第13回気象学史研究会「戦前日本におけるベルゲン学派気象学への対応」を開催しました(2023/5/13)

第13回気象学史研究会「戦前日本におけるベルゲン学派気象学への対応」を日本気象学会2023年度春季大会(会場:オンライン+東京大学)会期にあわせて5月13日(土)に開催しました。当研究会では初めて、大会会場以外で現地開催し、前回に続きオンライン中継も行いました。会場約15名・オンライン約50名あわせて約65名の方がご参加くださいました。

今回は「戦前日本におけるベルゲン学派気象学への対応」をテーマとして開催しました。Vilhelm Bjerknes(1862-1951)らベルゲン学派と呼ばれる研究者たちにより展開された気象学はその低気圧モデルをはじめとして今日でも気象予報や気象教育の場において強い影響力を保持しています。

こうした当時最先端の気象学に対し、独自の日本の気象学を進展させてきた戦前日本の気象界はどのように対応したのか、中央気象台を中心とした気象学者・気象技術官の活動を多くの資料・文献から明らかにしてまとめられた左高豊武氏(元・東京大学大学院)に「戦前日本におけるベルゲン学派気象学への対応―中央気象台における対応例:公刊資料を中心に」と題してご講演いただき、欧米流の気団論や局地的な気象変化に注目した不連続線分析など多様で豊かな議論の存在を示されました。

続いて長く気象庁の予報現場で天気図解析に携わられた永澤義嗣氏(元・気象庁)に「わが国の天気図に見る大気理解の発達史」と題して、日本の天気図における解析の歴史を振り返り、気象学の理論がどのように現場での天気図解析・大気理解に反映されてきたのかご講演いただきました。

講演後の質疑応答も活発に行われました。日本の気象界が国際的な気象学の展開にどのように対応しつつ自らの気象解析技術・現象理解を発展させようとしてきたのか理解を深めることができたと思います。

運営上は、特にオンライン中継について多くの問題がありましたが、会場への参加が難しい方にも多数ご参加いただけたことはよかったと思います。アンケートでいただいた多くのご意見も参考に今後さらに改善していきたいと考えます。

最後にご講演いただいた左高氏・永澤氏、前回に続きボランティアとして運営にご協力くださった遠藤正智氏・岸 誠之助氏(順不同)の各位に厚く御礼申し上げます。日本科学史学会関東支部からご後援をいただきました。日本気象学会講演企画委員会および日本気象学会2023年度大会実行委員会から多くの支援を受けました。深く感謝申し上げます。本研究会の開催にあたっては気象学会の研究連絡会等活動補助金の支給を受けました。(2023/06/13)

第13回気象学史研究会「戦前日本におけるベルゲン学派気象学への対応」(2013年5月13日・SOBIZGATES(東京都新宿区)D会議室)にて講演された左高豊武氏(a)と永澤義嗣氏(b)。(c)今回初めて大会会場外での開催であったが多くの参加者があり、オンライン中継にも多数の参加があった。

研究会の講演動画を公開しました。  (2023/6/19

公開をご了承くださった左高氏・永澤氏に感謝申し上げます。

講演の著作権は講演者にあり,その権利を尊重する必要があります。著作権法で認められた範囲内でご利用ください。ダウンロード、複製、転載は禁じます。

左高豊武(元・東京大学大学院)「戦前日本におけるベルゲン学派気象学への対応―中央気象台における対応例:公刊資料を中心に」

永澤義嗣(元・気象庁)「わが国の天気図に見る大気理解の発達史」