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【COLORS】本編・番外編リメイク！（随時更新）
COLORS 番外編
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【COLORS 前日譚】
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これは【COLORS】結成前の物語少女の知る小さな世界の物語
Episode.02 獣ノ宴会
ここは獣ノ森の奥深くに存在する野獣人のための大宴会場。 大地の母にて《テラの女神》と崇められしガイアを祀るとともに獣王の一族、レオ族を筆頭に各一族の親交を深める大事な催事《獣ノ宴会》が開かれている。 彼らは野獣人という『同志』の絆を確固たるものにする為、或いは16歳になる者達は大人として認められる為に、所謂社交の場を年に数回催す。 社交の場と言えば堅苦しくも感じるが、先代獣王が定めたルールには【喧嘩ご法度、誰もが平等に笑顔のあるものとする】といったように踊りもあれば、歌もあり、皆がみな、月夜の下で盃を手にこの宴会を楽しんでいた。―ただ1人を除いては。 大宴会場の奥にある広場では主に若人の野獣人達がこぞって酒の席を思い思いに楽しみ、盛り上がっていた。笑い声や話し声が高らかに宴会場で響き渡る。 しかし、とある一角ではそのお祭り状態の光景をぼ～っと眺めているだけの男がいた。 髪は金色の獅子のごとく、灯の光により逆立てた髪が一層輝いているようにみえ、体つきも用意された大きな横に長いソファのような寝椅子に横になっていてもなお、他の野獣人と比べると大きく、190ｃｍは余裕で越えている事が一目見てもよくわかる青年だった。 おそらく彼の側にいる女性陣は皆、彼の寵愛目当てに集まっているのであろう。それぐらい彼は男気溢れ、勇猛さが滲みでていた。衣装は和のもので、誰よりもひと際目立つ紅蓮色の羽織を身に着けていた。他の男どもが小さく見えてしまうほどに。 そんな彼に軽快な足取りで近づく者がいた。 「ちゃお～っす♪ やっほ～レオの若様ぁ。宴会だってのに全然浮かない顔だねぇ？ どしたのぉ？」「よぉ、チムニー。お前さんは相変わらず楽しそうでなによりだな」 軽い口調で声をかけてきた者、チムニー＝チッパーズはふらふら～と《レオの若》と呼ばれた男が横になっている大きな寝椅子の後ろに回りこみ、背もたれに「よっこいしょ～」と跨ぐかのようにもたれかかった。 チムニーは見た目が幼いが、実はレオの若と同じ青年で既に齢２３歳を迎えている大人だ。背丈は145ｃｍと小柄。身に着けている衣装も華のもので袖が手を隠せてしまうほど異様に長い独特なものだからか、一見、少年というよりは少女ともいえる出で立ちだった。 これは彼らチッパーズ族の身体的特徴の一つ。彼らにとっては当たり前の事で、特に不便を被っているわけではなかった。強いて言えば、人間などの他の種には理解されない事くらいだ。 「ぼくはいつだって楽しいよ～？レオの若様は楽しくないのぉ？…くすくす」 チムニーが笑うたびに、緑の髪のはねた毛先や額より上に結った前髪の束が揺れていた。 まるでレオの若である目の前の男を嘲り笑うかのようだが、それに対して男は怒りというよりは呆れていた。 「…チムニー、いい加減わざとらしく若様と呼ぶな。今はお前のうっとしい冗談に付き合う気にもならん」「あはははっ♪ ごめん、ごめん。一応？ 幼馴染と言えど、粗相のないようにって家の者に言われちゃってるからさ～。それにしてもザンザがつまんなさそ～にしてるのも珍しいけど？ あ、王様に怒られちゃった？ 当たり？」 チムニーは身を乗り出し、レオの若こと、ザンザ＝レオの顔を覗き込んだ。 ザンザは「別に、そんなんじゃねぇし」と言ってそっぽを向いた。そっぽを向いた先には遠くからこっちの様子を見ていた女性陣が居座っており、目が合うや否や何やらきゃっきゃっと浮かれ出した。 「あんれま～、相変わらず人気者だねぇ…呼んでほしそうにしてるよ～？ 呼ばないの？」 チムニーは遠くを見るようなしぐさをし、女性たちへの対応を聞いたが、余計な質問だったようだ。 「…あんなどこにでもいるような女には興味ねぇからな。それにああいうのはどうせ『オレ』じゃなくて親父の恩恵だの地位だの、そういった下心しか持ってないからな。相手したって無駄無駄。それに…」 《レオの若》である彼は、レオ族の族長にして全ての野獣人の頂点に立つ《獣王》の嫡男であった。 将来有望な男の気を引く為に、他の一族の族長の娘達はどうにかしてお近づきになろうと身なりからして必死である。だがそんな彼女らなどザンザにとっては眼中にない存在だった。むしろ自分を色眼鏡で見てくる彼女らは鬱陶しい以外の何者でもない。 しかも彼には既に想い人がいた。その想い人は今年１６歳となり、この獣ノ宴会に初参加する事になっている。もうすぐここへ来るであろう想い人を浮かべ、宴会場の出入り口を見やる。今か今かと…１６年、１６年も待っていたのだ。この日が来ることを。 「？ あ、そういえば今日だったねぇ。ハクア姫さまのお披露目の日ってさ。今日の晴れ着姿、ぼくがプロデュースしたんだよ～♪ 超自信作なんだ～えっへん！…って聞いてる？」「ん？ あ～悪い、これからここに来る嫁の事で頭いっぱいになってたわ。それにしてもビャクの奴、遅ぇなぁ…いつまで待たせてんだよ、たく」「待って待って、今さりげなく『嫁』って言った？ 超初耳ワード展開でぼく今混乱してるけど…ちなみに『嫁』ってもしかして…？」 チムニーは聞き逃さなかった。 今ザンザは『嫁』と言ったのだ。言い寄ってくる女はそこら中にいるが、ザンザ自身が求めているところは見たことも聞いたこともなかった。心当たりがあるとしたら、今日この獣ノ宴会に初参加する彼女ぐらいだが。 チムニーが確かめようとしたが、急に騒がしくしていた者達の笑い声や話し声が止み、皆ざわめきだした。 「…やっと来たか」 待ち焦がれた愛しい姫に想いを馳せ、ザンザは満面の笑みを浮かべた。 ◀BACK ￤ NEXT▶
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