東京理科大学近代科学資料館企画展「富士山観測-日本気象学の礎を築いた中村精男と和田雄治」の見学会を開催しました(2024/10/31)
2024年10月31日(木)午後、東京理科大学近代科学資料館(東京都新宿区)の企画展『富士山観測-日本気象学の礎を築いた中村精男と和田雄治』(主催:東京理科大学近代科学資料館。12月14日(土) まで公開)の見学会を開催しました。12名の参加でした。
東京理科大学の前身にあたる東京物理学講習所を1881年に創設した(1883年から東京物理学校)のは東京大学物理学科を卒業して間もない21名の青年でした。本企画展はこれら創設者21名を紹介するシリーズ2回目で、大学卒業後揃って内務省地理局(東京気象台)に奉職し、日本の気象事業の発展に貢献した中村精男(1855-1930)と和田雄治(1859-1918)の2人が取り上げられました。
本展示の企画に携わられた大石和江学芸員に、展示のねらいや構成、展示品の経緯など詳しく解説していただきました。富士山頂での史上初の自然科学的測定に参加して以来の富士山観測の取り組み、中央気象台長を28 年間、東京物理学校長を34年にわたって務めた中村の精神的支柱となった松下村塾の教育、エスペラント普及への貢献、海流の調査や朝鮮の科学史など和田の多彩な研究調査活動、中村・和田が『東京物理学校雑誌』に発表した多くの文章による科学知識の普及の取り組みなど、展示品の数々が紹介されました。
解説に続いて、参加者の方それぞれ時間をかけて展示を観覧されました。観覧中には参加者同士の情報交換・交流も図られ、理解を深められていたようです。
気象学史研究連絡会として、このような見学会は2017年にJPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」(東京都千代田区)の特別展示『雲の伯爵―富士山と向き合う阿部正直』の見学会を開催して以来となります。これからも気象学史に関する研究推進に資するため、このよう博物・資料展示や施設等の見学会などを随時実施していきます。
最後になりますが、今回の開催にあたりお忙しい中ご対応くださった大石 学芸員をはじめ、東京理科大学近代科学資料館のみなさまに厚く御礼を申し上げます。(2024/11/01)
(a)朝鮮総督府観測所長時代和田雄治が李氏朝鮮で考案された測雨器を世界に広く紹介するとともに、所長退任時の1915年、現存する唯一の測雨器「錦営測雨器」を日本に持ち帰ったことで、さまざまに評価されている、と解説する大石学芸員(b)の説明に耳を傾ける。