椿神社の南を流れる鍋川は、神社上流より巨大な砂防堰堤を経て入道ヶ岳東斜面を源とする井戸谷へと通じます。この井戸谷と入道ヶ岳南斜面より流れ下る滝ヶ谷に挟まれて入道ヶ岳山頂より南南東に伸びる尾根を二本松尾根と呼びます。
砂防堰堤の右岸の林道よりこの二本松尾根の稜線に至り、尾根沿いに山頂を目指すコースを二本松尾根コースと呼びます。コースの中間点P5には、小岐須渓谷の滝ヶ谷へと下り、小岐須山の家へと通じる滝ヶ谷コースの分岐があります。
登山口P1の標高270mより山頂906m迄の高度差636m、登山口より山頂までの水平距離を2kmとすれば平均斜度17.6°登り時間は1時間半から2時間程度です。
登山口より滝ヶ谷分岐辺りまでは、杉檜の植林帯を行く林道ですからコースの変化は余り期待できません。
P5の滝ヶ谷分岐以降二本松尾根の稜線に取り付くとツツジや樫の夏緑広葉樹林帯へと変化し山頂が近づくに従って馬酔木を主体とした馬酔木-犬黄楊群落へと移行します。
大堰堤右岸の杉林の前に二本松尾根登山口P1がある。
登山道入口P1は大堰堤上部の石の川原右岸にあります。堰堤上部は完全に土砂で埋まっており伏流水となって水流もありません。川原左岸には椿神社より林道が通じており自家用車を乗り入れれば相当数が川原に駐車可能です。
P1より杉の林道を進むと直ぐにP2標識の手前で太い林道を横切ります。この林道を右に取ると井戸谷の登山路に通じます。
この辺りは登りの傾斜も緩く楽に歩みを進めることができますが小沢を横切るP3辺りから傾斜がきつくなり本格的な上りに入ります。
沢周辺には、放置された間伐材が溢れ大変に醜い状態です。これは方々の植林された山に共通の光景ですが、日本の林業も山林の保全費用の捻出もままならぬ有様では景観のことなどかまっても居られないのでしょう。
P3以降登りの傾斜がキツくなる。沢は放置された間伐材で見る影もない。
いずれにせよ寂しい話で、麓に植林帯が多い鈴鹿の山では日常的に見られるのが現状ですが、できる事ならこの手のコースは避けて通りたいと思ってしまいます。
杉の林間に切られた急な林道を暫く登りますがP4を過ぎ、道が大きく南に屈曲し尾根筋へと向かうようになると傾斜が多少は緩やかになりその先に小岐須側へと向かう滝ヶ谷分岐点P5があります。
この地点で登山道は二本松尾根の稜線上に達しこれ以降山頂から南南東に伸びる稜線上を歩いて山頂に達することになります。
P5滝ヶ谷分岐。そのまま直進すると滝ヶ谷コースで小岐須へと抜ける。ここを右に取り尾根を少し登ると避難小屋がある。
分岐から右に登る尾根道が二本松尾根で、周囲の植生もそれまでの単相林から変化に飛んだ夏緑広葉樹主体の林へと変わります。
これ以降の尾根の傾斜はP6辺りまで比較的緩やかです。二本松尾根の由来となった松の木がどの辺にあったものか私にはわかりませんが、P5~P6の尾根筋には幹径50cm前後の赤松がまばらに生えています。
二本松尾根にはツツジやリョウブ、樫等の落葉広葉樹主体の林だが所々に赤松が見られる。
あるいは尾根の名がついた遙か昔には尾根にも多数の松が茂り、名の由来となった二本松の巨木がどこかに聳えていたものでしょう。
P6以降もほぼ同じような林を行きますが、尾根の傾斜はきつくなります。途中に境界と書かれた石柱の埋められたところを通過しますが一体何の境なのでしょうか、上るたびに気になります。
イヌツゲ、アセビ群落も登山路周辺ではイヌツゲは枯木以外あまり見られない。この木も間もなく枯れるだろう。
P6の少し先にイヌツゲ及びアセビ群落の案内があります。確かにこの辺りからアセビの密度が一気に増えアセビの極相林の様相を呈しますが残念なことにイヌツゲは枯れ木が多く登山路の周辺ではあまり見かけません。写真の一本も太い幹は皆枯死して葉をつけているのはこの部分だけです。
P7より、右手に広がった崩落谷の上部をかすめて山頂に向かいますが、この辺は最後の登りがきつい場所です。登山路をそれて右手の谷に向かうとすぐに、崩落箇所の最上部に出て、鍋川へと続く谷筋を眼下に望めます。
P7の上部より山頂東斜面を望む。過去の大規模な崩落跡も徐々に植生が回復してきている。
ここを登りきれば後は山頂までもう一息です。P1~山頂迄は1時間半から2時間程でしょうか。
(登り P1~P2 5m P2~P3 10m P3~P4 15m P4~P5 13m P5~P6 22m P6~P7 16m P7~山頂 15m )