トウカイコモウセンゴケ

トウカイコモウセンゴケDrosera tokaiensis (Komiya et C.Shibata) T.Nakam. et K.Ueda

トウカイコモウセンゴケの草姿(上)および花(左)

野外では、トウカイコモウセンゴケとコモウセンゴケを識別するのは至難の業であることも多い。上記の写真はそのなかでもトウカイコモウセンゴケらしいものを選んだ。正確な同定には、植物体の解体やら、染色体の確認やらが必要で、破壊的になってしまうので、悩ましいところだ。

東海地方を中心とした湿原に分布する湿生~中湿生多年草。モウセンゴケとコモウセンゴケの中間型の捕虫葉が特徴。より正確に同定するには、トウカイコモウセンゴケは托葉が4裂以上で鋸歯があり、葉の腺毛の生える領域の比率が約6割である点で見分けられる(中村・植田, 1991)。モウセンゴケとコモウセンゴケの雑種が染色体倍加により生じた種である。モウセンゴケやコモウセンゴケよりも生育地の選好性は広いように思われ、湿ったところから比較的乾いたところでも生育している。日本固有種。種小名tokaiensisは「東海地方産の」という意味であり、その分布に由来する。和名は「東海地方の小さなモウセンゴケ」の意味。

ヒュウガコモウセンゴケの草姿

トウカイコモウセンゴケの生育地外で見つかる、”トウカイコモウセンゴケのような植物”はここでいうヒュウガコモウセンゴケである可能性がある。もちろん、これにも正確な同定には染色体数の確認が必要だ。写真だけでは、同定は困難といってもいいだろう。

ヒュウガコモウセンゴケDrosera tokaiensis (Komiya et C.Shibata) T.Nakam. et K.Ueda subsp. hyugaensis Senoは、モウセンゴケとコモウセンゴケの交雑より生じた個体で、両親の中間的形態をとる(瀬野, 2003)。トウカイコモウセンゴケと別亜種扱いだが、実際は、モウセンゴケとコモウセンゴケのF1雑種系統で種子もできないという。亜種名hyugaensisは「日向産の」という意味であり、その分布に由来する。和名は「日向の小さなモウセンゴケ」の意味。