水沢岳、鎌尾根
カズラ谷コースとセットで登られるのが水沢峠から水沢岳を経て鎌尾根を辿るルートです。宮妻峡のカズラ谷駐車場を起点にして一方のコースで登り、他方で下ることができます。
鎌ヶ岳より続く尾根筋だけに小さいけれど峻険なピークが幾つも続き、岩場あり、キレットあり、ザレ場あれ痩せ尾根あり、高原風鞍部ありの変化抜群のコースです。
イワクラ尾根よりの水沢岳から鎌ヶ岳に至る鎌尾根の展望。右端の三角錐はイワクラ尾根の仏岩、その上は雲母峰。
宮妻峡新道より見た鎌尾根。中央左寄りの水沢峠より右手のピーク鎌ヶ岳までの山脈稜線がよく分かる。
1000m以上の標高を持った稜線を行くため水沢岳以降の展望も素晴らしく、前面には鎌ヶ岳から御在所、西には鈴鹿山脈西部の綿貫、雨乞、イブネ、クラシが東には雲母峰から伊勢湾、入道ヶ岳が微妙に姿を変えながら絶えず現れます。
車で来る場合、宮妻峡キャンプ場駐車場かその少し先にあるカズラ谷登山口駐車場を利用します。両方合わすとかなりの駐車スペースですが観光シーズンには空きがなくなるので早めに来て駐車するのが賢明です。
宮妻峡キャンプ場駐車場。この上にもスペースが有る。その上流のカズラ谷駐車場は十数台程度が限度。
入道ヶ嶽・冠山国有林の看板のあるポイントからは水沢岳を望むことが出来る。此処から少し往くと砂利ガ谷の堰堤
カズラ谷駐車場より上流へは国有林の林道を通って行きますが、車は車止めによって侵入できません。暫く歩くと砂利が谷の小さな堰堤が有り、その先で道は大きく左カーブして砂利ガ谷を渡ります。
林道の周囲は自然植生に近い林が多く、春から初夏にかけては様々な花を楽しめます。更に10分程進むと不動の滝への案内があります。不動の滝は本流から分岐した中谷の滝ですが、この辺りでは本流は遙か下を流れており、不動の滝迄も20m近くは降らねばなりません。
不動の滝は落差6~7mのすべり台状の小さい滝だ。内部川本流から分岐する中谷の入口に架かる。
不動の滝を過ぎ左カーブのあと中谷に架かる不動橋を渡り、更に宮妻谷にかかる小さなコンクリート製の板橋を渡ると水沢峠の入口ももう間近です。
宮妻峡の林道が中谷と宮妻谷を横切る地点に架かる不動橋。 さらに宮妻谷 の橋を越えると水沢峠の登山口も近い。
カズラ谷口より宮妻峡の本谷沿いに30分程林道を登ると水沢峠への登山口がある。
水沢峠は内部川の本流(本谷)から分岐する枝谷沿いに鈴鹿山脈主稜に至り、稜線鞍部(866m)を越えて滋賀県側の元越谷沿いに土山大河原へ抜ける峠です。
殆どの登山者が三重県側から登る様子で、私も土山側のルートがどんな状態なのかよくわかりません。一度入ってみたいと考えているのですが未だ果たせません。
登山道入口から十分程は、本谷と宮妻谷の間に派生する小さな尾根をトラバースして本谷側の谷筋に出ます。登山道で唯一山側の路肩に石垣積みのある地点まで出れば本谷側です。
石積みの路肩に出ると本谷側の左岸だ。この後暫らくは、谷と平行に谷の上部を西へ進む。路肩には堆積岩起源の岩盤が露出する。
宮妻峡の林道からこの辺りまで、山肌には中生代の堆積岩を起源とする太古の岩盤が所々に露出していますが、高度が上がるに従って堆積岩へ貫入してきた白亜紀花崗岩に変わってゆきます。
登路の傾斜は比較的緩く、炭焼き窯跡のある植林帯を抜ける辺りまでは歩みも捗ります。この後谷から派生する枯れ沢沿いに高度を上げて沢を横切り、水沢峠を分水嶺とする谷筋に取り付きます。
涸れ沢を横切り、炭焼き窯跡のある植林帯を抜けて枝谷沿いに高度を稼ぐキツイ登リに入る。
水沢峠より下る谷はガレで埋まった枯れ谷。岩盤の迫るU字谷を抜けると峠は間近だが45度近い傾斜がある。
転石の多くはピンクがかった花崗岩だが一部に暗緑色の火山岩に近いものも混じる。U字谷上部に火山岩の岩盤が露出している。
涸れ谷のガレを踏んでU字谷の沢を詰めてゆく最後の登りは結構急で体力を消耗します。この谷の転石には桃色の花崗岩と暗緑色の火山岩が同居しており、鈴鹿の山では余り見かけない組み合わせの様に思います。
登山口から水沢峠迄は50分ほど。峠直前の谷の急登を除けば割に楽な登りですが、峠といってもそのうち外れてしまいそうな案内板が有るきりで少し寂しくなります。
これは2003年の写真だが、この路標は今も健在だ。右は2012年の写真だから多分30年以上も前の標識だろう。
水沢岳北面では鎌ヶ岳に続く鎌尾根の稜線が姿を表す。滋賀県側には綿貫山が望まれる。
水沢岳北部の下り斜面一帯は崩落地で、茸岩で知られる風化花崗岩の不思議な石塔群があります。ギリシャ神話のメドーサによって石と化した人間の様に不気味な造形は見るほどに奇怪な思いにとらわれます。
茸岩周辺の石塔群。花崗岩の風化地帯は方々にあるがどうしてこんな造形が生まれるのか?
雨乞岳や御在所岳が左手前方に浮かび上がる。この辺りまで来ると山頂までもあと少しか。
コース最後の鎖場。ここを抜ければ直ぐ前の小ピークの上にはカズラ谷への分岐路がある。
山頂から眺めた葛谷分岐(中央より左下へと延びる尾根)と鎌尾根の取り付き(中央より右の岩場に向かう)
コースが長いだけに登山口から山頂までは3時間半程はかかりますがコースの妙は全コース中でも抜きん出ておりツツジやシャクナゲの季節、ブナ落葉の季節いつ歩いても素晴らしいものです。