椿神社の背後から入道ヶ岳・北の頭より北-北東に向けて張り出した尾根伝いに登り、途中に沢を横切る箇所が一切ない登山ルートです。
車は椿神社駐車場を利用するか、その奥にある井戸谷の駐車スペースに止めます。椿神社駐車場奥にある愛宕神社の鳥居が登山口になっています。
椿神社には明治末期に行われた神社合祀によって、周辺に有った32の社がまとめて合祀されており、この愛宕社もその一つです。
愛宕神社の階段横に登山道が切られています。ここから暫くは植林帯で急傾斜の単調な林間を登ります。
尾根の平坦部に差し掛かった先に2の通報ポイントがあります。
平坦な尾根道を進むと高圧送電線の鉄塔の下を通り抜けますが、このあたりから井戸谷を挟んで入道ヶ岳山頂部が望めます。
鉄塔下からややきつい上りの先に3の通報ポイントがあります。この手前に分岐路があり山頂へは分岐を左に取ります。
右手に取ると御幣川右岸の大久保町へと抜けます。大回りですが宮妻峡キャンプ場へも通じるので御幣川が急な増水で御幣川を渡渉する宮妻新道が万一のときのバイパス路として使えます。
大久保へと下る林道の先には送電線の向こうに御幣川を挟んで宮妻の町が見えています。
登山路は分岐を左にとり、分岐の先にあるP498の小ピークを越えて緩い鞍部を下り終えると尾根の傾斜が増し登りがきつくなります。尾根の北斜面には植林帯のなかにも照葉樹林が交じるようになります。
この辺りの尾根筋は急傾斜で表土が失われて硬質の砂泥質岩からなる基盤岩の露出している箇所が見られます。中生代・ジュラ紀に海溝に沈み込んだ砂泥が海洋底の玄武岩とともに陸側に押し付けられて誕生した付加体で1億5000万年以上も前に生まれたものです。
露岩のすぐ先の痩せた照葉樹林帯の中に通報ポイント4があります。左手の尾根斜面は急勾配で井戸谷へと下り、谷との距離も近くなります。
西に見通しが利く場所では井戸谷の奥に山頂部が望めます。この辺りまで来ると高度も600mを越え、ヤブツバキ・シイ・カシ・クスなどの照葉樹林帯はナラ・カエデ・シデなど夏緑広葉樹林に置き換わってゆきます。
植林帯の最後の辺りに通報ポイント5があります。
北尾根の避難小屋はP5のすぐ上です。この避難小屋左手の崖斜面を無理やり下れば井戸谷へと出ます。
避難小屋より上では照葉樹はほぼ姿を消し、冬期には冬枯れの落葉木ばかりとなります。
通報ポイント6を過ぎる辺りから尾根道は東西方向に走る様になり、尾根筋も広がり緩傾斜となって歩みが捗ります。
植生も変化して夏の時期には足元にシダの群落が現れてきます。
ポイント7に出る辺りでは僅かですが伊勢湾方面の見晴らしが開けてきます。植生は高木が姿を消し、アセビやツツジなどの矮性木に変わります。
積雪でみえませんが林間が開けて下草が茂る環境では丈の低い笹やヒカゲノカズラが辺りを覆うようになります。
馬酔木が優勢になる辺りまで来ると登山道の傾斜も緩やかになり山頂が近いことを感じさせます。
鈴鹿の山でも山頂部に花崗岩が露出しておらず、古紀地殻が表層を覆う入道ヶ岳・雨乞岳山・イフネ・クラシなどの山は山頂部が平坦で平原上の広がりを見せます。
これは地殻が花崗岩のように浸食が激しくないことと、日本海拡大期に鈴鹿山脈の一帯は海進によってほぼ山頂部まで水没し、海蝕をうけて海水面によって平坦化された事によるようです。
北尾根の登山道は北の頭手前で新道及び林道よりのコースと合流するところで終了します。あとは開けた山頂部を歩いて北の頭より馬酔木のトンネルを抜け朗せずに山頂へと通じます。
木立のない山頂部は開放的で鳥居の立つ905.6m(国土地理院地図)の山頂部は遠くからでもよく見えるのでまず迷う心配はありません。