MAIN STORY
MAIN STORY
Chapter .02
Chapter .02
【We are "COLORS"!!】
【We are "COLORS"!!】
近づく者は"勇者"か?"愚者"か?彼らの『色』に染まる頃手遅れとなるだろう
Episode.06
グレイの実力をみる事になった COLORS 一同。 初心者という事もあって、まずはトレーニングルームで軽く体力テストをする事に。 しかし―(―なんということでしょう。もしかしたら人類で最弱なのかもしれない…)
ステータスが全て最弱だった事が判明した。 しかも、種族の登録も『人間』だからか普段よりも総合的に体力の持続力も皆無だった。
次に実施したのはゲームのトレーニングモードによる実力テスト。 ちなみにトレーニングモードとは、対戦相手が《NCP:ノンコントロールプレイヤーの略》かつポイントの消費も無い為、誰でも何回でも行える練習モードらしい。勿論、勝利したところでポイントは増えない。 ゲームの種類は4種類。 シューティング、リズム、格闘、ダンスだった。 シューティングゲームはブラックと一度共闘した事がある《バルーン・シューティング》のシングル戦。 リズムゲームは単純に画面上から流れてくる『♪』マークをBGMに合わせてタップしていくもの。 格闘ゲームは好きなプレイキャラクターとステージを選択した後に、台に付いてるコントローラーによるコマンド入力を駆使し、対戦相手を倒すものだった。 結果は…
◆シューティング(トレーニングモード) スコア30/100p
◆リズム(トレーニングモード) スコア50/100p
◆格闘(トレーニングモード) 1勝4敗(5戦中)
◆リズム(トレーニングモード) スコア50/100p
◆格闘(トレーニングモード) 1勝4敗(5戦中)
「……まぁ、結果は分かり切ってたことだけど…ここまでダメダメだとはねぇ」「くすくす…逆に育てがいがあると思いますよ?」 イエローはモニターの結果表を見て、あちゃ~と頭を抱える仕草をしたが、ブラックはむしろ楽しそうだった。 最後に実施したのはダンスゲーム。 これはリズムゲームの応用版とも言える。基本、ユーザー自身がプレイヤーとしてステージの上で360度に光る『♪』マーク目掛けて両手足を使い、タップしていくものだった。BGMに合わせて踊ると同時にタイミング良くタップしなければいけない為、リズムゲームができる前提でなければ簡単にクリアできない。 4種類のゲームの中でも一番難しいかもしれない。 そのダンスゲームの結果もピコンッと表示された。 当然、結果は―
◆ダンス(トレーニングモード)
スコア40/100p
たて続けにゲームをしたせいなのか。 体力を消耗したかのように息切れがすごい。 力尽きて四つん這いになってしまった。
そんなグレイの姿を見て、ホワイトが追い打ちをかけてきた。
「けっ、口ほどにもねぇな。『俺たちの手伝いをしたい』?それ以前にこんなちんけなスコアで生き残れるのか、てめぇはよ! 《WORLD OUT》喰らって即退場だろうが…だったら、弱ぇてめぇは潔くおうちでねんねしてりゃいいんだよ!」「ちょいと! 何もそこまで言う事ないじゃんか! イエローさん、プンスコだよ!? リーダーも黙ってないで何か言ってやってよ!」
イエローがトレーニングルームの外で怒りに任せて喚いていたが、リーダーは「黙って見てろ」と諫めた。 そんな中、グレイは咳き込みよろけながらも立ち上がる。
(このヒトの言う通り…本当は帰るべきなのかもしれない。ただの足手まといにしかなれないかもしれない…でもっ)
―その願い、叶えてやろうか?
呼吸が荒いからか、激しい頭痛が襲う。 少年の声が頭の中で響く。頭を横に振り払う。 (自分の願いは…自分で叶えなきゃ)
乱れる呼吸の中、目はしっかりとホワイトを捉えていた。
「たしかに…ボクは、弱い……ハァ、ハァ…何も取り柄がない…けど!!」
キッと目に力を入れ、ホワイトを睨んだ。 歯を食いしばり、言葉を紡ぐ。
「ここで何もしなかったら…きっと後悔する…!」
いつも護られていた。 家族にも。 友達にも。 大切なヒトにも。 だから。
「今度はボクが…ボクが皆を護りたいっ!!だから…ボクはこの理不尽な世界を―」 「 ぶっ壊したいんですっ!!」 人生の中で一番大きな声を出した気がした。 やけに静かだった。まるで時が止まったかのように。 「くくっ…だっはっはっはっはっ!!」 その静寂を打ち消したのはリーダー、レッドだった。 「 こりゃあ、大きく出たなぁ? グレイ。よしっ!その根性…オレ様、超~気に入った♪」 グレイの啖呵が功を奏したのか。 気に入ったという事は、認めてくれたのだろうか。 「…っ!! じゃ、じゃあ」「たっだ~し!!」
レッドは人差し指をビシィッとグレイの前に突き出す。
「保留、な。メンバーにもう1人、オレの弟がいる。そいつの了承も得たら、晴れて正式にメンバーに加えるとする。いいな?」「あ、ありがとうございますっ!」 どうやら、及第点をもらえたらしい。 保留とはいえ、見放されるよりはマシだ。 「兄貴っ! オレはまだコイツを認めては」
ホワイトが慌てて抗議をするも、レッドはすぐに威圧的にそれを制した。 「このオレがいいっつってんだ、それともまだ文句があんのか?」 彼の威圧に敵わないと判断したであろうホワイトは「ヴゥ~…了解」と唸りながらも、渋々承諾した。
グレイはトレーニングルームの外にいる他の二人のもとへよろけながらも駆けよった。 「やりましたよ、ブラック先輩! まだ保留ですけど…」 「えへへ」と笑顔でブラック先輩に報告した。 その様子を見た彼も安心したのか、優しく微笑みグレイの頭をなでながら労いの言葉をかけた。 「よく頑張りましたね、グレイ。あのホワイトに臆せず、牙を向けるとは……人は見かけによりませんね」「さっきのすごかったネ~☆ あのまま殴りかかるのかと思ったけどw」「あ、体力があったらそのつもりでした」「「え゙っ……!?」」 レッドは和気藹々と話すグレイ達を見つめる。 (とりあえず、今後の事も踏まえて考えねぇとな…いろいろと)
ふぅ…と溜息をつく。 (ま、どうにかなるだろ!) 「よし、お前らぁ!! アジトに戻るぞ!」
そんなグレイの姿を見て、ホワイトが追い打ちをかけてきた。
「けっ、口ほどにもねぇな。『俺たちの手伝いをしたい』?それ以前にこんなちんけなスコアで生き残れるのか、てめぇはよ! 《WORLD OUT》喰らって即退場だろうが…だったら、弱ぇてめぇは潔くおうちでねんねしてりゃいいんだよ!」「ちょいと! 何もそこまで言う事ないじゃんか! イエローさん、プンスコだよ!? リーダーも黙ってないで何か言ってやってよ!」
イエローがトレーニングルームの外で怒りに任せて喚いていたが、リーダーは「黙って見てろ」と諫めた。 そんな中、グレイは咳き込みよろけながらも立ち上がる。
(このヒトの言う通り…本当は帰るべきなのかもしれない。ただの足手まといにしかなれないかもしれない…でもっ)
―その願い、叶えてやろうか?
呼吸が荒いからか、激しい頭痛が襲う。 少年の声が頭の中で響く。頭を横に振り払う。 (自分の願いは…自分で叶えなきゃ)
乱れる呼吸の中、目はしっかりとホワイトを捉えていた。
「たしかに…ボクは、弱い……ハァ、ハァ…何も取り柄がない…けど!!」
キッと目に力を入れ、ホワイトを睨んだ。 歯を食いしばり、言葉を紡ぐ。
「ここで何もしなかったら…きっと後悔する…!」
いつも護られていた。 家族にも。 友達にも。 大切なヒトにも。 だから。
「今度はボクが…ボクが皆を護りたいっ!!だから…ボクはこの理不尽な世界を―」 「 ぶっ壊したいんですっ!!」 人生の中で一番大きな声を出した気がした。 やけに静かだった。まるで時が止まったかのように。 「くくっ…だっはっはっはっはっ!!」 その静寂を打ち消したのはリーダー、レッドだった。 「 こりゃあ、大きく出たなぁ? グレイ。よしっ!その根性…オレ様、超~気に入った♪」 グレイの啖呵が功を奏したのか。 気に入ったという事は、認めてくれたのだろうか。 「…っ!! じゃ、じゃあ」「たっだ~し!!」
レッドは人差し指をビシィッとグレイの前に突き出す。
「保留、な。メンバーにもう1人、オレの弟がいる。そいつの了承も得たら、晴れて正式にメンバーに加えるとする。いいな?」「あ、ありがとうございますっ!」 どうやら、及第点をもらえたらしい。 保留とはいえ、見放されるよりはマシだ。 「兄貴っ! オレはまだコイツを認めては」
ホワイトが慌てて抗議をするも、レッドはすぐに威圧的にそれを制した。 「このオレがいいっつってんだ、それともまだ文句があんのか?」 彼の威圧に敵わないと判断したであろうホワイトは「ヴゥ~…了解」と唸りながらも、渋々承諾した。
グレイはトレーニングルームの外にいる他の二人のもとへよろけながらも駆けよった。 「やりましたよ、ブラック先輩! まだ保留ですけど…」 「えへへ」と笑顔でブラック先輩に報告した。 その様子を見た彼も安心したのか、優しく微笑みグレイの頭をなでながら労いの言葉をかけた。 「よく頑張りましたね、グレイ。あのホワイトに臆せず、牙を向けるとは……人は見かけによりませんね」「さっきのすごかったネ~☆ あのまま殴りかかるのかと思ったけどw」「あ、体力があったらそのつもりでした」「「え゙っ……!?」」 レッドは和気藹々と話すグレイ達を見つめる。 (とりあえず、今後の事も踏まえて考えねぇとな…いろいろと)
ふぅ…と溜息をつく。 (ま、どうにかなるだろ!) 「よし、お前らぁ!! アジトに戻るぞ!」
―時は経ち、COLORSのアジトに移動した。 《COLORS入団試験》を終えたボクは仮メンバーとして迎えられる事になった。 「色々と説明する前に…まず今やることはズバリッ!自己紹介だなっ!」「はいは~い☆ 僕から紹介しま~っす♪」 先手を切ったのは、ボクよりも小柄なユーザー、イエロー先輩だった。 「僕はイエロー♪ 得意なゲームは格闘ゲーム! 最近は《VRPG》にもハマってるよん。よろしくネッ☆」 イエロー先輩のアバター衣装はモチーフ『道化ウサギ』。 垂れたウサ耳とピエロのような狂気を感じる眼がついてる黄色いヘルメットに、左右にはねてる緑の髪。 全体的に黄色ベースのつなぎだが、ところどころ茶色の継ぎ接ぎがあったり、異様に長い袖だったりととても独特だ。 真っ赤なレンズの大きなゴーグルを常に装着しているらしい。 仕草や口調のせいか、女の子のようにも見える。 (…はっ!もしかしてボクと同じく性別を隠しているのでは!?) 次はボクを保護してくれたブラック先輩。 「改めまして、ブラックと言います。得意なゲームはシューティングゲームです。ホワイトとダブルスチーム《MONOCHRO》としてコンビを組んでいます」 ブラック先輩のアバター衣装はモチーフ『サイバー猫』。 猫耳にジト目が印象的な黒いパイロット帽子に、右眼を前髪で隠しているミステリアスな青年。 あのホワイト先輩とコンビだという事が未だに信じられない。 (ブラック先輩の笑顔は不思議と安心する…あと優しい。ほんとにあのヒトとコンビ、なのかな?) チラリッとその隣に座る白オオカミの男を見る。 彼はどうやらまだ納得していないらしい。 タバコ…ではなくペロキャンをガリッと噛み砕きながら嫌そうに重い口を開く。 「……ホワイトだ」「え、終わり? 得意なゲームジャンルを言う流れだったじゃん? KYなの?」「……ちっ……ダンスゲームプレイヤー……(ボソッ:認めてねぇからな)」「ひぇ…」 イエロー先輩、わざとなのか。 それ以前に気に食わないのか。 ホワイト先輩のアバター衣装はモチーフ『強面オオカミ』。 まるで常に不機嫌な厳つい狼の毛皮でできているかのような白いマント。 左頬には、ボクと同じく白いテープがしてあるのが気になるが、あんまりジロジロ見ると怒られそうなのでやめておこう。 そうでなくともすごく睨んでくるのでもはやトラウマレベルである。 (少しでも兄と見間違えた過去の自分を殴りたい…) 最後は、このチームのリーダー、レッド先輩。 「オレはレッド! 得意ジャンルはギャンブルとサバゲー!!COLORSのリーダー《紅蓮の死神》とはオレ様の事! よろしくな、グレイ!」 レッド先輩のアバター衣装はモチーフ『デビデビくん』。 紅いフードにはデビデビくんの立派な角がついていた。 さらに目元が分からないぐらい黒い帽子を深く被っているが、顎のちょび髭によりこのメンバーの中では年長者だという事がわかる。 紅いデビデビくんの上着の下は黒のシャツ。ズボンは黄色の1本ラインの入ったジャージ。 シンプルな容姿なのに、不思議と魅力を感じてしまう。 (はわわわ…デビデビくん…!かっこいい〜!!) 「あともう1人、オレの弟でブルーってやつがいる。神出鬼没なやつでどこほっつき歩いてんだか知らんが…まぁそいつの事はおいおい、な♪」 レッド先輩は今この場にいないヒトについても軽く説明してくれた。 いつ出会えるかわからないが、先輩の弟ならばきっと良いヒトなのだろう。 そして最後、ボクはスクッと立ち上がった。
「グレイって言います! 不束者ですが、よろしくお願いします!先輩がたっ!」
「グレイって言います! 不束者ですが、よろしくお願いします!先輩がたっ!」
「よし、次はグレイの為にこのチームならではのルールを説明するぞ。お前らも今後より一層、ルールを守るように。いいな?」「あいあいさ~☆」 おもむろにレッド先輩は会議室によくあるであろう移動式ホワイトボードに何やら書き出した。 この会議室はとてもシンプルな造りだ。会議室とはいうが、普段は談話室も兼ねているこの部屋に置かれている家具はローテーブル1台、それをコの字型に囲うロングソファ3台だけ。 改めて会議室の中を見渡している間に、ボードには『Welcome to COLORS!』とでかでかと書かれていた。その下にはおそらく『ルール』だろうか。いくつか箇条書きも記されていた。
(ブラック先輩が「男の子のふりをしろ」と条件を出した理由はコレだったのか…)
ルールその1に『女性ユーザーお断り』…つまりこのチームは女性禁制。 最初は元の姿の目くらましなのかと思っていたが、そもそも女の姿ではCOLORSの仲間入りは夢のまた夢の話だった。 他にも気になるルールがあった。
「…以上がオレたちCOLORS独自のルールだ。グレイ、何か質問あるか?」
レッド先輩はボードをトントンと拳で軽く叩く。
「えと…無駄遣いってどういうことでしょうか?」
こてんっと首を傾げ、質問をするグレイ。 おそらくポイントの事だと思われるが、チームのルールにわざわざ入れるほど重要なのだろうか。
「……(上目遣い、激かわ)いい質問だ、グレイ。ポイントには様々な用途があることは知ってるか?」「はい、通貨にビット、ライフポイントにもなると教わりました」
レッド先輩はうん、うんと頷き、説明を続けた。
「ポイントはソロなら自分で管理すりゃいい話だ。だがオレたちのようなマルチの場合、そうはいかない」
メンバーの所有ポイントは『チームのライフポイント』にもなる。 利点としては、チームに所属することでポイントの維持が約束され、ポイントゼロによる自滅は避けられる。 チーム戦ともなるとランキングマッチバトルなど、ポイントが多ければ多いほど有利なゲームもあるらしい。 「補足しちゃうとね~、ポイントって所謂、生活費な訳だからこのアジトの維持費もかかってるんだよネ☆基本僕らも自由に使っていい分はあるんだけど、使いすぎたら管理者のリーダーにすぐバレちゃうから気をつけなよ〜?」「…え! そうなんですか!?」
イエロー先輩はニヤニヤと悪い笑顔で補足を加えた。 その補足を聞いた途端、冷や汗が出てきた。 何を隠そう、実はボクが着ているこのモチーフ『エンジュちゃん』のアバター衣装は―
(―どうしよう。所持ポイントが足りなかったばかりにブラック先輩に出していただいたんだった…確かオールコーディネート総額20,000ポイントはいっていたような…!?)
まだ仲間ではなかった時のことではあるが、ポイントを使用したのは他でもないチームメンバーのブラック先輩だった。 チラッとブラック先輩を見る。 先輩はボクと目が合うや否や「ニコッ」と笑顔で返してきた。 なぜそんなに余裕なのだろうか。
「当ったり前だろ? オレ様がお前らの分までポイント管理してやってるおかげで、快適に遊べてるんだからな。ぶっちゃけ、元を取ってくれりゃぁオレは文句は言わねぇし……ん? んん~?」
なんてことだ。 レッド先輩が目の前にモニターを表示させ、ポイントの履歴を確認してしまった。 「どったの?」
イエロー先輩は長い袖を口元に持っていき、こてっと首を傾げた。 そんな彼のあざとさなど完全に無視して、レッド先輩はブラック先輩に問いかける。
「……ブラックよぉ。な~んかめっちゃポイント使いまくってるっぽいんだが、いったい20,000P以上も何に使ったよ?」「…っ!! あ、それは」「それはちょっとした『ご褒美』に使用したんですよ」
ボクが事情を説明しようとする前に、ブラック先輩が答えた。 しかし、多くを語ろうとしなかったからか。 咥えてた何本目かのペロキャンをガリッと音を立てるほど噛み砕き、少し唸りながらホワイト先輩がさらに問い詰める。
「…グルルル…『ご褒美』だぁ? お前、まさかドジ助に使ったとか言うんじゃねぇだろうなぁ?」
(ド…ドジ助ってボクの事!?)
「くすくす…えぇ、君の言う通りですよ、ホワイト」
特に悪びれる様子もなく、むしろあっさりと肯定した。
「僕が加勢したとはいえ、初めてのゲームを見事クリアした訳ですから。衣装は僕が見繕いました。この衣装は初心者である彼にはうってつけのオートスキルもありましたし、思いのほか、違和感もなかったので…ね? グレイ」「へ?あ、はいっ!!」
よくもまぁスラスラと言葉が出るな…と呆気にとられていたが、呼ばれてつい反射で返事してしまった。 実際は自分のわがままで選んだものなのだが。 説明を聞いてもなお、ホワイト先輩は納得していないようだった。 余計にイライラが募っている様子。
「だからって、てめぇ…20,000Pは使いすぎだろうが! 兄貴の許可も無く、勝手に使うなんざ許されねぇぞ!! そうっすよね、兄貴っ!」
レッド先輩も怒り狂っているのか、ワナワナと身体を震わせていた。
(あわわわわ…!! ブ、ブラック先輩が怒られてしまう~!!)
「…ブラック、お前ぇ……」
黙って聞いていたレッド先輩が口を開いた。 怒り狂うのかと思いきや…
「超~~~~ナイスチョイスッ!! お前さんは頭良いだけじゃなくて、センスまで神がかってるとか……オレ様、超リスペクトッ!!」
まさかの大興奮。 ホワイト先輩は口をあんぐりと開けたまま唖然としていた。 イエロー先輩は「あははは☆ ちょ~ウケる~www」と笑い転げていた。
「…(まさか、そこまでとは)ふふっ、リーダーも褒めてくださってることですし。良かったですね、グレイ」「え、あ…はい! ありがとうございます…?」
何故、あんなに興奮しているのかは分からないが。 なんとか怒られる事はなさそうだったのでまずはひと安心だ。 レッド先輩は興奮が収まらないのか、なにやら「どうにかして写真を現実世界に持っていく事はできないか…―に聞いてみるか、いや、でも」とブツブツ呟いていた。
「…リーダー、リーダー。『素』が出ちゃってるよ?」「んあ?…はっ!! ゴホンッ!!……あ~まぁ、なんだ、ブラック。今回のポイント消費の理由は理解した。お前さんの事だから、すぐに取り返すだろ?」「えぇ、勿論。 ホワイトと一緒にそれ以上に稼ぎますから、ね? ホワイト」「あ? なんでオレまd」「おお~!! そうか、お前ら《MONOCHRO(モノクロ)》なら20,000Pなんて帳消しも楽勝だな。期待してるぜ? ホワイトッ!」「任せてくださいっ!! 兄貴っ!!」「あはっ☆ チョロすぎ~w」
『元を取れ』という事は、それ以上にポイントを稼げって事らしい。
(ポイントを使うときは気をつけよう…)
そして、ポイントとは別にもう一つ気になる項目もあった。
「あ、そういえば新ルール追加って…」
それは『ルールその5 単独行動原則禁止』。 その横には『特にグレイ』と書かれていた。
「おぉ、そうだった。オレたちは既にマスター以上の称号を所有しているが、グレイはルーキー。また変なのに絡まれると色々と厄介だからな。だから単独行動は禁止とする。何をするにしてもグレイは必ずオレ達の誰かと行動をする事、いいな?」「はいっ!皆さん、宜しくお願いしますっ!」
単独行動できないのは致し方のない事だ。 しかし、ボクの育成ついでに調査等の任務を先輩がたと共に課せられるらしい。
(早く先輩がたのように強くならなきゃ…)
無意識に拳に力を入れる。 今はまだ護られないとこの世界に留まる事は不可能に近い。 そしてこの世界の事も分からない事だらけだ。 より一層、気を引き締めなければ。
(この世界を…許してはならない)
「…ってことで、ルール説明は以上!モノクロは減った分のポイント補充してこい。それと、グレイ」
レッド先輩はこちらを指さす。 おそらく早速イエロー先輩と一緒に何かしら任務が与えられるはずだ。 ゴクリと唾を飲み込む。 そして下された内容は― 「ひとまずお前さんは元の世界に帰ることっ!」「はいっ!え?……えぇぇぇぇぇっ!!?」 ―まさかの帰還命令だった。 BACK ¦ NEXT
ルールその1に『女性ユーザーお断り』…つまりこのチームは女性禁制。 最初は元の姿の目くらましなのかと思っていたが、そもそも女の姿ではCOLORSの仲間入りは夢のまた夢の話だった。 他にも気になるルールがあった。
「…以上がオレたちCOLORS独自のルールだ。グレイ、何か質問あるか?」
レッド先輩はボードをトントンと拳で軽く叩く。
「えと…無駄遣いってどういうことでしょうか?」
こてんっと首を傾げ、質問をするグレイ。 おそらくポイントの事だと思われるが、チームのルールにわざわざ入れるほど重要なのだろうか。
「……(上目遣い、激かわ)いい質問だ、グレイ。ポイントには様々な用途があることは知ってるか?」「はい、通貨にビット、ライフポイントにもなると教わりました」
レッド先輩はうん、うんと頷き、説明を続けた。
「ポイントはソロなら自分で管理すりゃいい話だ。だがオレたちのようなマルチの場合、そうはいかない」
メンバーの所有ポイントは『チームのライフポイント』にもなる。 利点としては、チームに所属することでポイントの維持が約束され、ポイントゼロによる自滅は避けられる。 チーム戦ともなるとランキングマッチバトルなど、ポイントが多ければ多いほど有利なゲームもあるらしい。 「補足しちゃうとね~、ポイントって所謂、生活費な訳だからこのアジトの維持費もかかってるんだよネ☆基本僕らも自由に使っていい分はあるんだけど、使いすぎたら管理者のリーダーにすぐバレちゃうから気をつけなよ〜?」「…え! そうなんですか!?」
イエロー先輩はニヤニヤと悪い笑顔で補足を加えた。 その補足を聞いた途端、冷や汗が出てきた。 何を隠そう、実はボクが着ているこのモチーフ『エンジュちゃん』のアバター衣装は―
(―どうしよう。所持ポイントが足りなかったばかりにブラック先輩に出していただいたんだった…確かオールコーディネート総額20,000ポイントはいっていたような…!?)
まだ仲間ではなかった時のことではあるが、ポイントを使用したのは他でもないチームメンバーのブラック先輩だった。 チラッとブラック先輩を見る。 先輩はボクと目が合うや否や「ニコッ」と笑顔で返してきた。 なぜそんなに余裕なのだろうか。
「当ったり前だろ? オレ様がお前らの分までポイント管理してやってるおかげで、快適に遊べてるんだからな。ぶっちゃけ、元を取ってくれりゃぁオレは文句は言わねぇし……ん? んん~?」
なんてことだ。 レッド先輩が目の前にモニターを表示させ、ポイントの履歴を確認してしまった。 「どったの?」
イエロー先輩は長い袖を口元に持っていき、こてっと首を傾げた。 そんな彼のあざとさなど完全に無視して、レッド先輩はブラック先輩に問いかける。
「……ブラックよぉ。な~んかめっちゃポイント使いまくってるっぽいんだが、いったい20,000P以上も何に使ったよ?」「…っ!! あ、それは」「それはちょっとした『ご褒美』に使用したんですよ」
ボクが事情を説明しようとする前に、ブラック先輩が答えた。 しかし、多くを語ろうとしなかったからか。 咥えてた何本目かのペロキャンをガリッと音を立てるほど噛み砕き、少し唸りながらホワイト先輩がさらに問い詰める。
「…グルルル…『ご褒美』だぁ? お前、まさかドジ助に使ったとか言うんじゃねぇだろうなぁ?」
(ド…ドジ助ってボクの事!?)
「くすくす…えぇ、君の言う通りですよ、ホワイト」
特に悪びれる様子もなく、むしろあっさりと肯定した。
「僕が加勢したとはいえ、初めてのゲームを見事クリアした訳ですから。衣装は僕が見繕いました。この衣装は初心者である彼にはうってつけのオートスキルもありましたし、思いのほか、違和感もなかったので…ね? グレイ」「へ?あ、はいっ!!」
よくもまぁスラスラと言葉が出るな…と呆気にとられていたが、呼ばれてつい反射で返事してしまった。 実際は自分のわがままで選んだものなのだが。 説明を聞いてもなお、ホワイト先輩は納得していないようだった。 余計にイライラが募っている様子。
「だからって、てめぇ…20,000Pは使いすぎだろうが! 兄貴の許可も無く、勝手に使うなんざ許されねぇぞ!! そうっすよね、兄貴っ!」
レッド先輩も怒り狂っているのか、ワナワナと身体を震わせていた。
(あわわわわ…!! ブ、ブラック先輩が怒られてしまう~!!)
「…ブラック、お前ぇ……」
黙って聞いていたレッド先輩が口を開いた。 怒り狂うのかと思いきや…
「超~~~~ナイスチョイスッ!! お前さんは頭良いだけじゃなくて、センスまで神がかってるとか……オレ様、超リスペクトッ!!」
まさかの大興奮。 ホワイト先輩は口をあんぐりと開けたまま唖然としていた。 イエロー先輩は「あははは☆ ちょ~ウケる~www」と笑い転げていた。
「…(まさか、そこまでとは)ふふっ、リーダーも褒めてくださってることですし。良かったですね、グレイ」「え、あ…はい! ありがとうございます…?」
何故、あんなに興奮しているのかは分からないが。 なんとか怒られる事はなさそうだったのでまずはひと安心だ。 レッド先輩は興奮が収まらないのか、なにやら「どうにかして写真を現実世界に持っていく事はできないか…―に聞いてみるか、いや、でも」とブツブツ呟いていた。
「…リーダー、リーダー。『素』が出ちゃってるよ?」「んあ?…はっ!! ゴホンッ!!……あ~まぁ、なんだ、ブラック。今回のポイント消費の理由は理解した。お前さんの事だから、すぐに取り返すだろ?」「えぇ、勿論。 ホワイトと一緒にそれ以上に稼ぎますから、ね? ホワイト」「あ? なんでオレまd」「おお~!! そうか、お前ら《MONOCHRO(モノクロ)》なら20,000Pなんて帳消しも楽勝だな。期待してるぜ? ホワイトッ!」「任せてくださいっ!! 兄貴っ!!」「あはっ☆ チョロすぎ~w」
『元を取れ』という事は、それ以上にポイントを稼げって事らしい。
(ポイントを使うときは気をつけよう…)
そして、ポイントとは別にもう一つ気になる項目もあった。
「あ、そういえば新ルール追加って…」
それは『ルールその5 単独行動原則禁止』。 その横には『特にグレイ』と書かれていた。
「おぉ、そうだった。オレたちは既にマスター以上の称号を所有しているが、グレイはルーキー。また変なのに絡まれると色々と厄介だからな。だから単独行動は禁止とする。何をするにしてもグレイは必ずオレ達の誰かと行動をする事、いいな?」「はいっ!皆さん、宜しくお願いしますっ!」
単独行動できないのは致し方のない事だ。 しかし、ボクの育成ついでに調査等の任務を先輩がたと共に課せられるらしい。
(早く先輩がたのように強くならなきゃ…)
無意識に拳に力を入れる。 今はまだ護られないとこの世界に留まる事は不可能に近い。 そしてこの世界の事も分からない事だらけだ。 より一層、気を引き締めなければ。
(この世界を…許してはならない)
「…ってことで、ルール説明は以上!モノクロは減った分のポイント補充してこい。それと、グレイ」
レッド先輩はこちらを指さす。 おそらく早速イエロー先輩と一緒に何かしら任務が与えられるはずだ。 ゴクリと唾を飲み込む。 そして下された内容は― 「ひとまずお前さんは元の世界に帰ることっ!」「はいっ!え?……えぇぇぇぇぇっ!!?」 ―まさかの帰還命令だった。 BACK ¦ NEXT