イヌタヌキモ

イヌタヌキモUtricularia australis R.Br.

イヌタヌキモの草姿(上段左)、花(上段右)、殖芽下段左から1番目)、殖葉(2番目)、花茎断面(3番目)および捕虫葉(4番目)

オオタヌキモおよびタヌキモと並んで、野外同定が困難な種の1つ。夏ごろの花が咲く時期か、冬前の殖芽が形成されるタイミングでないと、同定は難しい。比較的温暖な地域に分布すると考えられているが、野外での同定が難しいため、実際のところは定かではない部分がある。

貧栄養な水域に分布する浮遊性水生多年草。タヌキモおよびオオタヌキモと比較したとき、短い距、中実の花茎および長楕円形の殖芽が特徴。タヌキモ、オオタヌキモおよびノタヌキモと比較して茎の長さは短いことが多い。種小名australisは「オーストラリア産の(厳密な原義は「南の」)」という意味であり、その意味通りオーストラリアでも産し、世界的に広く分布する。また、後述するイヌタヌキモとオオタヌキモとの雑種、タヌキモU. x japonicaの一品種と捉えられていた時期があり、シノニムとしてU. australis f. tenuicaulisがある。品種名tenuicaulisは「細い茎」という意味であり、タヌキモよりも小さいことを反映していると考えられる。和名は「タヌキモではないタヌキモ」の意味であり、こちらも雑種であるタヌキモの方を基準に考えていたことがうかがえる。

チョウシタヌキモへの言及