モウセンゴケ

コモウセンゴケDrosera spatulata Labill.

モウセンゴケの草姿(上)、赤花(左下および白花(下)

モウセンゴケと並んで、もっとも普遍的にみられる種である。モウセンゴケよりかは温暖かつ乾いた環境に好んで生育している。花の色に2型が存在し、やや白花のほうが大きい傾向がある。海外では白花のほうが多く、赤花は日本近辺の分布らしい。もしかしたらこれらはよく似た別種かもしれない。交配して確かめてみたいものだ。

東海地方以南の湿地や崖に広く分布する湿生~中湿生多年草。匙状の捕虫葉が特徴。トウカイコモウセンゴケと形態が似通っており、野外で同定するのは難しい場合も存在する。より正確に同定するには、コモウセンゴケは托葉が3裂で鋸歯がなく、葉の腺毛の生える領域の比率が約7割である点で見分けられる(中村・植田, 1991)。モウセンゴケとともに、最も目にする機会の多いモウセンゴケ属。モウセンゴケよりも暖かく、乾いた環境を好む。本州~九州の個体は花がピンク色だが、八重山の個体は花が白色。種小名spatulataは「匙状の」という意味であり、その捕虫葉の形に由来する。和名は「小さなモウセンゴケ」の意味。

シロバナコモウセンゴケDrosera spatulata Labill. f. chionantha K.Nakaj.は上記の八重山に産する白花のコモウセンゴケを指す。品種名chionanthaは「白い花(原義は「雪の花」)」という意味であり、その花の色に由来する。和名は「白い花の小さなモウセンゴケ」の意味。