「そいじゃ、早速《ログアウト》を説明するネ☆」
案内された部屋は会議室の隣にあるモニタールーム。 ここでは監視カメラの映像の確認や、COLORS全員のデータの管理が行われている。 部屋の一角に、見覚えのある機械が設置されていた。 あの街灯を思わせるデザインの装置…転送装置だった。
「これは僕ら専用の転送装置《ゲート》。元の世界に戻る時は必ずこのゲートを使うの」「他のじゃ駄目なんですか?」「ダァーメッ!このコは僕が手塩にかけて改造した装置でね、他のだとリンク先が限定されちゃうでしょ?このコは僕らの行きたい場所、つまり複数の異なるリンク先が登録されてるのだ!」
何を言ってるのか、脳がショートしそうになった。
「…つまり?」「つまり〜、グレイちんの好き場所に行けるってわけ☆」
データを登録しておけば元の世界からこの世界にログインする場合も、自動的にこのアジトに接続されているとのこと。 確かにこれは便利だ。 早速イエロー先輩は装置についているキーボードでボクのデータを登録してくれた。 しかし…
「あれ〜?おっかしいな〜」
雲行きが怪しい。 何をしているのか全く分からないのだが、何か不具合が生じたという事はなんとなく分かった。
「どうかしましたか?」
彼が見つめているモニターを後ろから覗き込む。
『警告 ログアウト 実行デキマセン』
「いつものとおりにやってるんだけどな〜。もう一回っと」『ビーーーーーーッ!』「へ?」
突然、警告音が響き、青白かった画面が真っ赤になってしまった。 すると、警告音が隣の部屋まで聞こえたのか、レッド先輩も駆けつけてくれた。
「どうした、イエロー。珍しく手元が狂ったか?」「ん〜…今原因調べてるとこだけどさ。故障かな?…ごめんね、グレイちん。ちょっと待っててね」
どうやら初めての事例のようだ。 レッド先輩は他のモニターを操作して、データに不具合が生じてないか確認した。結果、他の機械には特に問題は見当たらなかった。イエロー先輩も装置の故障を疑い、接続部位やら装置の内部やらを確認されたが、特に異常はなかったようだ。 今度は装置のシステムやプログラミングを見直す事に。するとイエロー先輩は何かを見つけたらしい。
「あれ?これって…」「今度はなんだよ、うっかりデータ消しちまったか?」「そんなヘマしないもーん。でもちょ〜〜っとやばいかも?」
ボクとレッド先輩は同時に首をかしげる。
「うんとねー……どうやらリンクが強制的に切られたみたい。つまり〜」「つまり?」
嫌な予感がする。
「帰れなくなっちゃった、みたいな?」「「……は?」」
(……帰れ、ない?)