SUB STORY


COLORS 番外編

【Team MONOCHRO】

 これは白狼と黒猫の出会いと絆の物語※BL表現あり(全年齢向け)※なんでも許せる方向け 
Episode.5 "Team MONOCHRO"    おかしくないか?   何がおかしいって、俺は確かに言ったよ? 「白黒はっきりつけたいだろ」ってさ。 泣きの3回目の対戦、お互いあまりプレイしていない者同士で選択したゲームは『リズムゲーム』だ。 うん、そこまではいい。 ここでホワイトが勝てば、ブラックは仲間になってくれるってんだから。 何を隠そう、ホワイトの得意とするダンスゲームはリズムゲームの応用みたいなものだ。 この賭けは俺が勝ったも同然…って思うだろ? そしたらアイツら仲良く『引き分け』。 なんとも煮え切らない結果を出しやがったんだな~これが。 ちなみに2人とも最高難易度レベル『鬼』オールパーフェクト… あんまりプレイした事なかったんじゃねぇのかよ、なんだよオールパーフェクトって。 俺一回もこの類のゲームで出した事ねぇけど? 2人そろって優秀なのは良い事だが、なに2人で満足した顔しちゃってんの!? これも確かに兄ちゃんは「お前の恋路、応援する」って茶化しちゃったが… それはブラックを仲間に入れたらの話だからな!? 今いちゃついていいって言ってねぇよ。   挙句の果てには…  「…ふむ、リズムゲームなら公平かと思ったのですが。やはり大差はないって事でしょうね」「けっ、当たり前だろうが。そもそもあの勝負も、完璧にリズム刻んでいたら余裕で勝ってた」「ふふっ…また『凡ミス』してくれるかと期待していたのですが、残念です」「ぼっ!? てめぇ、調子に乗るなよ! 次は絶対に負かしてやるからな!」    今思えば、それ以降の勝負に俺が居合わせていなかったのが悪かった。 公平な勝負をしたい2人の意志を尊重した俺はアジトに戻って、いい結果が来るのを待っていた。 が、何時間経っても来ない。 なんだったらまるで株でも見てるのかってくらいチームポイントの増減の繰り返しが行われてるからマジでびびったわ。 システム故障か?ってくらいのポイントの動きに疑問を抱いた。 連絡をしたかったが、ホワイトはプレイ中らしい。 (…は?まだやってんのか?)   仕方ないから、監視役のイエローに通信かけた。 『は~い、こちらイエローでぇっす♪ どしたの? リーダー』「どしたの、じゃねぇよ。ホワイトの奴、何してんだ? 一向に勝敗の連絡は来ねぇわ、ポイントがすげぇ動くわってなってるんだが?」『あんれ~、もしかしておかんむり? んとね~、なかなか勝負つかないからって今あの2人、リズムゲーム以外にも手を出してんの。それでお互い負けず嫌いなのか、勝ち負け決まっても、ま~た売り言葉に買い言葉みたいな? もうエンドレスで笑えるよね~w』「……だいたいの状況は分かった…まずは罰としてお前の所持ポイント(お小遣い)からチームポイントに上乗せしておいてやる」『えぇ!?』  ブツッと通信を乱暴に切る。 しくじった。ホワイトはCOLORSの稼ぎ頭だったからチームの所持ポイントもアイツの所持ポイントに直結していた事をすっかり忘れていた。 しかも監視役を任命したはずのイエローはおそらくこの展開を面白がって見ていただけだったんだろう…監視って見てるだけじゃねぇんだぞ、バカ野郎…などと一人愚痴をこぼすが、すでにアイツらの中では俺との賭けの事など頭から抜け落ちているに違いなかった。 「……さぁて、どうしてくれようかねぇ」  レッドは正当な賭けでの勝敗であれば、負けず嫌いで頭のキレるブラックも納得するだろうとは思っていた。 だが、どうもこのままだと賭け自体が有耶無耶にされそうだ。既に忘れている可能性も大いにある。それでもこの極小人数で構成されたCOLORSの今後の行動を練るに当たって、ポイントを確実に稼げるやつが必要だった。しかも稼ぎ頭であるホワイトと同等の実力とか、今までよく鳴りを潜めていたものだ。幸いな事にまだ運営はブラックをGRsに加入させるといったお触れは出してはいない。今の内にこっちに引き込ませなければならなかった。 うんうんと頭を悩ませるが、昔から真剣に考えるというか、意識的に頭を使うという事が苦手だ。 ほぼ直観や思いつきで行動し、結果が良い形で出たら万々歳といったところだった。今回も賭けという思いつきを提案したわけだが…外れた、と言ってもいいぐらい良い傾向とは思えない状況だ。 ふと、ある事を思い出した。 愛読書のマガジン、これにはモニターからの情報以外にも各ジャンルのゲーム特集がピックアップされている。勿論、ダンスゲームに関しても。そこにとある大会が開かれる事を思い出した。ニヤリ…と悪戯を思いついた子どものように笑う。 「…俺の賭けをないがしろにしたんだから、これぐらいいいだろ♪ いや~、これ思いつく俺様ってやっぱり天才☆」     ― 一方、《SHOOTING GAMES CORNER》でもう何度目か分からない勝負を終えた2人とイエローの3人は休憩のため、ベンチに座っていた。
「も~最悪だよ! なんで僕だけお小遣い減らされなきゃいけないのさ! 悪いのはなかなか勝負つかない2人なのに~!」「てめぇが止めないのが悪い」「それぐらい自分でセーブしなよ、このアホオオカミ!! リーダー、おかんむりなの分かってんの!?」「くすくす…これを機に僕の事を諦めてくれるといいんですけどね」   2人のやりとりを見て、愉快なヒト達だなとブラックは素直に思った。 それにしても、やはりチームとなるとポイントに関してはやたらとシビアなようだ。話を聞けば、ポイントはお小遣い制になっているようで、現在リーダーのレッドがチームポイントを管理しているとの事。 彼らの説明によると、リーダーの実弟であるブルーはログイン率が低い上に消費しかしないゲームに手を出すらしい。それを補う稼ぎができる肝心のホワイトがブラックとの勝負でポイントを取る取られるを繰り返していたわけだから、怒るのも無理はない。 だが、ならばむしろ「面倒くさい野郎だ」とでも言って、手を引いてくれる方がありがたい。 「どして~? もうぶっちゃけ、僕らの仲間になった方がお互いWIN WINな感じもするけど?」  イエローの言う通り、彼らのチームに加わる事でまず第一に保障されるであろう点は『所持ポイントの維持』。 チームに加入したユーザーは獲得したポイントをチームのポイントに貢献する代わりに、彼らのように自由に扱える所持ポイントが約束される。各チームによってどう管理しているのか、最低所持ポイントの設定などは異なるだろうが…逆にそう管理されていては、こちらの行動も制限されているにも等しいし、信頼のおける者が管理者でないと非常に危険だ。 まだそこまで信頼している訳でもなければ、何を考えているのかさっぱり分からない人物にこの世界における自分の命とも同等な価値のポイントを預ける行為は避けたかった。 「そもそも、僕らの上司は別で目的も異なりますから。僕は人助けの為に動いている訳ではないんです。それに…」「それに~?」「…僕としても、彼との対戦は…嫌いじゃないので」  急に端切れが悪くなってしまった。 チームに加入したら、おそらくできなくなるであろう事は『ホワイトとの勝負』だった。チームのメンバー同士で対戦して潰し合うなんて事はご法度に近い。おそらくポイントに関してシビアなレッドならば、それを良しとはしないだろう。 ホワイトとのこの関係、ライバルという関係がブラックにとって居心地が良いものとなっていた。勿論、気分転換という理由だが。それが理由だというのに自分でも驚くほど、らしくない言葉が出た。 『好きか嫌いか』と訊かれたわけでもないないのに何故か『嫌いじゃない』と答えてしまった。チラッとホワイトを見ると、目が合った。目が合うとは思わなかったので、つい視線を逸らした。  「ふ~ん? 嫌いじゃないんだ~?」
 イエローがニヤニヤとブラックの顔を覗こうとしてきた。 それを鬱陶しそうにのけようとした時、紅い悪魔、デビデビくんがモチーフのアバター衣装を着たユーザーが近づいてきた。 「…俺様がいないからってイチャイチャしてんじゃねぇぞ、おめぇら」「あ、兄貴っ!?」  ホワイトは慌てて振り返ると、そこにはいら立ちを隠そうともしない彼らのリーダー、レッドが腕を組んで立っていた。 「ホワイト、お前はいつになったら白黒はっきりつける? そりゃ言ったよ? 応援するとも言ってやったな、うん。だがな? 俺、お前に『賭けてる』って事、忘れてないか? ん?」「そ、それは…」  あのホワイトが威圧で押されてる…というかレッドの怒気がこちらにも伝わるほどだ。 相当ご立腹のようだ。 「ヤバッ…いつもよりマジギレしてるかも」  そう言うや否や、イエローはブラックの後ろに隠れる。 ブラックは他人事のように思っていたが、レッドはこちらにも牙を向けてきた。 「んで? ブラックは俺様との『賭け』…まさか忘れてたとかじゃないだろうな?」「ふふっ…ご安心ください、忘れてはいませんよ? 彼との勝負が思いのほか、楽しくてつい遊んでしまっていただけです」  ブラックは笑顔で返す。 何も嘘はついてはいない。 まぁこのまま有耶無耶にして諦めてもらおうと思っていたが、それを言ったらおそらく消されそうだから言わないでおこう。すると、レッドは少し怒りを抑えたようだが「なるほどな…」と言い「だ、が、な!!」と語気を強めた。 「どういう理由があれど、おめえらは俺の賭け事を忘れるぐらいには2人でよろしくやっていたわけだ…だから、俺様は強行手段をとる事にした!!」「なになに~? また面白い事~?」  物凄く嫌な予感した。 これ以上面倒くさい事に自分を巻き込まないでほしいと思っていたのだが、レッドは自分たちが予想だにしていない事を言い出した。 「あぁ、面白いぞ~? ホワイト、ブラック! おめぇらには、この『パノダンバトル ダブルストーナメント』に出てもらうぞ!!」  レッドは自分の愛読書マガジンのとあるページを2人の前にドンッ!と出してきた。 「「……は?」」  ブラックは勿論の事、ホワイトまでも呆気に取られていた。 今の今まで、サシで対戦していたのに、ここに来てダブルスとは誰が予想しただろうか。 ちなみにダブルスというのは2VS2で2人のユーザーでタッグを組み、協力プレイが必要不可欠な対戦モードの事だ。ブラックはまさかと思い、レッドに質問する事にした。 「……まさかとは思うのですが、今から組む相手を探せって訳じゃ」「な~に言ってんだ、ブラック。お前さんとホワイトが組むに決まってんだろ?」「…な!?」「あ、もうエントリーはしといたぜ☆ 思い立ったが吉って言うだろ?」「うわ、出た…リーダーの思いつきと気まぐれの突拍子もない強制エントリー…あちゃ~、しかもキャンセル料(ポイント)めっちゃ取られるやつじゃん」  それを聞いたホワイトは慌ててレッドに異議を申し立てた。 「兄貴っ…!いくらでなんでも やりすぎってもんがっ…!!」「黙れ。兄ちゃん、ちゃ~んとお前の事、待ってたんだぜ? それに公平に事が進むように『賭け』にも発展させて、気を遣ってやった方だと思うがな。つうか、お前も他人の事言えねぇから、そうだろ?」  先ほどの陽気な口調が一転、またもや怒気の含む言葉にホワイトは唸るしかなかった。 「勿論、キャンセルなんてのは許さねぇ。ブラック、お前さんは俺を甘くみすぎだ。俺はホワイトほど甘くもなきゃ優しくもねぇ。俺にとって『賭け事』はゲームじゃないと言えど勝負の一つにすぎない。それを有耶無耶にしようってんだから、当然、引き受けるよな?」  今までに経験のないピリつく空気に、動けなかった。 一筋、嫌な汗がこめかみから流れた。周りもどよめきが湧いた。今の今まですっかり忘れていたが、ここは他のユーザーもいるゲームコーナーの中だ。 レッドはありとあらゆる退路を断っていた。完全にやられた…と心の中で舌打ちをした。おそらく莫大なキャンセル料のかかるリスクの高い大会を選んだのも、敢えてアジトではなく他ユーザーがいるであろうゲームコーナーに訪れたのも…全てブラックの退路を断つ為の強行手段といったところか。 「……なぜ、そうまでして僕を仲間にしたいのですか?」  賭けもそうだが、わざわざ自分もリスクを背負うなど、正気とは思えなかった。 怒りからくる八つ当たりのようなものだろうか。 「ん? 俺が必要だって思ったからに決まってんだろ。俺は面白くないやつにもモノにも手は出さねえ。だがこれから面白い事をやるにも、お前さんが必要だ。だから俺はこうしてスカウトしてんじゃねぇか!」「もうスカウトじゃなくて、脅迫じゃん」「うっせぇ!! そもそも長すぎんだ、お前らは! そんなにいちゃいちゃしたかったら、まずはチームに入ってからにしろ!! ポイントさえ稼いでくれりゃ、俺は多少の潰し合いも目を瞑ってやるし」「結局ポイントが一番の理由じゃん!?」  レッドの言う『いちゃいちゃ』という表現は理解し難いが、どうやら諦めなど最初から考えていないようで、むしろ逃がしはしないとでもいうほどに問答無用で普通ではありえない方法をとってきた。 なるほど、確かに優しくないな…とこちらの方が折れそうになる。 「ばっか、それだけじゃねぇって。ブラックだって運営のアホの情報を知りたいんだろ? だからダンスゲーム・リーパーを狙ってたんなら、あの『マスター狩り』にも辻褄が合う。それに俺が既にGRsに入ってんだから、もう情報も入り放題だろ! 俺としてもこいつら一人で面倒見るのは心許なかったのもあるし」「後半、軽く僕らをディスってない? お前だって、たまに暴走するじゃん!」  確かにレッドの言う通り、既にGRsに所属している彼の元にいれば、安全も保障されつつ、欲しい情報が手に入る事だろう。 まさにWIN WINの関係となるわけだ。ブラックはチラリとホワイトの様子を窺う。レッドに怒られて相当、参っているようだがブラックの視線に気づいた彼は「なんか……兄貴が悪いな」とバツが悪そうに謝ってきた。 そう言われるとは思ってもみなかった。言葉や態度が悪かったから気づかなかったが、どうやら色々と見当違いなところがあったようだ。 (…僕もまだまだ修行不足…だな。)  そう心内で自嘲し、今までの彼との行動や発言を思い返したら、可笑しくなってしまい、つい笑ってしまった。 「な…てめぇ、ヒトが下手に出てやってんのに…!?」「くすくす…いえ、すみません……フフフ」  こうまでされて、断るほうが恰好悪いというものだ。 だが、やはりただでとは言い難い。こちらとしても『楽しい時間』を邪魔されてしまったのだから。まだああだこうだと言い合っているレッドとイエローの元に歩み寄る。 「…ブラック?」「半ば強制と言えど…その大会に出場しましょう、勿論ホワイトと組んで」「お! じゃぁ今度こそ俺の仲間に」「ただし条件があります」  「あれ? これデジャブじゃない??」とイエローがツッコむが、レッドはそれを遮り「いいぜ、言ってみろ」とブラックの言葉の先を促した。 「このパノダンバトルの大会での優勝…それがチームへの加入条件にしてもらえますか?」  誰もが「どゆこと?」と首を傾げただろう。 まるで今まで拒絶していたブラックが仲間になりたいと言ってるようにも聞こえたからだ。ホワイトもどういう風の吹きまわしだとでも言いたいように、ブラックの言葉の真意が分からなかった。 「んん? そりゃぁ、こっちとしても願ったり叶ったりな条件だが?」「でもでも~、裏を返せば『優勝』しなかったら仲間にならないって事じゃない?」「……!?」「ふふ…見かけによらず鋭いですね、君は。その通りです。それだけじゃありません。わざわざ僕らを組ませるという事は、それがレッド…『リーダー』の望みかと思われたので。しかし、いざ組んだ相手が脚を引っ張るような事ではこの先不安でしょう?」  ホワイトのオオカミ耳がピクッと反応した。 あのブラックが謙遜じみた事を言う訳がない、つまり彼が言いたいのは… 「僕の足手まといになるようなら、こちらからも願い下げなんで。組むからには『優勝』を狙える者でないと、ねぇ? ホワイト」  やはりそうだ、ブラックは挑発の色をにじませた瞳をホワイトに向ける。 以前のホワイトだったら、すぐに胸ぐらを掴むなり暴言を吐いたりするところだっただろうが、片方の口角を上げてその挑発にのった。 「言うまでもねぇよ、てめぇこそ…俺の脚を引っ張らねぇように、せいぜいへばらないようにしろや」  レッドもイエローも驚いた。 だが、レッドの見立て通り、ホワイトとブラックはおそらく、否、きっといいコンビとなる。そう確信を持てた。 「よし、じゃあ今度こそ『待ったなし』だ! つーか、優勝しなかったらマジで許さねぇぞ…チーム名の登録料もバカにできないからな!」「……? 名前でエントリーしたのでは?」  ユーザー名でのエントリーならば、大会であれば通常1,000Pから出場可のはず。 だがもし、新規で新たにチームを登録した上でのエントリーとなるとチーム立ち上げ代金という形でさらにポイントを出費してしまう。レッドはニヤリと自信満々にトーナメント表を2人に渡した。 「俺が考えた♪ ブラックとホワイトだから、お前らのダブルスチームは《MONOCHRO(モノクロ)》! 我ながらネーミングセンス冴えてると思うだろ?」「…名前、安直だし、なんだったらモノクロの綴り…間違えてない??」「「……」」  ブラックが言いづらかった事をイエローがすぐにツッコんでくれたが、まさかの反応の悪さにレッドは「?」と首を傾げた。 おそらくレッドは本気で自信に満ちていたのだろう。ブラックはやるからには絶対に優勝を狙いたいところだが、既に先行き不安になりそうだと、後悔しかけていた。ホワイトの様子を見ると、ワナワナと震えていた。無理もない、リーダーと言えど勝手に自分たちのダブルスチームの名前までつけてしまっているのだから。しかもまだ仲間になる前に、だ。 だが、ホワイトは顔をバッと上げたと思いきや、まるで目を輝かせる少年のようにリーダーを見ていた。 「さ……さすが、兄貴っす!! こんなかっけぇの思いつくなんて…しかも兄貴に名付けてもらえるなんて感無量っす!!!!」「……ホワイト?」「おお! だろだろ? いや~お前らなら、絶対に気に入ってくれると思ったんだよなぁ♪」「天才…いや、神がかってますね!!」  「だっろ~?」とめちゃくちゃヨイショされて照れ隠しのように頭を掻くレッド。 満更でもないようだが。 ブラックがポカン…としていると、イエローが耳打ちしてきた。 「…先に言っておくけど。ホワイトはリーダーの舎弟みたいなもんだから。そーゆー関係じゃないから安心していいよ?」「…は? なんの事ですか?」「あのアホは『リーダーこそ正義』的なとこあるけど、それだけだから」「……はぁ」  イエローが言いたい事がよく分からなかったが、とにかくあの2人を誰かが止めないと後に大変な事になるであろう事がなんとなくわかった気がした。   なんだかんだと半ば強制なところはあったが、結局2人はそのままパノダンバトルのダブルストーナメントに出場し、噂を聞きつけたホワイトとブラックのファンや取材をしようと乗り込んだ記者などで会場が大変な事になっていた。 勿論、結果は言わずもがな。 そこからはブラックを正式にCOLORSのメンバーとして迎えるにも時間がかからなかったといえばそうでもないが……それはまた別の話。    BACK  ¦  NEXT