オオタヌキモ

オオタヌキモUtricularia macrorhiza Le Conte

オオタヌキモの草姿(上段左)、花(上段右)、殖芽(下段左から1番目)、殖芽葉(2番目)、花茎断面(3番目)および捕虫葉(4番目)

イヌタヌキモおよびタヌキモと並んで、野外同定が困難な種の1つ。夏ごろの花が咲く時期か、冬前の殖芽が形成されるタイミングでないと、同定は難しい。花は咲かないこともあるため、花での同定は口で言うほどたやすくない。上記の花の写真も、複数の生育地を回ってやっと見つけたものである。非常に大きくなるのも特徴(作成者の自己紹介写真も参照)。比較的寒冷な地域に分布すると考えられているが、野外での同定が難しいため、実際のところは定かではない部分がある。ちなみに、作成者が行ってきた日本産食虫植物巡りの最後のトリを飾った感慨深い植物である。

寒冷地の貧栄養な水域に分布する浮遊性水生多年草。イヌタヌキモおよびタヌキモと比較したとき、長い距、中空の花茎および楕円形の殖芽が特徴。時に茎の長さは2 m近くまで大きくなることも特徴の一つ。時に基部側は泥や藻類がこびり付き水中に沈み、水底から伸びる水草のように見えることもある。日本では東北地方以北で認められ、それより南のタヌキモ類は、イヌタヌキモもしくはタヌキモであるとされる。かつては石神井公園にも分布していたと考えられるため(角野・田中, 2015)、実際の分布はもっと南まで広がっているかもしれない。種小名macrorhizaは「大きな根(もしくは根茎)の」という意味であり、本種には根や根茎はないが、おそらくは植物体の大きさに由来すると考えられる。和名は「大きなタヌキモ」の意味。