MAIN STORY
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【COLORS】本編・番外編リメイク!(随時更新)
Episode.04
数分後、物陰から恐る恐る顔を覗かせる。 先ほどまで対戦した二人組が跡形もなく消えてしまった。 そんな恐ろしい光景を目の当たりにしたからか。 恐怖で身体の震えが止まらない。 「…い、今のって」「下手したら、貴女も同じ末路を辿っていたところでしたね」 あの光景に見慣れているのか。 それともただ冷静なだけなのか。 淡々と言葉を発するブラック。 彼は「まだ安心できないので」と言い、しばらく身を隠すようにと告げ、周辺を確認しに行ってくれた。 正直、困惑している。 突然現れた少女たちの事、あの二人組の行方… ただのアミューズメント施設にしては謎だらけだ。 (《WORLD OUT》って一体…) しばらくして、周辺に誰もいない事を確認したブラックが戻ってきた。 「危ないところでしたね。『アレ』はこの【GAME WORLD】の運営…所謂この世界を管理する者たちです。あの二人組のように、所持ポイントをゼロにしてしまうと強制的にこの世界から退場させられる…それが《WORLD OUT》。ああやって運営サイドの者が執行人として現れるんです」「そんな……はっ!先ほどは助けていただきありがとうございました。私はハクんぐっ」 御礼とともに自己紹介しようとした。しかし、彼は私の口に手をあてて言葉を遮った。 「ここでは、その本名は公にしない方が身の為ですよ」「…ケホッ…な、なんでですか?」「それは(ぐるるるるるる~)……?」「す、すみません…ここに来てから、全くご飯を食べてなくて…」 こんな緊迫した状況でなんと空気の読めないお腹なのだろうか。 今すぐに穴があったら入りたい。 沈黙したブラックの様子をおそるおそる見ると、彼は笑いを堪えていた。 「ふふっ…くくっ…すみません。そんな状態だったとは露知らず…いいでしょう。またやつらが現れるかもしれません。僕も貴女に質問しなければならない事があります。ここを離れるついでに《FOODS AREA》に寄りましょうか」「あぅ…面目ないです」 そして私達は《SHOOTING GAMES CORNER》から移動し《FOODS AREA》を訪れた。 このエリアは飲食可能の店が豊富にあり、ユーザーたちの休憩場所だという。 ブラックはポイントの使い道の1つだと教えるついでに、テイクアウト可能なサンドイッチを奢ってくれた。ここでの飲食物は『フードアイテム』『ドリンクアイテム』と呼ばれ、ユーザーは《バフ:自分のステータスにプラス効果を付与される》を得ることができる。 ブラックの説明によると、この世界における『ポイント』は複数の役割を持つのだという。例えば各ゲームに挑む為のビットとして、衣食住に必要な通貨として、そして― 「―ライフポイント?」「この世界では不自由のない生活を保証する代わりに、ポイントによってユーザーを管理しています。ポイントの有無でランクが左右されると同時に、存在の証明となるもの。それがライフポイントです」「じゃあ、ポイントがゼロになると…」「ライフポイントがゼロになった場合、ユーザーは何もできなくなります。この世界での“異端者”とみなされ、運営またはある組織によって《WORLD OUT》が執行されます」「あの、それって」「シッ...!隠れてっ」 目の前には、先ほどの小型ロボットの姿があった。何やら店ごとに徘徊をしている様子だった。 一体、どうしたというのだろうか。 気がつけば、エリア中がなにやらざわついているようだった。 言われた通り、店と店の間の狭い路地に身を隠した。小型ロボットが通り過ぎた事を確認して、ホッと胸を撫で下ろす。 (あれ?そもそも…なんで隠れなくちゃいけないのかな?) 先ほどもそうだが、ポイントがゼロになったわけでもない。 別段何かしたわけでもないのになぜ隠れなければいけないのか、ふと疑問を抱いた。 ブラックに理由を尋ねようと顔を上げると、目の前の壁に取り付けられている貼り紙…のような電子板が目に入った。