要旨:我々は脳内の細胞・神経ネットワークがどのような「ふるまい」をすることで感情・情動や認知を形成していくのかという大きな疑問を基に、動物の行動を駆動する機能的メカニズムを研究しています。神経細胞の「ふるまい」の一端である神経活動やシナプス可塑性は内外の刺激に適応するために動的に変化する脳機能の中核要素であり、その生理学的な応答を明らかにすることは、脳の仕組みの理解と共に精神神経疾患の病態解明にも繋がる神経科学における根本的課題の一つです。我々は、細胞・シナプス解像度で行動と神経基盤の因果関係を可視化・解析するための新たな分子ツールの開発を通して、従来の手法では解明困難だった高い空間時間分解能でのシナプス動態・神経細胞集団の同定・解析を行っています。本セミナーでは神経活動・シナプス動態それぞれに着目したツールを紹介し、その応用可能性について議論できればと思います。
略歴:
2007年4月 - 2013年4月 日本医科大学医学部卒業
2013年4月 - 2015年3月独立行政法人国立国際医療研究センター
内科系初期研修医
2015年4月 - 2019年3月 東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻神経生理学分野(狩野方伸研究室)博士課程修了
2019年4月 - 2020年3月東京大学大学院医学系研究科, 神経生理学分野 (狩野方伸研究室), 特任研究員
2020年4月 - 現在Johns Hopkins University School of Medicine, Solomon H. Snyder Department of Neuroscience (Hyungbae Kwon lab), Postdoctoral fellow
(2022年4月 - 2024年3月独立行政法人日本学術振興会, 海外特別研究員)
演者: 長濱健一郎 (JHU)
演題:神経メカニズムの動的変化を捉える分子ツールの開発とその応用
開始時間:2025/5/30(金)17時~
会場:Rangos 590