ヒメタヌキモ

ヒメタヌキモUtricularia minor L.

ヒメタヌキモの草姿(左上)および葉の拡大(右上)

華奢な植物体であるがイトタヌキモほど単純な構造でもない、茎頂がワラビ状に巻いているのがヒメタヌキモの特徴である。時に水中葉と地下葉を作り分けることもあり、その性質からコタヌキモやヤチコタヌキモと近縁に思われるが、葉の縁には刺状突起がない。

貧栄養な比較的浅い水域に分布する水生多年草。ワラビのように丸まった茎頂が特徴。コタヌキモやヤチコタヌキモと異なり浮遊することがあるので、浮遊する茎頂の巻いたタヌキモはヒメタヌキモで間違いない。固着している場合でも水中葉の鋸歯がないことを確認すればヒメタヌキモとわかり(外山, 1989)、見慣れれば葉の密度などからコタヌキモ、ヤチコタヌキモから区別できる。むしろ、浮遊しているときには生育不良のイヌタヌキモ、タヌキモと誤同定しやすい。しかし、同様に巻いた茎頂を見れば容易に同定できる。種小名minorは「小さい」という意味であり、その植物体の大きさに由来する。和名は「小さいタヌキモ」の意味。