2011-54

首都圏の買い占め騒ぎ

熊本城桜の馬場地区に3月5日にオープンした『城彩苑』を 見物していたら、東京板橋に住んでいる娘から「利己主義な人達」というタイトルのメール (3/17) が届いた。内容はスーパーに買い物に行ったらトイレットペーパーの在庫がなかったというものだった。トイレットペーパーだけではなく乾電池も品切れとのこ とである。すこし大げさではないかと思いながらテレビやネットを見ていると、米、水、納豆なども買い占められているらしい。

東北関東大震災における日本人の冷静な対応ぶりに称賛の声が外国から寄せられているというWebニュースを見ていたので、そのコントラストの強烈さにびっくりした。

38年前になるが、1973(昭和48)年に「トイレットペーパー騒動」が起きた。発端は中東戦争が引き金になった原油価格高騰による世界規模の経済混乱 (オイルショック)であった。マスコミがトイレットペーパー騒動を大きく取り上げたため、全国へ広がり砂糖、醤油、洗剤なども相次いで姿を消した。 当時の買い占め騒ぎを経験したお年寄りが、スーパーに買い物に行ったら品物がなかったとのことである。今回買い占めに走った人達は1973年の買い占め 騒動の際は子供であり、自分自身の体験としては学習していないはずである。買い占めは本能的なものなのか、それともマスコミの影響だろうか。歴史は確実に 繰り返している。

今朝、欧米諸国がリビアに軍事介入を開始したようである。買い占めの要因がまたひとつ増えた。政府やマスコミは買い占めを戒めているが、一度起こってし まった風評被害を抑えるには多くの時間とエネルギーが必要である。38年前と異なりインターネットを介して瞬時に風評が拡散する情報化社会が実現してい る。矛盾のない、信頼できる情報の選択は素人には至難の業である。専門家でないと理解することができないような解説は無いのと等しい。中学生でも理解でき る情報の提供を行う方策の構築が急務である。


[一言]過度な自粛ムードが事を異常に感じさせる働きをしているのではないだろうか。九州新幹線全線開通の祝賀ムードもどこかへ飛んでしまった。新たにオープンした熊本城の城彩苑(観光施設)の賑わいも今ひとつである。


(2011/3/19)