宮妻峡キャンプ場より背後の内部川を渡渉して谷の右岸に渡り、前面に聳える入道ヶ岳北面の山腹を急登し北の頭より北方に延びる尾根筋に出て北の頭に至るコースです。
コースの初めに内部川とその枝谷の葛谷の渡渉があります。平時は水勢も穏やかで飛び石伝いに簡単に谷を渡ることができますが、豪雨後の出水じは水勢が強く水深も深いため極めて危険な場合があります。
帰路にこのコースを利用する場合は、予め谷の水勢を確認しておくことを進めます。ここが渡渉できないと堰堤上部となりますが、こちらも水流が早くて安全ではありません。
宮妻峡キャンプ場より一気に入道ヶ岳へ登るコース。コース後半の展望は抜群で多くの人が利用する。
キャンプ場駐車場手前より見た入道ヶ岳北面。新道は前面右手の山腹より上部の尾根稜線に登り尾根伝いに北の頭まで続く。
大小の岩が散らばる谷は休憩にも最適。帰路に利用するときは何時もこの辺りで休息する。
白い花崗岩の転石に黒色のジュラ紀付加体母岩(砂岩、泥岩起源の変成岩)が点在する谷は大変に美しく、初夏の折などこの辺りを散策するだけで満たされた気分になります。
谷の渡渉直後から谷の背後に聳える急傾斜(平均斜度37°)の山腹の高度差150mを一気に登ります。登山路はヤブツバキが茂る北向の常緑照葉樹林中に切られた九十九折のルートで、頁岩や粘板岩のガレが散らばり思いの外体力を奪われます。
角の立ったガレの多い急斜面を折り返しながら登る。尾根に出るまではひと頑張りだ。
P2は山腹に切られたジクザクコースの途中にありますが、西斜面の薄暗い常緑樹林帯の中は足を止めるほどのポイントでもありません。
頑張ってじき尾根筋に出ると、道も明るくなり傾斜も少しは緩くなります。森が開けた開放的な場所にP3があります。
この周りには早春に黄色い小花を多数つけるクロモジ属の低木が茂り、4月初めには可愛い花を咲かせます。
彩りの少ない春先にもキブシ、アブラチャン、クロモジなど黄色い花が人目を引く。
落葉樹の低木が主体の林間を尾根筋ぞいに登りますが、P3からP4にかけての北向き斜面一帯にはバイケイソウの優勢な群落を目にすることができます。
この辺りの開花期は6月末ですから、その頃に登ると名の由来となった梅花状の花を見ることができます。
バイケイソウの群れる斜面の上部にP4が有る。
登山道の周辺の木立にはナツツバキ、リョウブ、ツツジ等樹皮が剥離してつるつるした樹肌を見せる樹木が多く見られます。
この辺りから、山頂部を覆う馬酔木も多く見られるようになり、春には樹冠いっぱいに白い花を咲かせます。尾根の東斜面の傾斜が緩くなり、一帯が大きく開けた所にP5が有ります。伊勢湾方面への眺めもよく休憩に良い所です。
登るに従って尾根周辺の林が切れて周りに展望の利くポイントが幾つも現れてきます。この山の場合、山頂部に丈の高い樹木があまり発達していないのですが、ことにこの尾根沿いのルートではそれが顕著に現れます。
P6の手前には、水沢峠から御在所方面に対して素晴らしい展望を持つたポイントがある。山裾の芽吹きと桜の季節は殊の外美しい。
P6を超えると登山道の周囲が一気に開けて山腹一面が笹の下生えと馬酔木の群落へと変わります。遮るものがなくなった山腹からは、背後を振り返ると伊勢湾から雲母峰、御在所、鎌ヶ岳、県境尾根、水沢岳に至る鈴鹿山脈の連山が雄大なパノラマとなって展開します。
4月中旬以降には中腹部の桜も一斉に開花する。私はこの頃の新道が一番好きだ。
P6とP7の中間点より見た雲母峰。笹生えの小道の先に新道ルートのある北方の尾根筋が覗いている。
5月下旬、馬酔木の芽吹きの季節は入道ヶ岳の山頂が最も美しく輝く。無数の新芽が生み出す瑞々しい多彩な世界は、毎年来年も登って見てみたいと思う。
P6以降見晴らしも良くなり傾斜も緩くなった山道は足も捗ります。周囲の風景を楽しみながら登ってゆくと、宮妻峡の上流部より北部の山腹をトラバースしてきた宮妻林道都の合流点(P7)に出会います。
ここから北の頭の山頂部まではもう一息です。
緩傾斜の笹道は宮妻林道の出逢い、北尾根ルートの出会いを経て北の頭まで一気に登れる。
北の頭山頂部より眺めた鈴鹿山脈中北部。