2011-59

矢野良勝の掛軸


2回目の定年後,本格的に時間的余裕ができたので,書きかけの家族の記録の内容の確認と追記のため父が整理していた家系図や遺品を調べてみた. その中に父が大切にしていた掛軸があった.父が正月になると,”富士山に向かって鶴が飛んで行く”ように床の間に飾っていた.取り出してみると,かなり痛 んでいたので表装の修理に出した.表具表装店(山崎町)の店主によると細川藩御用絵師 矢野良勝 (1760-1821)の作であるとのことであった.私がその絵師のことに疎いのを察して,矢野派の作品は永青文庫,県立美術館,熊本市立博物館,八代市 立博物館,島田美術館等に収蔵されていること,さらに矢野派の画を収集している人が阿蘇にいることを教えてくれた.最近になり,その収集家は南阿蘇に「火 の国美術館」を開設していることが分かった.

掛軸には龍谷良勝のサインと印がある.私が理系人間であるため,うかつにも龍谷良勝=矢野良勝であることに気付かなかったというお粗末な 話である.先祖(高祖父 利七郎 1807-1854)が江戸時代後期の画家である福田大華(1796-1854)と交流があったという話は父から聞いた記憶があるが,矢野良勝については まったく記憶がない.展示会への出品を頼まれ,祖母が貸したところ帰って来なかった画?があるという話も記憶にあるが,それが何か今となっては調べようが ない.

矢野良勝の何時頃の作かなど詳細については調査中である. 

矢野良勝の掛軸と印譜について(別稿に記載) 

(2011/2/21)