2011-56

東北関東大震災(気になる原発事故の報道)

筆舌に尽くしがたい超巨大地震(マグニチュード9.0)が起きてしまった。

この震災により亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、 被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

今回の地震は関東大震災を引き起こした関東地震のM7.9を上回り、1900年以降に世界で発生した地震の中で4番目の規模とのことである。これは想定 されている東南海地震とは比較にならない規模であり、三つの地震(岩手宮城沖、福島沖、茨木沖)が連続的に起きたものと解析されている。復興には膨大な国 家的エネルギーと時間を必要とするだろう。

今回の大震災においては、東京電力福島第1原子力発電所が被災した。地震の際、「止める、冷やす、閉じ込める」の三原則の第一段階は達成したものの、現 在高濃度の放射能漏れという最悪の事態に発展している。現在も次々と連鎖反応的に事態が悪化している状況である。テレビ各社は地震被害、福島原発事故、計 画停電を繰り返し報道しているが、原発事故の深刻な事態が一刻も早く沈静化されることを祈らざるを得ない。

それぞれの報道にはいろいろと問題が散見されるが、原発事故の報道に関しては看過できない問題があると言わざるをえない。学者や解説員が口をそろえて 言っている内容は、測定値と基準値の比較ばかりである。一般人を混乱に陥れないための配慮かもしれないが、胸部レントゲンやCTスキャン等と比較して人体 に影響はないと言っているのは納得がいかない。

生物学的な見地(内部被曝)からも”漏れる”こと自体あってはならないことである。国民が次第に”基準値以下”という言葉に馴らされてしまうことは危険 ある。東京電力、経産省関係者、専門家、解説者も起きてしまったことはどうしようもないと言っているとしか思えない。人間社会では0か1かで議論できない ことが多いが、原子力発電と住民の関係では、絶対に0でなければならない問題である。


[一言]原発の是非の議論にも影響するためか、コメンテーターの意見は皆歯切れが悪い。花粉症防御と同じと思えばよいとも言っている。しかし、原発建設の際の合意形成が難しくなることは必至である。

(2011/3/16)