ナガバノモウセンゴケ

ナガバノモウセンゴケDrosera anglica Huds.

ナガバノモウセンゴケの草姿

日本では尾瀬と北海道という限られた地域でしか見ることができない。ほかのモウセンゴケ類にもれず、晴れの時にしか開花を拝むことはできず、雨男の私が開花を見ることは叶わなかった。科学者なのに雨男なんて言っていていいのかという感じであるが。

尾瀬および北海道の高層湿原のみに分布する湿生多年草。細長い葉が特徴。寒冷地に限定して生育するとされるが、ハワイに隔離して分布しており温度に対するストレス耐性は謎が多い。後述するようにモウセンゴケと交雑するが、ナガバノモウセンゴケ自体が、モウセンゴケとD. linearisの雑種が染色体倍加により生じた種である(Schnell, 1999)。種小名anglicaは「イングランド産の」という意味であり、その意味通りイングランドでも産し、北半球の寒冷地を中心に分布する。和名は「葉の長いモウセンゴケ」の意味。

サジバモウセンゴケ(?)の草姿

サジバモウセンゴケと思われる個体。もっと葉の様子を撮影しておけばよかったと反省。いつかまた会いに行きたいものだ。

サジバモウセンゴケDrosera x obovata Mert. et W.D.J.Kochは、ナガバノモウセンゴケとモウセンゴケの交雑より生じたF1雑種系統で、両親の中間的形態をとる。分布はナガバノモウセンゴケとモウセンゴケの分布の重複した地域、すなわち尾瀬および北海道の高層湿原のみに限られる。種子はできない。種小名obovataは「卵形の」という意味であり、その捕虫葉の形に由来する。和名は「匙型の葉をしたモウセンゴケ」の意味。