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【COLORS】本編・番外編リメイク!(随時更新)
Episode.05 獣王
野獣人達が集う宴会場には大きな和の古城がある。 そこでは各一族の大御所、つまり族長たちが集って宴会を楽しんでいた…はずだった。 「ギンさん、いい加減、機嫌直してくださいな? せっかくの宴会の席もお通夜の席みたいになってはりますよ?」 その城の最上階の大広間の奥の座敷には、大きな盃を片手に酒を飲んでいる大柄な男がいた。 その男は顎から口元にかけて傷跡があり、眉間にしわを寄せ、金色の獅子のごとく輝く逆立てた金髪を震わせていた。この人物こそが、現代《獣王》レオ族族長、ギンジ=レオである。 その傍らで寄り添う赤髪の女性は今まさに怒りを顕わにしているであろう彼をやんわりとした独特な口調でたしなめた。 「ギルの姐御の言う通りですぜ、レオの旦那。せっかくの宴の酒も不味くなっちまいますよ?」「口を慎め、ティガー。レオ大兄(タイケイ)の心中をお察しする事もできぬのかね」 レオの右側に座る華の服を身にまとい、レオと同様に大きな盃を片手に酒を嗜んでいる男、スカー=ティガーを反対側に座る《洋:この世界では様式のこと》の服を身にまとい、姿勢よく腕を組んでいるレオ以上に大柄な男、グランディル=バッファローはキッと睨みつけた。 この二人は獣王の側近ともいえる立場であり、《攻めのティガー》と《守りのバッファロー》と言われる程の重鎮だ。 王の側で仕える者としての職務も相対しているならば、性格もそりが合わない。ちなみにティガーは主に獣王の護衛を任され、なにかと前衛に出る事が多い。バッファローはというと、他種との外交を担い、所謂後衛として王を支えている。 自分よりも一回り大きな体躯のバッファローにも臆する事なく、むしろ余裕を思わせる笑みを浮かべたティガーはわざと大きなため息を吐いたうえで、バッファローを煽った。 「はっ、本当の事を言ったまでよ。王のご機嫌取りしか能のないお前さんの代わりにオレ様が注意してやってんだろうが」「…なんだと、貴様。どの口がほざくか!」「ああ? ヤんのか、こら」 双方一歩も引かず、ギリギリと歯ぎしり立てながら互いに睨みあっていた。