ムシトリスミレ

ムシトリスミレPinguicula vulgaris L. var. macroceras (Pall. ex Link) Herder

ムシトリスミレの草姿(左上)および花(右上、左

モウセンゴケと同じく鳥もち型捕虫葉であるが、モウセンゴケほど大きな腺毛を持たない。スミレとは縁もゆかりもないが、確かに花の様子はよく似ている。

山地や高地の崖に分布する湿生多年草。分岐しない花茎に紫色の花をつけるのが特徴。冬季には冬芽を形成して、親植物体から分離し、分散に寄与する。種小名vulgarisは「普通種の」という意味であり、その分布の広さに由来する。変種名macrocerasは、「大きな距の」という意味である。和名は「虫を捕るスミレ」の意味。

イイタカムシトリスミレPinguicula vulgaris var. floribunda S.Watan. et A.Takedaは、三重県の限られた山中で認められるムシトリスミレとは別の変種。葉縁が巻かず、花がたくさんつくことが特徴(武田・渡邊, 1997)。変種名floribundaは、「花がたくさん咲いた」という意味である。和名は「飯高のムシトリスミレ」の意味。