投稿日: Feb 16, 2021 5:39:31 PM
第72回JSSBセミナーのお知らせです。
<演者>沖野望
(九州大学大学院農学研究院 生命機能科学部門 准教授)
<略歴>
1993年3月 九州大学理学部生物学科卒業
1995年3月 九州大学大学院理学研究科修士課程修了
1998年4月 九州大学大学院農学研究科博士課程退学
1998年5月 九州大学ベンチャービジネスラボラトリー非常勤研究員
1999年3月 博士(農学)の学位取得(九州大学)
1999年4月 日本学術振興会特別研究員 (PD)(九州大学大学院農学研究科)
2001年7月 日本学術振興会特別研究員 (PD)(米国マウントサイナイ医科大学)
2002年4月 日本学術振興会海外特別研究員(米国マウントサイナイ医科大学)
2003年4月 九州大学大学院農学研究院 助教授
2007年4月 九州大学大学院農学研究院 准教授
現在に至る
<講演要旨>
スフィンゴ脂質はグリセロ脂質と共に細胞膜を構成する主要な脂質です。その中でもセラミドに親水性の頭部基が結合したスフィンゴミエリンやスフィンゴ糖脂質は、真核生物において、細胞間認識や接着、細胞膜を介したシグナル伝達など様々な生命現象に関わっています。また、細胞表面に局在するこれら脂質は病原微生物やそれらが生産する毒素の受容体としても知られています。一方、原核生物の中にも一部ですが、スフィンゴ脂質を有している細菌がおり、これら細菌において、スフィンゴ脂質はリポ多糖(LPS)と共に、もしくは単独で細菌の外膜に存在していると考えられています。
我々はこれまでにスフィンゴ脂質の研究に有用な酵素を分泌する細菌を探索して来ましたが、その過程で、スフィンゴ脂質を合成しない緑膿菌がセラミドを脂肪酸とスフィンゴシンに分解するセラミダーゼを分泌することを見出しました。我々は、「緑膿菌がなぜセラミダーゼを分泌するのか?」という疑問に答えるべく、その精製・遺伝子クローニング・遺伝子発現・高次構造解析等を行って来ました。本講演では、緑膿菌セラミダーゼの研究から明らかになった細菌由来スフィンゴ脂質分解酵素の機能、並びに、その研究に関連して見出した細菌スフィンゴ糖脂質合成酵素に関する我々の最新の知見を紹介します。
開始時間:2021年3月11日(木)18時
会場:Zoom