ここは高層ビルが立ち並ぶエリア"コアビート・シティ"。 一般ユーザーの居住区エリアとはまた雰囲気がガラッと変わり、出歩く者のほとんどが人型アンドロイドか小型ロボットしかいない。 ビル街を抜けると、どこから繋っているかも定かではない無数のパイプが1点に集結している。その様子はさながら"心臓"のようである。その先にはひときわ目立つ超巨大なオフィスビルが仰々しくそびえ立っていた。 そのビルの中ではとある会議が行われていた。 誰もが恐れるゲーム・リーパーズの会議である。
「へっ、へっ…ぶぇっくしょーーーーーい!!!!」
…そんな会議の最中「あ、やべ。鼻水垂れたw」と呑気に鼻をすすっている男がいた。
「うわ…きたな」「…大丈夫?レッドお兄ちゃん」「あははっレッドさん、驚かさないでくださいよ〜w」
卓を囲って座る彼らは、紅い小悪魔のフードを被った男…レッドの突然の大きなくしゃみに驚く者もいれば、呆れる者もいた。
「あ・ん・た・ね〜…いきなり汚物を飛ばしてくるんじゃないわよ!」
彼の目の前の席にいた女性が甲高い声で喚き出した。無理もないが。
「汚物って、ひでぇな〜。別にいいじゃねぇか、減るもんでもねぇし」「はぁ!?んも〜このおっさん、最悪っ…今すぐその首をはねてやるわっ!」「避けない嬢ちゃんが悪くね?な〜、旦那っ♪」
レッドは悪びれもなく、女性の罵声を軽口でいなす。 彼は向かって左に座る黒フードの男に声をかけた。 その人物のいで立ちは、まさに"死神"。 そう、彼こそがこの世界における最恐にして最強のプレイヤー…"漆黒の死神" Z(ゼット)。