第19回気象学史研究会「メソ気象:研究と予報の歴史」を開催しました(2026/5/23)
第19回気象学史研究会を日本気象学会2026年度春季大会に合わせ5月23日(土)に北とぴあ(東京都北区) で開催しました。会場での現地開催に加え、オンライン中継も行いました。会場13名・オンライン中継78名あわせて91名の参加がありました。
今回は「メソ気象:研究と予報の歴史」をテーマとして、メソ気象学の発展と気象業務における展開を振り返りました。新野 宏氏(東京大学大気海洋研究所)と高瀬邦夫氏(名古屋大学減災連携研究センター)に講演いただき、それを受けて議論を行いました。
新野氏は「メソ気象学の歴史-竜巻研究を中心として-」と題して講演されました。最初に、メソ気象学(mesometeorology)の概念は、第二次大戦後、気象レーダー観測により、微気象と総観気象の中間(meso)規模に降水形成に重要な現象が存在することが認識されると共に形成されたことが述べられ、続いて、多種多様なメソ現象の中から竜巻研究の歴史が報告されました。竜巻研究は気象レーダー観測技術の進歩と電子計算機の発展に伴って発展してきたこと、近年は我が国でも恵まれた計算機環境と充実した常時観測網を活かして、世界最先端の竜巻研究が数多く発表されてきたことなどが紹介されました。
高瀬氏は「予報業務とメソ気象‘学’-大雨予測を中心に-」と題して講演されました。日本で大水害が頻発し「集中豪雨」の語が初めて現れた1953年を中央気象台・気象庁の大雨予測の出発点とし、その後の取り組みの歴史が多くの資料を基に報告されました。詳細な観測資料の収集・解析による現象把握、気象レーダーのデジタル化を基礎とした雨量分布把握・ナウキャスト技術の発展・危険度分布(キキクル)導入、モデルの非静力学化と4次元同化導入・高解像度化、降水ガイダンス算出といった数値予報の発展など、数多くの取り組みが積み重ねられ、線状降水帯直前予測・「新たな防災気象情報」といった今日の施策に繋がっていることが紹介されました。
講演後は、集中豪雨の把握や予測に必要な観測の実態や将来の見通し、雨量予測の今後の発展、集中豪雨・線状降水帯と地球温暖化との関連、防災情報の発表と利用のあり方などについて活発な質疑応答が行われました。70年以上に及ぶメソ気象の研究と予測の歴史を振り返ることで今後のメソ気象学の発展と大雨予測・防災対策のさらなる充実のため重要な示唆が得られたことと思います。
最後にご講演いただいた新野氏・高瀬氏に厚く御礼申し上げます。本研究会の開催にあたっては日本気象学会講演企画委員会および日本気象学会2026年度春季大会実行委員会から多くの支援を受けました。深く感謝申し上げます。また日本気象学会の研究連絡会等活動補助金の支給を受けました。(2026/7/6)
第19回気象学史研究会「メソ気象:研究と予報の歴史」(北とぴあ(東京都北区))806会議室で講演した新野 宏氏(a)・高瀬邦夫氏(b)。 現地会場に加えオンライン中継にも多くの参加があった(c)。
公開をご了承くださった 新野氏・高瀬氏に感謝申し上げます。
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