2011-57

大学入試問題ネット投稿

大学入試の問題が試験中にインターネットの質問サイトに投稿され,大騒ぎである.

この問題が起きたのは,京都大学,同志社大学,早稲田大学,立教大学などの大学である.入学試験の問題の一部が、試験時間中にインターネットの「ヤフー知恵袋」という質問投稿サイトに「解答を教えて」という形式で投稿されたことから明らかになった.

韓国等の例から,そういうことが起るのではないかと日頃思っていたが,現実のこととなってしまった.各大学は対応に追われているが,この問題も「管理者の立場にある首脳陣」のIT音痴に起因しているということができる.マークシートの場合は特に危険である.複雑な回答内容を書き写す必要はない.メールタイトルだけで伝達できるはずである.この件に関連して,メール着信機能を腕時計に組み込んだ例が報道されていた.

今回は,インターネットの「ヤフー知恵袋」という質問投稿サイトに投稿されたことで事件が明るみに出たが,個人間の通信であったなら判明しなかったはずである.「こんなことが可能だよ」と教えてくれたと思うべきではないだろうか.

私は,入試監督の度に携帯電話は持ち込ませないようにすべきと思っていたが,実現することはなかった. おそらく,大学で対策を練っても解決策は出て来ないだろう.その理由は,大学はいろいろな分野の考え方の異なる人達(そもそもと言い出す)の集団だからで ある.また,各大学は受験生獲得に必死のため,大学のイメージを悪くしたくないという考えが支配的であり,「受験生を必要以上に刺激すべきではない」とい う意見(一見まともに聞こえる)が大勢を占めるだろう.今期は,試験監督の仕方の徹底と試験官の増員で乗り切るということになるのではないだろうか.

今回の事件は,大学の期末試験,各種資格試験においても起こる可能性がある.例えば,英単語が分からない場合,ネット上の辞書にアクセスすれば簡単に知ることができる.このような時代であることを念頭に置いた試験の在り方や実施方法を考える必要がある.


[一言]インターネット不要論を叫ぶ人が多くなりそうである.体制崩壊阻止のため,ネットを遮断するのと同じことである.受験生は試験場を出る時には携帯 を手にしている.親や友人と「出来た」,「終わった」と連絡を取っているのであろう.むしろ携帯電話に過度に依存した生活の改善と節度ある使用を教育すべ きである.

(2011/3/2)