2022/07/29 第75回
GARP複合体のTGN局在メカニズムと小児神経発達症との関連性について (石田森衛)
第75回JSSBセミナーのお知らせです。
<演者>石田 森衛先生 (National Institute of Child Health and Human Development /NIH)
<講演要旨>
ヒトを含め、真核生物はその細胞内で、複雑で高度な膜輸送が行われており、それにより細胞内外の適切な物流が制御されている。また、その機能の破綻はヒトの組織や臓器の異常をもたらす。Golgi-associated retrograde protein (GARP) 複合体は細胞内でTrans-Golgi network (TGN) に局在し、エンドソームからTGNへの小胞の特異的な受け渡しを制御している。また、細胞内から人為的にGARPを欠落させると、本来TGNに局在すべきタンパク質が、正常にTGNに局在できなくなる。さらに、GARP は真核生物の共通起源 Last eukaryotic common ancestor (LECA)に存在していたと想定され、現存するほぼ全ての真核生物にその存在が確認される。つまりGARP は極めて保存性が高く、また、細胞の生存に必要不可欠なタンパク質であることが確認されている。GARP の欠損は、酵母や哺乳類の細胞で、明確なフェノタイプを誘発するため、2000年代から GARP の細胞内機能に関する研究はかなり進んでいた。しかし、膜局在ドメインを持たない細胞質タンパク質である GARP がどのような細胞内メカニズムでTGNに局在するかに関しては謎に包まれていた。本発表では、私がBonifacino研究室で、GARPの TGN 局在メカニズムの解明に取り組んだ研究成果 (Ishida and Bonifacino J. Cell Biol., 2019)と、同時期に発見された、GARP の変異と小児神経発達症の関連について発表する。
協賛:島津製作所 様
開始時間:2022年7月29日(金)17時 -
会場:Rangos 590
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