リリリ、リリリ、と音がする。
多分、鈴虫、秋の音色。
彼らは草むらで、秋の詩を歌う。
そこかしこで、詩のよみくらべ。
鈴虫だけでは物静かだと、コオロギたちが騒ぎだす。
浅草の蝉はまだ歌い足りぬ、とジージージワジワらんちき騒ぎ。
昼も夜も騒ぎだし、世は末法、騒乱の時代。
―幕―