目的
教育学習支援情報システム(CLE,Collaboration and Learning Environment)研究会は,コース管理システム(Course Management System,CMS)やeポートフォリオシステム,教務システムなど,高等教育機関における教育・学習に関わる基盤・応用技術に関する研究発表および実践発表を通じて,大学教育を支援する情報技術の発展に貢献することを目指しています.本研究会の発起人の多くは,平成17年に調査研究運営委員会の下に教育学習支援情報システム研究グループ(CMS研究グループ,http://www.ulan.jp/sigcms/)を発足させ,4年間の活動を通して当該分野におけるコミュニティ形成を進めてきました.これまでにCMS研究グループとして,計11回の研究会(内1回はコンピュータと教育研究会(CE研究会)と共催)や,FIT2007でのCE研究会との共同企画,平成20年度情報教育研究集会での特別セッション企画などを実施してきました.11回の研究会では,144件の一般研究発表,約650名の参加者があり,当該分野における研究開発・教育実践コミュニティの形成が着実に進んできています.また,開催校の成果発表を行いやすいよう,開催校にあわせたテーマ設定をするなど工夫をし,開催校からの活発な発表を促すことで,コミュニティの拡大を図ってきました.具体的には,以下のようなテーマで開催致しました.
授業のコンテンツ化
e ラーニング授業設計と学習・教育支援環境の連携
CMS におけるユーザインタフェース
CMS を利用した授業・学習の可視化
キャンパス情報システム
CMS 活用と運用
利用者支援
CMS と e-Portfolio
これらのテーマにあわせて毎回13件程度の研究・実践報告発表があり,招待講演やチュートリアルにも多くの参加者があったことから,研究グループとしての4年間の活動でコミュニティ形成の第一段階は成功したと考えています.しかし,eポートフォリオによる学習成果の蓄積・公開,オープンコースウェアによる教材のオープン化など,「大学教育のオープン化」という新たな流れも生まれてきており,本研究会が対象とする教育学習支援情報システムを中核とする分野が拡大しつつあります.
研究グループを設立した4年前は,大学教育を支援する情報技術としてコース管理システム(CMS)が主要なターゲットであったが,最近は大学教育の支援にはCMSだけでなくeポートフォリオシステムや教務システムなど様々な情報システムが連携した環境(CLE,Collaboration and Learning Environment)が重要となってきています.CLEに関する研究開発は,情報技術の進歩と教育現場での改善を相互に影響させながらスパイラル状に発展させることが極めて重要であります.特に,これらの導入・運用においては産学連携が必須であり,シーズ・ニーズ・ウォンツの源泉である大学と開発・運用を支援する産業界との連携の場を提供することは,教育・研究現場にとっても,また産業界にとっても意義深いことです.しかも,「コミュニティソース」と呼ばれる産学連携によるオープンソースベースのCLE開発が北米を中心に行われ始めており,CLEの研究開発から運用まで見越した産学連携の模索が必要になってきています.
そこで,CMSコミュニティをベースとした研究グループを第1種の研究会へ発展させ,今後は,CLEに関する技術開発を中核に,教育支援・学習支援に関わる新しい実践・事例研究を,産学連携の流れの中で取り込みながら,基礎研究・実証研究・成果展開にまたがる研究開発のスパイラル構造を形成することで,当該分野の技術発展に貢献することを目指します.
研究会活動としては,これまでの研究グループでの活動と同様,年3回の研究会開催に加え,コンピュータと教育(CE)研究会との共催研究会や,FITや全国大会でのセッション企画,論文誌特集号の企画などに加え,コミュニティソースとしての成果の蓄積・普及などを検討しておりますので,皆様の研究会への登録をお願いします.平成22年度の研究会登録が開始しましたら(平成22年1月上旬予定),情報処理学会サイト(http://www.ipsj.or.jp/09sig/kenkyukai/toroku.html)から登録可能です.