有意信号の恋愛歌
本能が、宝石のように輝く惑星を撮影させる。デジタル信号に変換し、基地局へ送る。
零と一の狭間には何もなく、そもそも零自体が無いことを示す。
有と無によって紡がれた、たった一つの信号は、宝石を表すぼくだけの歌。
――美しき君よ、その輝きを失うことなかれ。
触れることなどできず、ただ遠くから眺めるだけ。
触れようとすれば、ぼくは焼き尽くされる気がする。
本能のままにぼくは旅を続ける。
ああ美しき君。
近づけば、その大きさに圧倒される。
輝ける君は、天空の美女。
いつしかぼくの歌は基地局に届かなくなり、ぼくはぼくのために歌う。
さぁ、今日も歌おう、愛しき君の歌を。
―幕―