MAIN STORY
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Chapter .02
Chapter .02
【We are "COLORS"!!】
【We are "COLORS"!!】
近づく者は"勇者"か?"愚者"か?彼らの『色』に染まる頃手遅れとなるだろう
Episode.05
自分が嫌いだった。 弱い自分が嫌いだった。 だから。 これはチャンスなんだ。 自分を変える為の。私は貴方の “色”に染まろう。 ボクはボクの “色”に染まろう。
賑やかなネオン街。 ここは《RESIDENCE AREA(レジデンス・エリア)》。 多くのユーザー達の拠点ともなるこのエリアはカスタマイズ可能で基本自由に行動できる。ユーザー同士の交流の場で賑わいのあるエリアだ。 しかしそんなエリアでも、ひと気ない場所がある。 その一角の奥へ進むと、いたるところに『KEEP OUT!!』のテープや『Violent Dog Caution!!』のポスターが貼られた壁があった。その異様な壁に近づく者はほぼいないに等しい。 なぜなら壁の奥には、彼らのアジトがあるのだから。 見た目は廃墟ビルにも見えるボロい鉄筋コンクリート製の建物。 中に入ると、誰の仕業なのか、廊下の壁の至るところにスプレーアートが施されている。 廊下の奥にある扉を開けば、そこは会議室というよりは応接室に近いレイアウトの部屋だった。
そこには、仲間からの報告を受けているデビデビくん…を模した紅いフードの男がいた。 「…ん、りょーかい。んじゃ、アジトで待ってっから(…ピッ)」 男は通話を切ると、ソファに深くもたれかかり、天を仰いだ。 (嫌な予感ってのは、どうして当たっちまうのかねぇ) 「……さぁて、どうすっかな」
そこには、仲間からの報告を受けているデビデビくん…を模した紅いフードの男がいた。 「…ん、りょーかい。んじゃ、アジトで待ってっから(…ピッ)」 男は通話を切ると、ソファに深くもたれかかり、天を仰いだ。 (嫌な予感ってのは、どうして当たっちまうのかねぇ) 「……さぁて、どうすっかな」
《RESIDENCE AERA》のはずれのひと気のない薄暗い場所を歩く二人の影。 そこはいかにも治安が悪そうな印象を受けるからか、行き交うユーザーがほぼいなかった。 そしてそこら中にスプレーアートが施されている壁の前で二人は立ち止まる。 ブラックは、エンジュちゃんコスチュームを纏った短い銀髪の少年に訊ねる。
「僕の出した条件を覚えてますね?」「はい、勿論です!えと…」
指でカウントしながら彼が出した条件を思い出す。
条件① 本名・種族は隠し、人間になりすます 条件② 誰にも正体を明かさない・聞かない 条件③ 個室での会話は口外しない
そして条件④が―
「―男の子のふりをすること」「…声に出てますよ、グレイ」
銀髪の少年、グレイと呼ばれたボクは慌てて「す、すみませんっ!」と両手で口を塞いだ。 そう、何を隠そう、今まで『ハクア=ティガー』だったボクは彼の計らいで別の人物に姿も性別も名前すらも変えた。さらに、まだ実感は湧かないが…種族も『人間』になってる、はず。この左頬の痣を除いては。
(…うぅ、証を消すの忘れてた…ブラック先輩が気づいて白テープをつけてくれたから良かったけど)
なんとなく、嗅覚と聴覚は普段より劣っている気がする。 おそらく大丈夫だろう。
「言動には気をつけるように。一人称や喋り方次第ですぐにバレてしまいますから」「き、気をつけますっ。ブラック先輩!」
ボク達はこれからCOLORSのアジトに入る。 チームのリーダーとそのメンバーにブラック先輩がボクのことを紹介してくださるという流れだ。気は早いが、ボクは敬意を表して彼の事を『先輩』と呼ぶことにしている。
「ところで、アジトってどこにあるんですか?」「もうすでに目の前にありますよ」「え…!?」
目の前には壁一面に大きな文字のようなイラストが描かれただけだった。 そのイラストをよぉく見ると、やはり何かメッセージが書かれているようだった。
「えっと…『Members Only !!』? これって??」「『メンバー以外は立入禁止』という意味です。まぁ近づく愚か者はそうそういませんが」
そう言いながら、ブラック先輩は目の前の壁に向かって何やら操作しだした。 すると、突然電子音がしたかと思えば壁が動き出した。なんとただの壁ではなく、扉だったのだ。 唖然としていたら、ブラック先輩が「どうぞ?」とエスコートしてくれた。おそるおそる中に入っていくと扉の先にはまるで地下通路のような薄暗い通路が続いており、そのいたるところにカラースプレーで施されたスプレーアートが散らばっていた。 ここは既に《COLORS》のアジトの中らしい。 まるで廃墟ビルの1フロアのように薄暗さが印象的だった。 通路の奥に進むと至るところに『KEEP OUT!!』のテープとともに『Violent Dog Caution‼』のポスターが貼られていた。 そして一番奥の扉に辿り着いた。その横にはインターフォンの代わりにカメラとスピーカーが設置されている。 ボク達が扉の前で立ち止まると、カメラが急に動き出し、赤色の細いレーザーが頭から足先までゆっくりと放たれた。 足先までスキャンし終えたあと、スピーカーからノイズとともに音声が流れた。
『ザザッ…COLORSメンバー、ブラック…認証完了…未登録ユーザー、1名…認証完了』
音声が途絶えると、ロックが解除されたらしく、扉がウィーンと開いた。 部屋に入るや否や、ボクの顔の目の前に「ばあっ☆」とラリっている黄色いウサギが突然現れた。
「うひゃぁっ!!!?」「あははは☆『うひゃぁ』だって~w ウケるぅ~☆」
そこにはケラケラと腹を抱えて笑うラリッた目をしたクラウンウサギ…を模したヘルメットを被った緑の髪の小柄なユーザーがいた。 「グルルルル…うっせーぞ、ちび助ぇ…ブラック、どこほっつき歩いてたんだ?」 ソファに偉そうにもたれかかっている強面な白いオオカミ…を模したフードを被った白髪のユーザーはペロキャンを口に咥えたまま唸る。 ボクは瞬時にブラック先輩の後ろに隠れてしまった。二人ともどこかで見た覚えはあるが、今はそれどころではなかった。
(こ、怖いヒト達ばっかりじゃないですか~!!?)
「すみません、急用が入ってしまったもので。リーダーには連絡入れておきましたよ?」
異様な雰囲気が漂うなか、ブラック先輩は平然と笑顔で返事をする。 この異様な空気についていけてないのは自分だけなのか。 それともここではこれが当たり前だというのか。 そんな空気を吹き飛ばすかのように部屋の奥の扉が勢いよくバーンッと開いた。
「よぉ!! ブラック~、ごくろーだったなぁ!!」
誰よりも大声を出して現れたのは、お邪魔マスコットキャラのデビデビくん…を模した紅いフードの男だった。
(デ…デビデビくんのヒト…!! )
「ちょっと~、リーダーのほうが超うるさいじゃ~ん。ホワイト、注意しなよぉ」「黙れ、ちび助。レッドの兄貴よりてめぇの金切り声のほうが耳にくるんだよ、ボケェ」「マジないわ~年下のくせに生意気☆」「シャ~ラップ!! 客人の前で喧嘩するんじゃねぇぞ、お前ら。ブラック、『そいつ』がさっき保護したって連絡のやつか?」
リーダーさんはブラック先輩の後ろに身を隠すボクを指した。 ブラック先輩は「えぇ、そうです」と頷いた。そして、挨拶するように促した。
「あ…えと、わ(…じゃなくて!)、ボクは『グレイ』って言います! よ、よろしくお願いしますっ!!」
勢いよくお辞儀をする。緊張のあまり、一人称を間違えそうになったが、なんとか凌いだ。
「おーけー、グレイな♪ 今は1人欠席しているが…まぁよしとして、いろいろと説明してもらおっかな」「経緯は僕が説明します」
ブラック先輩は端的に事の顛末を説明した。 初心者のボクが悪質なユーザーキラーの被害に遭いそうだったこと。 その後、運営に狙われる可能性を考慮して『保護』を遂行。 事情もあって一旦、アジトに連れ帰ってリーダーの判断を委ねる事にした、と。
「ふぅむ、判断ねぇ…『帰す』かどうかって事か?」「はいは~い♪ 初心者とのゲームって面白そうだから帰さなくてもいいと思いまース☆」「はんっ、こんな弱っちい奴なんか足手まといだろうが。兄貴、とっとと帰しちまいましょうよ」
(あぅ~…意見が分かれてしまってますね……それにしても、あのオオカミさん、さっきからお口が悪すぎるんじゃ?)
「あ、あの…ボクは帰りたくないです」「あ゙あ゙?」「ヒェッ!!?」
強面のオオカミさんに睨まれ、再びブラック先輩の後ろに身を隠した。 リーダーさんが「ホワイト、どうどう」と諫め、口を開く。
「ん〜…そうさな〜。グレイ、お前さんはここに残ってまで何をしたい?ただ遊びたいんだったら…オレは見逃せねぇよ?」
意思を伝えなきゃ。 ボクは勇気を振り絞って、話すことにした。 これがボク自身を変える事のできるチャンスかもしれないから。
「ボ、ボクは…この世界の怖さを知ってます。知っているからこそ、何もせずに自分だけ助かるのは嫌ですっ…ボクにも皆さんのお手伝いさせてくださいっ!!」
「僕の出した条件を覚えてますね?」「はい、勿論です!えと…」
指でカウントしながら彼が出した条件を思い出す。
条件① 本名・種族は隠し、人間になりすます 条件② 誰にも正体を明かさない・聞かない 条件③ 個室での会話は口外しない
そして条件④が―
「―男の子のふりをすること」「…声に出てますよ、グレイ」
銀髪の少年、グレイと呼ばれたボクは慌てて「す、すみませんっ!」と両手で口を塞いだ。 そう、何を隠そう、今まで『ハクア=ティガー』だったボクは彼の計らいで別の人物に姿も性別も名前すらも変えた。さらに、まだ実感は湧かないが…種族も『人間』になってる、はず。この左頬の痣を除いては。
(…うぅ、証を消すの忘れてた…ブラック先輩が気づいて白テープをつけてくれたから良かったけど)
なんとなく、嗅覚と聴覚は普段より劣っている気がする。 おそらく大丈夫だろう。
「言動には気をつけるように。一人称や喋り方次第ですぐにバレてしまいますから」「き、気をつけますっ。ブラック先輩!」
ボク達はこれからCOLORSのアジトに入る。 チームのリーダーとそのメンバーにブラック先輩がボクのことを紹介してくださるという流れだ。気は早いが、ボクは敬意を表して彼の事を『先輩』と呼ぶことにしている。
「ところで、アジトってどこにあるんですか?」「もうすでに目の前にありますよ」「え…!?」
目の前には壁一面に大きな文字のようなイラストが描かれただけだった。 そのイラストをよぉく見ると、やはり何かメッセージが書かれているようだった。
「えっと…『Members Only !!』? これって??」「『メンバー以外は立入禁止』という意味です。まぁ近づく愚か者はそうそういませんが」
そう言いながら、ブラック先輩は目の前の壁に向かって何やら操作しだした。 すると、突然電子音がしたかと思えば壁が動き出した。なんとただの壁ではなく、扉だったのだ。 唖然としていたら、ブラック先輩が「どうぞ?」とエスコートしてくれた。おそるおそる中に入っていくと扉の先にはまるで地下通路のような薄暗い通路が続いており、そのいたるところにカラースプレーで施されたスプレーアートが散らばっていた。 ここは既に《COLORS》のアジトの中らしい。 まるで廃墟ビルの1フロアのように薄暗さが印象的だった。 通路の奥に進むと至るところに『KEEP OUT!!』のテープとともに『Violent Dog Caution‼』のポスターが貼られていた。 そして一番奥の扉に辿り着いた。その横にはインターフォンの代わりにカメラとスピーカーが設置されている。 ボク達が扉の前で立ち止まると、カメラが急に動き出し、赤色の細いレーザーが頭から足先までゆっくりと放たれた。 足先までスキャンし終えたあと、スピーカーからノイズとともに音声が流れた。
『ザザッ…COLORSメンバー、ブラック…認証完了…未登録ユーザー、1名…認証完了』
音声が途絶えると、ロックが解除されたらしく、扉がウィーンと開いた。 部屋に入るや否や、ボクの顔の目の前に「ばあっ☆」とラリっている黄色いウサギが突然現れた。
「うひゃぁっ!!!?」「あははは☆『うひゃぁ』だって~w ウケるぅ~☆」
そこにはケラケラと腹を抱えて笑うラリッた目をしたクラウンウサギ…を模したヘルメットを被った緑の髪の小柄なユーザーがいた。 「グルルルル…うっせーぞ、ちび助ぇ…ブラック、どこほっつき歩いてたんだ?」 ソファに偉そうにもたれかかっている強面な白いオオカミ…を模したフードを被った白髪のユーザーはペロキャンを口に咥えたまま唸る。 ボクは瞬時にブラック先輩の後ろに隠れてしまった。二人ともどこかで見た覚えはあるが、今はそれどころではなかった。
(こ、怖いヒト達ばっかりじゃないですか~!!?)
「すみません、急用が入ってしまったもので。リーダーには連絡入れておきましたよ?」
異様な雰囲気が漂うなか、ブラック先輩は平然と笑顔で返事をする。 この異様な空気についていけてないのは自分だけなのか。 それともここではこれが当たり前だというのか。 そんな空気を吹き飛ばすかのように部屋の奥の扉が勢いよくバーンッと開いた。
「よぉ!! ブラック~、ごくろーだったなぁ!!」
誰よりも大声を出して現れたのは、お邪魔マスコットキャラのデビデビくん…を模した紅いフードの男だった。
(デ…デビデビくんのヒト…!! )
「ちょっと~、リーダーのほうが超うるさいじゃ~ん。ホワイト、注意しなよぉ」「黙れ、ちび助。レッドの兄貴よりてめぇの金切り声のほうが耳にくるんだよ、ボケェ」「マジないわ~年下のくせに生意気☆」「シャ~ラップ!! 客人の前で喧嘩するんじゃねぇぞ、お前ら。ブラック、『そいつ』がさっき保護したって連絡のやつか?」
リーダーさんはブラック先輩の後ろに身を隠すボクを指した。 ブラック先輩は「えぇ、そうです」と頷いた。そして、挨拶するように促した。
「あ…えと、わ(…じゃなくて!)、ボクは『グレイ』って言います! よ、よろしくお願いしますっ!!」
勢いよくお辞儀をする。緊張のあまり、一人称を間違えそうになったが、なんとか凌いだ。
「おーけー、グレイな♪ 今は1人欠席しているが…まぁよしとして、いろいろと説明してもらおっかな」「経緯は僕が説明します」
ブラック先輩は端的に事の顛末を説明した。 初心者のボクが悪質なユーザーキラーの被害に遭いそうだったこと。 その後、運営に狙われる可能性を考慮して『保護』を遂行。 事情もあって一旦、アジトに連れ帰ってリーダーの判断を委ねる事にした、と。
「ふぅむ、判断ねぇ…『帰す』かどうかって事か?」「はいは~い♪ 初心者とのゲームって面白そうだから帰さなくてもいいと思いまース☆」「はんっ、こんな弱っちい奴なんか足手まといだろうが。兄貴、とっとと帰しちまいましょうよ」
(あぅ~…意見が分かれてしまってますね……それにしても、あのオオカミさん、さっきからお口が悪すぎるんじゃ?)
「あ、あの…ボクは帰りたくないです」「あ゙あ゙?」「ヒェッ!!?」
強面のオオカミさんに睨まれ、再びブラック先輩の後ろに身を隠した。 リーダーさんが「ホワイト、どうどう」と諫め、口を開く。
「ん〜…そうさな〜。グレイ、お前さんはここに残ってまで何をしたい?ただ遊びたいんだったら…オレは見逃せねぇよ?」
意思を伝えなきゃ。 ボクは勇気を振り絞って、話すことにした。 これがボク自身を変える事のできるチャンスかもしれないから。
「ボ、ボクは…この世界の怖さを知ってます。知っているからこそ、何もせずに自分だけ助かるのは嫌ですっ…ボクにも皆さんのお手伝いさせてくださいっ!!」
……さすが俺の嫁…男の姿なのにめちゃくちゃ可愛い… 俺の嫁…じゃなかった、グレイに見惚れていたら「リーダー?もしも〜し?」と黄色ウサギのチビ、イエローが声をかけてきた。 そうだった。 今の俺はCOLORSリーダー「レッド」だ。 軽く咳払いをして、邪念を振り払う。 「ふぅ~…ちょっとタイムな」 そう言い、イエローと白オオカミの弟分、ホワイトを呼び寄せた。 なるべくグレイと聡明な黒猫、ブラックには聞こえないように話す。 (…なぁ、俺の嫁さん、すごくない?可愛くないか?)(やけにボーッとしてると思ったら、なに言ってんの!?てか、どーすんの〜、姿まで変えてきちゃって…見てよ、やる気ありますって瞳が語っちゃってるヨ?)(姿変えたところでアイツはアイツのままなんだから、断わりゃいいっすよ、兄貴)((お前、サイテー))(なっ…!?)
「だ、大丈夫ですかね?」 コソッとブラック先輩に伺う。 彼が予想していた通り、なかなかスムーズには事が進まないようだった。 それでもブラック先輩はニコッと笑顔を見せた。 「ご心配なく、僕に『良い考え』がありますから」 意見がまとまったのか。 それとも埒があかなかったのか。 リーダーさんは頭をガシガシと掻きながらブラック先輩に問いかける。 「…あ~、ブラック。お前さんの意見を聞いてなかったな。ブラックはどうしたいよ?」 どうやら後者のほうだったようだ。 ブラック先輩は「そうですね…」と少し考える素振りを見せたがすぐに話した。 「リーダーには既に報告しましたが、グレイの証言が気になりまして…彼は元の世界で謎の少年に誘い込まれて、この世界に来たとのこと。もし万が一、少年が運営の手の者だとしたら、元の世界に帰したところで同じ事を繰り返しかねない」 ブラック先輩の言う通りだ。 たとえ少年ではなくても、何かしらのコンタクトを取られる可能性がある。 でもそうなると、また自由のない生活に逆戻りだ。 (それだけは…嫌) 「ならばいっその事、チームに入れるべきかと思います」 3人は驚いていた。 「あれま、予想外www」「ふっざけんじゃねぇぞ!? こ~んな女みてぇな、なよっちぃ奴を迎え入れろってのか!? オレはぜってぇに許さねぇ!!(ガルルルル…!!)」「落ち着け、ホワイト。オレらに『メリット』はあるか? 超超初心者のグレイは何ができる?」 たとえ《COLORSのブレーン》ブラック先輩の推薦だとしても、そう簡単に『YES』とはいかない。 リーダーさんは終始笑顔で言葉を発するが、帽子のつばで目が見えないせいか、何を考えているのかよく分からない不気味さを感じられた。 ボクは俯き、正直に答えた。 「えと…何もできない…です」 嘘をついても致し方のない事だ。 本当にゲームというものを知らないし、得意なジャンルも何もないのだから。 「けっ…! 話にならねぇな」 ホワイトさんは「それみたことか」と言いたげにフンッと鼻を鳴らした。 何も言い返せなかった。 自分の悪い癖かもしれない。 本当の事を言われると、何も言い返せなくなる。 やはりこのまま終わるのかと思ったその時。 「…『何もできない』からこそ、面白くなると思いませんか?」 唐突にそう切り出したのは、加入させるべきと言ったブラック先輩だった。 「『面白くなる』って、どうして~?」「何が言いてぇ…ブラック」 イエローさんとホワイトさんはブラック先輩の言葉を理解できていないようだった。 そんな二人をよそにブラック先輩はボクと一緒に挑んだシューティングゲームの時の内容を説明した。 バルーン・シューティングは、現れる4色の風船を撃ち得点を稼ぐゲーム。 そのゲームに対して特に作戦という作戦はなかった。 経験者だったブラックは『君は一色の風船のみ狙えばよい』と告げた。 そして選んだのは、一番得点の低い『白色』だった。 「普通なら少しでも高得点を得られる色を選びがちですが。彼は違った。自分と僕の力量を比べ、迷いなく『白色』を選んだのです。そのおかげで、むしろ僕は白以外の色の風船に集中できました。初心者といえど、なかなかできる判断ではないと思います」 ブラック先輩は淡々と説明する。 意外にも高く評価されていた事にボクは驚きを隠せなかった。 「つまり、彼には未知の可能性があるという事。優れた判断力、理解力はどのゲームでも必要不可欠。『何もできない』のであれば、僕らが彼を『育てる』…彼を育成し、どんなゲーマーにさせるか…面白くなると僕は思いますけどね(ニコリ)」 さすがは《COLORSのブレーン》と云われているヒトだ。 ブラック先輩はただ同情で加担している訳ではなかった。 (ちゃんと…評価してくれるヒトもいるんだ) つい涙が出そうになるも堪える。 まだ判決は下されていないのだから。 「なにそれ……」 ボソッとイエローさんが呟いたかと思いきや…
「めっっっっちゃ面白そ~♪」
急に興奮し、ソファをピョンピョンと飛び回りだした。 「なるほどな……さっすがブラックは着眼点が一味違うぜ! 確かに刺激があって面白そうだな!!」 なんとリーダーさんも親指を立てるほどとは。 二人とも、ブラック先輩の提案にノリノリだった。 単純というかチョロいというか。
「めっっっっちゃ面白そ~♪」
急に興奮し、ソファをピョンピョンと飛び回りだした。 「なるほどな……さっすがブラックは着眼点が一味違うぜ! 確かに刺激があって面白そうだな!!」 なんとリーダーさんも親指を立てるほどとは。 二人とも、ブラック先輩の提案にノリノリだった。 単純というかチョロいというか。
(よし、イエローとリーダーはとにかく面白そうな事にはすぐに食いつく節がある…ここまでは僕の読み通り…問題は) 「…オレはぜってぇに認めねぇ」 (…やはり、問題はホワイトか…) ノリノリな二人とは裏腹に強面のオオカミの顔がさらに怖さを増してるのではないかというほど、ホワイトのイライラが募っている様子だ。 無理もない。 ホワイトは元々、女嫌いで同性でも女々しい者に対して嫌悪感を抱く男なのだから。 「ホワイトッ…」「…ど~しても、オレらの仲間になりてぇってんだったら……」 ホワイトはゆらりと立ち上がり、グレイに向かってビシィッと指さす。 「証明してみせろよ、その実力をよぉ!!」
(ボクにその素質が無ければ、メンバー入りを認めない…ということだろうか) 初心者なのだから、実力なんてたかが知れてる。 (本当は怖い。怖いけど…もうボクは逃げない) 彼の前に立ち、キッと睨みを利かせた。 「…やります! やらせてくださいっ!!」
お互い一歩も譲らぬ勢いで睨み合う。 そしていつの間にか蚊帳の外にされている事に気づく他のメンバー。
「あはっ☆ あのホワイトを睨み返すとか、顔に似合わず度胸あんじゃん!ね、リーダー」「いや、お前ら勝手に話を進めるなよ!…でもまぁ、ホワイトの言う通りだな」「と、言いますと?」「いざ育成するにしても、グレイの実力が分からないんじゃ育てようがねぇ…」
リーダーは睨み合う二人を制し、宣言した。 「よって! これより《COLORS入団試験》を実施する!!」「それってもう加入させる前提の話になってない? いいの? ホワイト」「(なんかよく分かんねぇけど)さすが兄貴っす!!」「いいんかい!? ま、でも面白そ~だから僕も賛成~♪」「やれやれ……グレイ」「は、はいっ」「リーダーが君の実力を見てくれるそうです。僕らも一緒に行きますから、緊張せずに、ね?」
不思議と、ブラック先輩の笑顔を見ると安心できる。 せっかく掴んだチャンスをここで逃す訳にはいかない。
「はいっ!頑張りますっ!!」 BACK ¦ NEXT
お互い一歩も譲らぬ勢いで睨み合う。 そしていつの間にか蚊帳の外にされている事に気づく他のメンバー。
「あはっ☆ あのホワイトを睨み返すとか、顔に似合わず度胸あんじゃん!ね、リーダー」「いや、お前ら勝手に話を進めるなよ!…でもまぁ、ホワイトの言う通りだな」「と、言いますと?」「いざ育成するにしても、グレイの実力が分からないんじゃ育てようがねぇ…」
リーダーは睨み合う二人を制し、宣言した。 「よって! これより《COLORS入団試験》を実施する!!」「それってもう加入させる前提の話になってない? いいの? ホワイト」「(なんかよく分かんねぇけど)さすが兄貴っす!!」「いいんかい!? ま、でも面白そ~だから僕も賛成~♪」「やれやれ……グレイ」「は、はいっ」「リーダーが君の実力を見てくれるそうです。僕らも一緒に行きますから、緊張せずに、ね?」
不思議と、ブラック先輩の笑顔を見ると安心できる。 せっかく掴んだチャンスをここで逃す訳にはいかない。
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