて新しい研究対象だと考えている。
気象業務においては、1960年代後半の‘相次ぐ豪雨災害’(同じフレーズが多用される昨今より一桁ほど多い年間犠牲者)から、予算要求では「台風・集中豪雨対策」が重点事項となり、近年の「線状降水帯・台風等の予測精度向上の強化」に至っている。
これに対し、数値予報の高解像度化、観測システムの高度化と並行して、予報現場では事例解析を基に、調査研究報文・予報技術検討会などで様々な予測技術向上のアプローチが試みられてきた。しかし、総観気象(≒天気図スケール)に比べ、メソ気象学の研究成果に裏付けられた予報作業の進化の歩みは遅かった。
一方で、防災対策、特に命を守るための洪水・土砂災害発生判断に必要な雨量の定量的予測は、一層重要になってきた。このために、運動学的予測をベースとした、降水短時間予報(解析雨量含む)が現業化され、水害の危険度情報(気象庁キキクル)に結実している。
研究会では、気象庁の予報現場での大雨予測とメソ気象学との係わりの歴史の一端を紹介したい。
(2026/4/10)