福徳側コース
関町萩原から福徳の村落経由で錫杖ヶ岳に至るコースで、全てのコースの中でも最長の距離となります。
登山口は福徳の人家を外れたところにありますが、以前は明確な案内もなく、私の場合地図を頼りに勝手に見当を付けて尾根にのぼり道を見つけて登っていました。
関町萩原より見た福徳ルートの尾根筋。中央右凹部が真谷。中央左のピークが小雀の頭。山頂は隠れて見えない。
加太や芸濃側のコースに比べて利用する人が少なく、過去にこのコースで4往復しましたが、その間に出会った登山者はおりません。
登山口は名阪国道の関ドライブインより徒歩で1時間少しのところにありますからバスを利用する際には便利かもしれません。
福徳の集落より少し林道を往くと左手に砂防ダムがあり、すぐ真谷に架かる橋が現れます。この橋の先に真谷沿いに進む林道の入口があります。
砂防堰堤を過ぎるとすぐに「またにだいいちはし」がある。登山道(林道)の入り口はこの先にある。
国土地理院の二万五千分の1地図には福徳寺裏からの道が載っていますがこの尾根道は殆ど入る人がおらず踏み跡も無いのではないかと思います。
車で行く場合は登山口付近に駐車場が無いと考えておいたほうが良いでしょう。小型車であれば場所を選んで無理やり林道の路肩に駐車することも出来ますが、山林の管理道ですから作業に大型車両が通行する際の迷惑となります。
真谷沿いの林道入り口。駐車出来るスペースは殆ど無い。国有林でもない限り山は基本的に私有地。
入り口からは植林帯の中に付けられた林道を進みます。このコースは利用者が少ないせいか以前は登山道の明白な標識もあまり有りませんでしたが、最近は樹幹に表示が見られます。
最初は谷にそって西に進みますが十分程で広い林道が切れ谷筋の山道に変わります。進行方向左に植林された谷の北側斜面が開け杉の林間は下生えが少ないので斜面を尾根筋まで登り枝尾根を西にとって稜線に向かうことも出来ます。
谷沿いに進むほうが楽ですが谷は杉の間伐材で埋まっておりあまり楽しい渡渉ではありません。
一度谷の対岸を進んだ後、左手の尾根筋に登る。杉林の中に切られた山の管理用の道を往く。
暫く谷沿いに進んだ後、左側の枝尾根に登り稜線沿いに西の尾根に向かいます。植生が杉の人工林からヤブツバキを主にした照葉樹林に移行しはじめると登りがきつくなり道の周囲に露岩が目立ち出します。
植生が杉から自然林に移行しだすと稜線も近い。足元には花崗岩源の結晶性の白い小石が目立ちだす。
以前はこの辺りの岩に多数のイワカガミの群生が見られたが、最近ではもう殆ど見られない。上は7年前の写真。
ここを抜けるとようやく小雀の頭から北に伸びる尾根の稜線上に出ます。真谷入り口の標高は200m、このピークは500mですから標高差300m登山口からは40分程の行程です。
この稜線は錫杖ヶ岳より福徳側に伸びる東側主稜線より北に分岐して名阪国道久我IC付近までよく発達しており、関インター方面より錫杖ヶ岳方面を見ると錫杖ヶ岳前面に聳えて山頂を遮っている山並みです。
猪の踏跡。柔らかな下り斜面には無数の獣の足跡が見られる。
錫杖ヶ岳との間に広がった稜線西面の谷は自然林が多く、春や秋の季節には林の切れ目から広葉樹林帯の風景を楽しめるでしょう。
6月に登ると稜線の西斜面に山法師の花を見ることが出来る。
尾根筋は先の写真からも分かるように、暫く緩やかな登りの後、急登に移ります。この辺りから道の表面は風化花崗岩の白いザレが増え尾根筋にも母岩が剥き出しになる場所が多く見られる様になります。
白いザレが広がる岩の小山を越えると直に小雀の頭P574にでる。
この辺りでは稜線上に岩が並ぶ。ここを抜けると崩落地にでて左側に展望が開ける。
急登を過ぎ、露岩の尾根筋をわずかに下ると左手に北東方向の視界がひらけ名古屋から津にかけての伊勢湾が見渡せます。
此処まで来るとようやく視界が開け亀山、鈴鹿、四日市の町が一望できる。
津より南は東西稜線に視界を遮られ見通せない。
この先には三等三角点P574の基石が在り、小雀の頭と名付けられていますが、周囲の見晴らしも利かず、なんともぱっとしない場所です。此処まで登山口より約1時間程です。
小雀の頭は錫杖ヶ岳が加太方面で雀頭[芸濃町史では萑頭(シャクトウ)と書かれている]と呼ばれていたの対となる名ですが、いつ頃からのものか詳しいことは分かりません。
小雀の頭P574。見晴らしも利かず休憩に良い場所もなく、なんとも寂しい。
ここで南北の稜線は錫杖ヶ岳より延びる東稜線と出会います。ここから錫杖ヶ岳へは急な下りが続きP574とは高度差100mの鞍部まで2つほど小ピークを越えながら一気に下ります。
鞍部への下りはかなり急で変化に飛んでいる。広葉樹の林間には露岩が多い。
尾根の底まで下り終えると、周囲の植生は人工林とへ代わり、芸濃町下之垣内の河内谷の支流より続く登山路と出会います。鞍部の標高は475m、登山口から休憩を挟んで1時間50分程の道のりです。
2011年の秋には福徳と芸濃側の分岐点には津警察の福徳側への立入禁止の看板が立っていた。
山頂676m迄は、ここから更に200mの高低差を詰めることが必要で更に30分程は時間がかかります。
これ以降は芸濃側下之垣内よりのコースと同じになります。
上部稜線の右ピークが小雀の頭。中央左の凹部向こう側の谷が真谷。
頂上に立って東を見ると、福徳から南北の尾根とそれに交わる東西の稜線が一望できます。私の場合休憩を抜くと、登山口から往復で4時間程の行程となります。