長石谷
長石谷では低山帯における常緑照葉樹帯から夏緑広葉樹林帯までの植生がよく保存されており、谷も変化があっていつ歩いても楽しい谷です。
鎌ヶ岳山頂よりの秋の長石谷。右下から左中央奥に向かう樹林帯。その背後には馬の背尾根。右奥は雲母峰
車の場合、鈴鹿スカイラインの駐車スペースを利用します。湯の山温泉街からは有料駐車場に止めるか温泉街の終点(スカイラインに接しているがスカイライン側からは入れない)の空きスペースに止めることになります。
温泉街手前の蒼滝公共パーキングは災害復旧工事の関係で現在閉鎖されているようです。
登山口は湯の山温泉街の殆ど終点に近い辺りで、民家とその物干し場の横を抜け、御在所本谷と武平峠側からの水を集める三滝川上流の谷へ降りる登山道あります。
案内板が道路から見えにくいので注意が入ります。登山口標高は510m山頂1161m迄約650mの標高差です。
最初に飛び石伝いに谷を渡り長石谷を左手に見ながら、しばらく植林帯を進みます。砂防堰堤が幾つも有るので結構急な傾斜です。
三滝川上流部を転石伝い渡り登山道に入る。谷入口には複数の堰堤があり右手の巻き道を経て10分程で堰堤上部に出る。
堰堤上部は広く開けた河原でそれまでの林道の陰鬱な道から解放される。河原の砂利を踏みしめて谷の奥へと登る。
途中に長石尾根に続く分岐が有りますが、谷沿いの道を選んで進めば直に最後の砂防堰堤の上に出ます。人工林は此処で終わります。これ以降は谷は長いけれども素直な道で、左手の馬の背尾根に沿うように進んでゆけば分岐も気にする必要はありません。
長い谷だけに方々に小滝が有る。
谷は素直で、ほとんどのルートは気ままに転石を伝って行くことが出来る。
何箇所か小ゴルジュの巻き道が有りますが花崗岩の谷石を気ままに渡っていける所が殆どで、若葉の季節に渓の瀬音を聞きながら緑のトンネルを抜けてゆく爽やかさはなんとも言えません。
馬の背尾根-犬星の滝-長石尾根
40分程で犬星の滝が現れます。この地点は馬の背尾根との距離が最も接近する場所で左手の尾根に向かえば5~6分で馬の背尾根へでます。
犬星の滝上部。この滝の高巻きは苦労する。これ以降、犬星の谷には途中に小滝がある程度で転石伝いに進める。
長石尾根からは笹林の中に出来た低湿地のところに分岐があります。しかしこちらもしばらく進むと消えてしまうので適当に犬星の谷迄降りて渓石伝いに長石谷まで下っていました。滝の迂回はかなりの急傾斜です。私には犬星の滝には手軽な巻き道がなかったように思います。
犬星の滝の辺りは谷幅も広く、夏綠広葉樹の高木が谷筋を埋めて開放的な林を形成しています。木々の芽吹きの季節から紅葉の時期まで谷を歩く楽しさを満喫できる空間で休憩するには手頃な場所です。
犬星乃滝から左手の尾根にルートを取ると馬の背尾根に出る。落葉高木の林は開放的でとても美しい。
楢や楓の高木の林が美しいのもこの辺りで、左手の馬の背尾根へと続く脇道の一帯は若葉の季節、紅葉の時期問わず落葉林の美を楽しむことができます。
犬星の滝より左手に向かって尾根を登ると10分弱で馬の背尾根へと出る
これ以降は楢、樺、樗科の高木が茂る明るい林間を辿り、谷間にオシダが群生する辺りから勾配も急になります。途中で右手に分岐する枝谷がありますが左の本流を行きます。
オシダの茂る辺りから谷は徐々に涸れ谷に移行する。谷幅も狭まり巨岩の谷を高木の樹冠が頭上を覆う
谷は殆ど最上部まで夏緑広葉樹林で覆われている。自然がよく保存された証拠だろう。
ガレで埋まった涸れ沢を詰めると下生えにスズタケが茂る低木の落葉林へと移行して岳峠へ至る尾根道に出でます。
スズタケと低木の茂る最後の斜面を登るとようやく山頂部が開ける。