70歳を超えると免許更新の6ヶ月前に「自動車教習所での講習」を受けるように促す葉書が来る。
今冬は寒かったので少し暖かくなってからと思い放置していたが、3月は学生の春休みで混むと聞いたので、3月初旬に熊本市内の自動車学校に電話してみた。 案の定、混んでいて今日明日に講習を受けられるような状況でなく、月末になることを知らされ、改めて老齢化社会の到来を知ることになった。
3月25日、3週間以上前に予約しておいた講習を受けたが、終わってみると何ということはない講習であった。
3時間講習の内容(受講生 12名(女性2名)、教員 4名)
・1時間近いビデオ視聴と簡単な説明
高齢者の事故増加の統計情報の説明
超ベストセラーである2冊のテキストが渡されたが、老齢化による対応速度の低下に関する記述部分の拾い読み程度
・適性検査
視野角、視力検査、暗順応と明順応等(すべて機械測定)
・シミュレーター
ゲーム感覚で実施、アクセルを踏み続け、黄色信号でアクセルを離し、すぐアクセルに戻す。赤信号の場合はブレーキを踏み、直ちにアクセルに戻すというも の。次はハンドル操作をしながら前の課題に対応するというものであった。実際の運転ではそのような運転操作をすることはないので、「なぜそういう操作をし ないといけないか」と考える人向きではない。
・実車運転
3人一組になり、学生の春休みで混雑する教習車の中を教員の指示に従い縫うように運転するというもの。
周回走行、車庫入れ、S字カーブ、クランク、段差乗り上げ障害物(棒)直前停止等
初めて経験したのは、段差のある前で停車し、乗り上げた直後にブレーキを掛け、目の前に立ててある棒に触れないように直前で止めるというもの。空手の寸 止めみたいな運転実技と思えばよい。教員によると右足でアクセル、左足でブレーキを踏むお年寄りがいるとのことであった。最後に、並進走行する自動二輪車 が車の運転席から見えにくいことを実感させるため3台のバイクを車の横に配置したデモと説明があった。
ペーパードライバでない限り、普段運転していれば誰でも対応できる内容である。教習を通しての課題は、老齢化に伴う反応性低下のチェックであると言っても過言ではない。所要時間は休憩を入れて午後1時半~5時、費用は5800円、安くはない。
講習とは別に誕生日の一ヶ月前に免許更新の通知が来た。講習修了証明書を持って免許センターへ行き、2550円払い視力検査、写真を撮れば免許更新は終了する。
高齢者をスクリーニングして身分証明書代わりの運転免許証を返納を考えさせるきっかけになるかもしれないが、高齢者講習の存在意義に疑問を感じる人もいた。
[一言]高齢者の事故率によっては受講年齢が65歳以上に拡大される可能性があるということであった。教習所にとって結構な収入になるので、天下り組織との関連でいろいろ詮索する向きもあることは周知の事実である。
(2011/3/28)