ヤチコタヌキモ

ヤチコタヌキモUtricularia ochroleuca R.Hartm.

ヤチコタヌキモの草姿(左上)および葉の拡大(右上)

コタヌキモと同様に陸生タヌキモ類と水生タヌキモ類の中間的な生活を送るのが特徴である。コタヌキモよりもヤチコタヌキモのほうが葉の刺状突起が明瞭であるらしい。葉の先端が鈍頭の場合はコタヌキモ、鋭頭の場合はヤチコタヌキモともいわれるが、刺状突起とともに明確に識別するのは難しそうだ。

貧栄養な浅い水域に分布する水生多年草。浅い水底に固着し、先が尖ったように見える葉が特徴。情報が少ない種であり、日本における詳細は不明な部分が多い。ヒメタヌキモとコタヌキモの雑種起源の可能性がある(Rice, 2007)。種子はできない。種小名ochroleucaは「黄白色の」という意味であり、その花色に由来する。和名は「谷地に生育する小さいタヌキモ」の意味。

ベンテンコタヌキモUtricularia x bentensis Komiyaは、ヒメタヌキモとコタヌキモの交雑より生じた系統で、両親の中間的形態をとる。現在の分布は、北海道苫小牧の弁天沼のみである(小宮ら, 1997)。ヤチコタヌキモがヒメタヌキモとコタヌキモの雑種起源ならば、ヤチコタヌキモに含めるべきかもしれない。一方で、Roskov et al. (2016)はU. x bentensisU. bremiiのシノニムとしている。種小名bentensisは「弁天沼産の」という意味であり、その分布に由来する。和名は「弁天沼の小さなタヌキモ」の意味。