2011-49

節電

原発事故による電力不足のため節電が求められている.

節 電は予算の少ない地方国立大学では永遠の課題であった.熊本大学薬学部では光熱水費が年間学部予算の4割位になった頃,均一負担は不公平ということにな り,その対策のため一般家庭と同じように各研究室単位で積算電力計を付ける案が浮上した.ところが,もともと研究室ごとに仕分けされていない既存配線に メーターを後付けするとなると多大の費用が必要であることが判り,実行できなかった.ところが,ひょんなことから実現した.古くなった研究棟の改築の代わりに大改修が実施されることになり,電気工事の中に懸案であった積算電力計の設置が組み込まれ,使用量に応じた料金徴収制が実現した.

その結果,化学系はそれほど電気の消費量は多くないが,均質な空調環境で動物実験 を行ったり,大型フリーザー等を使用する生物系は大口利用者であることが判った.各研究室はいろいろ知恵を絞り節電策を練ったが,副産物として研究室前の 廊下など共用のコンセントから電源を取(盗)る等の悲喜劇?も見られた.

数字になると一目瞭然,節電のための意識改革には有効であったが,一方では研究室のアクティビティの指標ともとれる雰囲気も醸しだされ,困惑したことを覚えている.

一方,新設の私立大学へ移ると,事情は一変した.廊下やロビー等を節電していると 暗いイメージが漂い,高校生や父兄などの施設見学者(大学の招待が多い)の印象としてよくないということで,節電キャンペーンが話題になることはなかっ た.それでも学科主任として,4年間教授室の蛍光灯を半分以下にして節電に努めたが,肥後モッコスの典型と思われただけのようである.ある年は,エレベー ターを止めたり,光熱費をCO2に換算し,学科制作ホームページに公開したこともあったが,それに賛同する意見は殆どなく定着させることはできなかった (事務系からの継続的なデータの提供がなく自らウエブページを削除した).


[一言]私立大学でも,最近は人感センサーを採用したとのことである.大震災以来,テレビ各社は「節電」を唱えているが,もっとも節電になるのは,深夜あるいは昼間一定時間テレビ放送を中止することではないだろうか.(H23/4/18)